あらすじ
千遥(清原果耶)が働く神楽坂の料理屋に、咲太郎(岡田将生)たちとともに訪れたなつ(広瀬すず)は、去り際に千遥にとある手紙を渡す。その手紙を見た千遥は思わず涙するのだった。次の日曜日「大草原の少女ソラ」を見ている柴田家や千遥たち。アニメの中で牛の乳搾りをしているのを見て、千夏(粟野咲莉)は乳搾りがしたいと言う。時を同じくして、坂場家でも、アニメを見ていた優(増田光桜)が乳搾りをしたいと言い…。
147話ネタバレ
御料理屋 杉の子
なつ「お父さんが揚げた天ぷらを いつも 横で働いてたお母さんが ダシをとって タレを作って…。」
回想
母「はい お待ち遠さま。」
回想終了
なつ「思い出した…。 女将さんが それを作ってた母に似てたから…。」
咲太郎「そうかもしれない…。」
咲太郎「ごちそうさまでした。」
一同「ごちそうさまでした。」
千遥「ありがとうございました。」
孝子「ありがとうございました。」
上田「何か いろいろあったようだけど… 変な人たちでしたね。」
千遥「そうでしたね…。」
咲太郎「行こうか。」
なつ「うん。」
信哉「うん。」
杉山家
居間
『咲太郎 なつ 千遥 この手紙を受け取った時には もう この世にはいない。 だけど 今も 一緒にいる。 だから悲しむな』。 『やっと 父さんは お前たちのそばに戻れたんだ。 今 一緒にいるんだ…』。
<千遥よ… ただいま。>
テレビ♬『明日の笑顔は きっと友達』
<翌日の日曜日 また『大草原の少女ソラ』が 放送されました。>
レイ『父さん 僕も 乳搾りやりたい!』。
父さん『よし やってみろ』。
レイ『うん。 う~ん う~ん う~ん…。 はあ…。』
父さん『いいか レイ こやって 数を数えるように 上から指を折るようにして搾ってみろ。』
レイ『うん 分かった。 あっ 出た!』
父さん「できたじゃないか!」
レイ『やった!』。
ソラ『レイ できたの?』。
キク『どれどれ』。
レイ『ほら!』。
(搾乳する音)
ソラ『すごい! レイ できたじゃない!』
キク『うまいもんだな。 どうだ 坊主 うちで働くかい?』
ソラ『ダメよ。 レイは 私たちと一緒に 自分の牧場を作るんだから!』
キク『え~。』
ソラ『ね レイ』。
千夏「私も 乳搾りやってみたいな…。」
坂場家
リビング
なつ「優 どうだった?」
坂場「楽しかったか?」
優「うん。 優ちゃんも乳搾りしてみたい!」
なつ「じゃ 今度 北海道に帰ったら教えてあげる。」
優「うん。」
坂場「千遥ちゃんも きっと見てくれてるだろうな。」
なつ「うん… きっと。 千夏ちゃんと一緒に。」
坂場「北海道には知らせたんだろ?」
なつ「うん 千遥に会ったことだけは…。 明美ちゃんからも話してくれてた。」
坂場「君は 安心できたの?」
なつ「うん… どうして料理人になったのかは 分からないけど 千遥は 立派な料理人だった。 あの店で 誇りを持って 料理していることだけは よく分かった。 まあ それだけで 私は安心できた。」
坂場「うん。」
マコプロダクション
作画室
<それからも なつは 『大草原の少女ソラ』の制作に 追われていました。 手が回らない原画は 外注に出し 戻ってきた原画を イッキュウさんと 手分けして チェックしていきました。>
坂場「ちょっといいですか?」
なつ「はい。」
坂場「これ 母さんが 卵を割って焼くシーンですが 描き直してもらえますか? 卵が おいしそうに見えないんです。」
なつ「なるほど…。」
麻子「ちょっと待って! 外注先の原画を そこまで こだわって直してたら 本当に 身が持たないわよ。」
なつ「だけど 確かに おいしそうに見えないですよ これは。」
麻子「でも 多少の妥協をしていかないと もう間に合わないのよ。」
なつ「だけど これは 開拓者にとって やっと手に入れた鶏が 初めて産んだ卵なんです。 ソラとレイも どれほど この卵を楽しみに待っていたことか。 それを お母さんが料理するところを見る そこは 大事なとこだと思うんです。」
坂場「そのとおりです。」
麻子「卵よ? 難しいわよ!」
なつ「ちょっと もう一回お願いします。」
神地「オッケー。 いくよ。」
(卵が焼ける音)
なつ「卵が 殻から とろりと落ちて 落ちたあとも 黄身を中心に 跳ねるような揺れ 細かく入れてみたんだけど…。」
神地「落下直後のトュルントュルンな感じは 出てるよ。 でも さっきから観察してるとさ 動きも大事なんだけど 色の変化が重要なんだよね。 白身が 透明から白くなっていって ふちの方が かたくなって こんがり焦げてく漢字が 食欲を そそるんだよな。」
なつ「それは そうだけど それは 線画じゃ表現できないでしょ。」
神地「てことは やっぱり色だよね。 モモッチ 色見本!」
桃代「はい!」
麻子「色?」
神地「あ… 色も 同時に考えるんです。」
桃代「何の色?」
なつ「目玉焼きを作るシーンだけど モモッチの力を貸してほしいの。」
桃代「うん。」
神地「フライパンに落ちた卵が 目玉焼きに変わっていく瞬間の色を 細かく表現したいんだ。」
桃代「分かった。 じゃ もう一回 焼いてもらっていい?」
神地「お安い御用だよ。」
茜「あ~ それにしても いい匂い。 さっきから おなか すいちゃうわね。」
下山「ね ハハハ… そろそろ お昼だしね。」
茜 下山「はあ…。」
なつ「あ… それだ! それが足りなかったんだ。 匂いの表現です。 ソラとレイが 卵が焼き上がるのを待つ間に 匂いを吸い込む動作を加えたら どうでしょうか?」
坂場「それは いいかもしれません。 テレビを見ている子どもたちにも 一緒に 匂いを感じてもらえるようにしましょう。」
なつ「はい やってみます。」
神地「あ… みんな 目玉焼き食べて。」
下山「え… 何かない? しょうゆとか。」
石沢「あ しょうゆ しょうゆ しょうゆ…。」
<それから 3週間後。>
玄関
麻子「開けて!」
石沢「あ~ はい はい…。」
麻子「これ見てよ! これ!」
下山「おっ?」
麻子「よいしょ。」
坂場「視聴者から?」
麻子「そう! 子どもからも親からも どんどん増えてるって。 特に反響があったのが あの卵を焼くシーンよ!」
なつ「えっ?」
麻子「あれを見て みんな 子どもたちが 卵を食べたがったって書いてある!」
なつ「本当ですか!」
麻子「本当よ。」
(卵が焼ける音)
ソラ レイ『うわ~ いい匂い! はあ…。』
御料理屋 杉の子
千遥「それ ソラのまねしてるの?」
千夏「そう! ソラの卵を描いたのも お母さんのお友達かな?」
千遥「そうかもね…。」
(戸が開く音)
雅子「どう 忙しい?」
千遥「はい。 おかげさまで。」
雅子「ああ。 清二はどう? 帰ってきてるの?」
千遥「いえ…。」
雅子「そう… 困ったものね。 まあ でも そのうち 目が覚めるでしょうからね。」
千遥「あの人は もう 私のところには戻らないと思います。」
雅子「ハハ… そんなこと言ったって この店は 清二の店ですからね。」
千遥「お義母さん… お話ししたいことがあります。」
雅子「えっ?」
千遥「清二さんとも きちんと お話しさせて下さい。」
雅子「別れたいってこと?」
千遥「お願いします。」
マコプロダクション
玄関
麻子「なっちゃん!」
なつ「はい…? 千夏ちゃん!」
千夏「こんにちは。」
なつ「こんにちは…。 千遥…。」
<なつよ どうやら千遥は 決意をしたようだ。>