ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第117話「なつよ、笑って母になれ」【第20週】

あらすじ

光子(比嘉愛未)との結婚を亜矢美(山口智子)に報告した咲太郎(岡田将生)。皆が帰った後、二人で飲み直しているうちに、咲太郎は亜矢美と出会ったころのことを話しだす。大人として成長した今、自分をもっと頼ってほしいという咲太郎に亜矢美はあるお願いをする。一方、東洋動画ではかぜを引いた茜(渡辺麻友)を気遣い、なつ(広瀬すず)は早めに帰宅させようとするが、茜はあまり大げさにしないでほしいと言い…。

117話ネタバレ

おでん屋・風車

1階店舗

咲太郎「俺は 母ちゃんの子どもになれて 本当に幸せだったな。」

亜矢美「何言ってんの 今更…。」

咲太郎「母ちゃんに会えなかったら 俺は 確実に死んでたからな。 母ちゃんが 俺に ただ生き延びるためじゃなく 生きることを教えてくれたんだ。」

亜矢美「ムーランルージュに 引っ張り込んだだけだろ。」

咲太郎「いや それだけじゃない… いろいろあったことを忘れたのかよ。」

亜矢美「あ… 忘れちゃったね 昔のことは み~んな。 あ… だけど お前は確かに 金もうけのことしか考えない マセガキだったね。」

回想

亜矢美「ねえ… 何で それ読まないんだよ。」

咲太郎「こんなもん読むより 体動かして 金稼がないと 妹たちを迎えに行けないんだよ。」

亜矢美「お前ね… お前が バカなまんまで 妹たち迎えに行ったって どうやって養うの。 いいかい 頑張って これ読んで で もし 分かんない字とか 言葉があったら いちいち これで調べるの。 それだけで だんだん 世の中のことが分かっていくから。」

咲太郎「そんなことより 進駐軍の前で踊った方が手っとり早いよ。」

亜矢美「バカ! 進駐軍だってね バカじゃないんだよ。 お前の下手くそな踊りに喜んで いつまでも かわいがってくれるわけじゃないんだからね。 咲太郎 人を本気で楽しませたい って思うんだったら 本気になって勉強しな。」

回想終了

咲太郎「母ちゃんがいなかったら 俺は バカなままだった。」

亜矢美「バ~カ。 まだ バカは治ってないんだろ。」

咲太郎「あっ そうか ハハハ…。」

亜矢美「大バカだもん。」

咲太郎「ハハハ…。」

回想

♬~(『鐘の鳴る丘』)

亜矢美「こんな歌が はやってんだね…。」

咲太郎「(鼻をすする音)」

亜矢美「泣いてんのかい?」

咲太郎「この歌聴くと 何か悔しくなんだよ…。」

亜矢美「そっか… 孤児院の歌だもんね。 咲太郎。 こっち おいで。」

咲太郎「えっ?」

亜矢美「ほら おいで。」

咲太郎「ちょっと… 何すんだよ。」

亜矢美「いいから。 お前だってさ 親を亡くした一人の子どもなんだからさ 人に甘えて 泣いたっていいんだよ。 私をさ お母ちゃんって呼んでごらん。」

咲太郎「いいよ…。」

亜矢美「いいから 呼んでごらんって。 ここは劇場だよ… ムーランルージュ。 私たちは 何にだってなれるんだから。 演じられるんだから。 ほら 母ちゃんって呼んでみな。」

咲太郎「母ちゃん…。」

亜矢美「何だい 咲太郎…。」

咲太郎「母ちゃん 母ちゃん…。 母ちゃん…。」

亜矢美 ♬『鐘が鳴りますキンコンカン』

回想終了

咲太郎「母ちゃん…。」

亜矢美「うん?」

咲太郎「母ちゃんと俺は 何も変わらないからな。」

亜矢美「分かってるよ。 これからも変わらず 偽物の親子だろ。」

咲太郎「偽物じゃないだろ もう… 今度は 俺に甘えてくれよ。 変に遠慮なんかしたら 承知しないからな。」

亜矢美「だったら だったら じゃあ… また ムーランルージュを建てておくれよ。」

咲太郎「はあ?」

亜矢美「あの舞台で また 踊ってみたくなっちゃったな。」

咲太郎「母ちゃん それは もう無理だよ。 母ちゃん もう50だぞ。」

亜矢美「だから 死ぬ前に もう一回 踊ってみたいんだろうが!」

咲太郎「おい 母ちゃん…。」

亜矢美「ああ 踊りたい…。」

咲太郎「よし 分かった。」

亜矢美「えっ?」

咲太郎「俺に任せろ。 昔の俺とは違うんだ。 思いっきり 親孝行してやるよ。」

亜矢美「そりゃまた… うれしいね。 ♬『赤いルージュに』」

咲太郎「おお…。」

坂場家

寝室

坂場「君の誕生日といえば… もうすぐ 8月15日か。」

なつ「うん…。」

坂場「いろんなことを 忘れないためにあるような日だな。」

なつ「うん… だからね 私は 誕生日が来る度に 亡くなった父や母のこと 周りにいた人たちのことを 自然に思い出す。 近頃 あれから何年がたつんだなって 思うようになってる。」

回想

なつ「気持ちいい?」

千遥「うん 気持ちいい。」

咲太郎「おい なつ!」

なつ「どうしたの?」

咲太郎「戦争が終わったみたいだ。」

なつ「えっ?」

咲太郎「日本は負けたらしい…。 今日は8月15日 なつが生まれた日だな。」

なつ「あっ そうだ…。」

信哉「そっか なっちゃん 誕生日か。」

なつ「うん。」

千遥「おめでとう お姉ちゃん。」

回想終了

なつ「ねえ…。」

坂場「うん。 どうした?」

なつ「また 千遥に会いたくなっちゃった…。」

坂場「今は 僕がついてる。」

なつ「ねえ… もし 子どもが生まれて…。 私たちの子どもは 幸せになれるのかな…。」

坂場「なるよ… なるに決まってるだろう。」

なつ「うん…。」

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

荒井「やるか?」

なつ「お願いします。」

荒井「いや お願いしますって…。」

なつ「茜さん 大丈夫ですか?」

茜「ちょっと 夏風邪をひいたみたいで…。」

なつ「えっ。」

茜「風邪薬をのめないからね 今は。 治りが遅いのよ。」

なつ「あっ ちょっと すいません…。 熱があるんじゃないですか。 早く帰った方がいいですよ。」

茜「あ 大丈夫… 今日中に この原画までは仕上げないと。」

荒井「どないしたん? 何かあったんかい?」

なつ「茜さん 風邪をひいてるんです。 今日は帰らせて下さい。」

荒井「風邪か。」

茜「あ… 大丈夫です。」

荒井「ほんま?」

なつ「ほんまじゃないですよ! ただの体じゃないんですよ! すぐ帰らせて下さい。」

荒井「いや せやけど…。」

なつ「茜さんの分は 私がやりますから!」

荒井「ほんま!」

なつ「ほんまです!」

映画班作画室

なつ「呼んでくる。」

茜「あ… ありがとう。」

なつ「下山さん。」

下山「おお どうした?」

なつ「ちょっと。」

下山「えっ? あっ ごめん。」

なつ「下山さん 茜さん 風邪ひいて 少し熱があるみたいなんです。 家に帰らせて下さい。」

下山「大丈夫?」

なつ「大丈夫じゃないですよ。 早く帰って休ませて下さい。

神地「ねえ どうしたの? 茜ちゃん 何かあった?」

茜「あっ いや ううん 何でもないから…。」

なつ「下山さんが送って下さい。 私は 今 ちょっと 仕事があって無理なんで…。」

茜「なっちゃん! 本当に もう大丈夫だから ただの風邪だから。」

なつ「でも…。」

茜「あんまり大げさにしないで 仕事を続けにくくなるから。 ごめんね 私の仕事まで押しつけちゃって。」

なつ「そんなことは…。」

下山「そこまでは送っていくよ。」

茜「うん。 ごめんね…。」

神地「大変だな 働きながら子どもを産むのは。」

<それから 8月15日を迎えました。>

おでん屋・風車

1階店舗

亜矢美「咲太郎 光子さん なっちゃん イッキュウさん この4人の前途を祝して かんぱ~い!」

一同「かんぱ~い!」

なつ「ちょっと待って下さい! 亜矢美さんも おめでとうございます。」

亜矢美「何で?」

なつ「お兄ちゃんの家族ですから。」

藤田「そうだ! よくぞ 咲太郎を ここまで育て上げた!」

松井「よっ 亜矢美母ちゃん!」

島貫「よくやった! おめでとう!」

レミ子「おめでとうございます!」

藤田「おめでとう。」

亜矢美「ありがとうございます。」

茂木「ママ やっと これで 面倒な子どもが片づいたね。」

亜矢美「ハハ 本当。 そりゃ そうだ 本当 本当 ハハハハ…。」

咲太郎「母ちゃん 長い間 お世話になりました。」

亜矢美「バカだね それは男のセリフじゃないだろ。 ねえ ハハ…。」

<なつよ 母になるのも悪くはないぞ。>

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