あらすじ
千遥(清原果耶)にあるものを届けにきた剛男(藤木直人)は、父の手紙が咲太郎(岡田将生)となつ(広瀬すず)と千遥の三兄妹(きょうだい)全員に届いたことを知り…。なつは、剛男に夏休みになったら優(増田光桜)と千遥と千夏(粟野咲莉)を連れて遊びに行くと話す。そんな時、剛男は、最近、泰樹(草刈正雄)が穏やかになったと話し…。そして十勝では、泰樹が富士子(松嶋菜々子)にある思いを話す。
150話ネタバレ
御料理 杉の子
剛男「ここか…。 あれ… もしかして 千夏ちゃん?」
千夏「はい。」
剛男「やっぱり 千夏ちゃんかい!」
(戸が開く音)
千夏「ただいま。」
千遥「お帰り。」
千夏「あっ なつおばさん。」
なつ「お帰りなさい。」
咲太郎「千夏ちゃんか!」
なつ「あ… この人は 私と お母さんのお兄ちゃん。」
咲太郎「咲太郎おじさんだ。」
千夏「こんにちは。」
なつ「あ… 父さん!?」
咲太郎「柴田さん!」
剛男「いや いや いや いや びっくりしたもね。 千遥ちゃんの子かい 子どもの頃のなつに そっくりだもな。 すぐ分かったわ。」
咲太郎「本当だな。」
千遥「ご無沙汰してます。」
剛男「千遥ちゃん… 私も心配になって つい来てしまったわ。」
なつ「父さん…。」
剛男「それで 話し合いは もう済んだのか?」
なつ「うん。 分かってもらえたわ。」
剛男「ああ…。」
千遥「千夏 これからも ここで暮らせることになったから。」
千夏「本当?」
咲太郎「うん。 これからは おじさんも おばさんも み~んな 千夏ちゃんの家族だからな。」
千夏「はい。」
剛男「そうかい… それは よかった。 あっ… これを 富士子ちゃんが 千遥ちゃんに返してくれって。 千遥ちゃんの忘れ物だわ。」
千遥「ありがとうございます。」
千遥「お姉ちゃん。 これを お姉ちゃんに。」
なつ「いいのに それは。」
千遥「やっと返せるのが うれしいから。」
なつ「分かった。 ありがとう。」
千遥「それから これ。」
剛男「それは…。 やっと3人に届いたんだね その手紙。」
咲太郎「はい…。」
なつ「うん…。」
回想
剛男「軍隊の検閲を通さない お父さんの本当の手紙だ。 君たちへの思いが込められてる。」
回想終了
剛男「奥原さんの思いは こうして しっかり 3人に受け継がれていたんだね。」
<柴田君よ 本当に君のおかげだよ。 ありがとう。>
剛男「う~ん うまい!」
なつ「父さん。」
剛男「うん?」
なつ「今日はうちに泊まってって。 私は これから 会社に戻らなくちゃいけないんだけど。」
剛男「これから仕事かい?」
なつ「うん。 今の作品が終わるまでは しかたないの。」
剛男「いつまで続くんだ?」
なつ「来年の6月までだから…。」
剛男「はあ~…。」
なつ「あっ そうだ 千遥 千夏ちゃん 夏休みになったら 一緒に十勝に行こう。」
千遥「えっ?」
剛男「そうだ。 千遥ちゃん また 是非 十勝さ おいで。 みんな待ってるから。」
千遥「あ… そうですね。 改めて お礼とおわびに伺いたいです。」
剛男「なんも おわびなんて いらないから。」
千夏「とかち?」
千遥「十勝は ソラのいるような所。」
千夏「わあ 行きたい!」
剛男「したら じいちゃんも喜ぶさ。 千遥ちゃんのこと 誰よりも心配してたから。」
千遥「おじいさんが…。」
剛男「うん。」
なつ「じいちゃん 元気?」
剛男「それがな 元気というか… このところ 穏やかでな。」
なつ「穏やか?」
剛男「まあ もう90だから…。」
咲太郎「泰樹さんも 90歳ですか。」
剛男「今年で 91だ。」
柴田家
牛舎
照男「じいちゃん 便利になったべ。 実は じいちゃん もっと 牛を増やそうと思えば 増やせるんだわ。 古い牛舎を立て替えて ミルカーを パイプラインにすれば 人 増やさんでも もっと牛を増やせる。 そうしたいんだけど いいかな? まあ そうすぐって話ではないんだ。」
泰樹「好きにやれ。 お前に任せる。」
照男「じいちゃん…。」
砂良「よかったね。」
照男「うん…。」
旧牛舎
富士子「父さん こんなとこにいたのかい。 なつが 次の夏は帰ってくるって。 もしかしたら 千遥ちゃんも一緒に。 うれしいしょ? それまでは 元気でいなくちゃね。 ねえ 父さん 一度 お医者さんに診てもらわない? 本当に元気だって分かったら 安心でしょ。」
泰樹「もう十分じゃ。」
坂場家
寝室
剛男『そっくり聞いていました。 妹のグレーテルは 涙を出して シクン シクン やりながら 兄さんのヘンゼルに向かって…』。
リビング
剛男「寝たわ。」
なつ「あ… ありがとう。 助かったわ。」
剛男「なつは 寝なくて大丈夫なのか?」
なつ「寝てる場合じゃないから。」
剛男「大変なんだな。」
なつ「まあ 特に この作品はね…。」
剛男「イッキュウさんは ずっと 会社に寝泊まりしてるのかい。」
なつ「うん… 放送がある日は帰ってくるけど 優とは会社で会ってるし。」
剛男「仕事がない時間がないんだな。」
なつ「気付けばね…。 いつも 優を急がせてる。」
剛男「そうか。 ありがとう。」
なつ「優のためには… まあ こんな生活を 変えなくちゃいけないんだけど 今は どうしようもなくて…。」
剛男「優には その気持ち… なつの愛情は ちゃんと伝わってるさ。」
なつ「うん そうかな…。」
剛男「優を信じろ。 子どもに期待し過ぎるのもいけないし 期待しないのもいけない。 ただ 勝手に信じてやるぐらいが ちょうどいいんでないのかい。」
なつ「父さんは いつだって 子どもを信じてくれてたもね。」
剛男「頼りない父親だけどな。」
なつ「ううん そんなことないよ。 父さんは 強くて優しい人だわ。 じいちゃんと同じように 開拓者の魂が宿ってるからね。」
剛男「いやいや…。」
なつ「まあ そのことは 照男兄ちゃんや夕見 明美ちゃんや私に ちゃんと伝わってるから。」
剛男「ありがとう…。 なつの生き方も ちゃんと伝わってるさ。」
なつ「そうだといいけど…。」
柴田家
台所
剛男「ただいま。」
富士子「お帰り。」
砂良「お帰りなさい。」
居間
砂良「千遥ちゃん 本当によかったですね。」
剛男「心配なのは なつだ。」
富士子「なつが どうかしたの?」
剛男「いや あんなに大変な仕事だとは 思わんかったわ。 ほとんど寝てないんだわ。」
富士子「寝てない?」
剛男「イッキュウさんは ほとんど 会社に泊まりっ放しで なつは 優のために家事をしながら うちで仕事をしてるんだ。 それが 6月まで続くそうだ。」
富士子「えっ…。」
砂良「優ちゃんは 拓男と同じだから 春から小学校でしょ。」
剛男「そこなんだわ 問題は! 小学校に上がれば 保育園のように 長くは預けられなくなるべ。 優ちゃんは 学校から うちに帰るしかない。 したら 誰かが うちにいてやるしかないべさ。」
富士子「どうするの?」
剛男「家政婦を 今 探してるらしい。」
富士子「家政婦?」
砂良「お金持ちみたい。」
拓男「カセイフって?」
地平「知らない人が 家で働いてくれるんだべ。」
泰樹「富士子。」
富士子「ん?」
泰樹「お前 行ってやれ。 なつを助けてやれ。」
富士子「私が 東京に行くのかい!?」
剛男「それは 僕も ちょっと思った。」
富士子「そりゃ 助けてやりたいけど… 拓男も入学だしね。」
照男「拓男のことなら心配ないべ。 な?」
砂良「はい。 大丈夫です。」
富士子「したけど 私には アイスクリーム屋のこともあるし…。」
砂良「それなら 私がやっておきます。」
照男「アイスクリームを売るとしたって 夏だべ。 それまでに なつの仕事も終わるんだべさ。」
剛男「終わる。」
泰樹「助けてやれ。」
富士子「分かりました。 私が行きます。」
マコプロダクション
玄関前
<そういうわけで 昭和50年の春が近づいた頃。>
富士子「優ちゃん!」
優「あっ おばあちゃん!」
<富士子さんが上京してきました。>
富士子「元気だったかい?」
優「うん。」
作画室
陽平「おばさん!」
富士子「あっ 陽平さん お久しぶり。」
坂場「あっ。」
なつ「あっ 母さん。」
坂場「お義母さん。」
富士子「2人とも元気かい?」
なつ「ここまで来てもらっちゃって ごめんね。」
富士子「駅から タクシー乗ったから。」
なつ「もう本当 助かったわ。 母さん ありがとう。」
麻子「柴田さん ロケハンの時には ありがとうございました。」
富士子「皆さん 頑張ってますね。」
下山「ご無沙汰してます。 下山です。 で うちの妻です。」
富士子「あっ 茜さんでしょ! 優が 大変お世話になりました。」
茜「あ… いえ 私は何も。」
富士子「あの これ 土産といったらなんだけど 皆さんで。 北海道のジャガイモとバターです。」
神地「あっ それ ちょうど描きたかったんです! ジャガイモにバター! モモッチ 早速 試そうよ。」
桃代「そうね。 バターが溶ける時の 色も見たいし 食べてみたい!」
神地「すいません 頂きます。」
下山「ちょっと…!」
麻子「じゃ ごゆっくり。 すみません。」
下山「すいません。」
なつ「ねえ 母さん じいちゃんに怒られなかった? なつを甘やかすなって…。」
富士子「じいちゃんが言ったのさ。 なつを助けてやれって。」
なつ「じいちゃんが…?」
富士子「うん。」
柴田家
旧牛舎
<なつよ 感謝を込めて…。 来週に続けよ。>