ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第121話「なつよ、新しい命を迎えよ」【第21週】

あらすじ

なつ(広瀬すず)は、妊娠したことを報告するため風車プロダクションを訪れる。咲太郎(岡田将生)や光子(比嘉愛未)、蘭子(鈴木杏樹)たちはなつの妊娠を喜ぶ。そして、なつは電話で十勝の柴田家にも報告し、富士子(松嶋菜々子)にうれしさの反面、初めて母となる不安を漏らす。数か月後、テレビ漫画づくりの激務の中、なつのおなかはどんどん大きくなっていた。そんななつの所へあの人が帰ってきて…。

121ネタバレ

坂場家

リビング

なつ「赤ちゃんが… できてた。」

坂場「よかったじゃないか。」

なつ「やっぱり… 仕事より大事ってことよね。」

坂場「そうじゃない…。 一緒に頑張ろう。 な。」

なつ「ありがとう。」

東洋動画スタジオ

<イッキュウさんや アニメーター仲間の後押しもあって なつは 産休明けも これまでどおり 働けるようになりました。>

社長室

廊下

なつ「母さん 頑張るぞ!」

風車プロダクション

(ノック)

光子「はい。」

なつ「失礼します。」

光子「あら なっちゃん いらっしゃい。」

なつ「光子さん 今 一人ですか?」

光子「ええ みんな出払っちゃってて。 咲ちゃんに用事?」

なつ「はい。 もちろん 光子お義姉さんにも。」

光子「お義姉さんにも? あら 何かしら? まあ 座ってちょうだい。」

なつ「私 赤ちゃんができたんです。」

光子「あら そう… そうなの!?」

なつ「そうなんです。 今 妊娠3か月なので 来年の5月か6月には 生まれてくるんです。」

光子「そう! おめでとう なっちゃん! よかったわね!」

なつ「産んだら大変そうですけど。」

光子「まあ とにかく体を休めて… ね。 こういう時は 何を出したらいいのかしらね? コーヒーは飲んでもいいの?」

なつ「さあ… まあ でも 何も要りませんから。」

光子「ジュースなら大丈夫でしょ。 ね。 咲ちゃん喜ぶわよ。 驚くわよ。 北海道には知らせたの?」

なつ「いえ まだ… これからです。」

光子「あら すぐに知らせてあげなさい。」

なつ「はい。 けど いろいろ心配かけると思ったんで まずは会社に話して これからのことを 決めてから話そうと思ったんです。」

光子「仕事 続けるかどうかってこと?」

なつ「はい。 でも それが 続けられることになったんですよ。 今までどおり。 イッキュウさんも 協力してくれるって言ってくれてますし。」

光子「きっと喜ぶわよ 皆さん。」

なつ「はい。」

光子「なっちゃんは どんなお母さんになるのかしらね。」

(ドアの開く音)

咲太郎「ただいま。」

光子「あっ お帰りなさい。」

なつ「お兄ちゃん… あっ 蘭子さんも!」

蘭子「なっちゃん お久しぶりね。」

咲太郎「来てたのか?」

なつ「うん。」

松井「ちょうどいい なっちゃんも これから飲もう。」

なつ「ダメ。」

松井「旦那なんか ほっとけって!」

島貫「家で プラプラしてるだけなんだろ。」

なつ「してませんよ。 ちゃんと働いてます。 旦那は関係なく お酒はダメなんです。」

松井「また帰っても仕事かよ。」

咲太郎「おい なつ 関東プロダクションって知ってるか?」

なつ「ああ 名前だけは。」

咲太郎「関東テレビの傘下に新しく出来た テレビ漫画の制作会社だけどな。 今日は そこで新しく作るテレビ漫画に この4人の声の出演が決まったんだ。」

なつ「えっ 蘭子さんも テレビ漫画に?」

蘭子「そう。 なかなか面白そうな作品だったわ。」

なつ「そうか… 制作会社が増えて どんどん新しいテレビ漫画が 作られていくからね。」

咲太郎「そうだ。 なつんとこも頑張らないと負けちまうぞ。 頑張って うちの声優を使ってくれ。」

なつ「お兄ちゃん。」

咲太郎「うん?」

なつ「私ね 子どもができたの。」

咲太郎「えっ 子ども?」

なつ「うん。」

光子「それが言いたくて なっちゃんは待ってたのよ。」

咲太郎「えっ 子どもって… 本当か? 本当に生まれてくるのか?」

なつ「うん。」

咲太郎「そうか! できたか! やった… やったな なつ!」

蘭子「なっちゃん おめでとう!」

レミ子 島貫 松井「おめでとう!」

なつ「ありがとうございます。」

柴田家

居間

砂良「はい もしもし 柴田です。」

なつ『なつです。』

砂良「ああ なっちゃん。」

なつ『砂良さん 母さんは?』

砂良「あっ 今 牛舎の方に行ってるけど 呼んでくるかい?」

なつ『あっ ううん いいの 急がないから…。 あのね 砂良さん。』

砂良「うん。」

なつ『私に 赤ちゃんが生まれるの。』

砂良「えっ? 本当にかい?」

なつ『うん。』

砂良「ああ… おめでとう! それなら すぐ みんなに知らせるわ。 あっ ちょうど来た! お義母さん!」

富士子「えっ?」

砂良「なっちゃんから。」

富士子「なつ?」

砂良「自分で聞いて下さい!」

富士子「は? 何を? もしもし。」

なつ『母さん?』

富士子「どうしたの? なつ。」

なつ『どうしよう…。 母さん…。 今 すごく母さんに会いたい。』

富士子「何があったのさ?」

なつ『本当は 少し怖いんだけど… 私も… 母さんになるの。』

富士子「えっ? なつ…!」

詰め所

富士子「じいちゃん!」

泰樹「なした?」

富士子「なつ… なつに子どもが生まれるって!」

照男「えっ。」

悠吉「本当にかい!」

富士子「本当…。」

菊介「なっちゃんにかい! そりゃ おめでとうございます!」

悠吉「おやっさん いかったね おやっさんのひ孫が増えるべさ!」

坂場家

リビング

坂場「もし お義母さんのそばにいられたら 安心だろうな 君も。」

なつ「でも しかたないよ。 北海道は遠いし 仕事は 産むギリギリまで休めないし。」

坂場「うん…。」

なつ「ここで頑張るしか…。」

坂場「うん。」

なつ「実は… 作監を頼まれたの。」

坂場「えっ 作画監督?」

なつ「そう。」

坂場「子どもを育てながら 作画監督ができるの?」

なつ「やらなくちゃいけなくなったの…。」

回想

なつ「仕事で もっともっと成長していきたいんです。 いい作品を作りたいんです! どうして それが 子どもができると できないんでしょうか?」

回想終了

なつ「ううん… やりたいの。」

坂場「うん… なら しかたないじゃないか。 やるしかないだろ。」

なつ「いいの?」

坂場「いいよ。 僕が 好きに働けと言ったんだ。 家で子育てするのは なにも 女だけと決まってるわけじゃないんだ。 2人で なんとか乗り切ろう。 な。」

<そして 数か月がたちました。>

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

なつ「荒井さん これ 演出に見てもらって下さい。」

荒井「動かんでええがな こっちから行くし。 声かけてえや。」

なつ「じ~っと座ってるのも つらいの。」

荒井「ハッ… おなか もう破裂しそうやな。」

なつ「もう中から どんどん蹴って 何か 早く描け 早く描けって 言われてるみたい。」

荒井「ハハ ええ子やな! ハハ…。」

「これ 見てもらっていいですか?」

なつ「うん。」

休憩室

なつ「はあ… 一緒に深呼吸…。 フ~。」

下山「なっちゃん。」

なつ「あ… 下山さん。 仕事終わったんですか?」

下山「うん。 長編映画は 今 休みに入ったばかりだから。」

なつ「あ… 映画はいいですね。 終わりが見えてて。」

下山「いや なっちゃんも 終わりが見えてきたって感じかな。」

なつ「終わりじゃなくて 始まりです。 茜さんと明ちゃん 元気ですか?」

下山「うん。 あっ なっちゃん… 実は 今 考えてることがあってね。」

なつ「考えてること?」

下山「うん…。 あっ… なっちゃんは知ってる?」

なつ「何をですか?」

下山「あの人が戻ってきてるの。」

なつ「あの人?」

坂場家

リビング

坂場「えっ マコさんが?」

なつ「そうなんだって! マコさんが 戻ってきてるんだって こっちに。」

坂場「イタリアから?」

なつ「それが 日本にってことだけじゃなくて アニメーションに!」

坂場「えっ?」

なつ「こっちの世界に戻ってきたんだって!」

坂場「ああ…。」

(ブザー)

坂場「あっ 誰か来た。」

なつ「もしかして マコさんだったりして。」

坂場「えっ?」

なつ「冗談よ。 お兄ちゃんかな。 は~い。」

玄関

麻子「お久しぶり。」

なつ「えっ! 本物?」

麻子「本物よ。」

なつ「うそ… ちょうど 今 話してたところなんです。 ねえ 本当にマコさんだ!」

坂場「お久しぶりです。」

なつ「マコさん! 戻ってきてるなら すぐに知らせて下さいよ!」

麻子「本当に… 変わってないとは言えないけど 変わらないわね あなたは。」

なつ「マコさんだって 昔とそっくりですよ。」

麻子「そっくりって何よ! 本物だってば。」

なつ「すいません。 どうぞ 入って下さい。」

坂場「あっ どうぞ。」

麻子「じゃ お邪魔します。 イッキュウさんと なっちゃん いつか こうなると思ってた。」

坂場「日本に戻られたんですね。 お帰りなさい。」

麻子「あっ これ つまらないものだけど。」

なつ「え~ イタリアのお土産ですか!」

麻子「吉祥寺で買ったの。 吉祥寺に住んでるから。」

リビング

麻子「おいしい! これ イッキュウさんが作ったの?」

坂場「はい。」

麻子「あの不器用なイッキュウさんが?」

なつ「時間と手間をかければ作れるんです。」

麻子「それじゃ 漫画映画と一緒じゃないの。」

なつ「そうなんですよ! 自分の指は よく切るんですけどね。」

坂場「あっ…。」

麻子「それも同じじゃない!」

2人「ん?」

麻子「あっ 漫画映画で切ったのは 自分の首か。」

坂場「ハハハ ハ…。」

麻子「ごめん。 ちょっと きつい冗談だった?」

なつ「いいえ やっぱり マコさんですね! 懐かしい。」

麻子「そんなとこ 懐かしがらないでよ。 私はね あの映画 とても感動したの。」

坂場「えっ?」

なつ「本当ですか?」

麻子「本当よ。 だから また 自分もやりたいと思うようになったの。」

なつ「えっ… うれしい! ね。」

坂場「うん。」

麻子「それで 今日は イッキュウさんを誘いに来たの。」

坂場「えっ?」

なつ「誘いに?」

麻子「そう。 イッキュウさん また アニメーションを作る気はない?」

<なつよ この再会が また波乱を呼ぶことになりそうだ。>

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