ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第126話「なつよ、新しい命を迎えよ」【第21週】

あらすじ

産休が明け、再びアニメーションの仕事に戻ってきたなつ(広瀬すず)。しかし、仲(井浦新)から新しい作品の作画監督ではなく「魔法少女アニー」の原画として復帰するよう言われる。そんな中、なつは仕事に集中しようとしても優のことが気になってしまうのだった。一方、自宅では坂場(中川大志)が翻訳の仕事をしながら優の面倒を見ているが、坂場もまたアニメーションのことが気になっていて…。

126ネタバレ

坂場家

寝室

なつ「優ちゃん… ママ すぐ帰ってくるからね。 待っててね… ごめんね。」

(泣き声)

なつ「起こしちゃったね。」

<なつが子どもを産んで 仕事に復帰する日を迎えました。>

東洋動画スタジオ

映画班 作画室

なつ「おはようございます。」

神地「おっ なっちゃん お帰り! おめでとう!」

(拍手と歓声)

なつ「皆さん お祝いを送って頂いて ありがとうございました。」

(拍手)

「おめでとう!」

仲「何だか あっという間だったね もう大丈夫なの?」

なつ「はい。 ご迷惑をおかけしました。」

仲「いや 誰も 迷惑なんて思っちゃいないよ。」

井戸原「女の子だって?」

なつ「はい。」

井戸原「名前は?」

なつ「優です。 優しいという字の1文字で 優です。」

仲「うん いい名前だね。」

井戸原「かわいい?」

なつ「かわいいですよ… あまり思い出させないで下さい。」

井戸原「えっ?」

仲「うん?」

なつ「今日から また よろしくお願いします。」

仲「それじゃ 早速だけど 『魔法少女アニー』の原画に また戻ってくれる?」

なつ「あ… 新しい作品の作画監督を やるんじゃないんですか?」

仲「うん まあ 産休明けの君に そうすぐに 新しいことをやれとは 会社だって言わないよ。 まずは 古巣に戻って 体力を戻すことが先決だろう。」

なつ「すいません。」

仲「僕にも家族がいるから 出産の大変さは よく分かってるつもりだよ。 無理しないで つらい時は 体を優先させて 休みながら やらなくちゃダメだよ。」

なつ「はい。 仲さん ありがとうございます。」

仲「うん。 じゃ ゆっくり始めようか。」

なつ「はい。」

廊下

なつ「モモッチ!」

桃代「お帰り なっちゃん! 久しぶり!」

なつ「ただいま 復帰しました。」

桃代「何か雰囲気 変わった。 お母さんっぽくなった。」

なつ「そう?」

桃代「うん… たくましくなった感じ。 まあ 前から たくましかったけどね。 『魔法少女アニー』に戻るって聞いたわ。 みんな なっちゃんの復帰 すっごく待ってたんだから。 なっちゃんの描くアニーは やっぱり 動きが違うのよね。 トレースしてても よく分かる。」

なつ「ありがとう モモッチ。」

桃代「とにかく 働く女の期待の星だからね。 しっかり頼むよ!」

なつ「うん…。」

テレビ班 作画室

なつ「おはようございます。 ただいま戻りました!」

堀内「お… なっちゃん お帰り!」

なつ「皆さん いろいろと ありがとうございました。 おかげで 無事に 女の子を産むことができました。」

(拍手と歓声)

荒井「あ~ おめでとうさん。 せやけど 大丈夫なんかいな? 仕事復帰して。」

なつ「はい。 夫が支えてくれていますから。」

堀内「あのイッキュウさんが子守りか… 想像できないな。」

なつ「もう立派な父親ですよ。」

堀内「そうか…。」

荒井「よっしゃ ほな早速 お願いします。」

なつ「はい ハハ…。」

堀内「ちょっと 荒井さん 最初は あんま無理させないって 言ってたじゃないですか。」

荒井「言ってたんや! なっちゃん…。」

なつ「ありがとうございます。」

<『魔法少女アニー』は 放送も 3年目に入り まだまだ 人気が続いていました。 なつは 原画として そこに復帰しました。>

坂場家

リビング

(優の泣き声)

坂場「は~い はい はい はい はい はい…。 はい はい はい… はい はい はい…。 うん? どうしました? ママですか? ママは お仕事ですよ。 優ちゃんのママは頑張っていますから 寂しくても 少し我慢しましょう。 ね。 ママのお仕事は アニメーターです。 アニメーターとは ありえないことを 本当のように見せる人のことです…。」

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

なつ「面白いじゃない… 中島君 腕を上げたね。」

中島「ありがとうございます。」

なつ「腕の動きに もう少し タメを作ると もっと迫力が出ると思う。」

中島「はい。」

なつ「この調子で頑張って。」

中島「はい。 ありがとうございます。」

<仕事中 なつは 必死に優のことを忘れようとしました。 だけど それは無理です。>

マコプロダクション

(電話の呼び鈴)

麻子「はい マコプロです。」

坂場『もしもし 坂場です。』

麻子「ああ イッキュウさん! お久しぶり。」

坂場『ご無沙汰してます。』

麻子「なっちゃんから連絡もらったわよ。 女の子だって? おめでとう。 そっちが落ち着いたら 赤ちゃんの顔見に お邪魔しようかと思ってたんだけど。」

坂場『彼女は 今日から仕事に復帰しました。』

麻子「えっ もう? そうなんだ。」

坂場『そっちは どうですか? この前 見せてもらった企画は 通ったんですか?』

麻子「『三代目カポネ』? あれは まだね。 何たって 日本では まだなじみのない 大人向けのアニメーションだから。 今 売り込み用のパイロット版 作ってるところよ。」

坂場『僕は この何年か アメリカの ペーパーバック小説なんかを翻訳してきたから ギャング物なら いくつか アイデアを出せるかもしれません。』

麻子「だから 早く来てちょうだいよ。 待ってるんだから。」

坂場『はい。 すいません。』

麻子「でも なっちゃんに 負担は かけないようにね。」

坂場『分かってます。』

麻子「こっちは いつでも待ってるから。」

坂場『はい… それじゃ また。 はい…。』

坂場家

(優の泣き声)

坂場「はいはい… うん?」

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

なつ「それじゃ お疲れさまでした。」

一同「お疲れさまでした。」

坂場家

寝室

なつ「優ちゃん! はい おいで。 よいしょ…。 ただいま…。 ずっと我慢してたんだわ…。 何か 変わった様子はなかった?」

坂場「うん 何もないよ。 そこのノートに ミルクの時間と飲んだ量 あと 排便や昼寝の時間も 書いておいたから。」

なつ「あ~ さすが! ありがとう。」

坂場「あ… ごめん 買い物にも行けてなくて まだ何も作ってないんだ。」

なつ「いいよ 私が 何か作る。 ごめんね 大変だったね。」

坂場「そっちは どうだった?」

なつ「なんも。 すぐに作監ってことじゃなかった。 ただ 古巣に戻っただけだった。」

坂場「配慮してくれたんだろ。 君だって そう毎日 残業が続くような仕事になったら 神経が もたいないんじゃないか? その調子だと。」

なつ「そうかもしれない… 生まれてから やっと気付いた。 一番の敵は 子どものことが 気になってしょうがない 自分自身だって。」

(優の泣き声)

坂場「ん…。」

なつ「ああ…。」

坂場「あ… いいよ 君は寝てて。」

なつ「大丈夫。 いる時は なるべく母乳をあげたいから。 おいで。」

<敵は 寝不足でもありました。>

産婦人科

(3か月健診)

<敵は 優の病への心配でもありました。>

秀子「できまちた。 お母さんの元気が 優ちゃんの元気です。 お母さん お願いします。」

なつ「はい。」

秀子「あれ?」

なつ「あれ?」

秀子「あれ?」

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

なつ「アニーが ここで 魔法が使えなくなる とういうのは どうでしょう?」

<味方は 仕事への情熱です。>

「自分が助けられるみたいな…。」

坂場家

寝室

坂場「気持ちいいですか?」

<味方は イッキュウさんの 楽しそうな協力でした。>

坂場「ほら 気持よかったな。 優。」

<何よりの味方は この絶対的な いとおしさです。>

なつ「優。」

坂場「優。」

リビング

なつ「うん?」

坂場「実は 今日ね… 昼間 優が笑ったんだ。」

なつ「えっ。」

坂場「僕の顔見て 初めて笑ったんだよ。」

なつ「え~ うそだ… ずるい! 優ちゃん…。」

<敵は つまらない嫉妬だったりもしました。>

寝室

なつ「優ちゃん これ 頂戴。」

<だけど やっぱり 最大の味方は 優の成長と それを知る喜びでした。>

坂場「おお… お…。」

なつ「お~ 優ちゃん!」

坂場「優 すごい!」

なつ「偉いね… これ好き?」

坂場「すごいな 優。」

福祉事務所

<あっという間に 1年近くがたち 優を預けなくてはならない日も 近づいてきました。>

なつ「すいません。 お願いします。」

村川「はい。」

<味方は 思いがけず現れたりもします。>

なつ「どうしても 保育園が必要なんです。 まだ 0歳なんですが 4月から預けられる保育園を 探しているんです。」

村川「ご出産おめでとうございます。 いつぞやは 大変失礼しました。」

なつ「はあ…。」

村川「0歳児や1歳児を預かってくれる 保育園は限られてますが できるだけ近い所を紹介しましょう。」

なつ「はい。」

村川「まあ どうぞ お掛け下さい。」

なつ「はい… よろしくお願いします。」

村川「はい。」

坂場家

<そして 昭和44年の春を迎えました。>

昭和44(1969)年 春

台所

なつ「ただいま。」

坂場「お帰り。」

なつ「あ~ 優ちゃん。 優ちゃん ただいま!」

坂場「あ~…。」

なつ「ただいま。」

坂場「お帰りって ハハ…。」

なつ「笑ってる! いい子にしてたの。」

坂場「ママ お帰り。」

リビング

なつ「優…。」

坂場「はい。」

なつ「おいで。 よいしょ… ただいま。 あ…。」

坂場「うん… 福祉事務所から。」

なつ「どうだった?」

坂場「ダメだった。 どこも落ちた。」

なつ「えっ… 全部? 保育園 全部落ちたの!?」

坂場「うん…。」

なつ「え~…。」

<手ごわい敵は いつ どんな形で やって来るか分かりません。>

なつ「どうしよう…。」

<ああ なつよ それでも負けるな。 来週に続けよ。>

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