ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第116話「なつよ、笑って母になれ」【第20週】

あらすじ

なつ(広瀬すず)と坂場(中川大志)の新居を訪れ、咲太郎(岡田将生)は結婚することにしたと報告する。慌てて川村屋を訪ねたなつに、光子(比嘉愛未)は川村屋の経営を退き、咲太郎の事務所を手伝うつもりだと言われる。新宿一帯の再開発で川村屋も新しいビルに建て替えるのだ。一方、風車では亜矢美(山口智子)と茂木社長(リリー・フランキー)が話し込んでいた。そこへ咲太郎が結婚報告にやってきて…。

116話ネタバレ

坂場家

リビング

咲太郎「俺も けじめをつけることにした。」

なつ「けじめ?」

咲太郎「結婚することにしたんだ。」

坂場「結婚?」

なつ「誰と?」

咲太郎「川村屋のマダムだ。」

なつ「ええ~っ! 川村屋のマダムって あの? あの光子さんと!?」

坂場「驚き過ぎだろ。」

なつ「そりゃ驚くでしょ!」

坂場「僕は 何となく そうじゃないかなって気がしてたけど。」

なつ「えっ どうして?」

坂場「いや 十勝の結婚式に 2人で来てくれた雰囲気とかで。」

なつ「えっ…。 いつから そんなことになってたの?」

咲太郎「まあ 俺が声優のプロダクションを 始める辺りか…。 経営者になるなんて初めてだからさ いろいろと あいつに 相談に乗ってもらってたんだよ。 まあ そしたら まあ うん そういうことに…。」

なつ「はあ… 信じられない。 お兄ちゃんとマダムが… そういうことに?」

咲太郎「そういうことだよ。 まあ 結婚すれば 母ちゃんだって 俺に安心するだろ。 安心して 俺に甘えてくれるだろ。 経済的な負担をかけても大丈夫だって そう思ってくれるんじゃないかな。」

なつ「もしかして それが目的? お金が目当て?」

咲太郎「バカ! 失礼なこと言うな! 俺は あいつの金なんて 当てにしてないからな! あいつはあいつ 俺は俺だ。」

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

なつ「じゃ これ よろしく。」

「あっ はい。」

なつ「お先です。」

茜「うん お疲れさま。」

なつ「お疲れさまでした。」

一同「お疲れさまでした。」

休憩室

なつ「あっ もしもし 私 うん…。 あの これから ちょっと 川村屋に寄ってから帰る。 うん… あっ おかずは 帰りに買って帰るから。 はい。 じゃ。」

川村屋

ホール

野上「いらっしゃいませ。」

なつ「あっ 野上さん こんにちは。 マダムは…?」

「お~ 涼しい…。」

「こっち こっち。」

「お~ いた いた ハハハ…。」

なつ「すごい…。」

野上「フーテン族って呼ばれる若者ですよ。 それが 新宿の街にあふれ出し とうとう 川村屋にまで…。 そういえば あなたも 若い頃 あんな恰好されてましたよね。 あなた 昔からフーテンだったんですね。」

なつ「フーテンって 家がるのに わざわざ ないふりして生きてる 若者たちですよね? 私は 子どもの頃 本物の浮浪児でした。」

野上「何の自慢ですか? それは。」

なつ「川村屋で バターカリー食べてて どこが フーテンですか。」

野上「はいはいはい… 分かりました。 騒ぎは起こさないように。」

なつ「マダム!」

光子「なっちゃん…。」

なつ「あの マダム! 昨日 私のお兄ちゃんから 話は聞いたんですけど 本当ですか?」

光子「あっ うん まあ 多分…。」

なつ「えっ… マダムと うちのお兄ちゃんが 結婚なんて! そんなことって 本当にあるんですか?」

光子「あ… なっちゃん あの ここでは なんだから 奥に行きましょう… ね。」

なつ「ちょっと マダム…。」

応接室

なつ「マダム…。 それじゃ 本当なんですね?」

光子「そうよ。 本当に 私でいいのかしらって こっちが なっちゃんに聞きたいところよ。 私の方が咲ちゃんよりも ずっと年上だし もう40ですからね。」

なつ「マダムも 40歳ですか…。」

光子「そう しみじみ言われても困っちゃうけど…。」

なつ「そんなの関係ないじゃありませんか! 私にとっては 本当に夢のような話です!」

光子「本当? 喜んでくれるの?」

なつ「はい もちろんです! うれしいです… よかった…。 本当に よかった…。 あんな兄ですが どうか よろしくお願いします!」

光子「なっちゃん… こちらこそ よろしくね。」

なつ「はい! ハハハ…。」

野上「マダム 話題の人がお見えになりました。」

なつ「お兄ちゃん。」

咲太郎「なつが そろそろ ここに来てる頃かと思ってな。」

光子「なっちゃんから 今 許しをもらったところよ。」

咲太郎「そうか。」

光子「あっ 野上さん。 野上さんも よかったら しばらく ここにいて下さらない?」

野上「はい。」

なつ「それで 結婚式はいつ…?」

咲太郎「ああ そんなものはしないよ。」

なつ「えっ?」

光子「今更 そういうことはしなくてもいいの。」

野上「ちょっと待って下さい。」

咲太郎「まあ そもそも 結婚自体 野上さんに言われなければ しなくてもよかったんだから。」

光子「はあ? それ どういうこと?」

咲太郎「あっ…。」

野上「いえ 私は 何も…。」

光子「ああ… そういうこと? 野上さんに言われたから言いだしたわけ?」

咲太郎「いや それは まあ… きっかけというか たまたまだ。」

光子「何が たまたまよ! 野上さんも 余計なこと言ってくれたわね。」

野上「申し訳ございません。」

咲太郎「野上さん 悪くないよ。」

光子「当たり前よ。 悪いのは あなたでしょ。」

咲太郎「はい…。」

光子「まあ そういうことなのよ なっちゃん。」

野上「もはや 腐れ縁ですな。」

咲太郎「まあ… うん そういうことです。」

光子「それでね 野上さん 結婚したら 私 川村屋の経営からは 手を引こうと思ってるのよ。」

野上「えっ?」

光子「ちょうど ここを ビルに建て替える時だし 後のことは 野上さんに任せたいの。」

野上「マダム それは困ります!」

光子「野上さんに 責任を 押しつけようっていうんじゃないのよ。 もちろん 私も できるだけのことはします。 でも 野上さんには もうひとふんばり 次の後継者を育ててほしいのよ。」

野上「後継者を?」

光子「そう。 私が 先代のマダム そして 父から受け継いだ この店を 今度は 野上さんが 一つの会社組織として つないでいってほしいの。」

野上「マダム…。」

光子「もう血縁者だけが のれんを守る時代でもないわ。 野上さんの信念で これからも 川村屋を 大いに開拓してちょうだい。 咲ちゃんには 川村屋の財産は 何一つ渡しませんから。」

咲太郎「そんなもん こっちだって もらう気はねえよ。」

光子「野上さん これが私の結婚の決意です。」

野上「分かりました。 不肖 野上 この命尽きるまで この川村屋の未来を守ってみせます。 つないでみせます!」

光子「ありがとう。」

なつ「野上さん 頑張って。」

(笑い声)

咲太郎「よし。 すっきりしたところで 報告に行くか。」

なつ「どこに?」

咲太郎「決まってるだろ。」

おでん屋・風車

1階店舗

茂木「ママ 新しいお店のことなんだけど。」

亜矢美「うん…。」

茂木「花園じゃ嫌だよね?」

亜矢美「花園か…。」

茂木「今はさ ゴールデン街っていってるんだけど まあ いかがわしい所も残ってるけども 文化人なんかがさ 集まる店も増えて 友達の作家なんか よく使ってるんだよ。」

亜矢美「そっか そうだね 今の新宿で 安く借りられるとしたら そんなとこかもね。 いらっしゃい… 何だ お帰り。」

咲太郎「ただいま。」

なつ「こんばんは。」

茂木「よっ なっちゃん!」

亜矢美「なっちゃん ハハハ…。」

茂木「あれ マダムも。」

光子「こんばんは。」

咲太郎「ちょっといいか? 大事な話があるんだけど。」

亜矢美「大事な話? うん… もちろん いいよ どうぞ。」

光子「お邪魔します。」

亜矢美「あっ お店閉めるね。」

咲太郎「いや いいんだよ そこまでしなくたって。 どうせ 茂木社長しかいなんだし いずれ 茂木社長にも分かることだから。」

茂木「えっ 何?」

亜矢美「まずは お掛け お掛け お掛けに…。」

咲太郎「母ちゃん… 俺 今度 彼女と結婚することにしたんだ。」

茂木「ええっ!?」

光子「あっ すみません あの お恥ずかしいんですけど。」

茂木「いや うそでしょ マダム!」

なつ「茂木社長 お気持ちは分かりますけど 少しだけ 静かにしてて下さい。」

茂木「いや うそでしょ なっちゃん!」

なつ「シ~。」

茂木「えっ?」

咲太郎「今まで 隠しててごめん。 まあ そういうことなんだ。」

亜矢美「何だ… 知ってたよ そんなことなら。」

咲太郎「えっ?」

亜矢美「お前が 私に 隠し事なんかできるわけないだろ。」

咲太郎「知ってたのかよ?」

亜矢美「うん。 よかったじゃないの! おめでとう! なっちゃんが お嫁に行くまではって ずっと待ってたんでしょ。」

咲太郎「いや そんなことはないけど…。」

光子「あの 今度は 川村屋を ビルに建て替えることにしたんです。 それを機に 私は 経営からは 手を引こうと思ってまして それで これからは 咲太郎さんの会社を大きくするために 手伝うことにしたんです。」

咲太郎「そう。 まあ たまたま そういうタイミングに 結婚でもしようかってなっただけだから。」

亜矢美「たまたま… いいよ てれなくたって。 何にしたって おめでたいことじゃないの。 ね 乾杯しましょうよ。 さあ どうぞ。」

なつ「大丈夫ですか?」

亜矢美「あ~ これで 私も一安心。」

咲太郎「母ちゃん…。」

亜矢美「肩の荷が下りたわ。 はい 乾杯。」

光子「あっ すいません。」

亜矢美「はい かんぱい 乾杯 みんな グラス持って…。 ほら 社長!」

なつ「茂木社長。」

茂木「本当なの? ん~…。」

なつ「何それ。」

亜矢美「ほら 社長 しっかりして… いくよ。 はい 咲太郎 マダム あっ… 光子さん 結婚おめでとうございます!」

なつ「おめでとう。」

咲太郎「ありがとう。」

光子「ありがとうございます。」

亜矢美「かんぱ~い!」

咲太郎「乾杯!」

亜矢美「あ~ おいしい! 光子さん 咲太郎のこと 本当に よろしくお願いしますね。」

光子「はい。 こちらこそ。」

亜矢美「バカだから。」

咲太郎「おい。」

光子「知ってます。」

咲太郎「おい。」

坂場家

リビング

なつ「遅くなって ごめんね。」

坂場「亜矢美さんは喜んでいたんだろ?」

なつ「うん… すごく喜んでた。」

坂場「それなら よかったじゃないか。」

なつ「よかったけど… 亜矢美さんは これから どうするんだろ。」

坂場「住む所か?」

なつ「それも そうだけど 一人になったら 寂しいよね…。」

坂場「うん…。 あっ ありがとう。」

なつ「卵2個いける?」

坂場「うん。」

なつ「ハハハ…。 はい。 あっ 来月 私の誕生日に お盆休みだから 風車でお祝いしよう ってことになったんだけど それが 結婚式の代わりだって。」

坂場「風車でか。」

なつ「一緒に行ける?」

坂場「もちろん。 頂きます。」

なつ「もうすぐ風車も無くなっちゃうのか…。」

おでん屋・風車

1階店舗

咲太郎「母ちゃん 2人で飲み直そうよ。」

亜矢美「おっ いいね。」

咲太郎「はい。」

亜矢美「サンキュー。」

咲太郎「あ~…。」

亜矢美「お疲れ。」

咲太郎「お疲れ。」

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