ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第123話「なつよ、新しい命を迎えよ」【第21週】

あらすじ

帰宅したなつ(広瀬すず)に坂場(中川大志)は、なつの仕事中、麻子(貫地谷しほり)の会社に行ってきたことを打ち明ける。坂場は、子どもが生まれ、預けやすい年齢になるまで入社を待ってもらうと決めたと言う。なつは保育園の事情を調べ、熟考の上決断をした坂場に感謝し、思わず涙を浮かべる。いよいよ、出産の日が近づいてきたなつは、仲(井浦新)や下山(川島明)、神地(染谷将太)たちに見送られ、産休に入るが…。

123ネタバレ

マコプロダクション

下山「ここを日本のアニメーションの 新天地にしてやるよ。」

麻子「イッキュウさんにも 参加してもらいたいと思ってるの。 もちろん 演出家として。」

坂場家

寝室

坂場「決めてきた。」

なつ「マコさんのところで働くことに?」

坂場「ただし 1年は待ってもらうことにした。」

なつ「1年?」

坂場「子どもが生まれてから1年ぐらいたてば 預けられる保育園も 見つかるかもしれない。 それまでは 僕が家にいることにするよ。」

なつ「そこまで考えてくれてたんだね。 調べてくれたんだね。 ありがとう。」

産婦人科

待合所

「赤ちゃん動いてる?」

「耳を当てて聞いてごらん。」

「お姉ちゃんだよ。 ねえ 蹴らないよ。 動かないよ。」

「眠ってるかな…。」

「キラキラバンバン キラキラアニー! 動け!」

回想

『キラキラバンバン キラキラアニー! 動け!』

回想終了

「ああ 動いた!」

「本当?」

「本当だ 動いてる。」

「お姉ちゃんの魔法が効いたののかな。」

「お姉ちゃんだよ。」

診察室

秀子「うん 赤ちゃんの心拍は正常です。 元気 元気…。」

秀子「体重も増えすぎていないようだし 血圧も尿たんぱくも問題なし 順調ですよ。」

なつ「先生 それで 本当に 生後6週間で 仕事に復帰しても 大丈夫なんでしょうか?」

秀子「それは 生まれてみなければ 何とも言えないけど 大丈夫なようにするしかないんでしょ? 坂場さんの場合は。」

なつ「はい。」

秀子「私は 子どもを産んで 1週間で仕事に復帰したわよ。」

なつ「えっ 本当ですか?」

秀子「まだ私が産婆だった頃だけどね。 そのころは ほら 産めよ増やせよの時代でね お産が多かったから 休む間もなかったのよ。」

なつ「そうですか…。」

秀子「まあ 共働きで子どもを育てるのは 大変なことだけど そういうことも 当たり前の世の中にならないとね。 医者としては 無理をするなと言いたいけれど 働く母親の先輩としては 頑張れと言うしかないわ。」

なつ「はい。 心強いです。 ありがとうございます。」

坂場家

<イッキュウさんは 少しでも生活費を稼ごうと 今は 翻訳の仕事に 一生懸命 取り組んでいます。 こうして なつは 子どもを産む直前まで 安心して 仕事を続けることができました。>

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

中島「奥原さん 出来ました。」

なつ「はい。 つまらない…。 動きが正確なら いいわけじゃなくて 中島君の画には 表情が足りないの。 泣いてる時は 目を閉じてるだけじゃないでしょ。 何か工夫しないと。」

中島「原画の指示どおり 描いてるつもりですけど。」

堀内「動画は 指示どおり 描けばいいわけじゃないんだよ。」

なつ「この動きの中で 中島君が出したい アニーの表情が 何かあるはずでしょ? もっと 中島君の個性を 出していいんだから。」

中島「だけど 子どもは そこまで見てるでしょうか?」

なつ「はい?」

中島「時間がないのに… 無駄なことはしたくないです。」

なつ「だったら アニメーションなんか やめなさい! 子どもは そこまで見ない? 子どもの想像力と 私たちは戦ってるの! それを超えた時に 初めて 私たちは 子どもに 夢を見せられるんでしょ? 子どもをバカにするなら アニメーションを作る資格はないです。」

なつ「ごめんね…。 私は産休に入るけど しっかりお願いね。 中島君が見せたいと思うものを ちゃんと見せてね。」

中島「分かりました…。 これは考えて ちゃんと直します。」

堀内「直したら 俺に持ってこい。」

中島「はい。」

堀内「ハハハハ…。」

なつ「堀内さんも昔はね…。 中島君の気持ちが 誰よりも分かると思うから。」

堀内「それを言うなよ ハハハハ…。」

中島「そうなんですか?」

堀内「いいから お前は。」

中島「どういう気持ちだったんですか?」

なつ「よし… 荒井さん!」

荒井「はい はい はい はい はい。」

なつ「私の原画 最後のカット出来ました!」

荒井「ほいな!」

なつ「遅くなって堪忍やで。」

荒井「おっ ハハ… なんも なんも。」

なつ「ハハ…。 そしたら 明日から よろしくお願いします。」

荒井「オッケーや。 ええ子 産んでや!」

堀内「なっちゃん あとは任せろ!」

なつ「ハハ… うん。」

映画班 作画室

なつ「仲さん 井戸原さん 明日から産休を頂きます。」

仲「ああ もう そんなか…。 うん 分かった。 お大事にね。」

井戸原「丈夫な子を産んでくれよ。 また猛烈に働けるように。」

なつ「はい。 また よろしくお願いします。」

下山「なっちゃん なっちゃんが戻ってくる頃には もう僕は ここにはいないから。」

井戸原「裏切り者!」

下山「いや どこに言ってるんですか。」

なつ「下山さん 頑張って下さい。 マコさんにも よろしく。」

神地「そこに いずれは イッキュウさんも入るんでしょ? いいよな。」

仲「おい 君もか?」

神地「仲さんも行くなら ついていきますよ。」

井戸原「裏切りの相談をするんじゃないよ ここで。」

神地「あっ 井戸さんは… ああ まあいいや。」

井戸原「おい お前 この野郎!」

(笑い声)

仲「まあ まあ まあ。 僕は まだ ここで頑張っていくつもりだよ。」

なつ「私もです。 これからも よろしくお願いします。」

福祉事務所

<産休に入ると なつは 保育園について相談するため 福祉事務所を訪ねてみました。>

なつ「あの… すいません お願いします。」

村川「はい 何でしょうか?」

なつ「乳児から預ける 保育園を探しているんですが。」

村川「お子さんは 今…?」

なつ「あっ いや… これから生まれてくるんですが 来年の春には預けたいと思ってるんです。」

村川「まあ どうぞ お掛けになって下さい。」

なつ「はい。 よろしくお願いします。」

村川「はい。 それで どうして預けたいんですか?」

なつ「私が 産んで すぐに また働かなくてはならないもので。」

村川「2人で働かないと 生活ができないんですか?」

なつ「生活のためでもありますけど 私は働きたいんです。」

村川「子どもを犠牲にしてもですか?」

なつ「犠牲?」

村川「いや… 生活のために 共働きをしなくてはならない ご家庭があることは 十分 承知しておりますよ。 そのために保育所はあるんです。 けど 本来は 子どもは 母親が育てるものなんです。 それを勘違いされてませんか?」

坂場家

寝室

(戸が開く音)

坂場「あっ ただいま。 どうした?」

なつ「ううん… 大丈夫。 何でもない…。」

坂場「君が 何でもないと言う時は 一人で我慢する時だろう。」

なつ「言いたくない…。」

坂場「なら 言わなくてもいいけど…。」

<結局 なつは 子どもを どこに預けるのか その答えが出ないまま 臨月を迎えました。>

なつ「うあっ…。 ううっ ああ…。」

坂場「どうした?」

なつ「痛い…。」

坂場「陣痛か?」

なつ「いや まだ早いと思うけど…。」

坂場「えっ あ… 病院に行くか?」

なつ「待って…。 陣痛なら 10分間隔になってから 来てって言われてるから…。」

坂場「あっ じゅ… 10分?」

なつ「うん…。」

坂場「気分は どうだ?」

なつ「子牛を産む母牛になった気分。」

坂場「そういうこと聞いてるんじゃないよ。」

なつ「フフ…。 ううっ… 来た 来た…。」

坂場「来た?」

なつ「来た…。」

坂場「25分か…。 おかしいな…。 もう これ以上 痛みの間隔が縮まらなくても 病院に行った方がいいんじゃないか?」

なつ「どうしよう 陣痛じゃなかったら…。」

坂場「えっ?」

なつ「違う痛みだったら どうしよう…。 この子に何かあったら…。」

坂場「とにかく病院に行こう。 な。」

(ブザー)

坂場「えっ? 誰だ こんな時に。」

なつ「出て。」

坂場「いいよ…。」

なつ「早く出て!」

(ブザー)

坂場「分かった…。 は~い。」

玄関

坂場「あっ!」

富士子「おはようございます。」

なつ「母さん!」

坂場「あっ あの…。」

富士子「なつ! どうしたの?」

寝室

富士子「なつ…。」

なつ「母さん 助けて…!」

<なつよ もう これで大丈夫だ。>

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