ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第118話「なつよ、笑って母になれ」【第20週】

あらすじ

風車でなつ(広瀬すず)の誕生日と、咲太郎(岡田将生)と光子(比嘉愛未)の結婚を祝う会が行われた。茂木社長(リリー・フランキー)やカスミ(戸田恵子)たち常連客が大勢集まった。そこで亜矢美(山口智子)は新しい店のことを話す。咲太郎は新しい店のことは自分と光子に任せてほしいと申し出る。それを聞いた亜矢美はある想(おも)いを口にする。その数日後、風車を訪れたなつと咲太郎は…。

118話ネタバレ

おでん屋・風車

1階店舗

<8月15日 咲太郎と光子さんの結婚 なつの誕生日を祝う会が開かれました。>

なつ「亜矢美さんも おめでとうございます。」

亜矢美「何で?」

茂木「ん? なっちゃん 今 いくつになったんだっけ?」

なつ「30です。」

茂木「30! はあ~ ハハハハ…。 なっちゃんが その年になって 人妻になっちゃうんだから そりゃ 新宿も変わりますよね。」

なつ「私と新宿を 一緒にしないで下さいよ。」

(物音)

なつ「あ~ ちょっと…!」

坂場「亜矢美さん すいません ごめんなさい! すいません!」

なつ「もう… すいません。」

松井「けど 亜矢美ちゃんは どうすんだよ? 咲坊。」

咲太郎「えっ?」

松井「この店 立ち退かなきゃ いけなくなったんだろ? 藤正親分から聞いたぞ。」

亜矢美「いいの 私のことは。」

藤田「すまねえな 亜矢美。 この店を お前に紹介したのは この俺だが 今度ばかりは 俺の力じゃ どうしようもねえ。」

亜矢美「いいんですよ 親分さん もう分かってましたから。 新宿で いつまでも こんなことは 続かないって。 でも 今度 茂木社長には 新しいお店 紹介して頂くことに なってますから 大丈夫ですよ。」

咲太郎「えっ?」

カスミ「えっ どこ?」

茂木「ゴールデン街。」

カスミ「ゴールデン街か…。」

咲太郎「ダメだ! そんな所はダメ! 絶対によせよ 母ちゃん!」

亜矢美「そんな おっきい声出して。」

咲太郎「新しい店のことなら 俺と光子に任せてくれよ。」

亜矢美「えっ?」

咲太郎「母ちゃんが どうしても この店を続けたいと言うなら 新しい店を 俺と光子が用意するから。 そのぐらいの親孝行はさせてくれよ。」

光子「咲ちゃんの気持ちを 私は大事にしたいだけなんです。 亜矢美さんの面倒を見ようとか そんな おこがましいことを 考えてるわけじゃないんですよ。 どうか 気兼ねなさらないで下さい。」

亜矢美「ありがとう…。 でも… 断るよ。」

咲太郎「どうして!」

亜矢美「だって 私は ゴールデン街で十分だから。」

咲太郎「母ちゃん…。」

亜矢美「その 母ちゃんっつうのもさ もう いい加減 どうにかしてくんないかな。 私は もともと お前の母親でも 何でもないんだからね ハハ。」

咲太郎「えっ?」

カスミ「亜矢美ちゃん 言い過ぎよ。」

亜矢美「咲太郎 いい加減 大人になりなよ。 親孝行だったらさ もう十分してもらったからさ。」

咲太郎「何もしてないよ!」

亜矢美「十分だよ。」

咲太郎「俺は まだ あなたに何も恩を返してない!」

亜矢美「十分してもらったってば。 ね。」

咲太郎「じゃあ これから どこに住むんだよ?」

亜矢美「どこにだって住めるよ。」

なつ「亜矢美さん。 もし よかったら また 一緒に暮らしませんか?」

亜矢美「えっ?」

なつ「あ… 私も もう一人じゃないですけど…。」

坂場「あ… 別に 僕も構いませんよ。 僕がいますけど。」

なつ「考えてみたら 私は この風車に もう10年も住んでたんです。 北海道の柴田家にいた時間と 同じなんです。 亜矢美さんは もう大事な家族です。 亜矢美さんが どこかに落ち着くまででもいいです。 一緒にいて下さい。」

亜矢美「ありがとう…。 全く… なんて あんたたち きょうだいっつうのは 本当に こんな優しいの…。 だ… だけどさ もう いい加減 私を解放してちょうだいよ。 私は 本当に大丈夫だから。 ね。」

カスミ「まあ いいじゃないの。 ゴールデン街だって 亜矢美ちゃんだったら 楽しくやっていけるよ。 そしたら 私も ちょくちょく寄らせてもらうからさ。」

レミ子「私も寄ります。」

松井「俺も入り浸るよ。」

島貫「俺もだ。 ね 社長。」

茂木「ああ。 亜矢美ちゃんには やっぱり俺が 一番似合うんじゃないかい ハハハハハ…。」

藤田「亜矢美の好きにしたらいい。 どこ行こうと そこが亜矢美の店だ。 俺たちのムーランルージュだ。」

茂木「よっ!」

(笑い声)

亜矢美「親分さん… 私が この店をやってこれたのは 咲太郎と なっちゃんが いてくれたおかげです。 だって 本当に… 楽しかったから。」

なつ「亜矢美さん…。」

亜矢美「さあ こっから また始まるんだ。 悪いけど また勝手に 始めさせてもらうわよ。 私の人生ってやつをね! ジャカジャン。」

島貫「よし 頑張れ亜矢美。」

亜矢美「ねえさん歌ってよ。」

カスミ「よっしゃ! ♬『紅いルージュにひかされて』」

亜矢美「フッフ~ 来た来た! 踊っちゃおうかな!」

カスミ♬『今日もくるくる風車』

後日

なつ「お兄ちゃん…。 亜矢美さん 引っ越したって… どこに行ったの?」

咲太郎「分からない…。」

なつ「お兄ちゃんにも 何も言わずに?」

咲太郎「うん…。」

なつ「カスミさん…。 亜矢美さんは どこに行ったんですか?」

カスミ「さあね… 私にも分からないんだよ。」

咲太郎「そんなことって… ひどすぎるだろ… 勝手すぎるだろ!」

カスミ「まあ しょうがないじゃないか。 それも そうなっちゃったんだから。」

咲太郎「どうして! 俺は 母ちゃんのために 何も してやっちゃいけないんですか!」

カスミ「あんたの結婚を喜んでるからだろ 亜矢美ちゃんが!」

咲太郎「えっ…。」

カスミ「心から喜びたいと 思ってるからじゃないの。」

咲太郎「どういうことですか?」

カスミ「亜矢美ちゃんはね… 光子さんに嫉妬したくなかったんだよ。 そんな自分を あんたに 見せたくなんかなかったの。 ず~っと そういう思いを 押し殺してさ… あんたの母親を 演じてきたんじゃないの…。 分かってあげてよ… 亜矢美ちゃんだって 弱い女なんだから。」

なつ「ずっと前から カスミさんは そう思ってたんですか?」

カスミ「うん そうよ…。 でもね なっちゃんが来てから 亜矢美ちゃんは救われたと思うよ。」

なつ「えっ?」

カスミ「これで 本当に 咲ちゃんと家族になれたと思って…。 だから 楽しかったって言ったの。 その気持ちだけは うそじゃないと思う。 咲ちゃん あんたは 本当に 亜矢美ちゃんの子どもになったんだよ。 純粋に親子でいたいから 亜矢美ちゃんは ここを去ったのよ。 あっ…。 これ 亜矢美ちゃんが この店で 最後に聴いてた曲だね。」

♬~(レコード『鐘の鳴る丘』)

♬『緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台 鐘が鳴りますキンコンカン メイメイ小山羊も鳴いてます 風がそよそよ』

回想

亜矢美「母ちゃんって呼んでみな。」

咲太郎「母ちゃん…。」

亜矢美「何だい 咲太郎…。」

咲太郎「母ちゃん…。」

亜矢美♬『鐘が鳴りますキンコンカン メイメイ小山羊も鳴いてます』

回想終了

なつ「お兄ちゃん…。」

<なつよ 咲太郎よ 亜矢美さんは まだまだ これから…。>

列車

亜矢美♬『元気でいろよと いう声よ 口笛吹いて おいらは元気』

<ありがとう 亜矢美さん。 また いつの日か 亜矢美さん!>

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