ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第12話「なつよ、夢の扉を開け」【第2週】

あらすじ

離農寸前の天陽(荒井雄斗)たち一家を助けてほしいと泰樹(草刈正雄)に願い出たなつ(粟野咲莉)。なつの思いを感じた泰樹は天陽の畑を見に行くと言う。なつととにも畑を訪れた泰樹は、いくら耕しても作物は育たない土地だと言うが…。それから9年。かつての荒地は一面の美しい畑に生まれ変わっていた。その畑に馬に乗って駆けて来るのは、18歳になったなつ(広瀬すず)であった。

12話ネタバレ

柴田家

牛舎

なつ「お願いがあります。 天陽君を助けて下さい。 土に勝たせてあげて下さい!」

泰樹「無理だ。 土が悪すぎる。」

なつ「天陽君は 一人で頑張ってるの! 一人で 土を耕してるの! 天陽君を 誰が助けてくれるの!?」

翌朝

泰樹「今日 その… 土 見に行く。」

なつ「えっ? ありがとう! おじいさん!」

泰樹「分ったら さっさと働け。」

なつ「はい!」

山田家

なつ「おじいさん!」

天陽「こんにちは。」

なつ「どう?」

泰樹「やっぱり ダメだ。 この土では いくら耕しても 作物は育たん。」

なつ「本当に ダメなの?」

泰樹「このままでは ダメだ。」

なつ「どうすればいいの?」

泰樹「このくらいの土 わしは なんぼでも開墾してきた。」

なつ「大丈夫よ。 それなら大丈夫よね。 天陽君だって頑張れる。」

天陽「うん。」

泰樹「まあ 待て。 お前が頑張れても 親は?」

天陽「…。」

泰樹「今夜 お前の親に会いに来る。 言っておけ。」

天陽「はい」

なつ「おじいさん ありがとう。」

泰樹「搾乳の時間に遅れる。 行くぞ。」

なつ「はい。 それじゃ 天陽君 今夜 またね。」

天陽「うん。」

道中

泰樹「何じゃ?」

なつ「何でもない。」

なつ<私は このころから おじいさんのそばにいると 何も話さなくても 何となく 誇らしい気持ちになるのでした>

語り<そして なつたちは その夜 天陽君の家に集まりました。>

山田家

富士子「あの~ 奥さん。 これ ちょこっとだけど ニシンの干物と ジャガイモと 自家製のバターです。」

タミ「どうも すいません。 ありがとうございます。 助かります。」

富士子「ほんのちょこっとで ごめんなさいね。 バターは たまたま作っただけで。 ジャガイモゆでて それにつけて食べてみて下さい。」

なつ「おいしいよ とっても。」

天陽「うん。」

剛男「あの~ 東京から来て こっちの冬は こたえましたでしょう。 こう言っては なんですが この家で よく我慢なさいましたね。 あなた方は 強い。」

正治「河原で 石を拾ってきて それを焼いて ぼろきれで包んで 抱いて眠りました。」

剛男「そうですか…。」

正治「それでも 背中は 凍るように冷たくて 実際 起きると 子どもの背中に 雪が積もっていたことがあります。」

剛男「ああ…。」

正治「もう あんな思いはさせられません。 今年が ダメなら ここを離れるしかありません。」

剛男「どうです? 牛飼いは考えませんか?」

正治「牛飼い?」

剛男「酪農です。 今 こっちでは 農業と酪農の 両方やってる人が増えてるんです。 牛の糞尿が いい肥料になりますし どっちかが ダメな年でも どっちかで補えるようにしてるんです。」

正治「それは分かりますが でも どうやって 牛を 手に入れればいいんですか?」

剛男「それは…。」

正治「うちの息子が お宅のお嬢さんに 何を言ったか…。 ここに… ここにいたいと 言ったかもしれませんが それは 子ども同士の話ですよ。 我々が 真剣に話すことではないでしょう。」

泰樹「なぜ 真剣に話してはならん?」

富士子「父さん。」

泰樹「わしは ここにいる なつに言われて ここに来た。 この子に言われなければ 動きはせんかった。」

正治「だから何です? それは そちらの事情でしょう。」

剛男「そうですよ お義父さん。」

泰樹「わしの事情ではない。 なつの事情だと言っとるんだ。 それを 真剣に聞いてやることが なぜ いかん。 同じように あんたの息子にも 事情があるだろう。 それを 真剣に聞いてやれと そう言っとるんじゃ。」

正治「何を言いたいんですか?」

泰樹「ここの土は ダメだ。 今年も 作物は育たんだろう。 来年も ダメじゃ。 ちょっとやそっとのことで 土は よくならん。」

剛男「お義父さん 本当に 何が言いたいんですか? そんなに落ち込ませて!」

泰樹「それでも やる気があるなら 手はある。 3年か… 5年は かかるかもしれん。 それでも やる気はあるか?」

正治「むちゃを言わないで下さい…。」

天陽「僕はやりたい! お父さん それでも 僕はやりたいよ! 僕が頑張るから お父さんは 今の仕事を続けてていいよ。 僕がやる!」

正治「天陽 みんなの事情も考えろ。」

泰樹「事情なんか くそ食らえだ! 大人の事情で この子らはどうなった? この子らに 何をやったんだ 大人は! 今は せめて この子らが 何をやりたいのか 子どもの話だと思わずに そのことを 今こそ きちんと 大人が聞いてやるべきだろう。」

富士子「父さん…。」

陽平「お父さん 天陽は 本当に 農業がやりたいんだよ。 馬が死んだ時 一番悲しんだのは天陽なんだ。」

タミ「あなた… あなただって 本当は ここにいたいのよね? 離れたくないのよね? 私たち家族のために 諦めようとしてくれてたのよね? あれだけの覚悟をして ここまで来たんだもの!」

正治「皆さん どうか よろしくお願いします!」

泰樹「まずは あの切り株を取り除く。」

泰樹「それから 川上から水を引いて この土の酸を洗い流す。 まあ それには 何年もかかるだろう。 何年かかっても ここを 豊かな土地に生まれ変わらせる! この荒れ地を 我々の子孫に誇れる 美しい我が里の風景に変えんじゃ!」

一同「オ~!」

泰樹「起こせ! 起こせ! 起こせ!」

一同「そ~りゃ! そ~りゃ!」

タミ「頑張って!」

天陽「頑張れ~!」

一同「そ~りゃ! そ~りゃ!」

タミ「天陽!」

天陽「ううっ… そ~りゃ!」

一同「そ~りゃ! そ~りゃ!」

なつ「動いた!」

なつ<私には まるで その人たちが 歌っているかのように見えました。 開拓者の力強い歌が 聞こえてくるようでした>

一同「そ~りゃ!」

泰樹「起こせ!」

一同「そ~りゃ!」

泰樹「もっとだ! もっと引け! もっと!」

なつ「そ~りゃ!」

天陽「うわっ…。」

泰樹「馬小屋は片づけたか?」

天陽「はい!」

泰樹「これが お前の馬だ。 畑が出来上がる頃には よく働くようになるべさ。」

天陽「お金は?」

泰樹「お前が この馬を育てて 稼いだら 返せばいい。」

天陽「はい!」

泰樹「おい… どうした? なつ。」

なつ「おじいちゃん 大好き。」

泰樹「フフフ。 ハハハハ…。」

語り<そして 9年の月日がたちました。>

なつ「天陽君!」

天陽「おう なっちゃん!」

<なつの人生は まだまだ これから。 今は 青い春を迎えたばかりです。 ああ なつよ 大いに生きよ。 来週に 続けよ。>

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