ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第39話「なつよ、今が決断のとき」【第7週】

あらすじ

東京に行きたいと家族に打ち明けたなつ(広瀬すず)だったが、本当の理由は話せずにいた。なつから相談された天陽(吉沢亮)は、なつへの思いから、つい強い言葉で接してしまう。そのころ富士子(松嶋菜々子)と照男(清原翔)は、なつを救ってくれた弥市郎(中原丈雄)の家を訪ねていた。そこで富士子たちは、弥市郎の家で過ごした際、なつが一心不乱に絵を描いていたことを知る…。

39話ネタバレ

柴田家

詰め所

富士子「おはよう。」

悠吉「おはようさん。 富士子ちゃん 今日も おきれいで。」

富士子「知ってる。 最近 それ 忘れてたっしょ?」

悠吉「何でだべか 急に思い出したべさ。」

菊介「なっちゃん 元気になったか? 昨日は よく眠ったべな。」

なつ「うん…。 じいちゃん…。 ゆうべは ごめんなさい。」

悠吉「ゆうべ?」

なつ「ゆうべのことは 忘れて下さい。 私 頑張るから。 ず~っと ここで頑張るから。」

泰樹「その必要はねえって言ってるべ!」

なつ「じいちゃん!」

富士子「何で そんなこと言うのさ? 気が変わったの?」

照男「じいちゃんの方こそ 本当は お前に悪いことしたって思ってんだよ。 そんなこと言ったら じいちゃん 余計に傷つくべや。」

なつ「したけど… やっぱり 私が間違ってる 東京行くなんて…。」

悠吉「東京!?」

菊介「おい いいから 動け。」

悠吉「ああ…。」

山田家

馬小屋

天陽「何で そんなうそついたんだ?」

なつ「うそ?」

天陽「東京のお兄さんのためだなんて…。 東京に行きたいのは それが理由じゃないべや?」

なつ「それも理由さ。 うそじゃない。」

天陽「アニメーションだろ。 漫画映画を作りたいんだろ? 何で それを言わねえのさ。」

なつ「言えんかった。 自分でも まだ信じられねえもん。 そったらこと…。 私に できると思う?」

天陽「じゃ 何で 東京に行きたいなんて言ったんだ?」

なつ「そりゃあ… やってみたいからに決まってるしょ!」

天陽「そう言えばいいべさ!」

なつ「酪農よりも やりたいことがあるなんて そんな… じいちゃん 裏切るみたいなこと 言えんかったわ…。」

天陽「言わない方が裏切りだよ それは。 たとえ 裏切っても… その覚悟は ないのか?」

なつ「東京へ行ったって できるかどうかなんて分かんないのに…。」

天陽「そんなやつ 何もできねえな。 行かん方が ましだ。」

なつ「だから 行かんよ。 もう 行けるわけねえわ。 それより 天陽君の話って何?」

天陽「えっ?」

なつ「話したいことがあるって言ってたしょ?」

天陽「ああ… それは もういい。」

なつ「えっ?」

天陽「何でもない。 忘れたわ。」

阿川家

(戸をたたく音)

(戸をたたく音)

砂良「はい。」

弥市郎「いい。」

富士子「あの… 阿川さんですか?」

弥市郎「そだが…。」

富士子「突然 すいません。 せんだっては なつが 大変お世話になったみたいで。 私は なつの母親です。」

照男「俺は 兄です。」

弥市郎「ああ 柴田牧場の…。」

富士子「はい。 あなたが 砂良さんかい? なつが 大変お世話になったみたいで ありがとうございました。」

照男「ありがとうございました。」

弥市郎「どうぞ。」

富士子「あっ いえ… 今日は 俺の挨拶だけでもと…。」

弥市郎「いや 寒いから。」

富士子「あ… そうですか? それじゃ すいません。 お邪魔します。」

照男「あの… これは うちの牛乳です。 何もできませんが せめて これを飲んで下さい。」

弥市郎「あ… したら 遠慮なく。 ほれ。」

砂良「あっ… どうも すいません。」」

照男「あっ いえ… 重いですから。 どこに置きますか?」

砂良「ここ。」

照男「はい。」

富士子「本当に助かりました。 何て お礼を言ったらいいのか…。」

弥市郎「一晩 ここに いただけです。 大したことは 何もしてない。」

富士子「いいえ あなたは 命の恩人です。 それに なつは ここが 本当に楽しかったみたいで…。」

弥市郎「一晩中 寝ないで 絵描いてたからな。 あの集中力は 尋常じゃなかった。」

砂良「ここにあるものは 全部 描いたんじゃないかな。」

富士子「なつが 絵を…。 なつが そんなに絵を描くのが 好きだなんて 知らなかった。」

回想

回想終了

照男「ありがとうございます。」

砂良「はい。」

山田家

居間

タミ「漫画映画 作りたいのかい? なっちゃんも。」

なつ「でも…。」

天陽「でも 柴田家の人には言えないんだ 悪いから。 それで悩んでんだ。」

正治「いや そりゃ 柴田さん がっかりするべな。 東京に戻るって言ったらな。」

天陽「でも 兄ちゃんも 手紙で書いてただろ。 今なら 会社は 人手が たくさんいる時だから 女でも 高卒でも 美大や芸大を 出てなくても入れるかもしれないって…。 そうだ 兄ちゃんに相談すんのが 一番早いわ なっちゃん。」

タミ「おばさん 手紙書こうか?」

天陽「なっちゃんが 自分で書いた方が いいだろ そこは。」

なつ「ちょっと待ってよ 天陽君。 なして そんな急ぐの? 私の悩みに 答え出し過ぎだわ。」

天陽「なっちゃん もともと 人間の生き方に いいも悪いもないんだよ。」

なつ「えっ?」

天陽「それは 人間がこしらえた観念にすぎないのさ。 自然の中で 生きてるもんは そんなこと思わんべ?」

なつ「急に難しいこと 言わんでよ…。」

天陽「なっちゃんも 自然になればいいだけだよ。 自分が どう生きたいのか どうしたいのか 自然な気持ちに 従えばいいだけだ。 何も 悩むことなんてない。」

なつ「うん…。」

柴田家

子供部屋

夕見子「何やってんの? 何 勝手に 人のノート見てんのさ?」

富士子「あんた これ知ってた?」

夕見子「フフ… 知ってるも何も なつの落書きは病気で治らんわ。」

富士子「これは 落書きじゃない…。」

夕見子「えっ?」

富士子「あの子 本気だったんだ…。」

雪月

とよ「あ~れ。」

泰樹「おう…。」

とよ「あ~れ あ~れ…。」

山田家

馬小屋

なつ「じゃ 帰るわ。」

天陽「なっちゃん。」

なつ「ん?」

天陽「うん… できるかどうか分かんなくても 泰樹さんは たった一人で 海を渡って 北海道に来たんだべさ。 泰樹さんは なっちゃんにとって 見本だべさ。 誇りだべ? したら なっちゃんが どうすべきか 自然と分かるだろ。 なっちゃんは 自分の信じたことをやればいい。」

なつ「分かった…。 もう分かったから…。 天陽君 そんなに… そんなに応援しないでよ! さよなら!」

<なつよ 君は 何を求めて 天陽君のもとへ行ったのか…。 自然な気持ちが 時には 一番 不自然なこともあるよな。>

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