あらすじ
大好評のうちに「大草原の少女ソラ」の放送が終わった。マコプロでは放送後、なつ(広瀬すず)や坂場(中川大志)、麻子(貫地谷しほり)や神地(染谷将太)たちとスポンサーのミルコスの社長が参加し、番組の成功を祝し打ち上げパーティーを開催する。再び、マコプロに次回作をお願いされたと明かす麻子だが、マコプロメンバーの胸の中には、この作品の制作過程を思い出し、さまざまな思いが巡っていて…。
153話ネタバレ
テレビ
レイ「ソラ… ソラ~!」
ソラ「あっ…。 レイ? レイなの…? レイ!」
レイ「ソラ~!」
ソラ「レ~イ! 本当に レイなのね…」
レイ「ああ。 ただいま ソラ。」
ソラ「お帰り レイ。」
(鳴き声)
ソラ「やっと会えたのね…。」
レイ「ソラ 会えなかったけど 僕は ずっと ソラと一緒にいたよ。 だから 成長できたんだ。」
ソラ「獣医になったのね? 夢をかなえたのね!」
レイ「ああ。 だけど ソラと家族になっていなかったら 今の僕は いなかった。」
ソラ「それは 私も同じよ レイ。」
(汽笛)
レイ「ここから また始めよう ソラ。 僕は まだ 何も 夢をかなえてはいないんだ。 これから始まるんだ。」
ソラ「レイ… さあ 父さんと母さんが待っている。 早く行きましょう。」
レイ「うん。 行こう ソラ。」
マコプロダクション
作画室
(拍手)
松武「いや~ 皆さん ご苦労さまでした! ミルコス社長の松武 博でございます。 本当に すばらしい番組を ありがとうございました。 この作品を 誇りに思っております。 私の祖父は 明治の時代に 北海道に入植した開拓者でありました。」
松武「その開拓者精神を受け継いで 私の父が ミルコスを創業したのです。 祖父と父を代表して 皆様に ひと言お礼申し上げたいと はせ参じた次第です。 マコプロダクションのマコちゃんには 是非とも また次の作品をと 依頼したところであります。」
一同「えっ!」
麻子「はい。 松武社長から また是非 親子が そろって楽しめるような 同じ路線の作品をと 提供を約束して下さいました。」
神地「また 寝ずにやれっていうのか…。」
麻子「それだけ この番組が成功したということです。 本当に 多くの方々のおかげで この作品は 最後まで 放送を続けることができました。 みんな お疲れさまでした!」
(拍手)
一同「お疲れさまでした。」
麻子「ご紹介いたします。 この作品を 全話演出した坂場一久です。」
坂場「坂場一久です。」
松武「いや~ 坂場君 よくやってくれた。 君にも 開拓精神があるんだね。 この作品は 我がミルコスに匹敵する偉業だよ。」
坂場「いや… 開拓とは 偉業を達成することではないと 思っています。」
松武「うん?」
坂場「自分の生活を 一から作り上げることが 開拓の基本だと 私は思っています。 そして 我々が作品を作る時の 基本でもあると考えます。 皆さんには 最後まで その開拓精神を貫いて頂きました。 感謝します。」
松武「すばらしい。」
(拍手)
麻子「それから 社長 彼女が 作画監督の奥原なつです。」
松武「ああ。」
なつ「奥原なつです。」
麻子「みんなからは なっちゃんと呼ばれています。」
松武「いや~ あんたが なっちゃんかい。」
なつ「ハハハ…。」
松武「会いたかったよ あんたも 北海道の開拓者なんだべさ。」
なつ「私は 開拓者に育てられただけですが この物語を描けたのは 身近に そういう人たちが いたからだと思います。」
松武「うん。」
なつ「だけど 今 ここにいる みんなと出会わなければ… みんなと 一緒じゃなかったら この作品は 絶対に生まれなかったということです。 みんなに出会えた私は ソラやレイよりも幸せ者です。 私は ただ 目の前にある動画用紙を 耕してきたにすぎません。 その力を みんなが与えてくれました。 本当に ありがとうございました。」
松武「すばらしいね。」
(拍手)
「社長 そろそろ お時間でございます…。」
松武「もうか。」
麻子「松武社長 是非 あの 乾杯の音頭を お願いいたします。」
松武「ああ…。 それでは… と思ったのですが やはり ここは なっちゃんに任せるしかないでしょう。」
なつ「いや 私は…。」
松武「いやいや 我が愛する北海道を代表して 乾杯して下さい!」
なつ「え…。」
松武「さあ。」
なつ「分かりました! それでは せん越ですが… 全ての開拓者に乾杯!」
一同「乾杯!」
(拍手)
下山「派手なアクションを 思い切り描きたいという欲求不満は たまりまくっております。 次は この感情を 爆発させたいであります! バンバン! ハハハハ…。」
(拍手)
茜「アニメーションって 難しいけど面白いです。 子どもと一緒に 私も まだまだ 成長していきたいと 思うようになりました。」
陽平「やっと この仕事に 心から 誇りを持てるように なった気がしています。 この作品を 弟 天陽にささげます。」
神地「いつか 大いなる予算と人材を備えた 我らの砦を築こう! そしたら モモッチ ずっと そばにいてくれ!」
下山「ええっ えっ… 何? 何?」
桃代「私は 色指定に 一生 ささげていいと思ってます! 特に 神っちと一緒なら!」
神地「オホッ…!」
下山「あら…。」
(拍手と笑い声)
下山「おめでとう!」
(拍手)
♬『まぶしい大地に 広がる空』
桃代「上 下 上 下。 はい 回る!」
♬『風は優しさ 運んでくれる 森は心を 育ててくれる 昨日の』
神地「あれ?」
♬『涙と』
神地「わっ!」
♬『昨日の笑顔は きっと友達 ラララ ラララ』
(拍手と歓声)
♬『ラララ ラララ』
(拍手と歓声)
咲太郎「なつ お疲れさま。」
なつ「ああ お兄ちゃん ありがとう。」
光子「なっちゃん おめでとう。」
なつ「光子さん お世話になりました。」
光子「この作品は 歴史に残ると思うわよ。 テレビ漫画として 一つの道を作ったと 未来でも そんなふうに 味わえる作品になると思うわ きっと。」
なつ「はい…。 声を吹き込んでくれた皆さんも 大活躍ですね。」
咲太郎「俺は 今に 声だけでスターになれる時代が 来ると思ってるんだ。」
なつ「お兄ちゃんも 本当にいい世界を 開拓してるんだね。」
坂場家
リビング
優「おばあちゃん 明日帰っちゃうの?」
富士子「うん。 あのひげのおじいちゃんが 寂しがってるからね。」
なつ「もうすぐ夏休みだから そしたら会いに行こう。 優。」
優「うん!」
富士子「待ってるからね。」
なつ「母さん 本当にありがとうね。」
富士子「なつ… よく頑張ったね。 あんたが ちゃんと母親だったから 安心して帰れるわ。 これからも 自信持ちなさいね なつ。」
なつ「母さん… ありがとう。」
坂場「本当に ありがとうございました。」
御料理 杉の子
<次の日 咲太郎に呼び出された なつは 千遥の店にやって来ました。>
千遥「いらっしゃい。」
なつ「千遥… あっ!」
亜矢美「あ~!」
なつ「え~ 亜矢美さん!」
亜矢美「なっちゃん うれしい! 会えた 会えた…。」:
なつ「えっ どうしたんですか?」
咲太郎「まあ 座れよ。 ビールでいいか?」
なつ「お茶でいい。 優が待ってるから。 ごめんね 千遥。」
千遥「ううん。」
なつ「え~。」
亜矢美「ハハハハ 会えた~!」
咲太郎「帰ってきたんだよ 母ちゃんが。 また おでん屋 始めるそうだ。 新宿御苑の近くで。」
なつ「いよいよ また始めるんですか!」
亜矢美「始めますよ。 歌って踊れる おでん屋よ 遊びに来て。」
なつ「行きます…。 よかったね お兄ちゃん。」
咲太郎「ムーランルージュの復活だよ。」
亜矢美「ジャジャ~ン…。 いや それよりさ これこれこれ これ。 これには 参っちゃったね! 千遥ちゃんの味には勝てないわ。 何かね そこら辺のとはね 全然 何かが違うのよ。 どこが違うんだろう?」
千遥「あ… やっぱり だしでしょうか。 日本料理は だしが命だと 私は 親方から さんざん たたき込まれました。」
亜矢美「だしが命。」
千遥「一番だしだけじゃ ダメなんです。 一番だしをとったあとに 更に 手間ひまをかけて 二番だしをとることが 煮物では大事だと 親方が言ってました。」
亜矢美「二番だしか! はあ… なるほど。」
咲太郎「それは 二番煎じみたいなもんか?」
亜矢美「バカだよね 相変わらず。」
千遥「お兄ちゃん それは 味が薄くなっていくものでしょ。 二番だしは 出し殻を煮詰めて 材料も足すから 更に コクと風味が出るの。」
咲太郎「うん。 ハハハ…。」
亜矢美「まあ 言ってみれば 私たちみたいなもんかしら。」
咲太郎「えっ?」
なつ「どういう意味ですか?」
亜矢美「人生の二番だし。」
なつ「人生の二番だし?」
亜矢美「うん。 自分の人生 一生懸命 生きてく中で コクと風味と二番だしが あるわけでしょう。 でも 一番だしの本当の家族のことは 決して忘れない。 だって そっから来てんだから。」
なつ「一番だしがあって 二番だしがある…。 だから こんなに深~い うまみが出るんですね。」
亜矢美「ねえ。」
咲太郎「ねえ。」
亜矢美「何が 『ねえ』だよ…。」
<そして なつたちは 夏休みに 十勝へやって来ました。>
柴田家
しばた牧場
なつ「どう 千遥? 覚えてる?」
千遥「懐かしい…。 記憶の中にあるままだ。」
なつ「行こう。」