あらすじ
なつ(広瀬すず)は娘の優を連れて天陽(吉沢亮)の家を訪ねる。山田(戸次重幸)とタミ(小林綾子)は、あの日の夜のことをなつに語りだす。これからの生活のために、離農を考えているという山田に、陽平(犬飼貴丈)も同意するが、靖枝(大原櫻子)はこの土地から動きたくないと訴えかけ、あの晩帰ってきた天陽の思いを語りだす。やがて、天陽のアトリエで一人になったなつは、天陽の描いた自画像と向き合い…。
135話ネタバレ
山田家
馬小屋
優「ママ ほんものだ!」
なつ「え…?」
優「ほんもののお馬さんがいるよ! ねえ ママ これが ほんものでしょ? ほんもののお馬さん やっと見られたね ママ。」
なつ「優… どうして これが本物だと思ったの? 動かないのに…。」
優「だって… 絵を動かすのは ママのお仕事でしょ? ママ 泣かないで…。 ママ…。」
居間
タミ「あの日は 夜に突然 病院から帰ってきてね…。 退院が 来週に決まったって… それで 待っていられなくて あの子は 絵を描きに戻ってきたって…。」
正治「したけど そんな事実はなかったのさ。」
なつ「えっ?」
正治「病院に確かめたら… 来週 退院だなんて 言われていなかったんだわ。」
剛男「うそだったんですか?」
正治「ええ。」
富士子「どうして そんな…。」
タミ「あの子は 分かったんだと思います。 自分がもう ダメなことを…。」
正治「医者が もうダメだということを いつ告げようかと考えていたそうです。」
タミ「それで あの子は 最後に 家族に会いたくて… ここへ 帰ってきてくれたんだと思います。 あの体で 自転車に乗って… 家族のもとへ帰って来たんでしょう…。」
回想
道夫「父ちゃん!」
彩子「父ちゃん!」
天陽「道夫 彩子 元気にしてたか? ただいま。」
道夫「お帰んなさい。」
彩子「お帰んなさい。」
回想終了
正治「天陽は 生活のために 絵を売っていましたから… 天陽は 最後まで 家族のために 絵を残そうとしたのかもしれません。」
剛男「あの… これから どうなさるおつもりですか?」
正治「あいつが いなくなっては… 離農するしかないと考えてます。」
剛男「離農ですか…。」
タミ「陽平とも相談して それしかないかと…。」
陽平「靖枝ちゃん 道夫と彩子のことはね 天陽の絵を 全部売れば 当面の生活には 困らないだろうって 画廊の人が…。」
靖枝「嫌です! 私は 絶対に ここから動きませんから!」
陽平「靖枝ちゃん…。」
靖枝「あの人の絵も 絶対に売りません! 嫌です…。」
正治「したけど あんた どうやって…。」
靖枝「お義父さん! お義母さん! あの人は ここに帰ってきたんですよ! 帰ってきたんです! 家族と一緒に… いるために…。 陽ちゃんは 自分の畑で亡くなったんです…。 私には 陽ちゃんが あの日… 自分の命を この土地に… 土に… 命を まくために 帰ってきたとしか思えません。」
道夫「じいちゃん 僕がやる! 母ちゃんを助けて 僕が働くから! ここにいたいよ!」
彩子「私も働く! ここにいたい!」
タミ「そんな… 昔の天陽みたいなこと…。 (泣き声)」
正治「それなら じいちゃんだって働くさ…。」
陽平「父さん…。」
正治「この家族の言葉が… きっと あいつの遺言なんだろう。」
靖枝「はい…。」
馬小屋
なつ「陽平さん…。」
陽平「好きなだけ あいつの絵を見てやってくれ。 こんなふうに… あいつは ずっと ここにいたんだよな。 ここは あいつそのものだ。 絵を描いて売ることも あいつは 自然なことだと言ってたよ。」
なつ「自然…?」
回想
天陽「なあ 兄ちゃん。」
陽平「うん?」
天陽「こうやって 売るために 絵を描くことだって 狩りみたいなもんだよな。」
陽平「狩り?」
天陽「家族のために狩りをしてると思えば それも 自然なことだろ。」
回想終了
陽平「じゃあ なっちゃん 俺は向こうにいるから。」
なつ「はい… ありがとうございます。」
居間
彩子「優ちゃん 頑張れ!」
彩子「おっ すごい! よいしょ…。」
剛男「お~ 優ちゃん 頑張れ。」
ジャガイモ畑
泰樹「天陽に 会いに来た。 天陽は ここにおる…。 そのことを あんたが忘れなければ 天陽は いつまでも生きていられるべ。」
靖枝「はい…。」
泰樹「わしの中にも 天陽はおる…。」
山田家
馬小屋
天陽<どうしたんだよ? なっちゃん>
なつ「どうしたのは そっちでしょや…。」
天陽<アニメーターをやめたいって 悩んでるのか?>
なつ「うん…。」
天陽<それなら 答えは もう出てるだろう>
なつ「また 天陽君の答えを教えてよ。」
天陽<優ちゃんが君の答えだろう? 今は>
なつ「優が…?」
天陽<絵を動かすのが 君の仕事だって 優ちゃんに言われたんだろ? それで十分でないかい>
天陽「だって 今のなっちゃんを動かしてるのは 優ちゃんだろ? したら なっちゃんは 優ちゃんのために 狩りをすればいいだけだべさ。」
なつ「狩りを?」
天陽「なっちゃんは ここを旅だった あの日から ずっと… 俺との約束を守ってくれたべさ。」
回想
天陽「なっちゃん… どこにいたって 俺と なっちゃんは 何もない 広いキャンバスの中で つながっていられる。 頑張れ! 頑張ってこい なっちゃん。」
回想終了
天陽「これからも頑張れ… なっちゃん。」
なつ「天陽君…。 ありがとう…。 ありがとう… 天陽君。」
<なつよ… まだ 何も終わってはいなかったな。>
なつ「うん…。」