ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第113話「なつよ、開拓者の郷へ」【第19週】

あらすじ

雪次郎(山田裕貴)に呼び出され、なつ(広瀬すず)や坂場(中川大志)、天陽(吉沢亮)、そして夕見子(福地桃子)までもが雪月に集まった。そこで雪次郎は、雪月で初めて自分が考案したお菓子の新作を一同に披露する。雪次郎に促されるまま、十勝の素材で作ったお菓子を口にする一同。その瞬間、ふだんは厳しい夕見子までもがお菓子を絶賛する。そして父の雪之助(安田顕)も食べてみるが…。

113話ネタバレ

雪月

雪次郎「俺の考えた新しいお菓子です。 これが俺の新しい魂です!」

なつ「へえ~。 おいしそう…。 これ バター煎餅? 何か挟んであるの?」

雪次郎「そう! その挟んであるものが肝心なんだ。 何だと思う?」

夕見子「もったいぶらずに 早く言いなさいよ。」

雪次郎「バターと あんこだ。」

一同「ええっ?」

雪次郎「バターに あんこを混ぜ合わせてみた。」

一同「なして?」

雪次郎「題して…。 何だと思う?」

なつ「そこまで もったいぶんのかい!」

雪次郎「題して… おバタ餡サンド。」

一同「おばたあんさんど」

雪次郎「おバタは うちの名字の小畑と バターをかけてあるから おバタのバタは カタカナで おバタ。 それに あんこの餡。 それを挟んであるから サンドで おバタ餡サンド。 どう?」

雪之助「なるほど 小畑餡。 雪月独自のあんこってことか。」

雪次郎「うん そう! したから…。」

2人「おバタ餡サンド!」

とよ「今んところ 感心してんのは父親だけだね。」

妙子「何か オバサンって聞こえるわね。 よかったら食べてみて。」

雪次郎「さあ。」

天陽「喜んで頂くわ。」

なつ「私も 喜んで頂きます。」

坂場「頂きます。」

門倉「よし 食ってやる。」

良子「楽しみだわ。」

雪次郎「倉田先生も。」

倉田「よし 分かった。」

雪次郎「ほら 夕見子ちゃんも。」

夕見子「わざわざ こったらことで呼ばなくても…。」

一同「うん!」

門倉「うまい!」

良子「おいしい!」

雪次郎「だべ!」

妙子「本当?」

とよ「正直に言っていいからね。」

なつ「本当においしいわ これ!」

雪次郎「いろんなものを挟んで試してみたんだけど 最終的には このブッセ雉と おやじのバター煎餅 ビスケットがいいと思って。 ビスケットは 時間がたつと 生地が戻るから それも面白いかなって。」

雪之助「なるほどな。」

なつ「バター煎餅が やわらかくなるんだね。」

雪次郎「そう。 夕見子ちゃん どう?」

夕見子「ん? うん… 大したもんだわ。 結局 あんたには お菓子屋が合ってたんだね。 おいしいわ。」

雪次郎「そうかい? やった~!」

倉田「これこそ 奥原や天陽にも負けない お前の魂だな。」

雪次郎「はい 先生。 ありがとうございます。 おやじ おふくろ ばあちゃんも どうぞ。」

とよ「どれ。」

妙子「どんなかね。 おいしい! 本当おいしいわ 雪次郎。」

雪次郎「いかった。 ばあちゃんは?」

とよ「うん いんでないかい。 あんこの風味で バタ臭くないしね 煎餅も やわらかくなってきて 年寄りにもいけるよ これなら!」

雪次郎「そうかい。 おやじは?」

雪之助「こしあんも試したのかい?」

雪次郎「こしあんは バタークリームと なじみ過ぎるんだわ。 粒あんが6 バタークリームが4くらいの割合が ちょうどよかった。 それに 一番相性がよかった 焼き塩を 隠し味に使ったんだわ。」

雪之助「初めて… お前に先越されたわ。」

雪次郎「したら これ 雪月で売っていいのかい?」

雪之助「うん。 売らなきゃ そのうち 誰かに作られちまうべや ハハハハ…。」

雪次郎「よし!」

なつ「やったね 雪次郎君!」

雪次郎「うん… これで もう やっと一人前だ」

雪之助「それは まだ早い。」

(笑い声)」

雪次郎「夕見子ちゃん おバタ餡サンドのバターは 今度 夕見子ちゃんの工場で作るバターを 使うつもりだ。」

夕見子「うん。 そうして。」

雪次郎「夕見子ちゃんの作るバターが 十勝の 雪月の菓子になるってことだ 夕見子ちゃん。」

夕見子「そったらこと 言わなくても分かるって。」

雪次郎「夕見子ちゃんの作るバターと 十勝の菓子がくっつくんだわ。」

夕見子「は?」

雪次郎「これは もう 夕見子ちゃんと 十勝の菓子屋が くっつくのと同じだべ。 夕見子ちゃんと雪月が結ばれる運命だと 言っても過言ではねえべさ。」

夕見子「過言すぎて 意味分かんないわ!」

雪次郎「したら 分かるように言うべ…。 夕見子ちゃん 俺と結婚してくれ。」

夕見子「えっ!」

雪次郎「俺と結婚して下さい!」

なつ「雪次郎君…。」

天陽「雪次郎…。」

妙子「お前… 何を言いだすの?」

とよ「血迷ったかい?」

雪次郎「俺は ずっと この日を待ってたんだわ。 夕見子ちゃんに そう言える日を…。 今日 みんなに集まってもらったのも そのためだ。」

夕見子「なして みんなを集めなきゃいけないの。」

門倉「十勝の男は 昔から 人前で プロポーズするのが習わしだ。」

良子「それは あんただけだべさ!」

門倉「雪次郎 よく言った! みんなの前でフラれても すぐに諦めがつくからな…。」

良子「あんたは 私を諦めなかったべさ。」

門倉「バカ やめろ お前…。」

雪次郎「夕見子ちゃん… 夕見子ちゃんは 夕見子ちゃんらしく はっきり答えてくれ。」

夕見子「知らんわ そったらこと…。」

なつ「夕見 待って! こうなったら 逃げるわけにはいかないべさ!」

夕見子「私でいいのかい…。」

雪次郎「えっ?」

夕見子「本当に… 私でいいのかって聞いてんの! おじさん おばさん とよばあちゃん… 私は 雪次郎君と結婚するような そったら資格は ないかもしれないのさ。」

雪之助「資格? そったらこと あるわけねえべさ。」

妙子「そったらこと あるわけないべさ!」

とよ「東京に駆け落ちしたって話かい? 私は あれを聞いて 夕見子ちゃんを見直したね。 もしかして そったらこと気にしてんのかい?」

雪次郎「したら 俺にも そんな資格はねえ。」

倉田「結婚に必要なものは 資格ではない。 覚悟だ。」

なつ「夕見には その覚悟があるの?」

雪次郎「俺にはある! 結婚しても 夕見子ちゃんのしたいことすればいいべさ。 うちの家族の前で それを約束する。 俺は夕見子ちゃんが好きだ。 昔っからだ。 今は もっと好きだ。」

夕見子「私は もし 結婚するとしたら あんたしかいないと思ってた。」

雪次郎「えっ… いつ… いつから?」

夕見子「いつって… いつの間にか そう思ってたわ。」

雪次郎「本当かい? 本当かい 夕見子ちゃん? やった! なっちゃん やったわ!」

なつ「うん… 雪次郎君 夕見 おめでとう!」

(拍手)

とよ「雪次郎…。」

門倉「雪次郎 おめでとう!」

夕見子「こっぱずかしいわ!」

雪次郎「そりゃ そうだな。」

天陽「お前が言うなよ。」

(笑い声)

とよ「一つだけ問題があるわ。」

雪次郎「何だ? ばあちゃん。」

とよ「あの柴田のじいさんと 親戚になるってことよ。」

妙子「ああ…。」

雪次郎「ああ…。」

坂場「君のおじいさんと仲が悪いの?」

なつ「性格が ぴったり似すぎてるだけ。」

柴田家

居間

雪次郎「お嬢さんを 僕に下さい!」

富士子「ええっ!」

砂良「これは 本当にびっくりするわね。」

富士子「こったら短い間に 2度もあんのかい こんなことが。」

雪次郎「えっ?」

剛男「これは偶然なのか?」

なつ「偶然みたい。」

剛男「夕見子 お前 いつの間に雪次郎君と…?」

夕見子「自分でも分かんない。」

剛男「はあ?」

夕見子「いつの間にか そういう覚悟はできてたみたい。」

剛男「覚悟? 何言ってんだ?」

なつ「夕見らしいしょ。」

富士子「雪次郎君でいいの?」

雪次郎「え… えっ?」

富士子「あ いや 変な意味でないの 誤解しないでね。」

雪次郎「ああ…。」

富士子「雪次郎君のことを 本気で好きなのか 結婚のことを 真剣に考えてるのかってこと。」

夕見子「そったらこと 結婚してみなくちゃ分からないしょ。」

富士子「はあ?」

雪次郎「いいんです! こういう夕見子ちゃんと 結婚したいんです。」

富士子「変わってるね 雪次郎君も。」

明美「昔から合ってると思ってたよ 私は。」

砂良「確かに 夕見ちゃんに合う人は そうそう いないかもね。」

なつ「まるで 本当に バターとあんこだわ。」

夕見子「みんな 私を何だと思ってんの?」

富士子「分かった。 したら 反対する理由はないべさ。」

剛男「父さんにもないよ。 夕見子と雪次郎君が それでいいなら。」

雪次郎「ありがとうございます!」

なつ「待って。 じいちゃんは?」

泰樹「うまいな これ。」

雪次郎「やった!」

なつ「問題ないみたい。」

泰樹「一つだけ問題がある。 雪月のばあさんと 親戚になることじゃ。」

坂場「すごい 見事に。」

なつ「ぴったりでしょ?」

泰樹「ん?」

坂場「あっ いや…。」

富士子「したら 夕見子にも なつにも いっぺんに 春が来たってことかい。」

剛男「我が家に 春が来たってことさ。 タンポポが咲いたってことだよ。 おめでとう 夕見子。」

なつ「何 急に てれてんのさ。」

坂場「それじゃ いっぺんにやりませんか? 北海道で。」

富士子「えっ?」

なつ「えっ?」

坂場「結婚式を 同じ時期に この十勝で挙げるんです。」

なつ「そんなこと… まだ イッキュウさんの家族にも お会いしてないのに。」

坂場「大丈夫。 僕の家族も きっと喜んでくれます。」

富士子「そんなことができたら うれしいけどね。」

剛男「うん。 2組いっぺんにか…。」

夕見子「よし そうしよう! その方が めんどくさくないし 恥ずかしくない!」

なつ「夕見 その理由が恥ずかしいべさ!」

夕見子「えっ? 何で恥ずかしいのさ。」

雪次郎「さあ 皆さんも食べて下さい。」

剛男「ああ。」

照男「頂きます。」

雪次郎「おバタ餡サンドです。」

<私から まだ これを言っていなかったな。 夕見子ちゃんよ なつよ おめでとう。>

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