あらすじ
久保田ミワ(松本穂香)と美羽さくら(恒松祐里)は八海崇(堤真一)が残した写真をたどって彼の故郷の山へ行ってみたが会うことはできなかった。翌日紀土(水間ロン)の勇み足で八海失踪の噂がネット上に拡散されてしまう。さくらは紀土の浅はかな行動を散々になじる。ミワは八海の失踪騒動を逆手に取って新作映画の宣伝キャンペーンに見えるように策を練る。SNSでその宣伝をみた八海本人はそれがミワの工夫だろうと察して…。
第29回ネタバレ
白鷹山
さくら「八海サマ~! いつも最高に すてきな作品を ありがとうございま~す!」
ミワ「八海サマ~! 引退しないで~!」
さくら「早く戻ってきて~!」
ミワ「八海サマの… バカヤロ~!」
さくら「バッカヤロ~!」
ミワ「帰りますか。」
さくら「うん そうだね。」
道中
ミワ「今日は一日 おつきあい頂いて ありがとうございました。」
さくら「別に 私は自分の意志で行っただけだよ。」
ミワ「八海サマに会えなくて残念でしたけど きっと また 会えますよね。 このまま会えないなんてこと ないですよね。」
さくら「何か進展があったら教えて。」
ミワ「はい それじゃ。」
さくら「うん じゃあね。」
<ん? まだ何か 言いたいことあるのかな>
ミワ「それじゃ…。」
さくら「それじゃ。」
<私も 話したいことは山ほどあった。 でも 今夜は…>
ミワ「えっ…。」
<もし 八海サマの電話番号を知っていたら 分不相応だと分かっていても かけていたかもしれない。 八海サマ 私は今 あなたの声が聞きたいです…>
(着信)
ミワ「うわっ…! 八海サマ!? あっ はい。」
紀土『ミワちゃん 出るの早っ。』
ミワ「え…。 紀土くん? はあ…。 何で非通知?」
紀土『ああ 何となく。 セキュリティー対策。』
ミワ「で 何?」
紀土『ブドウ食べる? おいしいブドウがあるんだけど。』
ミワ「ごめん。 疲れてるから切るね。」
紀土『あっ ちょちょ… ミワちゃん ミワちゃ~ん。 もしも~し もしもし?』
ミワ「はい…。」
紀土『俺もさ 八海 崇の件で 自分にできることを考えてみたんだけど 何だと思う?』
ミワ「うん…。」
紀土『分かんないよね。 ヒントはね…。』
<あまりに疲れていた私は いつの間にか眠りに落ちていた>
紀土『これ言っちゃうと 分かっちゃうよね。』
<これが 更なる騒動の始まりになるとも 知らずに…>
紀土『俺が思うにさ 彼を見つける方法は 一つしかないと思うんだよね。』
八海邸
リビング
藤浦「えっ 白鷹山に行ってきたの?」
池月「しかも日帰りで!?」
ミワ「はい… もしかして 地元に帰られたのかもと思って。 でも お会いできませんでした。」
藤浦「それは ご苦労だったわね。」
池月「そのうち戻られるんじゃないですか?」
藤浦「いや すぐには帰ってこないと思う。」
池月「えっ。」
藤浦「仕事先に いくつか謝罪の連絡を入れたんだけど 八海から既に キャンセルの申し出があったみたいで。 しばらく戻らないつもりで 予定を整理したんだと思う。」
ミワ「そうなんですか…。」
藤浦「まあ 無事でいてくれたらいいんだけどね。」
(ドアの開く音)
一駒「藤浦さん 大変! 表にマスコミがたくさん来てます。」
藤浦「えっ!? えっ 何で!?」
一駒「失踪の件が どうも インターネットに出てるみたいで。」
ミワ「えっ!?」
藤浦「ええっ…。」
正門
マスコミ「八海さんの失踪のことについて お話 聞きたいんですけど。」
マスコミ「ネットに拡散されてる失踪事件というのは 本当のことなんですか?」
リビング
池月「ああ 出ちゃってますね。 『俳優・八海 崇が失踪 仕事をドタキャン!? 引退宣言から数日後の失踪劇 安否が心配される』。 うわ~ こんなこと 誰が流したんだろう…。」
一駒「ご主人様がいなくなったことって 私たち以外に誰が知ってんのかしら?」
ミワ「そうですね 一緒に相談に乗ってもらった 越乃さんと…。」
一駒「あと あの人たちか。」
回想
紀土「満天コンサルティングの紀土です。」
(指を鳴らす音)
回想終了
ミワ「…紀土くん。」
ミワ宅
(チャイム)
紀土「…さくらさん。」
さくら「久保田さん 今日は夜までお仕事だよ。」
紀土「…そっか。」
さくら「何 それ。」
喫茶店
さくら「これ ネットに流したの あんただよね?」
紀土「ああ… うん。」
さくら「どういうつもり?」
紀土「いや ネットに流したほうが 目撃者が増えて 早く見つかると思って。」
さくら「いや ホント そういうとこだよ あんたは。」
紀土「まあ 今の俺にできることって これくらいしかないから。」
さくら「褒めてないから!」
紀土「えっ…?」
さくら「まだ事件性があるかどうかも 分からないのに 失踪とかいったら 八海サマに変なイメージつくでしょ。 こんなこと 外に漏らしていい情報なわけないじゃん。 何で そんなことも分からないの? バカなの?」
紀土「そこまで考えてなかった。」
さくら「そして その無駄な拡散力 何?」
紀土「俺だって よかれと思って。 早く見つかったらいいなって思った…。」
さくら「よかれと思って やることなんて 大抵 よくないんだからさ 余計なことしないでよ。」
(着信)
さくら「あっ 久保田さん。 はい 美羽です。」
ミワ『さくらさん ネットニュースって見ました?』
さくら「うん。 その情報を漏らした犯人が今 目の前にいるよ。」
ミワ『もしかして…。』
回想
紀土「八海 崇の失踪の件 ネットに流しちゃおうかなって 思うんだけど いいよね? もしもし もしも~し ミワちゃん?」
回想終了
ミワ『紀土くん… ですか?』
さくら「正解。 よかれと思って やったんだって。 代わる?」
ミワ『いや いいです。 マスコミも来てるし どうやったら火消しできますかね。』
さくら「どうやったら火消しできるか?」
紀土「無理だよ。 一度 拡散しちゃったものは 簡単には止められない。」
さくら「自慢げに言わないで。」
ミワ『例えば 八海サマの公式SNSで 失踪のうわさを否定するとか…。』
さくら「ん~ なんまり効果ない気がするな。 失踪したのは事実だしね。」
ミワ『ですよね。』
紀土「あっ いいこと思いついた!」
(指を鳴らす音)
さくら「何? 言って。」
紀土「例えば SNSの公式アカウントで 『私は今 どこにいるでしょうか?』 みたいなクイズを出して 目撃情報を集めるとか。」
さくら「却下。 八海サマは そんなことをするキャラクターじゃない。」
ミワ『そうですね…。』
紀土「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。 せっかくSNSがあるなら活用しないと。」
さくら「久保田さん どう思う?」
ミワ『私も ちょっと考えてみます。』
さくら「分かった。 じゃあね。 はあ…。」
ミワ宅
ミワ「SNSの活用… か。」
回想
藤浦「映画のプロモーションや宣伝を中心に やっていくんだけど…。」
凛「こないだの撮影だって ほら 何の撮影だっけ…。 ほら ミワさん 現場に来てたやつ。」
ミワ「『三分間のユートピア』。」
凛「そう。」
八海邸
リビング
ミワ「こういうのを考えてみたんですけど…。」
藤浦「『私は今 ユートピアを目指して旅に出ています。 さて どこにいるでしょうか? 私を実際に見かけた方の中から 抽選で一組を 映画「3分間のユートピア」 完成披露試写会にご招待します!』。」
ミワ「どう… ですか?」
池月「確かに 映画のプロモーションに見えますね。」
一駒「トレビアン!」
藤浦「いいじゃない ミワさん。」
ミワ「よかった。」
藤浦「投稿しましょう。」
ミワ「はい。 はい 投稿しました。」
藤浦「何か 反応があるといいんだけど。」
病院
田村「あの~。 あっ。」
斉藤「あっ 全然違うじゃないのよ もう!」
岸部「あら…。」
八海「どうかされましたか?」
田村「いや この子がね 絶対あれ 八海 崇よって言うから。 ごめんなさいね。」
斉藤「あんな大スターが こんなところに いるわけないじゃないのよ。」
岸部「だけど 何か雰囲気が似てる気がしたから。」
田村「知ってます? 八海 崇って。」
八海「え… ええ 少し。」
斉藤「あっ 確かに声の感じは似てるけど。」
岸部「でしょ?」
斉藤「でも 目が違うわ。」
田村「ねっ 目が全然違う。」
岸部「ああ もっとキリッとしてるか。」
2人「そうそうそう。」
斉藤「もっと男前だもん。」
岸部「ごめんなさい 私 八海さんの大ファンだから 本物を見つけたら応募しようと思って。」
八海「応募? 何にですか?」
岸部「映画の試写会。 でも 早とちりだったみたい。 ごめんなさい。」斉藤「行きましょ。」
田村「あれ 絶対 横山さんの下の息子よ。」
八海「ミワさん…。」
ミワ宅
さくら「紀土くんの実家 ブドウも作ってるんだって。」
ミワ「そうなんだ… 知らなかったです。」
さくら「もうちょっと 紀土くんのこと興味持ってあげたら?」
ミワ「え?」
さくら「まあ いっか 紀土の話は。」
ミワ「はい。」
さくら「それより これさ いいね。 映画のプロモーションに 見えなくもないし 失踪のうわさも同時に打ち消せる いい作戦だと思う。」
ミワ「よかった…。」
さくら「でも 今のところは まだ何の情報もないね。 まあ 実際 まだ誰も八海サマを 目撃してないってことだと思うけど。」
ミワ「はい…。」
さくら「周りに誰もいないのかな…。」
ミワ「えっ えっ えっ えっ…!?」
さくら「何!?」
ミワ「見て! 八海サマがコメントしてる!」
さくら「キャー! ホントだ! ええっ どうしよう! ああ よかった…。」
<神は… 生きていた>