ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第137話「なつよ、天陽くんにさよならを」【第23週】

あらすじ

娘の優の言葉に背中を押されたなつ(広瀬すず)は、すぐに東京にいる坂場(中川大志)に電話をかけ、いつしか坂場から手渡された本をアニメーションにしたいと告げる。そんな時、札幌の放送局で働く明美(鳴海唯)が十勝に帰省し、久しぶりに柴田家で家族が勢ぞろいする。やがて、話題はなつと妹の千遥の話になり、なつは千遥のためにもまだまだアニメーションを辞めてはいけないと改めて心に誓うのだった…。

137ネタバレ

坂場家

リビング

なつ「『大草原の小さな家』? 開拓者の話?」

坂場「一緒に やってみないか?」

柴田家

子ども部屋

天陽<絵を動かすのが 君の仕事だって 優ちゃんに言われたんだろ?>

優「これ ママが描いたんでしょ? 優ちゃん これ見たいよ ママ!」

なつ「見たいの? 優 これ見たい?」

優「うん 見たい!」

坂場家

リビング

(電話の呼び鈴)

坂場「はい もしもし 坂場です。」

なつ『あっ 私。 よかった。 まだ行ってなくて。』

坂場「どうしたの?」

なつ『あの企画 まだ動いてない?』

坂場「あの企画?」

なつ『ほら… 「大草原の小さな家。」』

坂場「ああ… まだ企画書も出来てないよ。 だから 通ってもいない。」

なつ『それ 私がやりたい。』

坂場「えっ?」

なつ『私に やらせてほしいの。』

坂場「うん… 分かった。」

なつ『あっ 今すぐは無理だけど…。』

坂場「分かってる。 慌てなくてもいい。 あとは 帰ってから話そう。」

なつ『うん…。』

坂場「大丈夫そうだな?」

なつ『うん… じゃあね。 行ってらっしゃい。』

坂場「うん。 行ってきます。」

柴田家

居間

富士子「なつ。」

なつ「母さん…。 私… やっぱり 仕事を続けるわ。」

富士子「答えが出たんだね。」

なつ「うん…。 また 天陽君に 答えを教えてもらっちゃった。」

<それから 土曜日の晩です。>

剛男「やっぱり 子どもたちが帰ってくると にぎやかで いいな。」

富士子「うん。」

<明美ちゃんが 札幌から帰ってきました。>

明美「えっ なつ姉ちゃん 月曜日に もう帰っちゃうの?」

なつ「うん… もう少し いようかと 思ってたんだけど 仕事が気になりだして。」

明美「何さ もっと いればいいのに。」

富士子「あんたこそ 明日 もう帰っちゃうんでしょ? 札幌に。」

明美「私は 月曜日から仕事。 なつ姉ちゃんは やっと 夏休みが取れたんでしょ。 優ちゃんだって もっと こっちにいたいよね?」

優「ママは忙しい人だから 優ちゃんは わがままを言わず ママを助けてあげなくては いけません。」

富士子「えっ…。」

剛男「おお…。」

明美「なつ姉ちゃん そんなこと言わせてんの?」

なつ「ううん 勝手に。」

富士子「きっと 光子さんの教育だわ。」

剛男「優ちゃんの周りには 強い女性ばかりいて 頼もしいな。」

照男「柴田家の女も強いからな。」

砂良「男が弱いだけでしょや。」

剛男「まあ 男は弱いふりして 本当は強いのが 真の男だ。」

富士子「えっ ず~っと弱いふりしてたの?」

剛男「そうだよ。 何で気付かないのさ。」

なつ「したけど 明美ちゃんが こんなに強くなるとは思わんかったね。」

明美「うん?」

なつ「女子大出て 本当に信さんの後 追って 放送局に入るんだもん。 女で 仕事をしていくのは大変でしょ?」

明美「大変なんてもんでないよ。 どこの部署も 男だけの猿山みたいなんだから。」

富士子「いい人いないのかね? その中に。」

明美「なして そういう発想になるかね 母さんは。 女は 結婚のために生きてるわけじゃ ないべさ これからの時代は。」

照男「お前 だんだん 夕見子に似てきたな。」

明美「夕見姉ちゃんは 結局 中途半端だったわ。」

なつ「そんなことないよ 明美ちゃん。 夕見だって ちゃんと 自分の人生を生きて 結婚だってしたんでしょや。」

明美「そうかもしれないけど… 仕事してると 男が どんどん小さく見えてきて。」

剛男「まあ 男は小さいふりして…。」

照男「おやじが言うと 説得力ないもな。」

泰樹「なつは ずっと 仕事を続けていくんか?」

なつ「うん…。 本当はね じいちゃん もう辞めてもいいかと 思ってたんだわ。 でも… 天陽君と話して また やりたくなったの。 やるって決めた。」

泰樹「そうか。」

明美「いつ話したの? 天陽君と どこで?」

なつ「いつでも。 どこでもさ。」

明美「ん? どういうこと?」

富士子「分かんないの? あんた それでも テレビ局務まるの?」

明美「なしてさ… テレビは 曖昧な表現が許されないの。」

砂良「なっちゃんは 仕事を続けるべきだと思うわ。」

なつ「砂良さんも そう思う?」

砂良「だって… なっちゃんの作品を きっと 千遥ちゃんも どこかで見てると思うから。 きっと 千遥ちゃんは それを見て なっちゃんが 元気でいることを知って 安心してるんでないかな。」

富士子「そうだね… きっと そうだと思うわ。」

地平「ちはるちゃって なつおばさんの妹?」

砂良「あんたが おなかにいる時 一度 ここを訪ねてきてくれたのよ。」

地平「その話は 子どもの頃に聞いたよ。」

なつ「北海道まで 会いに来てくれたんだもんね 一度は…。 私は 作品を作りながら 千遥に呼びかけていたんだわ ずっと…。 私は ここにいるからって…。 また会いに来てねって…。 それを やめるわけにはいかないわ。」

富士子「うん…。」

なつ「ハハ…。」

砂良「優ちゃんには 頼もしい女の連合軍が ついてるから大丈夫さ。」

優「うん!」

(笑い声)

マコプロダクション

麻子「これは?」

坂場「企画書です。」

麻子「企画書?」

坂場「『大草原の小さな家』を やりたいと思います。」

麻子「それって もしかして…。」

坂場「はい。 奥原なつが その気になりました。」

麻子「なっちゃんが…。 それは つまり… うちに来てくれるってこと?」

坂場「そうです。」

麻子「東洋動画 辞める気になったの?」

坂場「今すぐにというわけには いかないでしょう。 恐らく 今 取りかかってる作品が 終わってからだと思います。 だけど 自分から これを やりたいと言いだしたんです。」

麻子「イッキュウさんのため ということでもないのね?」

坂場「違います。」

麻子「そう…。 なら 大歓迎よ。」

神地「おお なっちゃんが来んのか!」

下山「ハハハ… 面白くなるな!」

桃代「だけど 東洋動画は泣きますよ。」

神地「泣かされてきたのは なっちゃんや俺たちだよ!」

下山「まあ まあ まあ まあ… 東洋動画の悪口言うの やめようよ。 俺たちの故郷じゃない。 ね それに なっちゃんは 辞めたがってるわけじゃないでしょう。 こっちを やりたがってるんでしょ?」

麻子「それにしても よく決心したわね なっちゃん。」

坂場「北海道に行って 決心をしたんです。 だから 間違いないと思います。」

麻子「原案? 『大草原の小さな家』は 原作じゃなくて原案なの?」

坂場「はい。 この小説は あくまで 原案にしたいと思います。 この作品の世界観の中で 我々が生きられる物語を これから生み出したいと思います。」

坂場家

玄関

なつ「できた? 鍵 頂戴。」

優「はい。 よいしょ…。」

なつ「ただいま!」

優「パパ いないよ。」

なつ「いなくても パパに ただいまって言いたいでしょ。」

優「ただいま! パパ ただいま!」

なつ「ハハ…。 よいしょ…。」

リビング

坂場「これを天陽君が?」

なつ「うん。」

坂場「この少女は…。」

なつ「それを描いてみたくなったの。 その絵と あの物語が重なったのよ。 それで どうしても描いてみたいと 思ったのさ。」

回想

天陽「アニメーションの世界は 僕には分かりません。 なっちゃんと生きられるのは イッキュウさんだけなんです。 どうか なっちゃんのこと よろしくお願いします。」

優「パパ お帰り!」

坂場「あっ 優! お帰り!」

優「ただいま!」

坂場「おお…。 楽しかったか?」

優「うん! あのね ほんもののお馬さん見たんだよ。」

坂場「お~ そうか よかったな。」

なつ「天陽君の絵なのよ それ。」

坂場「えっ?」

なつ「天陽君が 最後に描いた絵も やっぱり馬だった。 それを見て 優は 本物だって言ったのよ。」

坂場「優… それが本物だって よく分かったな。 偉いぞ! ハハ…。 そうか お馬さんいたか。」

優「うん。」

坂場「これが企画書だ。」

なつ「もう書いたの!?」

坂場「舞台は日本 北海道にする。」

なつ「えっ?」

坂場「北海道を舞台にして その物語を創ってみたいんだ。」

<なつよ また新たな物語が 始まりそうだな。>

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