あらすじ
十勝に帰省中のなつ(広瀬すず)から、新しい企画に参加したいと言われた坂場(中川大志)は、なつたちが帰ってくる前に企画書を書き上げる。舞台は北海道、ささやかな日常を懸命に生きる開拓者たちの話だという。マコプロに企画を提出すると、麻子(貫地谷しほり)は、なつが作画監督ならば、企画を進めると坂場に告げるのだった。一方、なつは、これまで育ててもらった仲(井浦新)に、東洋動画を辞めたいと告げるのと…。
138話ネタバレ
坂場家
リビング
坂場「これが企画書だ。」
なつ「もう書いたの!?」
坂場「舞台は日本 北海道にする。」
なつ「えっ?」
坂場「北海道を舞台にして その物語を創ってみたいんだ。」
なつ「北海道の開拓者の 家族の話にするってこと?」
坂場「そう。」
なつ「だから… 私に やってほしかったの?」
坂場「というより 僕も柴田家の家族に 影響を受けてるんだと思う。 柴田家だけじゃなく 天陽君や 十勝の人々に…。 この日本にも ささやかな日常を 一生懸命に生きている 開拓者たちがいることを その作品を通して描きたいんだ。 リアルに もちろん アニメーションにしかできない表現で…。 それをできるアニメーターは 誰かと考えたら 君しかいないだろ。」
なつ「本当に そんな企画通るの?」
坂場「マコさんは 賛成してくれた。 必ず企画を通すって。 ただし マコさんの条件も 君が 作画監督を 引き受けてくれるならということだ。」
なつ「作画監督を?」
坂場「うん。 下山さんも 神っちも それなら この作品に 協力したいと言ってくれたよ。」
なつ「下山さんも神っちもいるのに 私が作監をやるの?」
坂場「君に やる気があればの話だけどね。」
なつ「分かった…。 イッキュウさんが 演出をしてくれるなら 是非 やってみたい…。 やりたい。」
坂場「この絵を 君が受け継ぐんだ。」
<こうして なつは決意したのです。>
東洋動画
映画班 作画室
なつ「仲さん。」
仲「なっちゃん おはよう。」
なつ「おはようございます。 あの… お昼に少し 時間を取って頂けないでしょうか?」
仲「いいよ。 僕は弁当だけど。」
なつ「私もです。」
仲「うん じゃ 一緒に食べようか。」
なつ「はい。」
休憩室
仲「一体 どうしたの? 話したいことがあるんでしょ?」
なつ「はい…。」
仲「言ってごらんよ。」
なつ「はい…。 実は… 辞めたいんです。 この会社を辞めようと思ってます。」
仲「それは アニメーターをということ?」
なつ「違います。 この仕事は続けたいと思ってます。 アニメーターは やめません。」
仲「うん つまり… ほかで やりたいということか。」
なつ「はい そういうことです…。」
仲「そうか… 君もか。」
なつ「申し訳ありません。」
仲「どうして謝るの?」
なつ「私は 仲さんのおかげで… 皆さんにも 力になってもらって この会社で 仕事を続けることができました。 それを裏切ることになります。」
仲「なっちゃんは それを 裏切りだと思ってるの?」
なつ「えっ?」
仲「この会社を裏切りたいとか 僕たちを裏切りたいと思ってる?」
なつ「そんなことは思ってません。」
仲「だったら その選択は 裏切りじゃないよね?」
なつ「仲さん…。」
仲「マコちゃんのところに行くのか。」
なつ「はい… どうしても やってみたい企画があって。」
仲「そう… うん それでいいと思うよ。」
なつ「いいですか?」
仲「アニメーターは もう 一つの会社に こだわってる時じゃない。 それより 一つの作品に こだわるべきだろう…。」
なつ「はい…。 私… 仲さんの弟子でよかったです。」
仲「弟子?」
なつ「はい。 自分で 自分の道を 決めるしかなくなっても 弟子は弟子ですから。 これからも 一生 そのつもりです。」
仲「弟子か…。 弟子なら 話が違ってくるな。」
なつ「えっ?」
仲「それは やっぱり裏切りだよ。 冗談だ。」
なつ「はあ… 仲さんには 一番 冗談が似合わないんですから。 冗談を言う時は 冗談だという雰囲気を 出してもらわないと 誰も笑いませんよ。」
仲「あ… そうか? いや… 今まで生きてきて 気付かなかったな。 うん… 今度から そうしてみよう。」
(笑い声)
社長室
なつ「これは… 純粋に 私のわがままです。 どうか お許し下さい。」
テレビ班 作画室
佐藤「奥原さん!」
なつ「あっ はい。」
佐藤「社長に 退職願を出したんですって?」
なつ「はい…。」
佐藤「そういうことは 私は通してくれないと… いや 困るよ!」
なつ「すいません…。」
佐藤「本当に困るよ。 君 大事な戦力なんだから…。 『魔界の番長』だって 大変好調なんだよ。」
なつ「はい。」
佐藤「この番組は 最後まで やってくれるんだよね?」
なつ「はい そのつもりです。」
佐藤「何たって 君は 主要なキャラクターを作り出した メインの作画監督なんだから!」
なつ「はい。」
堀内「あっ あの… 私が 作画監督を やってはいけないでしょうか?」
佐藤「奥原さんの代わりに?」
堀内「代わりはできませんけど たとえ 奥原さんが抜けたしても その穴を埋めることは できるかと思います。」
なつ「堀内さんなら 絶対にできます。」
佐藤「分かりました。 放送は この先 どこまで続くか まだ分からないけども どこかで 堀内君にも 作画監督をやってもらいましょう。」
堀内「分かりました。」
佐藤「辞めんのか…。 もう できる人から辞めていくな この会社は。」
荒井「取らんといて!」
なつ「堀内さん… すみません。」
堀内「いや いいんだよ。 とっさに チャンスだと思っただけだから。」
なつ「それなら ありがたいです。」
堀内「少しは なっちゃんの負担も 減らすことができたか?」
なつ「はい すいません。」
堀内「しかし なっちゃんが辞めるなんて…。 やっぱり 子育ては大変だよな。」
なつ「いえ… マコプロに移るんです。」
中島 堀内「ええっ!」
荒井「ほんまに!?」
なつ「すいません… 皆さんに このような形で報告することになって…。 あっ でも この作品は最後まで 手を抜かずにやりますので 皆さん どうか こらからも よろしくお願いします。」
堀内「よろしくお願いします…。」
中島「お… お願いします。」
なつ「じゃ すいません…。」
中島「えっ…。」
堀内「よし。」
中島「ちょっと 堀内さん 堀内さん…。」
風車プロダクション
(ノック)
なつ「遅くなりました。」
優「ママ お帰りなさい!」
なつ「優 ただいま。」
光子「お疲れさま。」
咲太郎「お疲れ。」
なつ「あれ 今日は2人だけ? お待たせしちゃって ごめんなさい。」
咲太郎「優と ゆっくり遊べて楽しかったな。」
優「うん。」
光子「なっちゃんは大丈夫? 大変だったでしょう?」
なつ「いいえ…。 お兄ちゃん 光子さん 私 来年になると思うけど また イッキュウさんと一緒に 作品を作ることにしたから。」
咲太郎「えっ…。」
光子「イッキュウさんと?」
優「パパと作るの?」
なつ「うん そうだよ。 また 新しいことに挑戦することにした。」
咲太郎「北海道で そう決めたのか?」
なつ「うん… 優と そう決めたの。」
優「あれ作るの?」
なつ「そうだよ。」
優「やった~!」
なつ「ハハハ…。」
咲太郎「よく分かんないけど お前も よかったみたいだな 北海道。」
なつ「うん。」
光子「それなら その作品に うちの声優を使ってちょうだいね。」
咲太郎「お~ それは頼むぞ!」
なつ「分かった… 頑張る。」
道中
なつ「優… ママは ずっと お仕事するからね。 優には これからも 寂しい思いを させちゃうかもしれないけど これからも 絵を動かしていくからね。」
優「うん いいよ。 ママ 大好き。」
なつ「ママも 優ちゃん大好き。」
優「でも 番長は嫌い。」
なつ「えっ? 番長も いいやつだよ。 行こう。」
<なつは 年が明けた 昭和49年の3月まで 東洋動画で働きました。 ああ なつよ そしてまた 新たなキャンバスに向かえよ。 来週に続けよ。>