ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第139話「なつよ、この十勝をアニメに」【第24週】

あらすじ

なつ(広瀬すず)が東洋動画を辞める日。なつは、仲(井浦新)や井戸原(小手伸也)、堀内(田村健太郎)たちと挨拶を交わし、これまで仲間とともに試行錯誤してきた日々を思い出す。アニメーターに拍手で見送られる中、なつは18年間勤めてきた東洋動画を去るのだった。そして、いよいよマコプロに入社したなつ。麻子(貫地谷しほり)や坂場(中川大志)や神地(染谷将太)たちと、満を持して新しい企画に挑戦するのだった…!

139ネタバレ

東洋動画スタジオ

テレビ班 作画室

<昭和49年3月 なつが 18年勤めた 東洋動画スタジオを 去る日がやって来ました。>

昭和49(1974)年3月

<なつが 仲間と共に作った アニメーションの数々が この部屋から生まれました。>

『キラキラアニー!』

(ゴング)

『うあああ…!』

堀内「なっちゃん これからも頑張れよ。」

なつ「皆さんも どうか頑張って下さい。」

堀内「お世話になりました。」

一同「お世話になりました。」

なつ「荒井さん。 荒井さん 本当にお世話になりました。」

荒井「わしも これで定年や。 なっちゃんと 最後まで仕事できて ほんま楽しかった。」

なつ「きつかったの間違いじゃないですか?」

荒井「あほ! それが 楽しいゆうことやないかい。」

(笑い声)

なつ「はい。 ありがとうございました。」

荒井「よし じゃ 荒井さん得意のアメちゃんや。」

なつ「えっ そんな ちょっと 待って 待って…!」

社長室

(ノック)

なつ「長い間 お世話になりました。」

佐藤「あなたの退社は 我が社にとっては 大変な痛手です。」

なつ「申し訳ございません。」

佐藤「ただ 私のあなたに対する敬意は 変わることはありません。」

なつ「佐藤部長…。」

(ゴング)

佐藤「お見事!」

(拍手)

井戸原「なっちゃん。 これだけは 忘れないでもらいたい。 奥原なつは 我々と同じ東洋動画出身の アニメーターであるということを。」

なつ「決して忘れません。 本当に お世話になりました。 ありがとうございました。」

仲「なっちゃん。」

なつ「仲さん…。 ありがとうございました。」

仲「君を この世界へ 誘ってよかったんだよね?」

なつ「仲さんと出会えなかったら 私は 私になれませんでした。」

山川「奥原なつさん。 多大なるご貢献に 心より感謝いたします。」

なつ「こちらこそ…。 ご恩は 一生忘れません。」

回想

仲「ようこそ アニメーションの世界に。」

下山「バン! バン!」

なつ「おお…。」

麻子「まだなの? ここからの遅れは 仕上に迷惑かけるばかりだからね 分かってる? 奥原さん。」

なつ「分かってます。 今 描いてます…。」

麻子「手 休めないで答えなさいよ。」

下山「みんなで乗り切ろう。」

坂場「ありえないことも 本当のように描くことです。 違う言い方をするならば ありえないことのように見せて 本当を描くこと…。」

なつ「どんなに ありえないことも 本当らしく見せる動きがある。 大きなうそから 真実を描き出す… それをできるのは アニメーションしかない!」

回想終了

道中

なつ「あ… ねえ 優 走ろっか。」

優「うん!」

なつ「よ~い…。」

なつ 優「どん!」

坂場家

リビング

坂場「は~い。」

なつ 優「おお~!」

なつ「いい香り…。」

坂場「長い間 ご苦労さまでした。」

なつ「ありがとう。」

坂場「うん。」

優「ご苦労さまでした。」

なつ「ありがとう。」

坂場「それじゃ…。 乾杯!」

なつ 優「かんぱ~い!」

坂場「お疲れさまです。」

なつ「はあ… 幸せな日だった。」

坂場「君は ちゃんと 作品を成功させて終わったからな。」

なつ「いや そういうことじゃないと思う。」

坂場「うん…。」

なつ「あなたと作った作品だって あの会社に残ってるでしょ。」

坂場「うん。」

なつ「私にとって どれだけ あの会社に入れたことが 幸せだったかってことを みんなが感じてくれたんだと思う。」

坂場「みんな 自分のことのように 君を送り出してくれたってわけか。」

なつ「うん… そうかもしれない。」

優「ママ 幸せなの?」

なつ「うん。 ママ とっても幸せだよ。」

優「優ちゃんも幸せ。 パパは?」

坂場「うん? パパは 優ちゃんと ママが幸せなら それで幸せだよ。」

優「自分の幸せは 自分で決めなさい!」

なつ「アッハハハ…。」

坂場「どこで覚えてくるんだ そういうこと…。 よし… 熱っ!」

マコプロダクション

<マコプロに入社した なつは 再会した仲間と すぐに 新しいアニメに取りかかりました。>

麻子「なっちゃんまで そろうと 何だか 一気に懐かしくなるわね。」

坂場「それでは 企画を説明します。 え~ タイトルは 『大草原の少女ソラ』で いきたいと思います。 ソラは 主人公の名前です。 原案どおり 開拓者一家の娘の目を通して 物語を描きます。」

なつ「ソラは 日本の人なの?」

坂場「名前に関しては 純和風でない方がいいだろう。」

神地「太郎や花子じゃ 昔話みたいだしな。」

下山「ソラ。 ソラちゃんか。 和風でもあり 洋風でもあって 親しみやすい いいじゃない。」

なつ「いつごろの話?」

坂場「時代は 大体 大正から昭和にかけて 舞台は 日本の北海道でも 作品自体は どこの国で見られても リアリティーを感じてもらえるような 開拓者の家族の日常を 描きたいと思っています。」

麻子「テレビ局にも スポンサーにも そう説明してある。 やるなら スポンサーは 一社提供で その会社名の冠がついた ミルコスまんが広場しかないと思ってた。」

坂場「日曜日の夜 ゴールデンタイムです。」

桃代「すご~い!」

下山「え… よく その枠が取れましたね。」

麻子「ミルコスの社長が 北海道の開拓者の生まれなの。」

なつ「え…。」

麻子「それが 決め手となって テレビ局を説得することもできた。 そして これは 関東プロダクションを通さない マコプロが独自に制作する テレビ漫画の第1作目になります。」

なつ「企画も制作も マコプロダクションですか。」

麻子「そういうこと。 だから 内容を 自分で自由に決められる分 絶対に 失敗はできないの。 放送は半年後 10月から9か月を予定しています。 視聴率が悪ければ 打ち切られることもあるけど…。 いいわね? 必ず いい作品にしましょう!」

一同「はい!」

麻子「それじゃ 作品の方針を イッキュウさんから。」

坂場「はい。 演出は 全て 私がやります。 僕だけじゃない。 ここにいるメインスタッフは 最後まで変わらずに 一つの作品を創り上げたいんです。 とことん 自分の世界を突き詰めてもらいたい。 奥原なつには全てのキャラクターデザイン 作画監督を委ねたい。 一人で 全てのカットに 責任を持ってもらいたい。」

なつ「分かりました。 よろしくお願いします。」

一同「お願いします。」

坂場「そして モモッチには 色指定と仕上げの検査を お願いします。」

桃代「分かりました! 頑張ります。」

なつ「モモッチ よろしくね。」

桃代「うん。 やってやるわ!」

坂場「それから 美術監督として 山田洋平さんを迎えたいと思います。」

なつ「えっ?」

下山「え… 山田洋平さん 来てくれるの!?」

麻子「彼は 私の同期でもあるの。 その縁もあって うちに来てくれることになりました。」

なつ「また 東洋動画から…。」

麻子「自分の意志よ。 私が 強引に引き抜いたわけじゃないからね。」

神地「陽平さんなら間違いないよ! 何たって 地元なんだから。」

なつ「実は 私も 美術は 陽平さんしかいないと思ってました。」

陽平「勝手に 記憶の中の風景を 描いたものだから 参考になるかどうか分からないけど…。 どう? あまり テレビ漫画の背景だということを 意識せずに描いたんだけど。」

坂場「それでいいんです。」

なつ「とても すてきです。 ここまで 十勝の空気を 絵に出せるのは やっぱり 陽平さんだからです。」

桃代「本当ね。 テレビ漫画とは思えない。」

坂場「それじゃ 北海道に ロケハンに行きましょう。」

麻子「えっ…。」

坂場「この風景を アニメーターも 実際に見るべきです。」

神地「うん ロケハンは 絶対に必要だよ。」

下山「いろんなもんを 実際に見といた方が いいかもね 人間とか動物どかも。」

麻子「ちょっ… ちょっと待ってよ! そんな予算 どこにあるのよ?」

なつ「あ… 十勝なら 交通費だけで なんとかなるかもしれません。」

柴田家

しばた牧場

<というわけで なつたちは 開拓家族の暮らしを取材するため 十勝にやって来ました。>

優「みんな早く!」

下山「アッハハ… ごめん ごめん。」

<なつよ ここから また 新しい君が始まりそうだな。>

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