あらすじ
なつ(広瀬すず)や坂場(中川大志)が手がけた「大草原の少女ソラ」の放送が始まった。泰樹(草刈正雄)や富士子(松嶋菜々子)たちの柴田家や、小畑家と亜矢美(山口智子)、山田家の人々がそれぞれの思いで放送を見ていた。放送終了後、プロデューサーの麻子(貫地谷しほり)は、テレビ局で、視聴率と評判を聞いてくる。その評判とは…。そして、ある女の子がマコプロにやってくる。
144話ネタバレ
坂場家
リビング
<なつたちの新しいテレビアニメの放送が 始まりました。>
♬『まぶしい大地に広がる空 風は優しさ 運んでくれる 森は心を 育ててくれる 昨日の涙と 明日の笑顔は きっと友達』
雪月
亜矢美「カスミねえさん…!」
雪次郎「あ~!」
♬『ラララ ラララ』
柴田家
居間
富士子「あっ 始まった。」
ソラ『父さん あと どのくらい?』。
父さん『もう少し上流に行くと 町が見えてくるはずだ』。
地平「あっ ひいじいちゃん そっくり。」
ソラ『あそこ! 鳥たちが戻ってきているわ! あなたたち うれしそうね フフフフ…。』
父さん『ハッ!』
ソラ『うわっ!』
母さん『ソラ ちゃんと つかまって。』
父さん『地面全体が ぬかるんでいる。 どうやら この辺りも 川の水に流されたんだ。』
母さん『ここに暮らしていた人たちも 無事に逃げていればいいのだけど…』。
(鳴き声)
ソラ『あそこ! 生きてる! 生きてるわ 父さん! 助けを呼んでる! 早く! 早く助けなきゃ 父さん!』。
父さん『この子の親は流されて ダメだったようだ。 母さん すぐに あたたかいものを』。
母さん『まずは びしょぬれの服を替えましょう。』
父さん『レイ… お前は 俺たちと一緒に行こう 新しい土地へ。』
レイ『僕には… 行く場所なんて どこにもないんだ!』
ソラ『あっ… レイ! 待って! どこに行くの レイ!』
ソラ『一緒に行きましょう。』
レイ『父さんも母さんも死んだんだ… もう誰もいないんだ…。 君に 僕の気持ちなんて分からないよ!』
ソラ『あなたが生きていて 本当によかった。 あなたの気持ちは分からないけど でも あなたが 悲しいことだけは分かるわ! それだけじゃ いけないの?』
(鳴き声)
ソラ『うわっ!』
レイ『こっちだ ソラ!』
ソラ『牛は おとなしいはずなのに!』
レイ『犬が怖くて逃げてるんだ!』
ソラ『牛を引き付けるから 犬を追い払って!』。
レイ『ああ 分かった! やい! あっち行け! ソラ!』
ソラ『お~! お~ お~。 よしよし 怖かったよね… もう大丈夫。』
レイ『犬は逃げてった! 大丈夫か?』
ソラ『野犬は レイが追い払ってくれたよ。』
レイ『うわ…!』
ソラ『この子は レイに お礼を言ってるんだわ!』。
泰樹「ハハハ ハハハハ…。」
ソラ『(笑い声)』
レイ『(笑い声)』
(鳴き声)
泰樹「ハハハハハ…。」
坂場家
リビング
坂場「優 どうだった?」
優「面白かった! レイも 家族になれるといいね。」
坂場「そうだね。」
なつ「やった~ ハハ…。」
坂場「そうか 優 面白かったか。 あとは? あと どこ面白かった?」
なつ「どこ?」
(電話の呼び鈴)
優「牛とのかけっこ!」
坂場「牛? 牛 出てきたな。」
優「うん。」
なつ「はい もしもし。」
柴田家
居間
富士子「なつ… みんなで見てたわ。」
なつ『ありがとう。 どうだった?』
富士子「面白かったわ。」
なつ『じいちゃん 楽しめたかな?』
富士子「楽しそうに見てたさ。 牛が なめたところで笑ってたわ ハハ…。」
なつ『そう。 なら よかった。 それが きっかけで 牛飼いになる話だから。』
マコプロダクション
玄関前
「毎度 どうも。」
麻子「どうも。」
作画室
坂場「お帰りなさい… どうでしたか?」
麻子「うん… 視聴率は あんまり よくなかったけど 1回目だし 内容的には スポンサーも納得してくれたみたい。 ただ 話が地味すぎたかもしれないとは 言ってたけど。」
坂場「地味ですか…。」
神地「そんなの 始まる前から 分かってたことでしょう。」
麻子「テレビ局の中には あれで当たるなら 誰も苦労しないって 露骨に言う人もいたわ。」
桃代「ひどい!」
下山「それじゃ まるで僕たちが 苦労してないみたいじゃないですか。」
陽平「まあ それでも とにかく続けるしかないよ。」
坂場「続けましょう。」
神地「チクショー!」
<その後も 視聴率は あまり上がりませんでした。 放送がから ひとつきがたち 打ち切りの話も出かかった頃に…。>
玄関前
麻子「お世話さまです。」
<思いも寄らないことが起こったのです。>
作画室
麻子「これ 見て 見て!」
坂場「視聴者からですか?」
麻子「そう。」
下山「えっ 子どもからですか?」
麻子「子どもからのもあるけど ほとんどが親からよ。 『子どもと一緒に 楽しく見てます』って。 『子どもに こういうものを見せたかった』って。」
神地「新しいものを作ってるんだから そのよさを気付くのには 時間はかかるんだよ。」
なつ「頑張りましょう!」
麻子「うん。 ということで 私は もう限界。」
なつ「えっ?」
麻子「プロデューサーをやりながら 動画チェックを手伝うのは無理があった。 特に イッキュウさんの演出のもとでは。」
坂場「すいません…。」
麻子「それで 新しい人に 来てもらうことにしたから。 ね? 下山さん。」
下山「はい。」
なつ「えっ… まさか!?」
茜「お久しぶりです。」
神地「茜ちゃん!」
なつ「茜さん!」
坂場「お待ちしてました。」
麻子「マコプロへ ようこそ。」
桃代「茜さんが来てくれるなんて夢みたいね。」
茜「だいぶ 腕は鈍ってると思うけど…。」
麻子「茜ちゃんなら大丈夫よ。」
なつ「お子さんは お母さんに預けるんですか?」
茜「うん そう。 とうとう 私の母を説き伏せて しばらく 家にいてもらうことにしたわ。 人手がなくて困ってるって聞いて この仕事は ちょっと やってみたくなったのよ。 作品が面白いもの!」
なつ「ありがとう 茜さん!」
茜「まあ 私が働けるのは夕方までだけど。
なつ「大歓迎です! ハハハ…。」
茜「神っち 下山さん ちょっといい?」
下山 神地「はい。」
<こうして 茜さんも仕事に復帰し 1週間に1本仕上げるという 目の回るような忙しい日々が 続いてゆきました。>
石沢「回収 行ってきます!」
桃代「お願いします。」
<そして その日曜日 その日も 休めずに働いていました。>
玄関前
麻子「お~ 上手 上手。 あ~ ごめん ごめん…!」
優「ありがとう。」
麻子「ちょっと待って! あ… もしかして ここが 何を作ってるところか知ってる?」
千夏「ソラ?」
麻子「そう! やっぱり 知ってて来たの? ここ 見に来たの?」
千夏「はい… ソラが大好きです。」
麻子「ああ… うれしい! あ… そうだ ちょっと いらっしゃいよ。 ね。 どうぞ。」
作画室
麻子「みんな この子が ソラのファンなんだって! ここ 見に来てくれたんだって! どうぞ どうぞ 入って 入って…。」
坂場「いらっしゃい!」
麻子「モモッチ 何か あげてもいいセル画を持ってきて。 これね セル画っていうんだけど 持ってく?」
千夏「えっ いいんですか?」
桃代「どうぞ。」
千夏「わあ!」
麻子「おうちは この近くなの?」
千夏「いいえ。」
麻子「遠いの? 一人で来たの?」
千夏「お母さんと」
麻子「えっ? どこにいらっしゃるの?」
千夏「向こうの道で待ってます。」
麻子「やだ 私 勝手に連れてきちゃった…。」
桃代「お名前は?」
千夏「杉山千夏です。」
桃代「ちなつ? 何だ 小さい なっちゃんじゃない。 どういう字 書くの?」
千夏「千の夏です。」
麻子「ふ~ん…。」
千夏「これ 本当に もらってもいいですか?」
麻子「どうぞ。」
千夏「ありがとうございます。」
麻子「これからも ソラを応援してね。」
千夏「はい! ありがとうございました。」
麻子「ごめんね 勝手に連れてきて。 優ちゃん お見送りしよっか。 ありがとう。」
(戸が開く音)
玄関前
なつ「千遥! 千遥…?」
<なつよ ついに…。>
<来週に続けよ。>