ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第6回)

あらすじ

ベテラン家政婦の一駒(片桐はいり)や池月(小泉もえこ)に助けられながら、どうにか家政婦業をこなし始めたミワ(松本穂香)。ある日、八海邸の塀越しに中をのぞく怪しい男・泉飛露樹(市川知宏)に声をかけられる。なんとか八海(堤真一)に会わせてほしいという泉。マネージャー藤浦(山口紗弥加)の許可なしに取り次ぐことはできないと断るミワだが、泉の必死な姿を見ているうちに、あることを思い出す。

第6回ネタバレ

八海邸

控え室

藤浦「9時から ハリル共和国 ムハンマド外相との面会。 10からは人間国宝の陶芸家 門屋壮吉先生との面会。 15時から ノーベル賞作家 レイモンド・ハント氏との ティー・ミーティング。」

廊下

藤浦「フランス語『本日は貴重なお時間をいただき ありがとうございました』

『こちらこそ 八海との会話はいつも楽しい』

控え室

藤浦「そして サンジェルマン美大のモーリス学長。 パリの日本大使館のパーティーで お見かけしたことがあるけど 気が短いから気を付けて。」

3人「気が短い…。」

藤浦「早く ご到着されるようなので ミワさん 対応お願いします。」

ミワ「えっ? えっ?」

リビング

(紅茶をいれる音)

ミワ『どうもありがとう』

『どうもありがとう ちょっとおたずねしてもいい?』

ミワ「え…。」

『すてきな建物ね 誰が設計して いつ建てられたのですか?』

ミワ「あ… えっと…。」

<えっ 何 なに? 何て言ったんだ!?>

『設計者を聞いてるの』

ミワ「キ エル コンセプター?」

<ヤバい…>

一駒『この邸宅は英国のチューダー様式の デザインが取り入れたれてまして 設計は風間彬氏 1947年に再建されたものです』

『とても すばらしいですね』

一駒『ありがとうございます ごゆっくり』

控え室

一駒「心配だから様子を見に行ったのよ。」

ミワ「ありがとうございます。」

一駒「まあ いくら語学ができても 知識がなければ答えられないわね。」

ミワ「すいません…。」

一駒「この家のことは よく聞かれるから 時間がある時に勉強しておいて。」

ミワ「はい。 ありがとうございます。 え…。」

一駒『ごまかしはききませんよ』

<えっ 何て? 怖いんですけど…>

<やっぱり ここは 私みたいな 一般の人間がいていい場所じゃない…>

ミワ「えっ…。」

<誰!? 不審者!? なりすましの私が言うことじゃないけど>

泉「あ… すいません。」

ミワ「…そこで何を?」

泉「こちらのお宅で働いてる方でしょうか。」

ミワ「そうですけど…。」

泉「八海 崇さんにお目にかかりたんですが。」

ミワ「はい…?」

泉「泉 飛露樹という者が来たと 八海さんに伝えて頂けたら 分かると思います。」

ミワ「あの お約束は…。」

泉「してないです。 どうか 取り次いで頂けませんか?」

ミワ「マネージャーに確認を…。」

泉「ちょちょ… それはダメです!」

ミワ「えっ…。」

泉「マネージャーは まずいです。 正規の手続きを踏むと ややこしくなるというか…。」

ミワ「と 言われましても…。」

泉「こっそり 中に入れてもらえませんか?」

ミワ「いや それはできません。」

泉「どうしても八海さんに会って 伝えたいことがあるんです。 どうか このとおりです。 お願いします!」

ミワ「私は ただの家政婦なので… ごめんなさい。」

泉「クチナシ…。」

回想

八海「クチナシの香り 思い出がよみがえります。」

回想終了

ミワ「あの… 八海さんに伝えておきますね。」

泉「それが ダメなんです。 今日 東京をたってしまうので。」

ミワ「ええ…。 あの 泉さん!」

キッチン

池月「ヤクザ!?」

一駒「そう。 ここのセキュリティーは そういう反社会勢力の人たちを 寄せ付けないために厳重にしてるのよ。」

池月「確か 週に2万3,000ドルぐらい かけてるって聞きましたけど。」

一駒「年間1億5,000万円。 このご時世 世界的な俳優が そういう人たちと つながってるって思われたら 一発アウトですから。」

勝手口

ミワ「(小声で)あっ えっと… いったん ここで待ってて下さい。」

泉「あっ はい。」

ミワ「人目につくと まずいので 私 見てきます。」

キッチン

池月「それにしても 1億5,000万は 大げさじゃないですか?」

一駒「それがね こういう うわさがあるのよ。」

池月「え…?」

一駒「八海 崇はかつて そういう人たちと つながりがあったんじゃないかって。」

池月「八海さんが?」

控え室

ミワ「(小声で)靴… 靴 脱いで下さい。」

(ドアを閉める音)

ミワ「私は 八海さんの様子を見てきますね。 この中に隠れてもらってもいいですか?」

泉「えっ…。」

ミワ「中に…。 入れます?」

泉「はい…。」

ミワ「よし。 すぐ戻りますから。」

泉「あっ 家政婦さん。」

ミワ「はい!」

泉「どうして 急に俺を信用してくれたんすか?」

ミワ「ちょっと 思い出したんです。」

泉「何を思い出したんですか?」

ミワ「いいから ちょっと 待ってて下さい。 閉めま~す。 すいませ~ん。」

廊下

ミワ「(荒い息遣い) やつ… 八海さん…。」

書斎

ミワ「いない… どこ?」

キッチン

ミワ「池月さん!」

池月「そんなに慌てて どうしたの?」

ミワ「あの 八海さんって今 どこにいらっしゃるかご存じですか?」

池月「えっ リビングにいなかった?」

ミワ「いませんでした。」

池月「う~ん… 一駒さんに聞いてみたら?」

ミワ「えっと 一駒さんは…。」

池月「休憩入った。 控え室にいると思うけど。」

ミワ「えっ 控え室って…。 まずい まずい まずい!」

控え室

ミワ「お疲れさまで~す。」

一駒「お疲れ。 どうしたんですか?」

ミワ「いや あの…。」

一駒「何か 顔色悪いですよ。」

ミワ「え…。 あ… あの 八海さんって今 どこにいらっしゃるかご存じないですか?」

一駒「リビング。」

ミワ「いませんでした。」

一駒「書斎は?」

ミワ「書斎もいませんでした。」

一駒「ほかも見てみたら? もう一回。 どっか行ってる間に戻ってらっしゃる ってことが よくあるわよ。」

ミワ「なるほど。」

一駒「そこに立ってられると 食べにくいんだけど。」

ミワ「あっ そうですよね。 すいません ごめんなさい。」

一駒「あっ お水いりますか?」

ミワ「ああ 大丈夫です。 喉渇いてなくて。」

一駒「安かったのでね たくさん買ったのよ。 ほら これ。」

ミワ「ああ…。」

一駒「どうぞ。 はい。」

ミワ「あっ ありがとうございます。」

一駒「ロッカーに入れとく?」

ミワ「あっ あっ あっ…!」

一駒「えっ! 何?」

ミワ「えっ… えっ!?」

一駒「どうしたの? 泥棒!?」

ミワ「何でもないです。 あの… ロッカーの中 整理してて…。 あの お水 ありがとうございました! 後で片づけておくんで すいません!」

廊下

ミワ「あっ 泉さん! ちょっと どこ行って…。 泉さん!? ちょっと…。」

書斎

泉「お久しぶりです… 八海さん。 泉です。 泉 飛露樹です。」

八海「よかった。 無事だったんですね。」

泉「俺が会いに来たら 迷惑がかかるのは分かってました。 でも… どうしても 感謝を伝えたくて。」

八海「そんなこと気にしなくても。」

泉「八海さんが借金の肩代わりを して下さったおかげで 無事に… 組を抜けることができました。」

八海「そうですか。」

泉「そして 新しい仕事も見つかりました。 これも 八海さんのおかげです。 ありがとうございました!」

八海「本当によかった。 しかし よく ここに入ってこられましたね。」

泉「あっ それは…。」

ミワ「あの… 申し訳ございません! 泉さんが とても困っていたように見えたので つい お通ししてしまいました。」

泉「ああ 彼女は悪くないんです。 俺が無理を言ったんです。」

八海「ミワさん。」

ミワ「はい。」

八海「ミワさんのように慎重で真面目な人が 困っていたように見えたから なんて理由で 通すとは思えないのですが どうしてですか?」

ミワ「思い出したんです。 泉さん… 役者さん ですよね。」

泉「えっ 何で…。」

ミワ「短いシーンでしてけど 泉さんが出演されている場面を 覚えていたんです。」

回想

泉『兄貴! 兄貴!』

八海『カナコを悲しませたら ぶっ殺すからな。』

泉『兄貴! 何で こんなクズみたいな俺のために…。』

回想終了

ミワ「クチナシの花が とても印象的なシーンでした。」

八海「だけど 泉くんは あの時 ほんの一瞬しか出ていなくて 確か クレジットもされていなかったはず。」

泉「はい。 八海さんの付き人として 修業させて頂きながら 一度だけ出演させて頂いたんです。」

八海「たった一回の そのシーンを ミワさんは覚えていたんですか。」

ミワ「はい。 お二人とも 輝いていましたから。」

泉「ミワさん… 覚えていて下さり ありがとうございました。」

ミワ「いえ…。」

泉「八海さん お借りしたお金は 必ず返します。 その日まで…。」

八海「いいんですよ。 あれは 私の付き人を辞めた時の退職金です。」

泉「そういうわけには…。」

八海「どうか 体には気を付けて。」

泉「八海さん…。」

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