ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第148話「なつよ、千遥よ、咲太郎よ」【第25週】

あらすじ

神楽坂の料理屋に行き、千遥(清原果耶)に手紙を渡したなつ(広瀬すず)。その後、「大草原の少女ソラ」を見た千遥と千夏(粟野咲莉)は、再びマコプロダクションを訪ねてくる。アニメを見て、改めてなつがどんなふうに育ってきたかを知ったという千遥に、料理を食べてみて、千遥がどれだけ誇りをもって料理をしているかを感じたと話すなつ。しかし、そんな千遥から突然、お店を辞めたいと思っていると打ち明けられて…。

148ネタバレ

マコプロダクション

玄関

なつ「千夏ちゃん!」

千夏「こんにちは。」

なつ「こんにちは…。 千遥…。」

麻子「千夏ちゃん いらっしゃい。 寒いから 中 お入んなさいな。 優ちゃんも 中にいるから。」

なつ「マコさん ちょっと すいません。」

麻子「どうぞ。」

なつ「また来てくれたの?」

千遥「先日は ありがとうございました。」

なつ「こちらこそ。 おいしかった…。 千遥の料理を食べて よく分かった。 千遥が どんなに誇りを持って 料理をしているか…。」

千遥「私も 奥原なつの作品を ずっと見てきました。」

なつ「えっ…。」

千遥「本当に 強く生きてきたんですね。 ソラを見ていても それが よく分かります。」

なつ「千遥に届いたなら 本当にうれしい。」

千遥「だから 私も食べてほしかった。 私が ちゃんと生きてきたこと 分かってほしかった。」

なつ「それは ちゃんと分かったよ。」

千遥「お姉ちゃん…。 私… あの店を やめようと思う。」

なつ「え…? ちょっと待ってて。」

坂場「どうした?」

なつ「ちょっとだけ 千遥と話す時間を頂戴。」

坂場「分かった。」

なつ「少しの間 千夏ちゃんをお願い。」

坂場「うん 分かった。」

坂場家

玄関

なつ「さあ 上がって。」

千遥「お邪魔します。」

なつ「はい。」

リビング

なつ「散らかってるけど…。 座って。」

千遥「はい。」

なつ「最近じゃ ここも ほとんど 仕事場だけどね。 優には 本当に我慢させてるんだ。 生まれた時から 仕事ばかりしてて。」

千遥「私も同じ。」

なつ「そう… しかたないよね。」

なつ「何でも話して。 千遥のこと 何でも知りたい。」

千遥「私は 18の時に 神楽坂の杉乃屋という料亭に 嫁いだんです。」

なつ「料亭?」

千遥「政治家が使うような立派な料亭です。 私も よく 芸者の卵として お座敷に行っていました。 それで そこの次男に 結婚を申し込まれたんです。」

なつ「千遥は その人が好きだったの?」

千遥「明るくて 優しい人だなと思いました。 でも… 今は 一緒にいないんです。」

なつ「えっ?」

千遥「別に 女の人と暮らしがあるみたいで…。」

なつ「ずっと我慢してたの?」

千遥「あの店があったから…。 杉の子は 亡くなった親方が作った店なんです。」

なつ「親方?」

千遥「主人の父です。 父は 料亭で 料理人の親方をしている人でした。」

回想

春雄「箸で しっかり押さえて。 その店の味は ダシで決まるんだ。」

千遥「はい。」

春雄「千遥には料理人としての筋があるんだから 頑張んなさい。」

千遥「はい。」

回想終了

千遥「調理師免許も取らせてもらえて 店も任されて…。 結婚した私を 一番受け入れてくれたのは 義父(ちち)でした。 だから あの店は とても大事です。 主人と別れれば 私は あの店を続けられなくなる。 でも 結婚を続けるべきかどうか ずっと迷っていました。」

なつ「別れる決心がついたの?」

千遥「はい…。 千夏と2人で これから どうなるか分からないけど…。」

なつ「千遥が別れたいなら 別れていいと思う。 千遥は 何も悪くないでしょ。」

千遥「だけど お姉ちゃん…。」

なつ「うん?」

千遥「私は… 自分の過去を隠して結婚したのよ。 浮浪児だったことも きょうだいがいることも…。]

千遥「そのことを 向こうが知ったら 私を嫁がせた置屋のお母さんにも 迷惑がかかるし 千夏の親権だって どうなるか…。 だけど… 千夏にまで うそをついて生きるのは もう嫌なんです…。 私は 堂々と生きられるようになりたい。 そのために 本当のことを話して あの人と別れようと思います。」

なつ「分かった…。」

千遥「お姉ちゃん…。」

なつ「うん?」

千遥「また… 家族になってくれる?」

なつ「そんなの 当たり前じゃない!」

千遥「お姉ちゃん…。」

なつ「千遥は もう… 自由になっていい。 堂々と生きていい。 また 一緒に生きよう。 ね 千遥。」

千遥「ありがとう…。」

マコプロダクション

玄関前

千夏「お母さん!」

優「ママ!」

なつ「優 千夏ちゃんに 遊んでもらえてよかったね。」

千遥「千夏… この人は 本当は お母さんのお姉ちゃんなの。」

千夏「えっ お姉ちゃん!?」

なつ「そう。 千夏ちゃんのおばさん。 なつおばさん。 よろしくね。」

千夏「なつおばさん?」

なつ「うん。」

千遥「私は 千遥おばさん… ママの妹です。 優ちゃん よろしくね。」

優「もう言っていいんだ。 よかった!」

なつ「皆さん 私の妹の千遥です。」

千遥「お邪魔しました。」

麻子「また いつでも来て下さいね。」

千遥「はい。 毎週 放送 楽しみにしています。」

(笑い声)

千遥「帰ろうか。」

なつ「また連絡するから。」

千遥「うん。」

千夏「優ちゃん またね。 バイバイ。」

優「バイバイ。」

千遥「さようなら。」

一同「さようなら。」

優「バイバ~イ。 」

坂場家

リビング

<その晩 なつの家には 咲太郎と信さんが集まりました。>

信哉「それで なっちゃん 咲太郎 千遥ちゃんのことだけど 義理のお母さん 料亭 杉乃屋の女将を 説得できるかどうかだと思う。 でも 決して 話の通じない人じゃないらしい。 誰に聞いても ちゃんと 筋の通った人だって。 そうじゃなきゃ あれだけの料亭を 切り盛りできないからね。」

なつ「調べてくれたんだ?」

咲太郎「ありがとう 信。」

信哉「水くさいこと言うなって。 俺にとっても… 本当に家族だと思ってるんだよ 今でも。 忘れられないんだ。 空襲から1年近く みんなと一緒に過ごした日々が…。 あれがあったから どんなことでも耐えられた。」

咲太郎「うん…。」

なつ「うん…。」

回想

咲太郎「信も一緒に暮らそうな。」

信哉「いいよ 僕は。 家族じゃないし。」

なつ「ダメよ! 信さんも一緒じゃないと。」

千遥「一緒がいい!」

信哉「ありがとう。」

咲太郎「お~ 来た 来た 来た!」

信哉「えっ! おっ 頑張れ 頑張れ 頑張れ…!」

回想終了

信哉「あの千遥ちゃんが また家族になったら… 僕の戦争も やっと終わる気がするよ。」

なつ「信さん…。」

咲太郎「信…。」

<信さん ありがとう。 いつまでも 家族でいて下さい。>

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