ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第154話「なつよ、あっぱれ十勝晴れ」【最終週】

あらすじ

「大草原の少女ソラ」が終わり、なつ(広瀬すず)は約束通り優(増田光桜)と千遥(清原果耶)と千夏(粟野咲莉)を連れて坂場(中川大志)とともに夏の十勝を訪れる。牛の乳搾りをやりたがっていた子供たちにやり方を教えるなつ。久々に柴田家の食卓を大勢で囲み、にぎやかな夕食となる。夜になり、かつての子供部屋で一緒に布団を並べるなつと千遥たち。これまで2人がどうやって生きてきたかをお互いにもっと知りたいと話し…。

154ネタバレ

柴田家

しばた牧場

千遥「記憶の中にあるままだ。」

なつ「行こう。」

<なつたちは 夏休みに 十勝へやって来ました。」

台所

なつ「ただいま!」

富士子「着いた? お帰り。」

坂場「こんにちは。」

千遥「お邪魔します。」

優「ただいま!」

富士子「は~い お帰り。」

砂良「いらっしゃい 千遥ちゃん。 あっ 千夏ちゃんね。」

千夏「こんにちは。」

千遥「ご無沙汰してます。 その節は 大変ご迷惑を…。」

富士子「挨拶は後で さあ 上がって。 なんも バスで来なくてもよかったのに。」

なつ「歩きたかったのさ。」

牛舎

なつ「じいちゃん。 千遥。」

千遥「ご無沙汰してます。」

<なつよ… 誰でも年を取る。 そして 深くなるんだ。>

なつ「じいちゃん… ただいま。」

泰樹「お帰り…。 千遥も お帰り。」

千遥「ただいま…。 娘の千夏です。」

坂場「おじいさん… ただいま。」

泰樹「ああ。」

なつ「数を数えるように 指を折って搾る。」

千夏「数を数えるように?」

なつ「そう。 お~ ほら できた!」

千夏「やった!」

千遥「上手だね 千夏。」

優「優ちゃんもやりたい!」

坂場「ついでに 僕もやりたい。」

なつ「あっ いや イッキュウさんは やめた方がいいと思う。」

坂場「えっ…。」

なつ「触るよ~って… こうやって 上から 数 数えるようにやって。 そう そう そう そう… おっ 上手!」

居間

剛男「そうかい 搾乳できたのかい?」

千夏「はい。 ソラみたいにできました。」

優「優ちゃんもできた!」

剛男「優ちゃんもかい。」

拓男「僕もできるよ。」

砂良「あんたは張り合わなくていいの。」

(笑い声)

なつ「じいちゃん イッキュウさんと私のテレビ 見てくれた?」

泰樹「うん…。」

坂場「どうでしたか?」

泰樹「うん…。」

剛男「熱心に見てたさ。 毎週 欠かさず見てた。 ね お義父さん。」

泰樹「うん…。 ちょっと… ちょっと疲れた。 先に休む。」

富士子「はい。」

なつ「じいちゃん 大丈夫?」

富士子「うん? 大丈夫さ いつものことだから。 今日は 動いた方でないかい。」

照男「じいちゃんは もう のんびりさしてやればいいべ。」

富士子「年だもね 自然現象。」

寝室

なつ「本当に… 昔の私と千遥みたいだね。」

千遥「あのころは… こんな布団で 眠った記憶はないけど。」

なつ「そうだね… 覚えてんの? よく生きたね。」

千遥「育ててくれて ありがとう。」

なつ「何言ってんの…。 千遥がいてくれたから あのころは生きられたんだよ。 結局 つらい思いばかりさせたけど…。」

千遥「でも 私 浮浪児でよかったって 今は思ってるよ。」

なつ「千遥…。」

千遥「今まで 出会えた人がいるから…。 元気でいてくれて ありがとう お姉ちゃん…。」

なつ「こちらこそ…。 生きててくれて ありがとう… 千遥。」

詰め所

なつ 坂場「うわ~。」

なつ「へえ~ 本当に アイスクリーム屋にしたんだ。」

富士子「食べてみて おいしいから。」

坂場「あっ これは 弥市郎さんのですか?」

砂良「あっ そう。 せっかくだから 土産品も置こうと思って。」

なつ「弥市郎さん 元気ですか?」

砂良「うん。 年だからね 一人にしておくのは心配なんだけど 森から出たがらないから。」

なつ「ふ~ん…。」

富士子「さあ 食べて。 普通のミルクと いちごミルクと 小豆ミルクの3種類。 優ちゃん 千夏ちゃん 千遥ちゃんも 感想聞かせて。」

砂良「さあ みんな 座って食べて。」

富士子「さあ どうぞ…。」

一同「頂きます。」

なつ「うん おいしい。」

優「おいしい!」

富士子「でしょ。」

坂場「それで お客さんは来てるんですか?」

富士子「まあ… ね。」

夕見子「来るわけないしょ。」

なつ「夕見!」

夕見子「宣伝も 何もしてないんだから。 誰も こんなとこまで来るわけないしょ。」

富士子「私は東京にいて ず~っと いなかったんだから それを考えるのは あんたらの役目でしょや!」

夕見子「最初に考えんのよ そういうことは!」

なつ「喧嘩しないで。 夕見 私の妹 千遥。」

夕見子「おっ… やっと会えた。」

千遥「初めまして。」

(アイスの落下音)

坂場「あっ…。」

雪月

雪之助「さあ さあ さあ さあ さあ 食べて 食べて! ね。」

千遥「ありがとうございます。」

雪次郎「なっちゃん イッキュウさん 本当に いい作品 作ってくれたな! あれで 十勝に旅行者が増えて うちの菓子も だいぶ有名になったもね。」

とよ「ああ… もうかって もうかって 足向けて寝らんないわ。」

妙子「もう やらしい。 もうかった話なんか どうだっていいしょや。 それより 何より 面白かったべさ。」

なつ「ありがとう おばさん。」

雪次郎「そりゃ 面白いのは もちろんだわ。 家族で見てたわ。 蘭子さんも レミちゃんも みんな 声で大活躍だな。」

なつ「うん。」

坂場「ありがとうございます。」

雪之助「なっちゃん この店が繁盛するってことはよ あの天陽君の包装紙が 全国に広まるってことだよ。」

なつ「あ…。」

雪之助「ハハハハ…。 評判がいいんだわ。 あれが なっちゃんの役にも立ったんだべ?」

なつ「そう… あの絵が ソラの原点なんです。」

雪之助「やっぱり そうかい ハハ… 天陽君も うれしいべな。」

とよ「天陽君にも 足向けて寝らんないわね。」

妙子「そればっかり もう…。」

雪之助「それじゃ ゆっくりしてって。」

夕見子「後で また送ってくからね。」

なつ「うん。 でも 天気が崩れそうだから 早めに帰るわ。」

夕見子「うん 分かった。」

雪次郎「さあ たくさん食べてね。 雪月の… 魂を!」

雪見「優ちゃんと千夏ちゃんも食べてね。」

千夏「頂きます。」

優「頂きます。」

夕見子「したら 雪見には 味見してもらおっかな。」

雪見「は~い。」

雪次郎「よし。」

とよ「じいちゃん 何か言ってたかい?」

なつ「じいちゃん?」

とよ「漫画に感動してたべさ。」

なつ「漫画って 私たちのテレビ漫画?」

とよ「そうだよ。 しゃべってないのかい? 朝日を見たって。」

なつ「朝日?」

回想

泰樹「何度も見た ああいう朝日を… 開拓してる頃にな。 朝日を見ると 気力が湧いてきた…。 ここで諦めるなって… 励まされた。」

とよ「へえ~。 そういう朝日を なつが見してくれた…。」

回想終了

とよ「なっちゃん… ゆっくりしていきなね。 じいちゃんのそばに 少しでも長くいてやって… ね。」

なつ「とよばあちゃん… ありがとう。」

柴田家

台所

なつ「ただいま。」

富士子「お帰り。」

なつ「やっぱり 天気が崩れてきた。」

富士子「えっ?」

夕見子「今 戻ったら ひどい雨に遭いそうだわ。」

富士子「じゃ ちょっと休んでいきなさい。」

居間

照男「ここに パイプラインを通すんだ。 牛は 50頭まで増やせる。」

剛男「50頭か…。」

なつ「何してんの?」

照男「古い牛舎を 建て替えようと思ってんだ。」

なつ「あそこ 壊しちゃうの?」

照男「もっと大きい牛舎にするんだ。」

剛男「今度は パイプラインミルカーにするそうだ。」

なつ「パ… パイプライン?」

坂場「搾った牛乳を集めるまでを 機械化するということですね?」

照男「そう。 イッキュウさん それが 今 一番新しい牛舎なんだわ。」

(激しい雨の音)

富士子「あっ 降ってきた。」

(雷鳴)

なつ「じいちゃん…。」

(雷鳴)

なつ「大丈夫…。」

<なつよ 何やら 嵐になりそうな気配だ。>

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