ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第30話「なつよ、お兄ちゃんはどこに?」【第5週】

あらすじ

約束の時間になっても咲太郎(岡田将生)は川村屋に現れない。心配するなつ(広瀬すず)に、光子(比嘉愛未)は、咲太郎は現れないだろうと諭す。そのとき、川村屋の扉が開く。現れたのは信哉(工藤阿須加)。心配するなつに信哉は、咲太郎が来られなかった理由を伝える。日が変わり、なつと富士子(松嶋菜々子)は、咲太郎が働いていた浅草を訪れていた。そこで咲太郎の知り合いであるダンサーから、新たな事実を告げられる…。

30話ネタバレ

六区館

ホール

なつ「お兄ちゃん!」

なつ「お兄ちゃん…。」

咲太郎「なつかよ…! なつ!」

なつ「えっ お兄ちゃん…。」

咲太郎「なつ!」

なつ「お兄ちゃん…。」

定食屋

なつ「一緒に 新宿に行かない? みんな お兄ちゃんのこと 心配してるよ。」

咲太郎「うん… 明日行くよ。 必ず行くって 川村屋のマダムに そう言っといてくれないか。」

六区館

楽屋

(戸の開閉音)

松井「誰? あっ 何だ 咲坊か…。」

咲太郎「松井さん! どこ行ってたんですか!?」

松井「おう あいつは?」

咲太郎「いや 島貫さん カンカンに怒って もうやめるって いなくなっちゃいましたよ。」

松井「そうか。 それは清々した。」

咲太郎「また 博打ですか?」

松井「それが ツキまくってよ ハハ。 そういう時は ツキを放したくねえだろ。」

咲太郎「勝ったんですか?」

松井「勝ちまくった。 よ~し 咲坊 今夜は2人で パ~ッと…。」

咲太郎「お願いします そのお金を貸して下さい。」

松井「は?」

咲太郎「お願いします!」

松井「いくら?」

咲太郎「10万。」

松井「10マン!?」

咲太郎「あ… 1万でもいいんです。」

松井「下がり過ぎだろ。」

咲太郎「その間 いくらでも! お願いします! お願いします!」

松井「しょうがねえな… 分かったよ。 これが 博打の戦利品なんだ。 質屋に持ってけば ひょっとしたら 10万くらいになるかもしれねえぞ ああ。」

川村屋

<翌日 咲太郎は 夜になっても 川村屋に現れませんでした。>

光子「もう来ないわよ きっと。」

なつ「どうしたんだろう…。」

光子「もう お部屋に戻ったら?」

富士子「佐々岡さんが 見に行ってくれてるので…。」

光子「それも 随分かかってるわね。」

野上「あっ 戻られました。」

なつ「一人? どだったの?」

信哉「咲太郎が 警察に捕まった。」

なつ「えっ! どういうこと!?」

信哉「今日の昼前に 質屋に 時計を持っていったら それが 盗品として 手配されていたものだったらしく そのまま 取り押さえられて…。」

なつ「うそだ…。」

六区館

<なつたちは 翌日 とにかく 浅草に向かいました。>

楽屋

マリー「咲ちゃんは やってないわよ 泥棒なんて」

なつ「えっ 本当ですか!」

マリー「その時計は 3日前の晩に 盗まれたっていうんでしょ? その晩は 咲ちゃん 私と一緒にいたもの ず~っと朝まで。」

なつ「えっ?」

信哉「それ 警察に話してくれたんですか?」

マリー「話したわよ。 でも ダメよ。 警察なんてね 捕まえたもんを 絶対に シロにはしないの。」

富士子「そんで あんたは平気なのかい? 恋人なんだよね?」

マリー「そんなんじゃないわよ。 咲ちゃんは好きだけどね。 妹がいることも知らなかった。 よかったわね 会えて。 咲ちゃんは 本当にいいやつよ。 出てきたら言ってよ。 また いつでも 遊びにおいでって。 ね。 じゃあ 出番だから。」

富士子「どうも ありがとうございました。」

道中

富士子「大丈夫さ。 やってないなら 必ず分かるさ。」

なつ「でも… やってないなら どして 質屋行ったのさ?」

川村屋

野上「お帰りなさい。 あちらで お二人をお待ちしております。」

富士子「あっ 茂木社長。 先日は いろいろとお世話になりました。」

茂木「いやいや。」

光子「どうぞ お掛けになって。」

茂木「この方は 藤田正士さん。 人呼んで 藤正親分。」

なつ「親分?」

茂木「ああ。 戦後のムーランルージュは その焼け跡を管理していた この藤正親分が再建したんだ。 ムーランがなくなるまで 支配人もされていた。 いわば 咲太郎君の親分ってわけだ。」

藤田「なつさんか。」

なつ「はい…。」

藤田「北海道から よく来なすった。」

なつ「兄が お世話んなりました。」

富士子「私は なつの母親です。」

藤田「あんたも偉い。」

富士子「いいえ…。」

藤田「咲太郎は 戦後のマーケットで うろうろしてるところを助けたんだ。」

なつ「それは ありがとうございました。」

藤田「助けたのは俺じゃねえ。 戦前から ムーランで踊ってた 岸川亜矢美っていう踊り子だ。 亜矢美が あの子を 俺のところへ連れてきた。 亜矢美は 母親のように 咲太郎をかわいがってた。」

藤田「だから 咲太郎にとって ムーランルージュは 母親のいる場所 宝のような場所だと思っていただろう。 あいつは ムーランルージュが潰れた時 それおw 必死に買い戻そうとしたんだ。」

なつ「兄がですか?」

藤田「要するに だまされたのよ。 イカサマ興行師の口車に乗せられて 10万円用意すれば 共同経営者として 買い戻せると思い込み 金貸しから借りたのよ。 それを そのイカサマ野郎に 持ち逃げされたんだ。」

富士子「10万もですか!?」

藤田「ああ。 金貸しも 10万もの金 まだ ガキだったあいつに ただ貸すわけがねえ。 誰かが あいつの保証人になったんだ。 だから 咲太郎は その10万円を作るまでは 新宿に戻らねえ。 そう言って 姿を消したんだ。」

茂木「どこの誰なんですかね。 しかし まあ その保証人も よほどのお人よしか バカですな。 ハハハ…。」

野上「マダム!?」

富士子「えっ?」

藤田「まさか…。」

茂木「マダムが!?」

光子「あ… 親分 咲太郎は だまされたって 本当ですか? 咲ちゃんは 私を だましたわけじゃないのね?」

藤田「そりゃ違う。」

光子「はあ~ おかしいと思ったわ。 たかだか 10万円で 劇場を買い戻せるわけがないもの。」

茂木「いや それを信じたの? マダムともあろう人が?」

光子「だって… 私は 咲ちゃんの夢を買ったのよ。 だからね なつさん 私のせいなのよ。 きっと お兄さん 私に 借金を返さなくちゃと思って…。 そうしないと 妹のあなたに 請求されると思ったのかもしれないわね。」

佐知子「あっ いらっしゃいませ。」

信哉「なっちゃん…。」

なつ「信さん どうしたの?」

光子「あっ… どうぞ。」

信哉「すいません。 警察で 少し話が聞けたよ。」

なつ「えっ?」

信哉「あいつは 泥棒はしてないと 言ってるらしいけど じゃあ 誰からもらった時計なのかと 聞かれれば それを言わないそうなんだ。 多分 誰かを かばってるんだと思う。」

なつ「お兄ちゃんは どうなるの?」

信哉「分からない。 それで… 警察から あいつの手紙を預かってきたんだ。」

咲太郎『なつへ。 また なつに会える日が来るなんて 本当に信じられない。 幸せに暮らしていると知って 安心したよ。 東京まで 兄ちゃんを捜しに来てくれて ありがとう。 でも なつ すまない…。 お前は もう こんな兄ちゃんのことは忘れてくれ…。 忘れて 北海道で幸せになれ。 兄ちゃんも… お前を忘れる』。

咲太郎『ごめんな』。

柴田家

詰め所

照男「何だよ じいちゃん おっかない顔して。」

泰樹「お前… なつと結婚しろ。」

照男「えっ?」

泰樹「なつと結婚するんだ。 そしたら なつは 正真正銘の柴田家の家族になる。 一生 この家にいることになるんだ。 お前が そうしろ。」

<ああ なつよ 君のいない十勝でも 何かが変わっていくようだけど…。 来週に続けよ。>

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