ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第101話「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」【第17週】

あらすじ

仕事から帰ったなつ(広瀬すず)は、風車に来ていたレミ子(藤本沙紀)から、雪次郎(山田裕貴)が舞台の千秋楽のお祝いに、蘭子(鈴木杏樹)の自宅に招かれたことを知らされる。それを聞いた亜矢美(山口智子)は、過去の経験から、雪次郎の恋と役者人生の両面を心配する。そのころ、雪次郎は、蘭子への思いや劇団が分裂してからの出来事を打ち明けていた。その話を黙って聞いていた蘭子は、雪次郎に思いもよらない言葉をかけ…。

101話ネタバレ

亀山家

雪次郎「俺は 蘭子さんが好きです。」

蘭子「こんな所に呼んじゃったから 何か勘違いさせちゃったのかしら?」

雪次郎「これは… 俺の勘違いですか?」

蘭子「そういう覚悟をして ここに来たわけ?」

雪次郎「はい… 来ました。」

蘭子「そう。」

雪次郎「実は 舞台の稽古が始まる前に 劇団を辞めていった虻田さんたちから 俺も誘われていたんです。 新しい劇団を創って 新しい演劇を 生み出そうと言われました。 だけど すぐに断りました。 迷わず断りました! 俺の夢は 蘭子さんと芝居をすることだったから。」

雪次郎「新しい演劇を創るなら 蘭子さんと創りたいんです! この劇団を 蘭子さんと 盛り上げていきたいんです! 蘭子さん… 俺は 蘭子さんを絶対に裏切りません。」

蘭子「フフフフフ… ハハハハハ…。 あなた やっぱり勘違いしてるわ。」

雪次郎「えっ?」

蘭子「私が 今夜 あなたを ここに呼びつけたのは ダメ出しをするためよ。」

雪次郎「はい。」

蘭子「あなたの演技は最悪だった! 最低 最悪。 下手すぎて 舞台の上で 何度も笑いそうになったわ。」

雪次郎「すいません。」

蘭子「今更 撤回したってダメよ。 あなたの勘違いしてる言葉を さんざん聞かされたあとだもの。 気持悪いったらありゃしないわ。 悪いけど あなたとは もう 何も一緒にできないわ。 その虻田さんたちのところに行って! そこで その新しい演劇とやらを 創ったらどうなの! アマチュアは アマチュアらしくね。 早く出てってちょうだい。」

雪次郎「蘭子さん…。」

蘭子「出てって!」

蘭子♬『愛の言葉は 眠らせないでね 夢と』

おでん屋・風車

1階店舗

レミ子「えっ こんなに早く…?」

なつ「雪次郎君…。」

亜矢美「いらっしゃい。」

雪次郎「お酒下さい。」

亜矢美「はい。」

なつ「飲むの?」

翌朝

雪次郎「なっちゃん…! ごめん…。」

なつ「ああ…。」

雪次郎「ずっと つきあってくれてたのかい?」

なつ「いつの間に…。 おはよう。」

雪次郎「ゆうべは… 悪かったな。」

なつ「なんも なんも…。 雪次郎君は 何もしゃべってないべさ。」

雪次郎「うん… だから…。」

なつ「水飲む?」

雪次郎「うん… ごめん。 俺… 蘭子さんを傷つけてしまったんだわ。」

なつ「雪次郎君が 蘭子さんを?」

雪次郎「うん…。 蘭子さんに 俺… はっきり 好きだって告白したんだ。」

なつ「えっ! えっ… それで?」

雪次郎「辞めてった劇団員から 一緒に 演劇を創らないかって 誘われたことも話した。」

なつ「蘭子さんに?」

雪次郎「うん…。 正直言って 迷ったんだわ その時…。 一緒に 今まで 演劇を学んできた仲間から お前の力を買ってるって言われて 一緒に 新しい劇団を 創りたいって言われて… 本当は すごくうれしかったんだ。」

雪次郎「正直言って 心が動いたんだわ。 やってみたかったのさ みんなと…。 そういうとこを 蘭子さんにも 見抜かれたのかもしれないわ。 蘭子さんに怒られながら 俺 そう思ったんだ。」

なつ「怒られたの?」

雪次郎「なまら怒られた…。 アマチュアは アマチュアらしく そっちの仲間んとこ行けばいいって…。 したけど 蘭子さんを好きなのも ずっと 一緒に芝居がしたかったのも 本当なんだわ。」

なつ「ねえ したら これからでも 自分に正直になればいいんでないの? 正直な気持ちを蘭子さんに言えば…。」

雪次郎「もう遅い。 俺がいたら 気持ち悪いと… 下手くそすぎて使えねえとも はっきり言われた。 もう一緒にはできねえと…。」

亜矢美「それは うそなんじゃないかな?」

雪次郎「えっ?」

なつ「亜矢美さん…。」

亜矢美「雪次郎君を そっちの劇団に 行かせるためにさ うそついたのよ。」

雪次郎「うそ?」

咲太郎「俺も そんな気がするな。 蘭子さんは 反対に お前の力を認めてくれたんじゃないのか? お前なら 蘭子さんから独立しても 芝居をしていけるって。」

亜矢美「その方がいいよって 精いっぱいの愛情を 示したんじゃないのかな きっと。 なっちゃんは どう思う?」

なつ「私は… 分かりません。 ただ つまり… 自分といたら 雪次郎君が不幸になるって 蘭子さんは そう思ったってことでしょ? 蘭子さんにとって 生きることは 舞台に立つことで そのために 誰も 自分の犠牲にしたくないって… 本気で そう思って 生きてるとしか思えない…。」

雪次郎「かなわねえよな…。」

玄関

なつ「これから どうすんのさ?」

雪次郎「分かんねえ…。 分かんねえけど もう一度 正直な気持ちを考えてみる。」

なつ「何があっても 私らは お互いを応援し合う仲間だからね。」

雪次郎「おう…。 なっちゃん。」

なつ「ん?」

雪次郎「俺 気付いたんだけど…。」

なつ「何を?」

雪次郎「なっちゃんも 気付いてることかもしんないんだけど… 亜矢美さんは 咲太郎さんのこと 好きなんでないかい? 男として。」

なつ「えっ? 何 バカなこと言ってんのさ!」

雪次郎「そう思わんかったかい? 今まで。」

なつ「思わんでしょ そったらこと。」

雪次郎「そうかい… 亜矢美さん あんな魅力的なのに。」

なつ「変なこと言わんでよ。」

雪次郎「ごめん…。 じゃあな。」

なつ「うん。」

東洋動画スタジオ

作画課

<それからも なつの テレビ漫画への挑戦は続きました。」

茜「なっちゃん。」

なつ「はい。」

茜「ちょっといい? あのさ ここの目線の移動の時に 中目パチを作りたいんだけど どう思う?」

なつ「いいと思います。」

坂場「ここは これで 本当にいいんですか?」

なつ「えっ? どこが おかしいんですか?」

坂場「この時のサムは 何に対して怒ってるんでしょうか? 自分に対して怒ってるのか それとも 相手に怒ってるのか。」

なつ「両方…。」

坂場「そう 両方なんです。 両方に怒ってるんですが ただ それだけじゃない…。」

<なつよ 君は 正直に 誰かに気持ちを伝える日が来るのか?>

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