あらすじ
泰樹(草刈正雄)と天陽(吉沢亮)が会場に来ないまま、なつ(広瀬すず)たちの演劇の幕が上がる。これまでの練習の成果を発揮すべく、必死に演じるなつ。終盤を迎えたそのとき、泰樹と天陽が会場に現れた。なつの演じる姿を見ながら泰樹は、天陽の家であった出来事について思い出す。終演後、楽屋を訪れた天陽から、最初から見ていなかったことを知らされるなつ。そして、なつは泰樹に演劇の感想を尋ねると…。
24話ネタバレ
(拍手と歓声)
<泰樹さんと天陽君が まだ来ない中 舞台の幕が上がり なつの出番がやって来ました。>
雪次郎「あっ ペチカ様!」
一同「ペチカ様!」
なつ「皆さん 村長が たった今 川下の村から戻ってきました。」
一同「村長が!?」
雪次郎「戻ってこられたか!」
倉田「(小声で)おい 門倉! 何してる? 出番だ! 早く行け!」
一同「はは~っ!」
雪次郎「村長!」
倉田「完全に飛んでんな…。」
高木「台本… 台本…。」
門倉♬『みのる稲穂に富士と鳩 愛と平和を表した』
♬『鳩はみどりの風に鳴る 土にとりくむ若人の 意気と熱とがもりあげた エフ エフ ジェイ エフ エフ ジェイ われらの誇り』
夕見子「何さ これ…。」
剛男「ここまで 農業高校を アピールするのか…。」
高木「川下の村と 話はついた! 戦にはならん!」
門倉「川下の村と 話はついた! 戦にはならん!」
一同「おお! よかった!」
門倉「皆の衆 聞いてくれ。 向こうは 私の娘 ペチカを 向こうの村長の息子の嫁にしたいと言ってきた。」
なつ「私を!?」
門倉「そうだ。 それが条件だ。」
雪次郎「村長! 俺は 絶対に反対だ!」
石川「お前には 家族がおらんから そんなことが言えんだべ!」
橋上「そだ! 病気の家族を抱えてみれ そんなことは言えないはずだべ!」
雪次郎「お前たちは ペチカ様を犠牲にしてまで 自分たちの家族を助けたいのか!」
なつ「お待ちなさい ポポロ。」
雪次郎「ペチカ様!」
なつ「私は 犠牲になるとは思っていません。」
雪次郎「ペチカ様は あんなやつの嫁になりたいのか?」
なつ「それを望まないことは あなたが 一番 よく分かってくれているはずです。 ポポロ。 だけど 自分のことだけを 考えるわけにはいきません。 そもそも 私たちは その考え方が間違っていたんです!」
門倉「何が間違っていたのだ? ペチカよ。」
なつ「川下の村を 敵と見なすことです。 すぐに争うことです。」
門倉「しかし それは 向こうとて同じことじゃ。」
なつ「だから 私が嫁げば その争いもなくなりましょう。 私にとって 村人は家族です。 血は つながっていなくても 大事な家族なんです。」
なつ「その家族が もし 争いごとに巻き込まれて 命を落とすようなことになったら 私は その悲しみに耐えられない。 だから 私が 家族を守るんです!」
雪次郎「それじゃ 俺は どうなるんだ! 本当の家族もいない俺は お前を失ったら 生きてはいけない!」
門倉「ペチカよ お前とポポロは どうなっておるのじゃ?」
なつ「結婚の約束をしました。 だけど それは諦めなくてはなりません。」
雪次郎「ペチカ… ペチカ!」
門倉「許せよ ポポロ~!」
雪次郎「ペチカ~!」
<絶望したポポロは 山をさまよい歩き ペチカそっくりの女性と出会います。>
雪次郎「ペチカ!」
なつ「いいえ 私は 白蛇です。 あなたに助けてもらった白蛇です。」
雪次郎「神様の使いか!?」
なつ「そうです。 さあ 私は あなたの一番望むことを かなえてあげられます。 何でも言って下さい。」
雪次郎「それでは… ペチカを ほかの誰にも 嫁がせないようにして下さい! お願いします!」
なつ「本当に それでいいのですか?」
雪次郎「はい。 ほかには 何も望みません。 私には ペチカさえいれば それでいいのです。」
なつ「分かりました。 では ペチカを 嫁がせないようにしてあげましょう。」
<それから 間もなくして ペチカは 謎の眠り病になってしまいました。 ペチカを嫁がせない代わりに サケも 手に入らなくなり ペチカも ほかの病人も 死を待つだけとなったのです。>
雪次郎「ああ~!」
雪次郎「何で 神様に 村人みんなを助けてくれと 言わなかったんだ…。 なぜ 自分のことだけを 考えてしまったんだ…。 俺は 愚か者だ…!」
なつ「いいえ。 私がいけないのです。」
雪次郎「あなたは?」
なつ「私は 神の使いでありながら あなたに 恋をしました。 だから ペチカを眠らせたのです。 ペチカを諦めてほしかったのです。 さあ 私を焼いて下さい。 白蛇の皮を焼いて それを煎じて飲めば 病気は治ります。」
なつ「そして 川では オショロコマが たくさん取れるでしょう。 それを分け合って 川下の村と仲よくなって下さい。 そして 平和に暮らして下さい。 どうか お幸せに。 さようなら。」
雪次郎「待ってくれ… 待ってくれ!」
雪次郎「何だ 牛か。」
良子「牛じゃねえ! 白蛇だ! モ~!」
雪次郎「白蛇様!? 本当に白蛇様なのか!?」
良子「どう見ても…。 白蛇!」
(拍手と笑い)
一同「お疲れさまでした~!」
良子「気持ちいかった~!」
なつ「緊張した…。」
雪次郎「いや 誰かほどじゃねえべさ。」
門倉「(口笛)」
倉田「ま いろいろあったが これが 俺たちの演劇だ。 うん… 心から そう言えるだろう。 はい お疲れさん!」
一同「ありがとうございました!」
倉田「はい。」
天陽「お疲れさまでした。」
倉田「すごい絵だったな。」
なつ「天陽君!」
雪次郎「おっ 天陽 見てたのか?」
天陽「うん。 まあ 途中からだったけど。」
なつ「何かあったの?」
天陽「うん…。」
富士子「父さん!」
剛男「間に合ったんですか?」
泰樹「途中からじゃ。」
なつ「じいちゃん!」
剛男「ああ なつ~!」
富士子「お疲れさん!」
剛男「お疲れ!」
明美「なつ姉ちゃん かっこよかったよ!」
なつ「ありがとう。 みんな ありがとうございました。」
雪次郎「ありがとうございました。」
なつ「じいちゃん ありがとう。 芝居 どうだった? 途中からじゃ 分からなかったしょ?」
泰樹「わしのためにやったのか? わしに見せるために…。」
なつ「えっ?」
泰樹「天陽のところの牛乳は わしの牛乳より 1升で6円も安かった。 どう考えても あれじゃ納得できん。」
なつ「じいちゃん…。」
泰樹「わしの牛乳も これからは 農協に預けることにする。」
剛男「お義父さん…。」
泰樹「団結するしかないべ。」
富士子「父さん…。」
剛男「ありがとうございます。」
泰樹「そうか… あの芝居を わしに見せたかったか。 このわしが 愚かだったか…。」
なつ「違う… 違うよ! じいちゃんが愚かなんて そんなこと 絶対あるはずない! 絶対ないよ!」
泰樹「なつ どうした?」
なつ「じいちゃんは 私の誇りだもん! ずっと ずっと じいちゃんみたいに なりたくて 生きてきたんだから! 私は 自分のためにやったの。 自分のためにやったんだよ。」
なつ「途中から じいちゃんのことなんて考えてなかった。 自分のことだけに 夢中だった。 ごめんなさい。 じいちゃんが 愚かなはずない!」
泰樹「なつ…。」
<なつは 生まれて初めて 物語を表現し 人を思う気持ちを強くしたようです。 ああ なつよ その思いを抱いたまま 来週に続けよ。>