ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第38話「なつよ、今が決断のとき」【第7週】

あらすじ

なつ(広瀬すず)が、天陽(吉沢亮)の家にたどり着いていないことを知り、あわてる柴田家の面々。しかしすぐに、弥市郎(中原丈雄)の家で一夜を明かしたなつが帰宅し、安心する。心配して柴田家を訪れた天陽に対し、なつはアニメーターになりたいことを打ち明ける。そのため天陽は、なつへの思いを伝えることができなくなってしまう。その夜、なつは家族を前に、今の思いを伝えるが…。

38話ネタバレ

柴田家

玄関前

富士子「照男!」

照男「俺のせいだ! 俺が行けって言ったんだ!」

富士子「待ちなさい!」

剛男「あっ… ほら…!」

天陽「なっちゃん…。」

菊介「いかった… いかったあ!」

悠吉「なっちゃ~ん!」

台所

明美「あっ なつ姉ちゃん!」

富士子「明美 お風呂たこうか。」

菊介「あっ 俺やります。」

悠吉「牛も ほっとけねえべ。」

なつ「あっ 私は大丈夫だから。 牛を お願い。」

悠吉「ああ。」

照男「どこに行ってたんだ?」

なつ「森に住む 彫刻家の親子に助けてもらった。」

照男「何言ってんだ?」

富士子「彫刻家?」

なつ「うん。」

剛男「阿川さんかい?」

なつ「知ってるの? 父さん。」

剛男「あ… そういう人がいるってことは…。」

夕見子「どしたの? 一体。」

富士子「話は あとあと! とにかく 体あっためなさい。」

なつ「天陽君も 心配して来てくれたの? ごめんね。」

天陽「いや 心配したけど なっちゃんが無事なら よかったよ。」

なつ「じいちゃん… いろいろと ごめんなさい。」

泰樹「うん… いや…。」

なつ「みんな 心配かけて ごめんなさい。 私は このとおり ちゃんと生きてるから。」

牧場

なつ「本当に悪かったね。」

天陽「俺はいいから 早く戻れ。」

なつ「天陽君に 話したいことがあって。」

天陽「俺に?」

なつ「うん。 その前に 天陽君の話って何? 昨日 聞くはずだったやつ。」

天陽「ああ… それは また今度でいいや。 そっちの話は?」

なつ「私ね やっぱり 漫画映画をやってみたい。 日本で これから アニメーションを作る人 アニメーターっていうのになりたい。 いや… なるって 今朝 そう決めたんだわ。」

天陽「今朝?」

なつ「うん。 それを 天陽君に 一番に話したかったのさ。」

天陽「そうか… 決めたか…。 うん… なっちゃんの決意が聞けて よかったさ。」

なつ「まだ 許してもらったわけじゃないけど…。」

天陽「俺は いいと思うよ。 頑張れ。」

なつ「うん!」

天陽「うん。 したら 今日は帰って ゆっくり休め。」

なつ「ありがとう。 したら 天陽君 またね。」

天陽「うん。 また。」

居間

<それから その晩 なつは 夕飯を 普通に食べました。>

なつ「本当に 雪が降ってなかったら 普通に 熊が出てきそうなとこに 住んでんだわ。 そこで 熊彫って暮らしてんのさ。」

明美「え~ そんなとこに住んでて おっかなくないの?」

なつ「熊も なれたもんで 来ても お互い びっくりもしなくなったんだって。 それどころか その家の なまら美人の娘の砂良さんに 熊が ラブレター持ってきたっていうもね。」

明美「うそだ! 熊が 手紙書けるわけねえべさ。」

なつ「手紙でねえのさ。 サケ。 サケくわえて持ってきたんだって。」

明美「えっ!」

なつ「アキアジが 熊のラブレターなんだわ。」

明美「うそだ~!」

<そして 食事のあと なつは 切り出したのです。>

なつ「父さん 母さん じいちゃん みんな…。」

夕見子「うん? 何さ みんなって…。」

なつ「お願いがあります。」

富士子「何なの? 改まって。」

なつ「私を 東京に行かして下さい。」

富士子「いつ? 冬休みの間に?」

なつ「そじゃなくて… 今すぐの話じゃなくて そのうち 何年かしたら…。 私を 東京に行かして下さい。」

剛男「なつ それは つまり 東京で暮らすということかい?」

なつ「はい。」

剛男「東京行って どうしたいのさ?」

なつ「うん… あの…。 私は これから… お兄ちゃんを支えたいと思ってる。」

富士子「咲太郎さんと暮らすのかい?」

なつ「暮らすかどうかは まだ…。 ただ ちょっとでも近くにいて お兄ちゃんの力になれたらって…。 それから 妹の千遥も捜して 3人で会えたらいいなって…。」

富士子「それは 分かるけど…。」

剛男「何で そのうちなんだ? 何年かしたらって どういうことなんだ?」

なつ「だって 農業高校まで行かしてもらって まだ 何もしてないのに…。」

泰樹「その必要はねえ。」

なつ「えっ?」

泰樹「行きたきゃ 行けばいいべ。」

なつ「じいちゃん…。」

泰樹「お前に 牛飼いをさせたのは わしの勝手じゃ。」

なつ「いや…。」

泰樹「これ以上 わしの勝手に つきあうことはない。」

なつ「ねえ じいちゃん そったらこと 私は…。」

泰樹「牛飼いと お前は 何も関係ねえ。 このうちとも関係ねえ。 出ていきたきゃ 出ていけばいいべ。 行くなら すぐ行け。」

剛男「お義父さん!」

泰樹「お前の顔は もう二度と見たくない。」

富士子「ちょっと…。」

泰樹「勝手に出ていけ!」

なつ「分かった… 分かりました…。 どうも すいませんでした。」

富士子「なつ!」

子供部屋

富士子「やめなさい! どうするの…。 今すぐ出てくの? どこ行くの? こんな時間に 出ていけば みんなに 迷惑がかかることぐらい もう分かるべさ!」

なつ「だけど…。 ここには もう 申し訳なくていらんない…。」

富士子「したら これで 帳消しにすればいいべさ!」

剛男「富士子ちゃん!」

富士子「出ていくあんたに 申し訳ないなんて言われるくらいなら 憎まれた方が よっぽど ましだわ…。 一人で苦しみたいなら 家族はいらないっしょ…。」

居間

照男「じいちゃん 何も あそこまで…。 もしかしたら なつは やっと言い出せたことかもしれんべや。」

泰樹「照男。」

照男「ん?」

泰樹「すまんかったな お前まで巻き込んでしもて…。」

照男「じいちゃん…。」

旧牛舎

泰樹「ほら…。」

子供部屋

剛男「どっちにしろ ちゃんと学校は出てくれ。 な? なつ。」

なつ「でも…。」

富士子「申し訳ないなんて言ったら また たたくよ。」

剛男「脅かすなや。」

夕見子「途中でやめる方がもったいないよ お金が。」

剛男「そんなケチくさいこと言わんでいい。 親の言うことは聞くもんだ。」

富士子「そだよ。」

明美「ねえ なつ姉ちゃんのお兄ちゃんは こっちで暮らせないの?」

なつ「えっ?」

明美「東京から ここに呼んだらいいべさ。」

富士子「そうね それができたらね。」

剛男「ま とにかく そういうことも これから じっくり考えて なつが 自分で 答えを出せばいい。 なつが 本当に望むことなら 誰も反対はしない。 じいちゃんだって 本当はそうなんだ。」

夕見子「問題は なつも 自分で 自分に納得してればいいだけよ。 今すぐ出てったら 納得も何もできないっしょ?」

明美「また難しいこと言う。」

夕見子「難しく考えんなってこと言ってんの。」

なつ「ありがとう 夕見。 父さん 母さん 明美ちゃん 本当に ありがとう。 私は 自分勝手で恥ずかしい…。」

夕見子「あれ あんたが自分勝手なの 今頃 気付いた?」

なつ「うん 今頃 気付いた。 ねえ 夕見 あんたの大事な時に 本当悪いね こんなことで騒いで…。」

夕見子「何言ってんのさ これしきのこと。 誰が あんたなんかに 振り回されるもんか。 さて 勉強しよう。」

富士子「お茶 いれよかね。」

夕見子「あっ 私も お茶欲しい。」

富士子「はい。」

<なつよ… 君は 肝心なことを まだ言ってないよな。>

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