あらすじ
雪次郎(山田裕貴)が大役を務めた舞台を見るなつ(広瀬すず)や坂場(中川大志)、光子(比嘉愛未)。感動したなつや坂場は、その感想を雪次郎に伝える。舞台に満足した咲太郎(岡田将生)も雪次郎をほめたたえる。喜ぶ雪次郎。そして、舞台は無事に幕を閉じる。主役、蘭子(鈴木杏樹)に感謝を伝え礼をする雪次郎。すると蘭子は、自分の家に来るように誘う。ふたりでお祝いしようと言う蘭子に雪次郎は…。
100話ネタバレ
劇団赤い星座
ホール
<昭和38年の秋 雪次郎君が 大役を務める舞台が 本番を迎えました。>
茜「雪次郎君の晴れ舞台も 見逃せないわよね。」
なつ「はい。」
光子「こんにちは。」
咲太郎「おっ あんたも来たのか。」
亜矢美「こんにちは。」
<なつよ 幕が開くぞ。>
楽屋
雪次郎「うわっ あ~… ありがとうございました!」
咲太郎「雪次郎 やったな! よかったぞ お前。」
雪次郎「本当ですか? お~ ありがとう。」
なつ「本当にすごかった。 すごくよかった。」
雪次郎「本当に? なっちゃん。」
なつ「うん 何て言うか… うん すごかった!」
亜矢美「すごかったしか言ってないよ。」
咲太郎「なつが こう言う時は本当なんだよ。」
光子「これなら 北海道から ご家族を呼んでも 安心してもらえたかもしれないわね。」
雪次郎「いやいや まだまだですよ。 マダムに見てもらえただけでも うれしいです。 あの 亜矢美さんは どうでした?」
亜矢美「う~ん まだまだかな…。 ていうか まだまだできるっていう まだまだよ。 それ見れただけでも感動したよ。」
雪次郎「ありがとうございます!」
咲太郎「母ちゃんは めったに褒めないからな。 すごいことだぞ。」
雪次郎「はい うれしいです。 あの 茜さんも イッキュウさんも 忙しいのに わざわざ ありがとうございました。」
坂場「僕は 蘭子さんを見たかったから。」
雪次郎「あっ… そうですか。」
なつ「正直に言わなくたっていいでしょう。」
坂場「あなたは 正直に言ってないんですか?」
なつ「そういうことじゃなくて!」
茜「やめてよ こんな所で…。」
蘭子「まあ 皆さん 今日は どうも ありがとうございました。」
レミ子「ありがとうございました。」
なつ「蘭子さん すごかったです!」
咲太郎「また言ってるよ。」
蘭子「ありがとう。」
なつ「雪次郎君を これからも よろしくお願いします。」
蘭子「雪次郎君の面倒を見るのは 咲ちゃんの役目でしょう。 私と雪次郎君は もう ただの共演者だから。」
雪次郎「蘭子さん… ありがとうございます。」
おでん屋・風車
1階店舗
咲太郎「それじゃ 雪次郎に乾杯!」
一同「かんぱ~い!」
レミ子「頑張る かんぱ~い!」
雪次郎「頑張る 乾杯! ありがとうございます! ありがとうございます! ありがとうございます…。」
亜矢美「はい 皆さん 今日は おでんの仕込み さぼっちゃいました ハハ…。 だから とことん飲んでちょうだい!」
雪次郎「はい。」
咲太郎「そのかわり 俺が 今日は 天ぷらを揚げるからな。」
雪次郎「あ~ 咲太郎さんの天ぷら 久しぶりだ!」
光子「本当においしいの?」
雪次郎「いや おいしんですよ これが。」
亜矢美「料理人だったお父上直伝だもんね。」
咲太郎「そう。 思い出の中のな。 これ食って 明日からも頑張れよ 雪次郎。」
雪次郎「はい!」
<頑張れよ。 俺の天ぷらを 本当に教えたかったな。>
レミ子「蘭子さんに 共演者だって 認めてもらえたもんね。 羨ましいわ。」
坂場「蘭子さんの芝居は 確かに すごいと思いました。」
雪次郎「えっ?」
坂場「しかし 劇団としては どうなんでしょうか?」
雪次郎「どうって?」
坂場「演出にしても 何か新しいものを 生み出してやろうとする意欲を 全く感じることができませんでした。」
なつ「何を言いだすんですか…。」
雪次郎「あれは チェーホフですから。」
坂場「チェーホフなら 新しくなくてもいいんですか? 昔の人から教えられたような ありきたりの新劇でいいんですか?」
なつ「ちょっと!」
雪次郎「ありきたりだと? 蘭子さんの芝居が ありきたりだと言うのか?」
坂場「いや ただ蘭子さんの芝居を見せるために やってるように見えたと言ってるんです。 そのための劇団でもいいんですか?」
雪次郎「何言ってんだよ… あんたに 何が分かるんだよ!」
咲太郎「あ~ おい おい おい… 油使ってんだから そんなに興奮するな!」
坂場「あなたは そうは思いませんか?」
なつ「やめて下さい! それを言ってどうするんですか?」
坂場「僕は 雪次郎君が それを変えてゆく きっかけになればいいと思ったんです。」
なつ「え…。」
雪次郎「きっかけ?」
坂場「せっかく蘭子さんに 認めてもらえたのなら 何か新しいものを生み出す きっかけになればいいと 僕は そう思いました。 雪次郎君が 蘭子さんや劇団を変えてゆくような そういう存在の役者に なってほしいと思いました。」
咲太郎「なるほどな。 ただの共演者で満足するなということか。」
亜矢美「うん それは言えるかも。」
咲太郎「そうすれば 蘭子さんだけの劇団じゃなくなるし 辞めた劇団員たちを見返せるよ。」
雪次郎「はい…。」
レミ子「そのことで 最近 劇団は分裂したばかりだから。」
坂場「そうでしたか。」
茜「だったら 初めから そう言えばいいのに。」
なつ「そうですよ! あなたは 人の反感を買ってからでないと まともなことが言えないんですか?」
坂場「問題を考えもせずに いきなり答えを出すことは傲慢です。」
なつ「それで 結果的に 傲慢に思われてるんですからね。 少しは気を付けて下さい。」
坂場「分かりました…。 どうも失礼しました。」
雪次郎「あっ いえ…。」
なつ「はあ… 全く もう。」
光子「仲がいいのね 2人は。」
亜矢美「あっ そういうお二人さん?」
坂場「いえ ただの仕事仲間です。」
なつ「そうですよ。」
光子「ちょっと ねえ… 焦げ臭い!」
咲太郎「ああ! 天ぷら焦げた!」
一同「ああ~…。」
玄関
雪次郎「今日は ありがとうございました。」
なつ「ちゃんと送ってあげて下さいよ。」
坂場「無論です。」
茜「じゃ また明日。」
なつ「はい。 ごめんね。 イッキュウさんが変なこと言って。」
雪次郎「ううん…。 なっちゃんとイッキュウさんって 恋人でないの?」
なつ「えっ… 違うわ。」
雪次郎「本当に?」
なつ「ただの仕事仲間だって 向こうも言ってたでしょ。」
雪次郎「そうなの? もうとっくに そうなってると思ってたわ。 イッキュウさんは なっちゃんのこと 好きだと思うけどね。」
なつ「あの人の気持ちは さっぱり分かんない。 そうかなって思った時もあったけど。」
回想
坂場「一生をかけても あなたと作りたいんです。」
回想終了
なつ「結局 仕事で 必要とされてるだけみたい。」
雪次郎「なっちゃんは好きなのかい?」
なつ「一緒に生きれたらいいなとは思うけどね。」
雪次郎「それは好きってことだべさ!」
なつ「したって 好きでも 一緒に生きられないことだってあるし たとえ 相手に好きなってもらえなくても 好きなことが おんなじなら 一緒に生きれてることだって あるんでないかい?」
雪次郎「そんなこと考えてんのか? なっちゃんは。」
なつ「おかしい?」
雪次郎「おかしくないけど… 何か寂しいな。」
なつ「雪次郎君だって言ってたべさ。 今は 好きだ何だと そったらこと言ってる場合じゃないって。 私は 今は とにかく テレビを成功させることだけ考えなくちゃ。」
雪次郎「切ねえな なっちゃんは…。」
なつ「なして?」
雪次郎「もっと 人に甘えたらいいべさ。 わがまま言ったらいいべさ。 好きなら 好きって 自分から言ったらいいべさ。」
なつ「私が一番好きなのは 仕事だから。 まあ 結局 前に夕見が言ってたみたいに 同志でいることが一番いいんだわ。」
雪次郎「そしたら 俺も 今は 舞台の成功だけ考えなくちゃな。」
なつ「えっ?」
雪次郎「したらね ありがとう!」
なつ「うん。」
劇団赤い星座
<そして雪次郎君の舞台は 最後まで 無事に終わりました。>
雪次郎「お疲れさまでした お疲れさまでした…。 蘭子さん!」
蘭子「お疲れさま。」
雪次郎「今日まで 本当にありがとうございました。」
蘭子「今夜 打ち上げが終わったら うちにいらっしゃい。 場所は分かってるわよね? 2人だけでお祝いしましょう。」
雪次郎「はい…。 お疲れさまでした…。」
おでん屋・風車
1階店舗
なつ「ただいま。」
亜矢美「お帰り。」
レミ子「なっちゃん。」
なつ「レミさん。 雪次郎君は 一緒じゃないんですか?」
レミ子「雪次郎君は 今頃 どうなってるんだろう…。」
なつ「えっ? え… どうかしたんですか?」
レミ子「雪次郎君が…。」
なつ「雪次郎君が?」
なつ「蘭子さんの家で会うからといって そういう関係だとは…。」
レミ子「そうなったら なったで しかたがないんだけどね 私は 雪次郎のことが心配なのよ なっちゃん。」
なつ「どうして?」
レミ子「蘭子さんは 根っからの女優だもん。 恋愛も仲間も 自分の演技の肥やしにしかできない人よ。」
亜矢美「そういう人に 今の雪次郎君が溺れてしまったら 役者としては 潰されちゃうかもしれないってこと。」
なつ「えっ…。」
亀山家
蘭子「何? それ。」
雪次郎「あっ ケーキです。」
蘭子「ありがとう。 後で頂きましょう。」
雪次郎「はい。」
蘭子「乾杯。」
雪次郎「お疲れさまでした。」
蘭子「お疲れさま。 はあ… どうぞ 座って。」
雪次郎「蘭子さん…。 俺は 蘭子さんが好きです。」
蘭子「あっ… からかってるの?」
雪次郎「違います。」
蘭子「じゃ 気の迷い?」
雪次郎「違います! 俺は 迷ってなんかいません。 蘭子さんを ずっと好きでした。」
蘭子「私には 芝居しかないのよ。 芝居しかない女よ。」
雪次郎「だから好きなんです。 俺も このまま ずっと 蘭子さんと芝居をしていきたいんです。」
蘭子「こんな所に呼んじゃったから 何か勘違いさせちゃったのかしら?」
雪次郎「これは… 俺の勘違いですか?」
蘭子「そういう覚悟をして ここに来たわけ?」
雪次郎「はい… 来ました。」
蘭子「そう。」