あらすじ
八海崇(堤真一)は久保田ミワ(松本穂香)が映画好きだと知って映画撮影の現場見学に誘う。初めての経験に興奮するミワだったが、お使いを頼まれてついオタク知識から余計なものを購入し藤浦(山口紗弥加)に怪しまれてしまう。疑惑をかわしたミワは、なぜか大女優・越乃彩梅(高岡早紀)に気に入られてしまう。そのころ病院では本物の家政婦・美羽さくら(恒松祐里)が退院。ミワに最大の身バレの危機が訪れようとしていた。
第7回ネタバレ
八海邸
キッチン
一駒「ミワさん。」
ミワ「すいません。 うまっ。」
<先輩家政婦 一駒さんや池月さんに 助けられながら なんとか この仕事にも慣れてきた>
控え室
ミワ「池月さん お先に失礼します。」
藤浦「ミワさん ちょっといい?」
ミワ「はい。」
リビング
藤浦「八海さん。」
八海「呼び止めて すみません。 お伝えしたいことがあって。」
ミワ「いえ… 何でしょうか。」
<予想していないタイミングでの 神からのお告げ。 緊張で喉から心臓が飛び出そうです>
八海「明日 映画のロケがあるんですが よかったら 見学にいらっしゃいませんか?」
ミワ「え…。」
藤浦「えっ?」
ミワ「え… えっと 映画のロケに 私がですか?」
八海「はい。」
<なんということ! 擦り切れることのないDVDを 擦り切れるほど見てきた 激推し俳優 八海 崇の! しかも新作映画の! しかもロケ現場に 私が!?>
八海「せっかくのお休みでしょうから ご迷惑だったら…。」
ミワ「い… 行きます! はい ぜひ 行かせて頂きます!」
ミワ宅
ミワ「ふう…。」
<八海 崇のロケに立ち会えるなんて こんな未来 1週間前の私に想像できただろうか>
八海「ほら まだ カットはかかってませんよ。」
ミワ「いや 想像など できるはずがない! うわあ~!」
(壁を蹴る音)
『静かにしてもらえませんか。』
ミワ「すいません!」
ロケ現場
<周囲の時空がゆがんで見えるほど 圧倒的な存在感を放つ八海サマ>
越乃「おはようございま~す。」
<それに加えて トップ女優の越乃彩梅。 なんという華!>
八海「おはようございます。」
越乃「おはようございます。」
<ああ これ以上はまぶしすぎて 直視できない!>
藤浦「ミワさん。」
ミワ「あっ はい。」
藤浦「まさか ホントに 見学だけしにきたんじゃないよね?」
ミワ「はい。 えっ? あ…。」
藤浦「ちょっと買い物をお願いしたいんだけど。」
ミワ「はい もちろんです! お水 ガム ラーメン。 では 行ってきます!」
藤浦「あ… この辺 コンビニないかもだけど。」
ミワ「大丈夫です 探します!」
藤浦「探す…。」
(荒い息遣い)
八海「今日は 君のために貸し切りにした。」
越乃「何でイチゴ?」
八海「イチゴはシャンパンが引き立つ。」
越乃「また忘れるといけないから 今のうちに言っておくわ。 今日は最高の一日だった。」
<八海サマと越乃サマ。 二人が紡ぎ出す空間は とても 私が今 生きている世界と 同じものとは思えなかった>
監督「カット! OK! いや~ お二人が同じフレームにおさまってる。 久しぶりに震えました。」
八海「ありがとうございます。」
ミワ「すみません 遅くなりました。」
藤浦「お疲れさま。」
八海「どうですか 撮影現場は。」
ミワ「はい 新鮮でとても楽しいです。」
藤浦「ミワさん これは何?」
ミワ「あっ 入浴剤です。」
藤浦「こんなもの お願いした覚えはないけど。」
八海「どうしてこれを?」
ミワ「以前 雑誌のインタビューで 極楽浄湯がお好きだと おっしゃっていられたので…。」
八海「雑誌って 『キネマウィーク』ですか。」
ミワ「はい そうです。」
八海「確かに そう答えたかもしれません。 最近 都内では なかなか見かけなくなって 諦めてたんですよ。 そうか こんなところにあったのか。」
スタッフ「間のなく再会しま~す。」
八海「はい。 それじゃ。」
ミワ「はい。」
藤浦「ミワさん。」
ミワ「はい。」
藤浦「どうして3年前に発売された雑誌のことを そんなに詳しく知っているの?」
ミワ「えっ…。」
藤浦「あなたの経歴によれば その期間 イギリスに留学してたはずよね?」
<また調子に乗ってしまった かもしれない>
ミワ「あの… 日本の友人に送ってもらって…。」
藤浦「八海 崇のファンだったってこと?」
<ああ もはや これまでか…>
藤浦「最初に ファンはNGだって言ったはずだけど」
<なりすましがバレる前に 八海 崇のファンってことが バレるなんて…>
(着信)
藤浦「はい 藤浦です。」
<私は今まで 八海 崇のファンであることを 誇りに思って生きてきた。 もう二度と ファンじゃないなんて ウソをつきたくない>
ミワ「あの 私は…。」
藤浦「これは警告です。 これ以上 出過ぎたまねをしないように。 いいですね?」
「藤浦さん ちょっと こちらにお願いします。」
藤浦「はい。」
越乃「人は いつだって おとぎ話が欲しいものなのよ。 このジュエリー 今日のドレスには似合わないわ。 私は 恋に溺れるほど若くはない。 ただ あなたが好きなだけ。」
監督「カット! OK!」
越乃「はっちゃん。」
八海「ん?」
越乃「いい匂いがするね~。」
八海「え?」
越乃「ありがとう。」
八海「ありがとう。」
越乃「まだ あれ作ってるの? ほら ボトルの。」
八海「ボトルシップ。」
越乃「ああ そう。」
八海「こないだ 52隻目…。」
八海「ああ あれは壊れたか。」
越乃「その趣味 暗くない?」
八海「越乃さん。」
越乃「ん?」
八海「今のシーン お見事でした。」
越乃「ふふふ… はっちゃんの芝居ってさ 自分から先に 心を動かそうとはしないよね。」
八海「どういうことですか?」
越乃「相手の芝居を受け止めてから そのバランスを考えて打ち返していく。」
八海「意識したことないですけど。」
越乃「ずるいよねえ はっちゃん。」
八海「(笑い声)」
越乃「そうやって笑って。」
八海「(笑い声)」
<あんな八海さんの笑顔 見たことない。 何だろう この気持ち。 えっ まさか私 越乃さんに嫉妬してる? え… えっ なりすましの家政婦もどきが 大女優に嫉妬!?>
越乃「おいしそうね。 私にも 一つちょうだい。」
ミワ「あっ… どうぞ。」
越乃「ありがとう。」
ミワ「ふう…。」
越乃「はっちゃんはさ…。 いつまで このお仕事を続けるつもり? 引き際とか 考えてないの?」
八海「確かに そんな気持ちになる時もあります。」
越乃「そうなんだ。」
八海「でも 私の演技を求めてる人がいる限りは…。」
越乃「その人を楽しませたいんだ?」
八海「いや 楽しませたいというよりは… 狂わせたい。 たとえ その人の人生が そのあと どうなっても。」
越乃「怖っ。 はっちゃん 怖いよ。 怖い。」
八海「(笑い声)」
車
藤浦「お疲れさま。」
ミワ「今日は ありがとうございました。」
藤浦「私も助かった。 ロケって何かと大変だから。」
ミワ「いえいえ こちらこそ 貴重な体験させて頂き 本当にありがとうございました。」
藤浦「お疲れさまです。」
八海「お待たせしました。 どうでしたか?」
ミワ「はい いろいろと勉強になりました。」
八海「それは よかったです。」
ミワ「では 失礼します。」
八海「え? 乗らないんですか?」
ミワ「え…。」
八海「どうぞ。」
ミワ「いや…。」
藤浦「この時間 バスもないし どうぞ。」
ミワ「え… いや えっ…。」
藤浦「あんた 前。」
ミワ「え… あっ はい ですよね! すいません…。」
藤浦「私 プロデューサーに挨拶してくるので 少々お待ち下さい。」
八海「はい。」
<こんな狭い空間に 八海サマと…!>
<これは さすがに緊張して鼻血が出る!>
八海「ミワさん。」
ミワ「は… はい!」
八海「これを。」
ミワ「えっ!? は… ハート!?」
八海「越乃さんから あなたにと。」
<な… 何だ…>
ミワ「ありがとうございます。」
八海「あなたに随分 興味を持ったみたいでした。」
ミワ「えっ 何で…。」
八海「さあ… 分かりません。」
<私は その後 何が起きたか覚えていない>
<すっかり眠っていたからだ>
病院
『1133番でお待ちの方 2番窓口までお越し下さい』。
受付「退院のお手続きですね。」
さくら「はい。」