ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第37話「なつよ、今が決断のとき」【第7週】

あらすじ

天陽(吉沢亮)に会いに行く途中、吹雪で立往生し、倒れてしまったなつ(広瀬すず)。目を覚ましたなつの目に飛び込んできたのは、狩猟生活を思わせる動物の毛皮や猟銃、木彫りの熊や彫刻だった。人里離れた森の奥で暮らす、阿川弥市郎(中原丈雄)と砂良(北乃きい)親子が、なつを助けていた。見知らぬ人に助けられたと思ったなつだったが、弥市郎と砂良は、あることでなつと接点を持っていたようで…。

37話ネタバレ

道中

回想

泰樹「結婚する気はあるか? 照男が相手なら そういうことは 考えられんか?」

なつ「一度でも思ったら… もう家族には戻れんよ…!」

回想終了

阿川家

(物音)

なつ「ここは どこなんですか?」

弥市郎「砂良が あんたを見つけて助けたんだ。」

なつ「サラ?」

弥市郎「娘だ。」

なつ「あの… ここは おじさんの家ですか?」

弥市郎「ああ 森の奥にある。 あっ 俺は 阿川弥市郎だ。」

なつ「私は 奥原なつといいます。 柴田牧場に住んでます。 あっ 今 何時ですか!?」

砂良「これかい?」

なつ「あ… すいません。 もう夜中なんですね。 早く帰らんと みんなが心配します。」

弥市郎「外は まだ 風が やまん。 この闇夜に動くのは無理だ。」

なつ「したけど…。」

弥市郎「死にたきゃ帰れ。」

なつ「みんなが 私を捜してるかもしれないし…。」

砂良「大丈夫よ。 あんたが 外にいる思ってるんなら 捜す方は とっくに諦めてるさ。」

なつ「えっ?」

砂良「今頃は 死んだと思ってる。 明日の朝 生きて帰ればいいだけよ。」

なつ「そうかもしれん…。 私 友達のところに行こうとしてたんです。 だから 家では 今頃 友達のところにいると 思ってるかもしれません。 そんで その友達は もう 今日は来ないだけだと思ってるかも。 えっ だったら 私 もし死んでても 誰にも気付かれなかったってことですか?」

砂良「あなた 芝居してるでしょう?」

なつ「芝居なんかしてません! 本当のこと言ってます!」

砂良「そじゃなくて 農業高校の演劇部で。」

なつ「えっ?」

砂良「倉田先生の生徒でしょ?」

なつ「えっ 知ってるんですか? 倉田先生を?」

弥市郎「よ~く ここへ来て 俺らの話を しつこく聞きたがっていたからな。」

なつ「ああ… あの先生 いろんな人の話を聞きたがるんです。」

回想

倉田「お前の思い じいちゃんに響かせろ。」

回想終了

弥市郎「ハハハ… 見たぞ あんたの芝居。」

なつ「あ~…。」

砂良「倉田先生が どうしても見てくれって言うから。」

なつ「そなんですか。」

砂良「今日 泣いてたべさ? 歩きながら。」

なつ「あ…。」

砂良「それ 見てたんだわ。 もうじき 吹雪になるのに のんきに泣きながら歩いてる人がいるな 大丈夫かなって見てたら あんただった。」

なつ「のんきに泣いてるつもりは なかったんだけど…。 それが 命取りになって お二人に ご迷惑をおかけしたんですね。 すいません。」

砂良「あんた しっかりしてんのか 子どもなのか 分かんないね。」

なつ「あっ はい…。 多分 しっかりした子どもなんです。」

弥市郎「自分で言うか。 ハハハ…。」

砂良「ハハハ…。」

柴田家

夫婦の部屋

剛男「なつは 本当に 天陽君ところに 無事着いたんだろうか?」

富士子「そんな… おっかないこと言わないでよ。」

剛男「あっ… ごめん。 今頃 天陽君と どんな話をしてるんだろう。 本当に 照男の気持ちは それでよかったのかな。」

回想

照男「じいちゃん 俺は ダメだった。 なつは やっぱり 妹にしか思えないよ。」

回想終了

富士子「なつのことも 真剣に考えて あの子が出した答えなんだから。 きっと 何も変わってない。 私たちは 何も変わってないはずだわ。」

阿川家

なつ「これは どうするんですか?」

弥市郎「もちろん 売るんだ。」

なつ「ここに 買いに来る人がいるんですか?」

弥市郎「ここに来るのは 本物の熊か… 雪女ぐらいだべ。」

なつ「私が 雪女ですか?」

弥市郎「雪女というよりは… 雪ん子だべ。」

なつ「子どもで すいません。」

弥市郎「しっかりした子どもな。」

なつ「ハハハ…。」

砂良「帯広の土産物屋に持っていくんだわ。」

なつ「お土産か…。」

砂良「土産は 生活のためだけど そうじゃないのも作ってるわ。」

なつ「弥市郎さんは 芸術家なんですね。」

弥市郎「昔は 東京で 教師をしてたんだ。」

なつ「学校の先生だったんですか?」

弥市郎「終戦後に こっちに来て 開拓はせずに森に入って こんな生活を始めた。」

なつ「先生は 辞めたんですか?」

弥市郎「さんざん 子どもたちに 軍国主義を たたき込んできたからな。 続ける気にはなれんかった…。」

砂良「魚 焼けたよ。 食べない? 今日は 湖に これを取りに行って その帰りに あんたを見つけたのよ。」

なつ「もしかして その魚は オショロコマですか? 倉田先生の芝居に出てきた!」

砂良「そ。 オショロコマ。」

なつ「それじゃ あなたが… 砂良さんが 白蛇の化身だったんですね!」

砂良「は?」

なつ「きっと 倉田先生は あなたを モデルにしたんです。 白蛇の化身を。 だから 助けてくれたんですね。」

砂良「何でもいいから 食べれば?」

なつ「ありがとうございます。 んっ 本当においしい! オショロコマ。」

弥市郎「砂良の母親も 空襲で死んだんだ。」

なつ「えっ?」

弥市郎「俺たちも あんたと同じだ。 空襲で 大事な人を失って 北海道に来た。 空襲で 大事な人を失って 北海道に来た。 だから 倉田先生は あんたの芝居を 俺たちに見せたかったんじゃねえのかな。」

なつ「おじさんは 戦争を恨んでますか?」

弥市郎「もちろん 今は恨んでる。 この子の母親を思い出す度 怒りが込み上げてくる。 助けてやれんかった 自分に対する怒りもな。」

なつ「どしたらいいんですか? そういう怒りや悲しみは どしたら 消えるんですか?」

弥市郎「自分の魂と向き合うしかないべな。」

なつ「魂…?」

弥市郎「消さずに それを込めるんだ。」

なつ「魂を込める?」

弥市郎「そういう怒りや悲しみから 新たな絶望を生まないために 俺は こうやって この木の中に閉じ込めてる。 それを 自分の魂に変えるのさ。 倉田先生だって きっとそうだ。 平和を祈って 魂込めて ああいう芝居を作ったんだ。」

なつ「はい…。 これは 何ですか?」

弥市郎「分からん。 木の魂… 木魂(こだま)としか 言いようがねえべな。 ハハハ。」

なつ「コダマか…。」

翌朝

弥市郎「帰るのか?」

なつ「すいません。 早く帰らんと みんなが心配するんで。」

弥市郎「目の前の森を まっすぐ行けばいいだけだ。 気を付けてな。」

なつ「はい。 本当に ありがとうございました。」

道中

<なつよ… その目に映るもの 全てに 魂を込めよ。>

柴田家

新牛舎

天陽「おはようございます!」

富士子「おはよう。」

天陽「あの… なっちゃんいますか?」

玄関前

富士子「照男!」

照男「俺のせいだ! 俺が行けって言ったんだ!」

富士子「待ちなさい!」

剛男「あっ… ほら…!」

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