ドラマダイジェスト

夜ドラ「ミワさんなりすます」(第8回)

あらすじ

久保田ミワ(松本穂香)は藤浦(山口紗弥加)に頼まれて、八海崇(堤真一)の好きなハムを買いに出かける。自動車ではなく自転車で出かけたミワは、一日かけてヘロヘロになってお使いをこなした。そんな様子を見た藤浦はミワへの疑念を強め、家政婦仲間にミワの様子を尋ねたり、派遣会社にミワの資格を問い合わせたりする。そんなこととは知らず、八海からハムを一切れもらって喜ぶミワだったが、帰宅途中で突然本名を呼ばれて…。

第8回ネタバレ

病院

『1133番でお待ちの方 2番窓口までお越し下さい』。

受付「退院のお手続きですね。」

さくら「はい。」

八海邸

<八海サマは役作りのため 一日中 書斎に籠もっていらっしゃる。 だから今日は 決して邪魔しないようにと言われている>

廊下

<なりすましの身でありながら ずうずうしくも こんなことばかりを考えていた>

ミワ「八海サマに 会いたい…。」

リビング

藤浦「ミワさん ミワさん。 ミワさん!」

ミワ「はい!」

藤浦「お使いをお願いできますか?」

ミワ「はい もちろんです。」

藤浦「これ 八海が好きなハムなんだけど お店の地図とお金。 買えるだけ お願い。」

ミワ「佐藤ハム…。」

<ファンの間では ハムを塊のまま ワイルドにナイフで召し上がるという うわさの…!>

八海「うん。」

ミワ「はい 分かりました。」

藤浦「ちょっと遠いから 表の従業員専用車を使って。 あの辺 陸の孤島で 電車もバスも…。」

<八海サマ専用の ハム!>

藤浦「ミワさん聞いてる?」

ミワ「はい! 承知しました。」

藤浦「お掃除はいいので 急いで。」

ミワ「はい。 行ってまいります。」

藤浦「行ってらっしゃい。」

ミワ「失礼します。 すいません。」

回想

藤浦「経歴を見ると それなりの方なんですが。 やっぱり ちょっと変じゃないですか? この家政婦さん。」

八海「イギリスに長くいたというのも どうやら事実ではないそうです。」

ミワ「以前 雑誌のインタビューで 極楽浄湯がお好きだと おっしゃっていられたので…。」

藤浦「どうして3年前に発売された雑誌のことを そんなに詳しく知っているの?」

回想終了

藤浦「やっぱ変だわ。」

キッチン

一駒「余ったお肉は赤ワインに漬け込んで ブフ・ブルギニョンにするでしょ。」

池月「はい。」

一駒「それから ホウレンソウはキッシュに。 あと この辺の野菜は ラタトゥイユにしましょうかね。」

池月「ラタトゥイユ 多いですね。」

一駒「あら やだ! 確かに そうだわ。 じゃあ ミジョテでいいじゃない ミジョテで。」

藤浦「ちょっといい?」

一駒「はい。」

池月「はい 何でしょうか。」

藤浦「ミワさんのことなんだけど 何か不審な点っていうか おかしなところがあったら 教えてほしいんだけど。」

池月「不審な点… といいますと。」

藤浦「今までの家政婦さんと ちょっとタイプが違うじゃない?」

池月「確かに違いますね。 いい意味で庶民っぽさがあるというか。」

藤浦「セレブな感じはしないよね。」

池月「でも それは 親しみを感じさせる 彼女のテクニックのような気もしますし 一緒に仕事をする上では 違和感はないです。」

藤浦「そう… 一駒さんは?」

一駒「特に ございません。」

藤浦「…ならいいんだけど。」

池月「藤浦さんは ミワさんの 特に どういうところが 気になってるんですか?」

藤浦「ん… 経歴とか。」

池月「ああ…。」

藤浦「あとは… 距離感?」

池月「距離感。」

藤浦「八海と距離が近すぎる気がして。」

一駒「それは私も思います。」

藤浦「でしょ?」

池月「ん~ でも それは好意というより 八海 崇という人を 勉強しようとしてるんじゃないですか?」

藤浦「ん…。」

道中

ミワ「(荒い息遣い)」

八海邸

リビング

藤浦「もしもし 三毛猫ハウスサービスさんですか? 藤浦です。 いつもお世話になっております。 美羽さくらさんの経歴について お尋ねしたいんですが。 資格の証明書など お送り頂くことは可能ですか? はい… はい よろしくお願いいたします。 失礼いたします。」

池月「失礼します。 買い出しに ちょっと お車 お借りしていいですか?」

藤浦「それはら ミワさんが使ってると思うけど。」

池月「え? 車 ありますけど。」

藤浦「…え?」

道中

ミワ「(荒い息遣い) 佐藤ハム どこ!?」

八海邸

キッチン

池月「ただいま戻りました~。」

一駒「おかえりなさ~い。」

池月「一駒さんに頼まれてたお水 値上がりしてたので買いませんでした。」

一駒「あら やだ~ 残念。」

池月「あれ? ミワさん まだ帰ってないんですか?」

一駒「そうなのよ。」

道中

ミワ「(荒い息遣い) 八海サマのハム…。 八海サマの… ハム…。」

八海「ミワさんも食べませんか。 最高ですよ。 あ~ん。 あ~ん。」

ミワ「そんな ダメです 八海サマ!」

(ハムが落ちる)

ミワ「え… あ~!」

八海邸

リビング

池月「でも 何でミワさん 自転車で行ったんでしょうね?」

一駒「セレブだからじゃない?」

池月「逆に?」

一駒「私も最近 車やめて自転車にしてるのよ。」

池月「ああ… なるほど。」

一駒「あら ご主人様?」

池月「え?」

一駒「もしかして… ハム待ち?」

池月「ハム待ちですね。」

道中

さくら「はい 資格の証明書ですか…。 分かりました。 すぐに お送りしますね。」

八海邸

廊下

池月「よく これだけの量 自転車で運べたよね。」

ミワ「あるだけ買ってきてって言われたんで。」

リビング

ミワ「失礼します。 お待たせしました。」

藤浦「随分 時間かかったじゃない。」

ミワ「すいません 意外に遠くて…。」

藤浦「だから 従業員用の車を使いなさい って言ったじゃない。」

<従業員専用車って… そっちか~! 大体 セレブが買い出しに 自転車なんか使うわけない。 そして この量が自転車なわけない。 絶対に怪しまれてる…>

藤浦「何で自転車で…。」

ミワ「運動です 運動! あえて運動しようと思って。」

池月「(吹き出す声)」

藤浦「あなた それ 本気で言ってるの?」

池月「セレブ~。」

藤浦「それ どういうこと?」

池月「あっ セレブの間では あえての運動が はやってるみたいです。」

ミワ「はい そうです。」

藤浦「キッチンへ。 早く。」

ミワ「すぐに準備します。」

藤浦「八海が待っていますので。」

ミワ「はい。」

池月「はい すいません。」

キッチン

<うわさどおり ハムを塊のまま出すべきか それとも 食べやすくカットすべきか…>

池月「どうしたの?」

ミワ「あ… いや 八海さんって ハムは 塊のまま お召し上がりになりますかね?」

池月「いや 切るよ。 切って切って!」

ミワ「あっ てっきり セレブは そのまま食べるのかと…。」

池月「そんな原始人じゃないんだから。」

ミワ「ですよね! はい 切ります。」

池月「ホント変わってるよね ミワさん。」

リビング

藤浦「ん~。」

一駒「本物ですね。」

藤浦「そうよね…。」

書斎

ミワ「失礼します。」

<八海サマに会えた…>

ミワ「ここに置いておきますね。」

八海「ありがとうございます。 ん?」

ミワ「あ… いえ このハム ネットでは 塊を持って ナイフで切りながら食べられる っていうふうに言われていて あの…。」

八海「ネットのうわさというのは 本当に やっかいですね。 合ってればいいんですが 間違いも多い。 でも 私から いちいち訂正するのも バカらしい。」

ミワ「書かれっぱなし…。」

八海「そうなんです。 でも ここのハムが好きだというのは 本当です。」

ミワ「そうなんですか。」

八海「どうですか 一口。」

ミワ「え…。」

<これは… あ~ん!>

ミワ「いや そんな めっそうもございません。」

八海「一口だけ。 これまでのハムの概念が変わりますから。」

<いや 正直 ハムが問題なんじゃないんです!>

八海「ハムは お嫌いですか。」

ミワ「好きです。 大好きです。」

八海「じゃあ どうぞ。」

藤浦「失礼します。」

ミワ「じゃあ 後で頂きますね。」

八海「ぜひ 感想を聞かせてください。」

ミワ「…はい。」

藤浦「八海さん 明日のスケジュールの件ですが いいですか?」

八海「もちろん。」

ミワ「失礼します。 失礼いたしました。」

キッチン

<なりすまし… こんな卑劣で醜いウソが いつまで通用するというのだろう。 今 辞めれば 幸せな思い出だけで 終われるかもしれない>

<最初は 八海サマに会えたら十分だった。 でも それだけでは辞められなかった。 もっと会いたい。 もっと話したい。 もっと近くにいたい。 次々と現れる欲望が 私の僅かな理性を奪っていった>

控え室

<これ以上 何を望むというのか? もう終わりにしよう。 今 引き返さなければ 本当に手遅れになる>

ミワ宅

さくら「ミワさん。」

ミワ「え…。」

さくら「久保田ミワさん… ですよね?」

さくら「はじめまして 美羽さくらです。」

回想

ミワ「三毛猫ハウスサービス 美羽さくら…。」

モバイルバージョンを終了