ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第124話「なつよ、新しい命を迎えよ」【第21週】

あらすじ

なつ(広瀬すず)がおなかの痛みを訴えた時、玄関の呼び鈴が鳴る。慌てて坂場(中川大志)が戸を開けると、富士子(松嶋菜々子)の姿が。さらに、剛男(藤木直人)、泰樹(草刈正雄)までもが十勝からはるばる駆けつけてきたのだった。いったん痛みが治まったなつは、久々に富士子らとともに食卓を囲み、和やかな時間を過ごす。そんな時、富士子から夕見子(福地桃子)について思わぬ知らせを受け…。

124ネタバレ

坂場家

寝室

坂場「おかしいな…。 もう これ以上 痛みの間隔が縮まらなくても 病院に行った方がいいんじゃないか?」

なつ「どうしよう 陣痛じゃなかったら…。」

坂場「とにかく病院に行こう。 な。」

(ブザー)

坂場「えっ? 誰だ こんな時に。」

なつ「出て。」

坂場「いいよ…。」

なつ「早く出て!」

玄関

坂場「あっ!」

富士子「おはようございます。」

なつ「母さん!」

坂場「あっ あの…。」

富士子「なつ! どうしたの?」

寝室

なつ「母さん 助けて…!」

坂場「どうぞ…。」

なつ「あっ 父さん… じいちゃんまで!」

泰樹「おう…。」

剛男「なつ 大丈夫か?」

泰樹「何じゃ… 産まれそうなのか?」

富士子「痛みは どう?」

なつ「じいちゃん見たら… ますます母牛になった気分だわ。」

泰樹「あ?」

(鳴き声)

なつ「も~…。」

富士子「大丈夫 おなかが張ってるだけ。 赤ちゃんは 何ともないから 体をよ~く温めて 楽にしてれば… どう?」

なつ「うん… 何か痛くなくなってきたみたい。」

富士子「多分 本当の陣痛じゃ ないんだわ。 私にも覚えがあるから。 陣痛の前に その兆しみたいに 痛くなることがるんだって。 体が お産に向けて準備してるんだわ。」

なつ「そうなの?」

富士子「うん。 本当の陣痛は あんた こんなもんじゃないわ。」

なつ「そうなんだ よかった…。」

坂場「助かりました。 もう僕には 何が起きてるのか 全く分からなくて…。」

剛男「そりゃ しかたがないさ。 男は こういう時 慌てるばかりだからな。」

なつ「女でも経験してないことは 慌てるばかりだわ。」

泰樹「お前は 何べんも 子牛を産ませてるでねえか。 学校で習わんかったか?」

なつ「勝農では 陣痛の兆しまでは習わんかったわ。 牛にも そったらことがあんのかい?」

泰樹「うん? いや 知らん。」

なつ「知らんのかい。」

泰樹「ハハハ…。 おっ いいもん持ってきた。」

なつ「うん?」

泰樹「向こうを出る前に 子牛を産んだ牛がいてな その初乳で作った。 ハハ… ほれ。 牛乳豆腐じゃ。」

なつ「うわ~!」

坂場「牛乳豆腐?」

剛男「牧場でしか作れないもんだ。」

泰樹「滋養をつけるのは これが一番じゃ。」

なつ「ありがとう じいちゃん…。 わざわざ それを届けに来てくれたのかい こったらとこまで。」

泰樹「子牛が生まれたからな ハハハ…。」

富士子「どうしても 自分で持っていくって 聞かないの。」

泰樹「そんなこと言ってねえべ。」

富士子「言ったしょや。 お前らだけで行くのかって さも不満そうに。」

泰樹「聞いただけだ。」

剛男「もう80過ぎて 汽車の長旅は疲れるだろうから 飛行機にしますかって聞いたら それだけは 絶対に嫌だって。」

なつ「飛行機怖いの?」

泰樹「ん? そんなことねえべ。」

富士子「じいちゃん それでも会いたかったのよね なつに。」

泰樹「まあ これが 最後になるかもしれんからな。」

なつ「もう そったらこと言わんでよ。 でも じいちゃん… 私も じいちゃんに会えて うれしい。 ありがとう。 こんな狭い部屋じゃね…。」

剛男「心配するな。 父さんたちは どっか安い宿 探すから。」

なつ「したけど…。」

坂場「あ… あの もし よかったら お義母さんだけでも ここに泊まって頂けませんか? そしたら なつも僕も安心しますから。」

富士子「いいの?」

なつ「できたら そうして。 お願い 母さん。」

富士子「分かった。」

なつ「ありがとう。」

坂場「あっ ごはんを作ります。 なつも まだ何も食べてないので。」

富士子「私も手伝うわ。」

坂場「ああ…。」

台所

富士子「まあ 台所 きれいに使ってるんだね。」

坂場「ああ… いえ。」

富士子「坂場さんが いつも ごはん作ってくれてるの?」

坂場「交代制でやってますけど 僕の方が忙しくないので。」

富士子「あっ そのノート。」

坂場「いつも お世話になってます。」

富士子「本当かい? 適当な料理で驚いたでしょ?」

坂場「はい。」

富士子「うん?」

坂場「あ いえ…。」

富士子「アッハハハハ…。」

リビング

剛男「坂場君は 今でも家で仕事してるのか?」

なつ「うん…。」

剛男「したら 子どもが生まれても なつが働きに出て 坂場君がここで 赤ん坊の世話をするってことかい?」

なつ「うん… しばらくは。」

剛男「しばらく?」

なつ「1年後には イッキュウさんも 仕事に出る予定なんだわ。」

剛男「したら 子ども どうすんだ?」

なつ「どこかに預けるしか…。 そういう保育園を探すしかないの。 1歳くらいになったら 預かってくれる所もあるって聞くから。」

剛男「1歳の赤ん坊をかい…。」

なつ「したけど… しかたないしょ そったらこと言ったって…。」

泰樹「それも 覚悟して結婚したんだべ。 今更 弱音吐いてる場合でねえ。」

なつ「うん… そうだね。 じいちゃん。」

泰樹「うん…。」

台所

坂場「ちょっと味を見て下さい。」

富士子「うん…。 あっ 私のより おいしいわ。」

坂場「いやいや… お義母さんの味を作りたいんですよ。」

富士子「なんも。 坂場さんの味になればいいしょや。」

坂場「はい…。」

リビング

なつ「う~ん 懐かしい…。」

富士子「イッキュウさんも食べてごらん。」

坂場「あ… はい。 うん… 豆腐というより あっさりしたチーズですね。」

剛男「それ 乳製品だからね 一応。 あっ そうだ! たんぽぽバターも持ってきたんだ!」

なつ「本当?」

富士子「えっ 早く出さなきゃダメでしょや。 すぐ冷蔵庫に入れないと。」

剛男「いや すまん。 牛乳豆腐で すっかり忘れてたわ。 ほら。」

なつ「わ~! ハハ…。 夕見子は今 農協じゃなくて こっちの工場に勤めてるんだよね?」

剛男「うん。 そこで 牛乳も 市場に出したいと思ってな 夕見子は今 一生懸 紙のパックの開発に乗り出してるさ。」

なつ「ああ 牛乳の紙パックか…。 本格的に たんぽぽ牛乳に向けて やってるんだね。」

剛男「うん。」

なつ「いつか こっちでも 買えるようになればいいのに。」

坂場「あっ しまってくる。」

なつ「ありがとう。」

富士子「したけど 夕見子も これからどうなるか…。」

なつ「どしたの?」

富士子「実はね… できたの 夕見子にも。」

なつ「ん?」

富士子「赤ちゃんが生まれるの。」

なつ「うそ!」

剛男「それが本当なんだ。」

泰樹「うん。」

富士子「つい最近 分かったばかりなんだわ。」

なつ「なして すぐ教えてくれないの!」

剛男「だから なつには 東京行って知らせるべって。」

なつ「えっ…。 で いつ生まれるの?」

富士子「今年の秋だって。 なつが春で 夕見子が秋。」

なつ「へえ~ したら 同い年でないの!」

富士子「そうだわ。 まるで あんたら2人と おんなじだわ。」

なつ「うれしいわ!」

坂場「おめでとうございます。」

剛男「あっ ありがとう。」

なつ「したら 雪次郎君も大喜びでしょ。」

富士子「それが大変みたい。」

なつ「えっ 大変?」

雪月

とよ「あんたね 仕事仕事って うちの跡取りに何かあったらどうすんの!」

夕見子「はあ? 誰が 跡取りって決めたんですか? 私は 跡取りを産むつもりはありません!」

とよ「産むつもりはなくても 生まれてきたら そりゃ もう立派な跡取りなんだわ! 男でも女でもね!」

雪次郎「ばあちゃん やめてくれや! 俺が 仕事に行っていいって言ってるんだも。」

雪之助「雪次郎 これは もう お前だけで 決めていいことじゃねえべや。」

妙子「夕見子さん どうしても 仕事を続けたいって言うなら 私を殺してからにしてちょうだい!」

雪次郎「そったら問題でもねえべ!」

とよ「いい覚悟だ。 継がせる気がないなら この店 潰してから行けばいいべ!」

雪次郎「勝手に潰すな!」

夕見子「はあ~?」

雪之助「諦めれ 雪次郎。 これは もうな 男には止められんわ。」

雪次郎「おやじ… おやじ!」

夕見子「嫌~!」

雪次郎「おやじ!」

夕見子「嫌~!」

坂場家

リビング

なつ「夕見 大丈夫?」

富士子「ハハ 大丈夫さ。」

なつ「まあ そうだね。 みんな うれしいんだね。」

富士子「うん。」

泰樹「それだけじゃねえんだ。 照男にも できたんじゃ。」

なつ「えっ… 子どもが?」

剛男「実は そうなんだ。」

なつ「まさか 照男兄ちゃんにもできたの!?」

富士子「まさか! 照男じゃなくて 砂良さんにだわ。」

なつ「そんなことは分かってるよ 母さん。」

富士子「えっ? あ… そうね。」

なつ「えっ 2人目?」

泰樹「そうじゃ。 来年の1月に生まれる。」

なつ「あ… したら冬かい? すご~い!」

富士子「本当に 不思議なこともあるもね。」

坂場「ちょっとした ベビーブームですね。」

泰樹「まあ 牛には よくあることじゃ。」

剛男「いや 牛舎の話ではないですから。」

坂場「ハハハハ…。」

なつ「じいちゃん 牧場はどう?」

泰樹「牧場は もう照男のもんじゃ。 菊介も砂良さんもおる わしのやることは もうない。」

なつ「じいちゃん…。」

泰樹「照男が立派に わしの夢を継いでくれた。 ハハハ…。」

(ブザー)

なつ「誰か来た。」

坂場「今度は誰だろ。 は~い。」

玄関

咲太郎「よっ!」

光子「こんにちは。」

坂場「あっ お義兄さん 光子さん。」

富士子「あら。」

坂場「あ… どうぞ。」

リビング

咲太郎「あれれ これはまた 皆さん おそろいで!」

剛男「咲太郎君 どうも。」

咲太郎「こちらこそ ご無沙汰してます。」

光子「北海道から出ていらしたんですか?」

富士子「今朝 着いたばかりで…。 あっ ご結婚おめでとうございます。」

咲太郎「あ… また たくさんのジャガイモ 送ってもらって ありがとうございます。」

光子「本当にすみません。 本当においしいですね。 北海道のジャガイモは きっと世界一です。」

泰樹「牛乳も。」

光子「あ… はい 牛乳も。」

剛男「そんなことしか できなくて。」

咲太郎「何よりも うれしいですよ。」

光子「ちょっと あなた いつまで手に持って話してるの。」

咲太郎「あっ そうだ なつ いろいろ買ってきたぞ ほら。」

なつ「え~!」

一同「おお~。」

咲太郎「ベビーベッドも 明日届くからな。」

なつ「お兄ちゃん 光子さん ありがとう!」

坂場「すみません。」

咲太郎「まあ こんなことしか できないけどな 俺も。」

泰樹「まるで 咲太郎に 孫でも生まれたみたいだな。」

富士子「ヤキモチ焼かなくてもいいしょや。」

泰樹「なんも焼いてねえべや!」

(笑い声)

咲太郎「まあ とりあえず…。」

坂場「ありがとうございます。」

寝室

咲太郎「それじゃ 宿なんて言わずに うちに泊まって下さいよ。 部屋なら余ってますから。 あ… といっても 俺の家じゃなくて 彼女の家ですけど。」

光子「どうぞ いらして下さい。」

剛男「いいんですか?」

光子「もちろんです。」

咲太郎「何日でも いて下さいよ。」

なつ「お兄ちゃん ありがとう。」

咲太郎「こうやって みんな お前のそばについてるんだ。 安心して産めよ なつ。」

なつ「うん…。」

なつ「ううっ… ああっ…。」

富士子「なつ! なつ!」

なつ「母さん 痛い…!」

富士子「大丈夫 大丈夫… イッキュウさん!」

なつ「ううっ…。」

富士子「イッキュウさん!」

坂場「はい?」

富士子「陣痛が来たみたい。」

坂場「えっ!」

なつ「ううっ… 痛い… この前と全然違う!」

<なつよ いよいよ生まれるのか? 私の孫が…。>

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