ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第129話「なつよ、優しいわが子よ」【第22週】

あらすじ

なつ(広瀬すず)は仕事中に娘の優(増田光桜)が熱を出したと茜(渡辺麻友)から連絡が入る。仕事が忙しいなつは、麻子(貫地谷しほり)のもとで働く夫の坂場(中川大志)に連絡し、優を迎えに行ってもらおうとするが、連絡が取れない。その夜、なつが急いで仕事から帰ってくると、眠る優のそばに咲太郎(岡田将生)の姿が。なつは大事な時に優と一緒にいられないことを痛感し、作画監督を引き受けてしまったことを悩み始め…。

129ネタバレ

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

(電話の呼び鈴)

荒井「はい こちら『キックジャガー』。 なっちゃん 茜ちゃんや。」

なつ「ありがとうございます。 はい もしもし…。」

茜『なっちゃん ごめんね… 優ちゃん 少し熱があるみたいで。 今朝 優ちゃんの機嫌が悪かったって 心配してたでしょ? 大丈夫だとは思うけど 一応 言っておこうと思って。』

なつ「なるべく早く迎えに行きますから。 はい… すいません。 よろしくお願いします。」

茜『うん 分かった。 じゃ。』

荒井「はよ 帰ったりって 言いたいとこやけどな…。」

なつ「分かってます…。」

マコプロダクション

麻子「なっちゃん どうしたの?」

なつ『あの イッキュウさんは 今…。』

麻子「あ… イッキュウさん 今 脚本家との 打ち合わせで出かけてるんだけど。」

なつ『ああ… そうですか。』

麻子「何かあったの? もしかして 優ちゃんのこと?」

なつ『まあ…。』

麻子「どうしたの?」

なつ『ちょっと熱を出したみたいで…。 あ… いえ こっちで なんとかしますから。 はい…。』

坂場家

リビング

なつ「ただいま! お兄ちゃん ごめん。」

咲太郎「シ~… 眠ってるよ。」

なつ「どう?」

咲太郎「医者に連れてった。 ただの風邪だって。 薬をもらってきたから。」

なつ「あ…。」

咲太郎「のませたら落ち着いた。」

なつ「ありがとう… 今日は 本当に助かった。」

咲太郎「いつも こんなに遅いのか?」

なつ「今日は これでも 早めに切り上げてきた方だけど…。 今は 番組の放送前だから 直しも多くて大変なのよ。」

咲太郎「それは分かるけど… 優のことは ちゃんと見てるのか?」

なつ「見てるよ。」

咲太郎「見てるだけじゃダメだろ。 今日は 朝から様子がおかしかったって お前 ちゃんと知ってたそうじゃないか。 また そういうことがあっても 茜さんに預けるしかないのか?」

なつ「今度から 気を付けるようにするから。 優が病気の時は 一緒にいるようにするから。」

咲太郎「できるのか?」

なつ「できなくても そうするしかないでしょ? ねえ いちいち そんなこと言わないでよ 分かってるから!」

咲太郎「ごめん…。」

なつ「ごめんなさい 迷惑かけたのに…。」

咲太郎「俺は いいんだよ。 優は かわいいからな。 ただ なつが かわいそうで…。」

なつ「私が?」

咲太郎「こんなに かわいい優と いつも一緒にいられないのが…。」

なつ「お兄ちゃん…。」

咲太郎「お前は いい母親だよ。 余計なこと言って すまなかった。」

なつ「ううん。 ありがとう。 今日は 本当に助かった。」

咲太郎「うん…。 本当に かわいいな。 生まれた頃の千遥に似てるよな。」

なつ「そう思う? お兄ちゃんも。」

咲太郎「なつ… 優のことは 俺も一緒に守るからな。」

なつ「分かった…。」

咲太郎「おやすみ。 お前も ゆっくり休めよ。」

なつ「おやすみなさい。」

咲太郎「あ… いいから。 じゃあな。」

なつ「気を付けてね。」

咲太郎「うん。」

(戸の開閉音)

なつ「優… おいで。 よいしょ…。 ごめんね 優…。 ごめんね…。」

(戸が開く音)

坂場「ただいま。」

なつ「お帰り。」

坂場「そこで 咲太郎さんに会ったよ。」

なつ「うん。」

坂場「風邪だって?」

なつ「うん…。」

坂場「夕方 マコさんからも聞いたんだ。」

なつ「夕方? ねえ だったら どうして すぐ連絡くれないの。」

坂場「すまない…。 明日からは 僕が 家で仕事するよ。 そうできるように してもらってきたから。」

なつ「えっ…。」

坂場「明ちゃんに うつるから 預けられないだろ。」

なつ「大丈夫なの?」

坂場「大丈夫。 十分 打ち合わせはしてきたから。」

なつ「ごめんね…。 作画監督なんか やっぱり 引き受けなきゃ よかったかな…。」

坂場「何 言ってんだ。 子どもが 風邪ひくなんて 当たり前のことだよ。 そんなことで いちいち動揺してたら 子どもなんか育てられないよ。 2人で なんとかすればいいんだよ。 いや 優と3人で頑張ろうよ。」

なつ「ん? 急に どうしたの…。 お兄ちゃんに 何か言われたんだ?」

坂場「えっ? いや… 別に そんなことないよ。」

なつ「フフ…。 でも ありがとう。」

下山家

<夫婦の努力と みんなの思いやりで 優は また すぐに 元気を取り戻し おかげで 大きな病気もせずに すくすくと育っていきました。>

茜「優ちゃん お利口さん。」

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

<そして なつも 徐々に 自分らしく 働く母として育っていったのです。>

<3年がたち 昭和47年の9月になりました。>

昭和47(1972)年9月

坂場家

リビング

<優は4歳。>

テレビ『ヤベの回し蹴り 決まった! 挑戦者はどうだ!? 倒れない 倒れない! ヤベ もう一発 会心の一撃 決まった!』。

<『キックジャガー』は 見事に大ヒット 放送は 長く続いていました。>

優「キックジャガー!」

なつ「キックジャガー! 今度こそ お前を やっつけてやる!」

優「よし かかってこい!」

なつ「行くぞ~!」

優「えい!」

なつ「うわっ…。」

優「えい!」

なつ「おおっ… やられた…。」

道中

優「ママ足痛い。」

なつ「えっ?」

保育園

<優は3歳から やっと保育園に入ることができました。>

なつ「行ってきます。」

優「行ってらっしゃい。」

<しかし 保育園は 夕方の6時までで…。」

茜 明子「優ちゃん。」

優「茜さん!」

<なつの帰りが遅い時は 今でも 茜さんちで過ごしています。>

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

「すいません あの 真空蹴りのカットなんですけど チェックお願いしていいですか?」

なつ「あ…。 う~ん… これは預かるから 今日は帰っていいよ。」

「あ… すいません。」

なつ「うん。 堀内さん すいません 先に失礼します。 直しは持って帰りますから。」

堀内「うん 分かった。 お疲れさま。」

なつ「お疲れさまでした。 お疲れさまです。」

下山家

玄関

なつ「こんばんは。」

優「ママ お帰り。」

なつ「優 ただいま。 茜さん また遅い時間まで すいません。」

茜「優ちゃん 明子と一緒に ごはん済ませといたから。」

なつ「いつも 本当にすいません。」

茜「いいわよ 食費も もらってるんだから。」

道中

優「ねえ ママ。」

なつ「うん?」

優「公園で遊んでいこうよ。」

なつ「え? 優ちゃん もう暗いよ。 幽霊出るよ。」

優「ゆうれい?」

なつ「うん。 暗いお外で遊んでると 怖~い幽霊が出てくるんだから。 かわいい子は食べちゃうぞ~って。 ハハ… 早く帰ろう。 ママ お仕事しなくちゃいけないから。」

坂場家

リビング

優「ねえ ママ。」

なつ「うん?」

優「絵本読んで。」

なつ「うん いいよ。 じゃ 先に お布団入って待ってて。」

優「あっ キックジャガー!」

なつ「そう。 ママ キックジャガーを 今 勝たせちゃうから…。」

優「すごい!」

なつ「ね…。」

寝室

なつ「『いつもの位置に戻ってきて 皆な一緒に コケコッコ』。 『一件落着』。

リビング

なつ「優 何してるの? ねえ 優ちゃん…! ああ…!」

<なつよ 怒るな… 怒らないでやってくれ。>

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