ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第28回)

らすじ

久保田ミワ(松本穂香)は誤って書庫に閉じ込められていた一駒(片桐はいり)と紀土(水間ロン)を発見する。その時にミワは書庫で古い写真を拾う。30年ほど前、俳優として伸び悩んでいた八海崇(堤真一)が写ったその写真をヒントに、八海の行く先を探ろうと美羽さくら(恒松祐里)に相談すると、さくらは画像検索で八海の故郷の山を探りあてる。日帰りでその場所に行ってみる二人だったが八海の居場所はわからなかった。

第28回ネタバレ

八海邸

リビング

<結局 失踪の動機は分からなかった>

<八海サマの身に 何が起こっているのだろう?>

廊下

紀土「あれ? 階段なんか上ったっけ?」

書庫

紀土「うわっ 完全に迷子じゃん。 すごっ! え? うわ… ヤバっ。 えっ これって 『フライング・フィッシュ』の台本?」

紀土「…マジ?」

一駒「誰かいるの? ご主人様!?」

紀土「あっ あの…。」

(かんぬきが下りる音)

紀土「満天コンサルティングの…。」

一駒「泥棒…!」

紀土「はい? いやいや 泥棒じゃないっすよ!」

一駒「来ないで! イヤ~!」

紀土「いやいや だから紀土です!」

一駒「イヤ~!」

(ドアを開けようとする音)

紀土「ああ… かんぬき かかってるな。 クソッ。」

一駒「内側から開けるのは無理ですよ。」

紀土「うわ… しかも 電波 全然ダメっすね ここ。」

一駒「ふだん 書庫には ほとんど誰も来ないから 閉じ込められないように 気を付けてたんだけど。」

紀土「あとは 庭を通る人に 気付いてもらうしかないっすね。 おお~い! おお~い!」

一駒「それがね そこは めったに人が通らないの。」

紀土「…最悪だ。」

一駒「あとは ミワさんが気付いてくれるか。 あなたたち 知り合いなんでしょう?」

紀土「いや… もう帰ったと思われてます。」

一駒「はあ… じゃあ 天命を待つしかありませんね。」

紀土「いやいや… 俺 こんなとこで死にたくないっすよ! ミ… ミワちゃ~ん! ミワちゃ~ん!」

(ドアをたたく音)

紀土「開けてくれよ~ ミワちゃ~ん!」

(ドアをたたく音)

紀土「ここにいま~す! ここに 二人 閉じ込められてま~す!」

控え室

(叫び声)

池月「ミワさん 何か聞こえない?」

ミワ「えっ? いや 何も。」

池月「今 叫び声が聞こえたような…。」

ミワ「えっ!? ちょっと やめて下さいっよ。 えっ…。」

池月「ごめん 怖いよね。 気のせいだった。」

ミワ「ああ…。」

廊下

(叫び声)

書庫

紀土「ミワちゃん…。(荒い息遣い)」

一駒「あなたは… ミワさんの何なの?」

紀土「え?」

一駒「恋人?」

紀土「いや あの… 元カレです。」

一駒「へえ~。 未練は?」

紀土「未練は… まあ はい あります。」

一駒「あるんだ。」

紀土「だから正直… 今回 八海さんがいなくなって ホッとしてる自分がいます。」

一駒「それは何で? 嫉妬?」

紀土「まあ… はい。」

一駒「Oh la la!」

紀土「でも結局 八海がいなくなっても ミワは八海のことで 頭いっぱいなんですよ。」

一駒「そうなんだ。」

紀土「あいつは 俺がいなくなったって どうせ気付かないです。」

一駒「悲しいわね。」

紀土「はい。」

一駒「それでも よりを戻したいの?」

紀土「ミワにとっても それが一番だと思ってますから。」

一駒「それは何で?」

紀土「お互いにとって それが現実的な生き方だと思うから。 夢なんか見てる時間は無駄ですよ。」

一駒「…なるほど。」

紀土「早く目を覚ましてほしいです。」

一駒「ご主人様とあなたの違いは…。 まあ いいか。」

紀土「えっ 何ですか?」

一駒「いや いいです いいです。」

紀土「いや 気になりますよ 言って下さい。」

一駒「ご主人様は ミワさんのこと よく見てる。 そして よく分かってる。」

紀土「俺だって そうですよ。」

一駒「いや… あなたは ミワさんのこと あんまり分かってないと思う。」

紀土「ええ~っ。」

一駒「ミワさんは かめばかむほど 味が出てくる人よ。」

ミワ『誰かいます?』

一駒「ミワさん!? 私です 一駒です!」

ミワ『一駒さん!? 今… 今 開けます!』

一駒「助かった! ありがとう!」

ミワ「あっ 紀土くん! ここにいたんだ。 もう どこ行ったんだろうっと持って 捜したよ。」

一駒「えっ 俺を? 何で?」

ミワ「だって 帰ろうと持ったら 玄関に紀土くんの靴があったから 『えっ まだ 中にいるの?』と思って。」

一駒「ほら あなたがいなくなったこと ちゃんと気付いてたじゃない。」

紀土「ミワちゃん…。」

一駒「さあ 帰りましょう!」

ミワ「ああ…。」

紀土「はい。」

ミワ「あっ! ちょっと これ 触った?」

紀土「あっ ごめん。」

ミワ「もう…。 大事なものなのに。 ん? えっ。」

ミワ宅

(呼び出し音)

ミワ「もしもし さくらさん?」

さくら『久保田さん どうした?』

ミワ「夜遅くに ごめんなさい。 あの… 今から うちに来れたりしますか?」

さくら『えっ 今から?』

ミワ「あっ 無理だったら全然…。 明日でもいいんですけど。」

さくら『急用なんでしょ。 行くよ。』

ミワ「ありがとうございます。 じゃあ 後で。 はい。」

<この写真は 何かの撮影の時に撮られたものか…。 書庫に落ちていたということは 神からのメッセージなのかもしれない>

(チャイム)

ミワ「えっ? 紀土くん?」

ミワ「は… 早っ!」

さくら「こんばんは。」

ミワ「えっ さくらさん どこに住んでるんですか?」

さくら「たまたまね たまたま。 たまたま近くにいたから。」

ミワ「たまたま…。」

さくら「これは どこにあったの?」

ミワ「書庫です。 多分 何かの台本に 紛れてたんだと思います。」

さくら「90年っていったら 33年前か。」

ミワ「『フライング・フィッシュ』が 公開された年です。」

さくら「ああ… あの世紀の駄作といわれている。」

ミワ「私は好きですけどね。 でも 全然ヒットしなくて それがきっかけで 八海サマ 渡米したんですよね。」

さくら「う~ん じゃあ この写真は 八海サマが いろいろ悩んでた時に 撮られたものってことか…。」

ミワ「恐らく…。」

さくら「ここに行きたいの?」

ミワ「もしかしたら 何かヒントがあるかなって。」

さくら「でもさ ここ どこ?」

ミワ「いや 分からないです。」

さくら「あっ 検索すればいいじゃん。」

ミワ「えっ?」

さくら「今はほら こういう景色も 画像で検索すればパッと出てくるでしょ。 ほら。」

ミワ「えっ すごい!」

さくら「白鷹山展望台だって。」

ミワ「白鷹って…。」

2人「八海サマのふるさと!」

ミワ「えっ すごい。」

道中

ミワ「さくらさん… ちょっと 休憩しませんか?」

さくら「えっ まだ歩き始めたばっかりじゃん。」

ミワ「ですね…。」

さくら「もし八海サマに会えたら 何て言うの?」

ミワ「えっ 何も考えてなかった…。」

さくら「引退なんか撤回してくれって?」

ミワ「それは… どうですかね。 言えないかもしれません。」

さくら「何で?」

ミワ「八海サマが決めたことだから。」

さくら「じゃあ ほかに何て?」

ミワ「分かんないです。 とりあえず 号泣すると思います。」

さくら「何でよ。」

ミワ「結局 推しには 元気で生きてさえいてくれたら それで十分ですから。 よしっ。」

さくら「おっ 復活した!」

ミワ「(荒い息遣い)」

さくら「疲れるの早っ!」

白鷹山展望台

ミワ「(荒い息遣い) さくらさん… ここです。」

さくら「あっ ホントだ。」

ミワ「私たちも ここで写真撮りませんか?」

さくら「あっ 同じ構図で?」

ミワ「はい。」

さくら「いいね!」

ミワ「右… 右です。」

さくら「ここ?」

ミワ「9 8 7 6 5…。」

さくら「はい…。」

2人「やっつみ~!」

(シャッター音)

さくら「ここで育ったのか 八海サマは。」

ミワ「さすがに ここには いなかったですね。」

さくら「うん。 なかなか狙いはいいと思ったんだけどね。」

ミワ「八海サマ~ やっほ~!」

さくら「いやいや 『やっほ~』って。」

ミワ「さくらさんも 何か言って下さい。」

さくら「えっ…。 八海サマ~! いつも最高に すてきな作品を ありがとうございま~す!」

ミワ「八海サマ~! 引退しないで~!」

さくら「早く戻ってきて~!」

ミワ「八海サマの… バカヤロ~!」

さくら「バッカヤロ~!」

<そして 私たちはまた 時間をかけて 来た道を戻っていった>

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