ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第31回)

らすじ

久保田ミワ(松本穂香)は藤浦(山口紗弥加)に正体がばれてしまう。とりあえずその場を逃げ出したミワは八海崇(堤真一)が待つ彼の故郷の病院へと一人赴く。久しぶりに会った八海は死期が近い母・久恵(三田和代)のために自分は亡くなった弟になりすますので、ミワにその娘になりすましてほしいと頭を下げる。昏睡状態から目覚めた久恵の病室で弁護士だった亡き弟とその娘を演じ続ける八海とミワだったが、それを見た久恵は…。

第31回ネタバレ

八海邸

正門

回想

藤浦「あなた… 美羽さくらさんじゃないんですか? 久保田ミワって… 誰ですか?」

ミワ「申し訳ございません! 後で必ずご説明します!」

回想終了

<すみません 藤浦さん。 必ず… 必ず この罪は償います>

ミワ宅

<白鷹山病院… やっぱり あの時 八海サマは近くにいらっしゃったんだ>

(チャイム)

(ノック)

さくら「久保田さん。 寝ちゃった?」

(ノック)

さくら「久保田さん。」

回想

藤浦「この手紙によると 八海のお母様の容体は あまりよくないみたい。」

八海「詳しいことは お越しになってから説明します。 誰にも言わずに 一人で来て頂けますか?」

回想終了

(ノック)

さくら「久保田さん。」

(足音)

<ごめんなさい さくらさん。 私 一人で行ってきます>

白鷹山病院

<八海サマが私に頼みたいことって 一体 何なのだろう>

ミワ「ここか。」

受付「ご家族の方ですか?」

ミワ「いえ 家族ではないんですけど…。」

受付「申し訳ありません。 ご家族以外は 面会はお断りさせて頂いておりまして。」

ミワ「えっ…。」

八海「ミワさん?」

ミワ「八海サマ…。」

<5万年ぶりに会った八海サマは やはり 神そのものだった>

八海「こんな遠いところにお呼び立てして 申し訳ありません。」

ミワ「いえ… ありがとうございます。」

八海「白鷹町は 私の生まれ故郷なんです。」

ミワ「はい。 昔 雑誌で読みました。」

八海「ご存じでしたか。」

<聞きたいことは山ほどあるのに 頭の整理が追いつかない>

ミワ「今 お母様は…。」

八海「容体は いったん落ち着いたようなんですが 私がここに来てからは まだ意識が戻っていません。」

ミワ「そうなんですか…。」

八海「ミワさんをお呼びしたのは 一つ お願いがありまして。」

ミワ「はい…。」

八海「聞いた話では 母は危篤になる前 私の弟と その娘に 会いたがっていたようなんです。」

ミワ「弟さん…。」

八海「でも弟は 昨年 他界していて その娘は今 海外にいます。」

ミワ「…はあ。」

八海「もし 母が もう一度 目を覚ますことができたら 私は弟になりすまし ミワさんには その娘になりすまして 母の最期に立ち会ってほしいんです。」

ミワ「えっ えっ えっ… ええっ!?」

八海「私は高校を出てから 一度も母に会っておりません。 親不孝な息子でしたから せめて最期ぐらい 望みをかなえてあげようと思いまして。」

ミワ「あの… でも 弟さんが 昨年 亡くなられてるということは お母様はご存じ… なんですよね?」

八海「う~ん… 今はもう その辺りの記憶が 曖昧なようです。 会いたがっているということは 恐らく まだ生きていると思ってる。」

ミワ「八海さんは 八海さんご自身として お会いにならなくていいんですか?」

八海「ええ。 もう私のことは忘れてるでしょうから 母が会いたい人を演じてあげたいんです。」

ミワ「あの でも私 その娘さんのこと 全然知らないんですけど…。」

八海「私の話に合わせてもらえたら大丈夫です。 お願いできませんか。」

ミワ「はい…。」

八海「うん。」

ミワ「あっ でも そんな私 演じきる自信が…。」

八海「じゃあ ちょっと練習しましょうか。」

ミワ「えっ?」

<れ… 練習!? 八海サマじきじきの 演技レッスンですか!?>

八海「あっ そうだ。」

ミワ「はい。」

八海「あの 写真を参考に衣装も用意しました。」

ミワ「い… 衣装!? えっ…。」

看護師「横山さん! お母様 目を覚まされました。」

八海「分かりました。 すぐに行きます。」

<ええっ!? 全然 練習できてないのに…。>

八海「準備しましょう。」

ミワ「あっ はい。 えっ あっ ちょ…。 ちょっと待って下さい…。」

ミワ「お… お待たせしました。」

八海「行きましょう。」

ミワ「はい。」

病室

八海「どう? 洋だよ。 今日は心配して 愛莉も帰ってきてくれた。」

久恵「どうしたの。」

八海「どうしたのって… 心配して来たんじゃないか。」

久恵「忙しいんじゃないの?」

八海「まあ 大きな裁判が終わって 今は休みを取ってる。」

久恵「そう…。」

<いや 絶対バレるって…>

久恵「それは どんな裁判だったの?」

八海「えっ…?」

ミワ「え… えっと 私 傍聴席で見てたけど 確か 詐欺事件… だったよね?」

八海「ああ そう… まあ 普通なら 有罪になってもおかしくない 事件だったんだけど 土壇場で無罪を勝ち取ったんだよ。」

ミワ「あれは しびれたなあ…。」

八海「うん…。」

久恵「いつもみたいに ちょっと やってみせてくれないか。」

八海「えっ…。」

<お母様 それは あまりにもむちゃぶり…>

八海「(せきばらい) 裁判長。 彼女は確かに経歴を詐称し 別人になりすましていたのは 事実です。 ですが さまざまな事故や偶然が重なり 彼女は与えられた役割を 演じていたにすぎません。」

八海「そこに悪意はなく 人をだまそうという気持ちは みじんもありませんでした。 本人は 深く反省しています。 実質的な被害者のいない この事件 どうか被告人への寛大な判決を お願いします。 …っていう感じだたよな。」

ミワ「う… うん うん。」

久恵「さすがだねえ。」

八海「ははは… 令和に入って負けたことがないからね。 20連勝だよ。」

久恵「あんた 昔から 頑張りすぎるところがあるから。 体が心配だよ。」

八海「人の心配してる場合じゃないだろ。 母さんも 早く元気になってもらわないと。 また来るから ゆっくり休んで。 よし 愛莉 行こうか。」

ミワ「(小声で)いいんですか?」

八海「行こう。」

久恵「崇。 崇… ありがとね。」

八海「母さん…。」

久恵「子どもの顔ぐらい 分かります。」

八海「いつから…。」

久恵「最初っから。 あんたね 洋は もっと真面目です。」

八海「そうか…。」

久恵「あんたが俳優になりたいって言った時 反対して すまなかったね。」

八海「いや… こっちこそ 勝手に家を飛び出して 長い間 連絡もせず… 申し訳なかった。」

久恵「ううん。 あんたが元気なのは知ってたから。」

八海「え?」

久恵「新作が公開される度に 洋に 映画館へ連れていってもらったんだよ。 最初に画面に映った時は うれしかったねえ…。 すぐ死んじゃったけど。」

ミワ「『紅の桜』…。」

久恵「はい?」

ミワ「『紅の桜』ですよね。」

久恵「あと 私は あのアメリカ映画が一番好きだわ。」

ミワ「『コーヒー&ブルース』。」

久恵「うん。 あんたがイギリスの俳優さんに近づいて 僕たちは いとこ同士なんだって 言い張るんだよね。」

ミワ「でも すごく怪しまれて。」

久恵「そうだったかしら。 あなた 詳しいわね。」

ミワ「いえ…。」

久恵「また ああいう映画が見たいわねえ。」

ミワ「そうですね。」

久恵「また 見に行くから。」

八海「うん。」

<その夜 八海さんから連絡があった。 久恵さんは安らかに 天国に旅立ったという>

ミワ宅

<藤浦さんには きちんと話さないと>

<そして 全てを終わらせよう…>

マンション 廊下

ミワ「さくら さん?」

さくら「おはよう。」

ミワ「ええっ!?」

さくら宅

さくら「どうぞ。」

<うっ! 全く同じ間取りなのに 何で こんなオシャレ空間に…>

さくら「はあ… ついにバレたか~。」

ミワ「そんな… 同じアパートに住んでたなんて。」

さくら「引っ越してきたのは最近だけどね。」

ミワ「何で こんなことを…。」

さくら「言ったでしょ 私は あなたを量りたいって。」

回想

さくら「私が あなたという人を量る。 私 きっちり量らないと 気が済まないタチだから。」

回想終了

さくら「もちろん 八海サマのことは大好きだけど あなたのことも 近くで観察したくなったの。」

ミワ「か… 観察。」

さくら「私に隠し事はできないよ。」

ミワ「あの… さくらさん。」

さくら「ん?」

ミワ「私 家政婦を辞めることにしたんです。」

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