ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第128話「なつよ、優しいわが子よ」【第22週】

あらすじ

娘の優を預ける保育園が見つからないなつ(広瀬すず)と坂場(中川大志)。個人で保育を引き受けてくれる保育ママを探すため、駆けつけた麻子(貫地谷しほり)とともに近所に配るビラを作っていた。そこへ明子を連れた茜(渡辺麻友)と下山(川島明)が訪ねてくる。神地(染谷将太)から話を聞いた茜は、誰よりもアニメーションの仕事の厳しさを知る戦友として、なつが働いている間、自分たちが優を預かると申し出て…。

128ネタバレ

坂場家

リビング

麻子「仲いいのね。」

茜「生まれてから 何度も会ってるから。」

なつ「明ちゃんは 優の最初のお友達なんです。」

麻子「あっ そうだ 茜ちゃん。」

茜「はい。」

麻子「これなんだけど こういう人 どこにいるのか知らない?」

茜「やっぱり そういう人を探してるの?」

なつ「はい。」

茜「それなら 私はどう?」

なつ「えっ?」

茜「私じゃ ダメ? 明子と優ちゃんは仲よしだし… でも 自分の子しか育児の経験はないし もし それで なっちゃんが安心できるならだけど。」

なつ「いや そんな…。 まあ 茜さんなら 誰よりも安心なんですけど…。」

麻子「いいじゃない それが一番いいわよ! あ… お金を払えばいいのよ 保育ママに払うのと同じように。」

なつ「それは もちろんですけど…。」

茜「作画監督を引き受けたんでしょ。」

なつ「え… 誰から聞いたんですか?」

下山「神っちだよ。」

なつ「えっ?」

茜「神っちから電話があって なっちゃんを助けてやれないかって 相談されて。」

下山「神っちは ほら なっちゃんの背中を押しちゃったから ちょっと責任 感じてんだ。」

回想

神地「なっちゃんが ここまで経験を積んで ここで習得してきた技術は そう簡単に 代わりが見つかるものではないでしょう! それで いんですか!?」

回想終了

なつ「それだったら 本当にバカだよ 神っちは…。 感謝しかなないのに…。」

茜「それに イッキュウさんを いつまでも くすぶらせていたら 日本のアニメーションにとって 損失だろうとも言ってたわよ。」

坂場「あ… 神っちが…。」

下山「まあ それで 2人で決めたんだ。」

麻子「じゃ この問題は解決?」

茜「あ… なっちゃんと イッキュウさんがよければ。」

なつ「下山さん 茜さん 本当に ありがとうございます! どうか よろしくお願いします!」

坂場「よろしくお願いします。」

茜「一緒に頑張ろう。」

なつ「はい。」

下山「イッキュウさんも一緒に頑張ろう。」

坂場「はい。」

麻子「よし! マコプロへ ようこそ。」

(笑い声)

<こうして 優の預け先は 月6,000円で 茜さんの家と決まりました。>

道中

<そして 4月を迎え 優を 茜さんに預ける日がやって来ました。>

坂場「すいません。」

下山家

玄関

(チャイム)

茜「は~い。 あっ おはよう。」

坂場 なつ「おはようございます。」

茜「あ… 大変だったわね。 さあ 入って。」

坂場「よろしくお願いします。」

茜「どうぞ。」

リビング

茜「はい どうぞ。」

なつ 坂場「おはようございます。」

下山「あっ おはよう。 いらっしゃい。」

茜「みんな来たよ。」

なつ「明ちゃん 今日から 優 よろしくね。」

下山「あら 優ちゃん…。」

茜「優ちゃんだよ。」

坂場「茜さん これが昼寝用の布団です。」

茜「あっ はい。 お預かりします。」

坂場「それから オムツと あと着替えです。 それから 粉ミルクと哺乳瓶 コップと スプーンと フォークです。」

なつ「優の好きな離乳食も作っておいたので 温めて食べさせてやって下さい。 ジャガイモと鶏ミンチ…。」

茜「万事 心得ました。 イッキュウさんも 今日から アニメーションに復帰ですね。」

下山「一緒に行こうと思って待ってたんだよ。」

坂場「本当に感謝します。」

下山「いいえ。」

なつ「優の迎えは なるべく私が来ますから。」

茜「うん 分かった。」

なつ「行ってくるね。」

茜「なっちゃん すっと いなくなっちゃった方がいいわよ。」

坂場「そうだな。」

なつ「それじゃ… お願いします。」

茜「優ちゃん おいで… よいしょ。」

(優がぐずる声)

下山「優ちゃ~ん…。」

茜「ほら 明ちゃん 優ちゃんとお遊びしよう。」

なつ「行ってくるね。」

下山「よいしょ…。 じゃ 行ってきま~す。」

茜「は~い 行ってらっしゃい。 ほら パパ 行ってらっしゃいって 明ちゃん。」

(優がぐずる声)

茜「優ちゃん。」

なつ「優…。」

茜「あ…。」

なつ「ごめんね… ママ すぐ帰ってくるからね。」

茜「ねえ 優ちゃん おばちゃんと明ちゃんと 一緒に遊ぼう。 ね。 ほら… 優ちゃん。 ほら こっちおいで… ね。 ちょっと ママいなくなっちゃうけど 大丈夫だよ。 ね。」

なつ「優 大丈夫だから。 ね。」

(泣き声)

茜「なっちゃん 早く行って。 こっちは大丈夫だから。」

坂場「早く行かないと迷惑がかかるよ。」

なつ「うん…。」

(泣き声)

茜「あっ なっちゃん…。」

なつ「ごめんなさい ちょっとだけ…。」

坂場「切りがないだろ そんなことしてたら。」

なつ「分かってるから!」

茜「なっちゃん なっちゃんが頑張らないと!」

なつ「はい… 茜さん 本当にすいません。」

茜「ううん いいけど…。」

なつ「よし… 優 少しの間だからね 待っててね。」

(泣き声)

なつ「お願いします。」

茜「うん 行ってらっしゃい。 優ちゃん ほら ママ 行ってらっしゃ~いって。」

道中

坂場「大丈夫か?」

なつ「遅れるから 先行って。」

坂場「いつまでだって待つよ。」

なつ「もう大丈夫。」

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

なつ「おはようございます。 遅くなって すみません。」

堀内「作画監督 おはよう。」

なつ「堀内さん よろしくお願いします。」

堀内「よろしくお願いします。」

マコプロダクション

麻子「ともかく 明るくしてほしいってことなんだけど…。」

下山「う~ん でも これ 暗黒街の話だからね。」

坂場「カポネは ギャングの親玉だけど 主人公は 根が善人なわけですよね?」

麻子「そこが面白いでしょ。 ギャングの素質はあるのに 悪くなれないって矛盾してるところが。」

坂場「そこを もっと強調したらどうでしょうか。」

下山「強調?」

坂場「下山さんみたいに もっと 主人公を ひょうきんにするんですよ。」

下山「ちょ… ちょっと イッキュウさん 僕のどこが ひょうきんなわけ?」

坂場「ハードボイルドを意識し過ぎてませんか?」

下山「ハードボイルド 好きだからね。」

坂場「下山さんらしさが出てませんよ。 もっと 主人公は抜けててもいいと思います。」

下山「おい。」

坂場「そうして もっと愉快な話を増やしていけば 暗すぎるという今の評判を 変えることが できるんじゃないでしょうか。」

麻子「ハハ… イッキュウさん 大人になったわね。 そっちの方向で シナリオ書いてみてもらえる?」

坂場「分かりました。」

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

なつ「初めて作画監督を務めます 奥原です。 よろしくお願いいたします。」

一同「お願いします。」

なつ「では 早速ですが こちらが キックジャガーです。 そして 主人公の中神拳矢 そのライバルのブラックマンです。」

佐藤「原作の漫画よりも かっこいいじゃないの!」

なつ「はい。」

山川「こんな劇画タッチの画も 描けたんですね。」

なつ「はい。 こういう荒々しい画の方が 動きが制限されても 迫力が出るかと思いまして このまま動画にも使いたいんです。」

堀内「クロッキー調の線を生かすのか。 面白いかもしれないね。」

荒井「クロッキーやな。」

なつ「はい。」

「お願いします。」

なつ「(ため息)」

なつ「中島君。」

中島「はい。」

なつ「これ 上下の動きを もう少し大きくして。」

中島「はい。」

堀内「あっ なっちゃん。 元のより ちょっと うつむかしてみたんだけど。」

なつ「かっこいいです。 いいと思います。」

堀内「こっちの方がいいよね。」

なつ「はい。」

堀内「うん ありがとう。」

なつ「お願いします。」

中島「上下の動きって どういう…?」

なつ「それ 歩いてるカットだから…。」

中島「はい。」

中島「奥原さん すいません 確認お願いします。」

なつ「あ… はい。」

<作画作業に入ると その仕事は やはり 時間が いくらあっても 足りないものでした。>

中島「ブラックマンの こう強い感じっていうか…。」

なつ「う~ん… ちょっと原画を持ってきてくれる?」

中島「はい。」

下山家

玄関

(チャイム)

なつ「あ… ごめんなさい こんな時間になって。」

リビン

茜「さっき ちょうど寝たところよ。」

なつ「茜さん ごめんなさい。」

茜「いいのよ 大変なことは分かってるから。 仕事 持って帰ってきたの?」

なつ「あっ はい 終わらなくて… すぐ連れて帰りますから。」

坂場家

寝室

<なつよ よく戦っているぞ。>

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