ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第34話「なつよ、雪原に愛を叫べ」【第6週】

あらすじ

帯広で映画を見た帰り道、なつ(広瀬すず)と天陽(吉沢亮)は雪月に立ち寄る。店主の雪之助(安田顕)は、雪次郎(山田裕貴)とともに試作品を作ったと、バターを使った焼き菓子をふるまう。雪之助はなつに、十勝の食材を使ったこの焼き菓子を、いずれは地元の名産にしたいと語り、そこに使うバターについて、なつに相談したいと持ちかける。雪之助たちから期待されるなつの姿に天陽は、なつの心の内にあるものを感じていた…。

34話ネタバレ

雪月

なつ「アニメーションって 何でもできるんだね。」

なつ「無理だよね そんなの。 私が そんなところに行けるわけがないわ。 酪農だって 中途半端なのに。 うん… 私ができるわけがない アニメーションなんて。」

天陽「なっちゃん…。」

なつ「うん?」

天陽「本当は行きたいんだべさ?」

なつ「ハハ… 無理 無理 無理 無理! ハハハ…。」

妙子「はい お待たせしました。 コーヒーと紅茶ね。 はい どうぞ。」

雪次郎「映画 行ったんだって?」

なつ「うん。」

天陽「やあ。」

雪之助「やあ 2人とも ちょうといいところに来たね。 今朝から 雪次郎と2人で 新しいお菓子 作ってたところです。」

なつ「あっ バターを使ったお菓子?」

雪之助「そう そう そう そう。 これが 雪月の新商品 バター煎餅!」

なつ「バターせんべい?」

雪之助「まあ ビスケットみたいなもんだな。」

なつ「あっ! これ ミルクバケットの形してる。」

雪之助「そう! よく気付いたね!」

なつ「いや 気付かれなかったら失敗しょ?」

雪之助「そうだな ハハハ…。」

妙子「コーヒー 紅茶に ちょうどいかったわ。」

なつ「頂いても いんですか?」

雪之助「どうぞ どうぞ どうぞ。」

雪次郎「まだ売りもんじゃねえけど たくさん作ったから。 ほら この前 学校で作った あのバター使ったんだわ。」

なつ「ああ。」

雪之助「天陽君も!」

なつ「頂きます。」

天陽「あっ 頂きます。」

雪之助「どう?」

なつ「うん おいしい!」

雪之助「天陽君は?」

天陽「おいしいです。」

雪之助「よかった ハハハ…。 おい 雪次郎 ほかのテーブルの方にも おすすめして。」

雪次郎「あっ はい。」

雪之助「これはね なっちゃん 地元の銘菓にしたいんだよ。」

なつ「めいか?」

雪之助「そう。 帯広に来た人がさ みんな これを 買って帰るようなお土産にしてね これ食べたら みんなが 帯広の風土を思い出せるような そんなお菓子にしたいんだ。」

なつ「だから 地元のバターに こだわってるんですね。」

雪之助「そのとおり。 天陽君の絵と同じだ。 ここで生きてなければ 作れないものにしたいんだ。」

妙子「このお菓子を入れる缶も考えてあるのよ。」

雪之助「おお~ ハハハ そう そう そう…。 これ おふくろのアイデアでね。」

とよ「これは 柴田のじいさんなら分かると思うよ。」

なつ「じいちゃんとも関係あるんですか?」

とよ「その昔 明治の頃に 十勝を切り開いた 依田勉三さんという人がいました。 その人が 晩成社という開拓団を率いていたのよ。」

なつ「とよばあちゃんの知り合い?」

とよ「知り合いじゃないけど 同じ帯広にいたからね。 あんたのじいちゃんは 会ってたんでないかい。」

なつ「その晩成社が バターを作ってたって じいちゃんから聞きました。」

とよ「そう! そのバターの缶が こんな感じだったのよ。」

なつ「ふ~ん。」

とよ「雪次郎! はい。 これ じいちゃんに持ってってやって。」

なつ「いいんですか?」

とよ「うん。」

なつ「ありがとうございます。」

とよ「はい。」

なつ「喜ぶと思います じいちゃん。 『開拓者の郷』…。」

雪之助「そう これが商品名だ。 つまり 十勝の歴史を今に伝えて 今の十勝の新しいバターを使った お菓子というわけだ。」

なつ「すごい…。」

とよ「売れるかね?」

妙子「売れますよ。」

とよ「材料費も いくらかかるか分からないのに。」

雪之助「大丈夫だ。 バターのことなら なっちゃんと相談してやっていくから。」

なつ「あっ… はい。」

雪次郎「俺は 東京に行かされるしな。」

雪之助「期待してるよ なっちゃん!」

なつ「はい。」

列車

天陽「なあ なっちゃん。」

なつ「うん?」

天陽「じいさんに相談してみれば いいんでないか?」

なつ「バターのこと?」

天陽「違うよ。」

なつ「じゃ 何のことさ?」

天陽「東京に行くこと。」

なつ「どうして?」

天陽「どうしてなんて… 自分で考えろよ。 お兄さんも 向こうにいるんだし 柴田家の人も ダメとは言わないんでないか?」

なつ「行きたいなんて言ってない!」

天陽「だったら行くなよ。」

天陽「俺 今度 スキー大会に出るから。」

なつ「えっ?」

天陽「開拓青年団の。」

なつ「出るの? スキー持ってたの?」

天陽「うん… 板につける金具はあるけど 板はない。 自分で作るわ。」

なつ「えっ!」

天陽「ハハハ…。」

なつ「大丈夫なの?」

天陽「大丈夫さ ハハハ…。」

なつ「作り方 知ってるの?」

天陽「知らん。」

なつ「はあ?」

天陽「ハハハハ…。」

柴田家

詰め所

なつ「どう?」

悠吉「うん うまいよ!」

なつ「でしょ。」

菊介「うまいけど これ 煎餅なのか? 洋風の味だな。」

なつ「バター煎餅なんだから 洋風でいいのさ。」

菊介「ビスケットで いいべさ。」

なつ「あっ ビスケット知ってんだ。」

菊介「バカにすんなよ おい。」

なつ「こんなふうに 帯広のお菓子屋さんが バターを買ってくれるようになれば ここで バターを作っても 無駄にはならないんじゃないかな。」

悠吉「けど 雪月さんは変わってるからな。 ほかの店は バターより 小豆が中心だべさ。」

なつ「これから 変わっていくと思う。 洋菓子が増えていくよ。」

菊介「みんなに バターを売ったら 雪月が怒るべさ。」

なつ「どうして?」

菊介「雪月が特別でなくなるべ。」

なつ「雪之助さんは そんな心の狭い人じゃないよ。」

菊介「分かんねえよ。」

悠吉「会ったことあんのか?」

菊介「会ったことはねえ。」

なつ「ハハハ…。」

悠吉「なら 分かんねえべ。」

菊介「だから 分かんねえって言ってるべ。」

悠吉「はあ?」

泰樹「なつ。」

なつ「ん?」

泰樹「お前と照男に任せる。 2人で考えてやれ。」

なつ「照男兄ちゃんと?」

泰樹「うん。 今日 天陽と 映画行ったのか?」

なつ「うん。 あっ 天陽君 スキー大会出るんだって。」

菊介「おお 出るか! よし この菊介さんが教えてやる。」

なつ「本当?」

菊介「おう。」

富士子「ちょっと いつまで休んでるの?」

菊介「はいはい…。」

悠吉「富士子さん こけたね 今ね…。」

泰樹「照男も スキー大会出る。」

照男「えっ?」

富士子「何?」

泰樹「照男 出るべ。」

悠吉「おっ 照男君と天陽君の戦いかい! 」

菊介「だったら 俺は 照男君の味方だ。 子どもの頃から 俺が教えてきたからな。」

なつ「天陽君は 敵じゃないべさ!」

菊介「いや 照男君が出る以上は敵だ。」

富士子「なつ 牛が待ってるよ。」

なつ「あっ うん 分かった。」

夫婦の部屋

富士子「もし なつが そのこと知ったら どうなるんだろう。」

剛男「そのこと?」

富士子「照男のことよ。」

剛男「ああ…。」

富士子「もし…。 もしもよ 照男に その気があって なつは じいちゃんのためを思って 私たち家族のためを思って それを 断れないと思ったとしたら… それは 2人にとって 残酷な話よね。」

剛男「なつは 天陽君のことが 好きなんだろうか?」

富士子「分からない…。」

剛男「もし そうじゃないとしたら 照男のことを好きなる可能性なんて あるのかな? 本気で。」

富士子「そうなってもらいたいの?」

剛男「君は どうなんだ? もし そうなったら 反対か?」

富士子「私は…。 今のまんまがいい。 ずっと 今の家族でいたい。」

山田家

回想

天陽「お兄さんも 向こうにいるんだし 柴田家の人も ダメとは言わないんでないか?」

なつ「行きたいなんて言ってない!」

天陽「だったら行くなよ。」

回想終了

柴田家

台所

泰樹「これ 使え。」

照男「えっ 買ってきたの?」

泰樹「そだ。」

なつ「あっ! ずるい!」

剛男「何が ずるいんだ?」

なつ「天陽君は 板を持ってないから 自分で作るんだよ。」

照男「持ってないのか?」

なつ「うん。」

照男「パチンコもねえのか?」

なつ「金具だけはあるって。」

夕見子「ハハハ…。 それじゃ 勝負にならんわね。」

明美「あっ なつ姉ちゃんの貸してやれば?」

なつ「ダ~メ! 自分で作った方が かっこいいっしょや!」

明美「うん かっこいい!」

泰樹「勝てばいいんだ。」

照男「えっ?」

泰樹「勝った方が かっこいいべ。」

<そして スキー大会の日がやって来ました。>

スキー大会

なつ「見て! イエ~イ!」

天陽「何ですか? 大事な話って…。」

照男「うん… なつのことだ。」

天陽「なっちゃんが どうかしたんですか?」

照男「お前… なつのこと どう思ってる?」

天陽「えっ?」

照男「好きなのか?」

天陽「なしてですか?」

照男「答えろよ。」

<なつよ 何だか 妙な雲行きになってきたぞ。>

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