ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第114話「なつよ、開拓者の郷へ」【第19週】

あらすじ

なつ(広瀬すず)を嫁に出すことになり、わが子同然に育ててきた富士子(松嶋菜々子)は、1冊のノートをなつに手渡す。そこに書かれた内容に、なつは深い愛情を感じる。その後、なつは坂場(中川大志)と天陽(吉沢亮)の家を訪れる。以前から天陽の描く絵に感銘を受けていた坂場は、描かれた絵を見つめ、いつものようにある疑問を天陽に投げかける。すると、天陽は坂場の想像を上回る返答をするのだった…。

114話ネタバレ

柴田家

居間

なつ「タンポポか…。」

富士子「なつ 何してるの?」

なつ「えっ? うん… ちょっと。 私も 夕見の力になれたらと思って。」

富士子「私もね なつの力になれたらと思って これ書いたんだわ。」

なつ「えっ?」

富士子「なつがね 子どもの頃から ここで食べてきた料理の作り方。」

なつ「かわいい絵。」

富士子「なつは よ~く家事も手伝ってくれたから 大体の作り方 分かってると思うけど 忘れないでいてくれたら うれしいと思って。」

なつ「ありがとう… これで 絶対に忘れんわ。 あっ これ 夕見には渡さんの?」

富士子「あの子には ノートなんかじゃダメさ。 教えるなら 一から 私が特訓しないと。」

なつ「そうか。 そだね ハハハ…。」

富士子「したけど あの子までが 突然 結婚なんてね…。 なつが また この家に 奇跡を運んできてくれたんだわ きっと。」

なつ「母さん… 私が ここに来たこと 奇跡だと思ってる?」

富士子「奇跡でしょ…。 なつが この世に生まれて 私の娘になったことは…。 そう思わんかったら あんたの 亡くなられたご両親に申し訳ないわ。」

なつ「私には もう これが普通だわ。」

富士子「なつ… 結婚しても つらいことがあったら いつでも我慢しないで帰ってきなさいね。 あんたは 本当に我慢強いんだから…。」

なつ「うん…。」

富士子「なつが生まれてくれて 本当によかったわ。」

音問別農協

(ノック)

夕見子「失礼します。」

なつ「失礼します。」

田辺「やあ なつさん!」

なつ「田辺さん お体は もう大丈夫なんですか?」

田辺「大丈夫だ。 このとおり ピンピンしてる。」

なつ「いかった。 あっ たんぽぽバターの商標を 描いてきたんです。」

田辺「うん 早速 見せてもらおう。」

なつ「これです。 一見 牛の顔に見えますが 中は タンポポです。 タンポポで Tの文字を描いています。 それは タンポポのTでもあり 十勝のTでもあります。」

田辺「すばらしい! 見事だ。 柴田さん どうさ?」

剛男「ああ…。」

回想

剛男「あっ! ああ…。」

回想終了

剛男「本当に大きくなったな…。 あのなつが もう結婚か。」

なつ「何言ってんのさ… 父さんは心配してたでしょや。」

夕見子「そうそう 結婚は やっとでしょ。」

剛男「お前もな。」

田辺「これ 喜んで使わせてもらうよ ハハ。 このマークをつけて いずれは バターだけでなく いろんな乳製品を作りたいんだ。 何より 十勝のおいしい牛乳を そのまま 消費者に届けられるようにしたいからな。 なあ。」

夕見子「はい!」

なつ「夕見 十勝の牛乳のために頑張って!」

夕見子「うん。 飲めないけど頑張る!」

なつ「まだ飲めないんだ…。」

夕見子「うん。」

山田家

馬小屋

天陽「はい コーヒー。」

なつ「ありがとう。」

坂場「ありがとうございます。」

天陽「イッキュウさんのことは 兄からも聞いていました。 僕の絵を褒めてくれていたとか。」

坂場「あ いや… 褒めるなんて とんでもない。 ただ 勘当したと伝えただけです。 まさか 奥原なつさんの幼なじみだとも 知りませんでした。」

なつ「私は 天陽君から絵を教わったの。 天陽君と出会わなかったら 今の私はいなかった。」

天陽「それは お互いさまだよ なっちゃん。」

坂場「天陽さんにとって 絵とは何ですか?」

天陽「え?」

なつ「また始まった。」

坂場「絵を描くことと 畑で作物を作ることは違いますか?」

天陽「うん もちろん違いますよ。」

坂場「どう違いますか?」

天陽「どう?」

なつ「あ… 無理して答えなくていいからね。 何それ 分かんないって言う権利は 天陽君にあるんだから。」

天陽「どちらも生きるためにすることですけど。」

なつ「答えるの?」

天陽「畑仕事は食うためで 絵を描くことは排せつかな。」

坂場「排せつ?」

天陽「うん。 我慢できなくなると 漏らしてしまうでしょう。 そういうものですよ 絵は。」

なつ「それ 昔も言ってたね。」

坂場「なるほど…。 芸術的な価値を意識してないところに あなたの絵のすばらしさがあるんですね。」

天陽「絵の価値を描くなんて つまらないですからね。」

坂場「そうですね。」

天陽「したけど 人から褒められれば うれしいし けなされると悔しいんです。」

坂場「はい。」

なつ「うん そだね… そうやって 純粋に生きられたらいいね。」

天陽「僕が生きる場所を選んだように なっちゃんも 生きる場所を選んだだけなんだ 純粋に。 アニメーションの世界は 僕には分かりません。 なっちゃんと生きられるのは イッキュウさんだけなんです。 どうか なっちゃんのこと よろしくお願いします。」

坂場「あなたの絵を見て 僕も我慢できずに… 漏らしそうです。」

なつ<天陽君は やっぱり 私の一番の目標です>

柴田家

しばた牧場

坂場「ああ… 早く 新しいアニメーションを作りたいな!」

なつ「うん!」

なつ<天国のお父さん お母さん 元気ですか?>

語り<はい 元気に ここにいます。>

なつ<私は この人と 坂場一久という人と結婚します>

語り<はい 分かっています。 お母さんも。>

なつ<未来のことは まだ全然分からないけど 私は幸せです。 彼のご両親にもお会いして 一緒に食事をしました>

料亭

なつ「あの 私やります。」

一直「考古学というのはね なつさん。」

なつ「はい。」

一直「歴史学なんですよ。 まあ 大学でも 史学科の名に含まれたりしますからね。 歴史学というのはですよ なつさん。」

なつ「はい。」

一直「歴史を復元することなんですよ。」

なつ「はい。」

サト「もう お父さんったら…。」

なつ<お二人とも とてもすてきな人でした。 私の過去は すぐに受け入れてくれて…>

サト「ごめんなさいね なつさん。」

なつ「あっ いえ…。」

一直「考古学とはね…。」

なつ<というよりも 食事の間は 初めから終わりまで ずっと 考古学の話を 私にしてくれました。 何にでも 興味を示すイッキュウさんが この時ばかりは いつになく 全く興味なさそうにしているのが 妙に おかしかったです>

一直「分かりますか? なつさん。」

なつ「えっ… はい!」

昭和42(1967)年 春

なつ<そして 翌年の春>

柴田家

詰め所

なつ「じいちゃん。」

泰樹「なつ そったら恰好で こんなとこ来るな。 汚れるべ。」

なつ「じいちゃんが なかなか来てくれんか。 夕見も待ってるよ。」

泰樹「式には間に合うと言ったべ。 慌てるな。」

なつ「じいちゃん… 長い間 お世話になりました。」

泰樹「ありがとうな。」

なつ「ありがとうは おかしいべさ 育ててくれた じいちゃんが。」

泰樹「わしも お前に育ててもろた…。 たくさん… たくさん 夢をもろた…。」

なつ「じいちゃん…。」

泰樹「ありがとう…。 おめでとう なつ。」

なつ「じいちゃん… 本当に… どうも ありがとうございました!」

居間

菊介「なっちゃんも夕見ちゃんも こんなに ちっちゃかったのにな。 もうちっと大きかったか…。」

とよ「今日は いいんでないかい…。」

「こちらこそ よろしくお願いします。」

「どうぞ よろしく。」

地平「じいちゃん!」

弥市郎「おっ 地平。」

道子「大家族って にぎやかでいいわね。」

信哉「うん。」

剛男「組合長 今日は わざわざ ありがとうございます。」

陽平「なっちゃん きれいだな。」

天陽「ああ…。」

倉田「おい 何で お前が泣いてんだ。」

門倉「あっ いや…。」

なつ<十勝に 東京から お兄ちゃんと光子さんも来てくれました>

光子「結婚って いいわね。」

なつ<かなうならば ここに千遥もいてくれたら…。 私は そう思わずには いられなかったけど それでも この世に生まれたことを神様に感謝したいくらい 私の心は 喜びに満ちあふれていました>

「はい 皆さん 準備はよろしいですか? 詰めて並んで下さいね。」

なつ<天国のお父さん お母さん 私を 生んでくれてありがとう。 なつは 今日 結婚しました>

「それでは 皆さん 撮りますよ。 笑顔で!」

(シャッター音)

語り<私も写りたかったけど やめておいた。 ああ なつよ 未来永ごう 幸せになれよ…。 来週に続けよ。>

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