ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第40話「なつよ、今が決断のとき」【第7週】

あらすじ

帯広の菓子店・雪月を訪れた泰樹(草刈正雄)は、とよ(高畑淳子)に、自分の裏切りがきっかけで、なつ(広瀬すず)が東京に出て行く決意を固めてしまったと打ち明ける。そして、雪次郎(山田裕貴)が東京に修業に行くのなら、いっしょに連れて行ってくれないかと願い出る。柴田家に戻った泰樹は、なつが東京に行きたい理由は、兄を支えること以外に、別の理由があるのではないかと富士子(松嶋菜々子)から伝えられる…。

40話ネタバレ

柴田家

居間

なつ「私を 東京に行かして下さい。」

泰樹「行きたきゃ 行けばいいべ。」

なつ「じいちゃん…。」

泰樹「お前の顔は もう二度と見たくない。」

富士子「ちょっと…。」

泰樹「勝手に出ていけ!」

雪月

とよ「あ~れ。」

泰樹「おう。」

とよ「あ~れ あ~れ…。」

泰樹「(ため息)」

とよ「あんたが 私に頼るなんて よっぽどのことだべさ。」

泰樹「いい もう…。」

とよ「何さ? 行ってみれ。 言って 楽んなれ。」

泰樹「あんた 孫を 東京に出すそうじゃな。」

とよ「雪次郎? 出すよ。 昔は 息子も出したからね。」

泰樹「なつのことも 頼めんか。」

とよ「なっちゃん? なして? なっちゃんが 東京行くんかい?」

泰樹「本当の家族が 向こうにいるんじゃ。 行きたいという思いは 当たり前だべ。」

とよ「あんた それでいいんかい? なっちゃんは 孫以上に あんたのまな弟子だべさ。 寂しくないんかい?」

泰樹「自分で まいた種じゃ。」

とよ「種? 何したのさ?」

泰樹「照男と くっつけようとした。」

とよ「はあ?」

泰樹「わしは なつのことを まだ他人みたく思ってたんじゃ…。 そう言われてしもうた。」

とよ「なっちゃんにしたら きょうだいで結婚しろって 言われたみたいなもんだもね。 急に 女に見られたみたいで 恥ずかしくなったんでないかい?」

泰樹「よう分かるな なつの気持ちが。」

とよ「乙女の気持ちは 乙女よ。」

泰樹「誰が乙女じゃ。」

とよ「ほんで なっちゃんが 急に 東京に行きたいなんて言いだしたんかい?」

泰樹「こうなったら あいつの自由にしてやるしかないべ。」

雪之助「泰樹さん。 こんなものを作ってみたんだわ。 はい。」

泰樹「何じゃ これ?」

雪之助「パフェです。」

泰樹「ぱふぇ?」

雪之助「うん。 こんなものね 十勝で作ったもんは まだ誰もいないと思うんだわ。 まずは 泰樹さんに 食べてもらおうと思って。 どうぞ どうぞ…。」

泰樹「何じゃ こりゃ?」

雪之助「ホイップした生クリームです。 牛乳の脂肪分だけを 激しく泡立てると そうなるんだわ。 それを使ったお菓子がね これからは どんどん はやると思うんです。 東京じゃ もう はやってるかもしれんな…。 春になったら 雪次郎を連れて 東京行くんで 調べてきますね。」

泰樹「そうか…。」

とよ「お前 その東京に なっちゃんも連れてってやんな。」

雪之助「えっ?」

泰樹「頼む。」

雪之助「ええ?」

柴田家

子供部屋

回想

天陽「なっちゃんは 自分の信じたことをやればいい。」

なつ「天陽君… そんなに応援しないでよ! さよなら!」

回想終了

なつ「ああ!」

夕見子「何!?」

なつ「夕見 私は バカだ…。」

夕見子「知ってる。」

山田家

馬小屋

天陽「照男さん…。」

照男「なつと話したか? なつが 東京に行ってもいいのか!」

天陽「俺に どうすることができるんですか?」

照男「どうするって… どうしたいんだ?」

天陽「俺 ず~っと思ってたんです。」

照男「何を?」

天陽「なっちゃんは いつか この土地からいなくなるって。 なっちゃんにとっては それが 自然なことだろって…。 自然には逆らえないでしょ。」

照男「だから 諦めんのか?」

天陽「俺は ここで生きるって決めたから 子どもの頃に…。 昔 なっちゃんが 俺にしてくれたように なっちゃんが決めたことを 俺は守ります。」

柴田家

詰め所

富士子「あれ どこ行ってたの?」

泰樹「え… どこでもいいべ。」

富士子「父さん ちょっと…。」

泰樹「えっ 何だ?」

富士子「なつがね 東京に行きたいって 言い出したのはさ…。」

泰樹「何だ?」

富士子「お兄さんと妹のこととは別に ほかの訳があるのかも。」

泰樹「ほかの訳?」

富士子「なつには 東京で したいことがあるのかもしれんわ。」

泰樹「何だ? したいことって。」

富士子「あの子の口から 聞いたわけじゃないから はっきりとは言えんけど そんな気がするんだわ。」

泰樹「だったら 何で それを言わんのだ?」

富士子「悪いと思ってるからでしょう 私らに。 酪農とも農業高校とも 関係ないことだからね。 言い出せないのさ。 ここで働いて 何年かしたら行きたいって言ったのは そういうことなんでないかい。」

台所

照男「よいしょ…。」

夕見子「何? これ。」

明美「兄ちゃんが作ったの。」

照男「牛乳の鍋だ。」

夕見子「うえっ…! 何してんの!」

照男「うめえから。 食ってみれや。」

夕見子「やだ。」

明美「これ 照男兄ちゃんが考えたの?」

照男「まあな… 牛乳と みそが合うんだわ。」

夕見子「いらない。」

照男「はあ?」

富士子「夕見子 なつは?」

夕見子「あ… まだ 部屋で落書きしてる。 ねえ ほかにないの?」

(戸が開く音)

弥市郎『おばんでした。』

剛男「あっ 誰か来た。」

富士子「誰だろ?」

弥市郎『阿川です。』

照男「あっ 弥市郎さんだ!」

砂良「おばんです。」

照男「どうぞ。」

富士子「おばんです。」

なつ「弥市郎さん! 砂良さん! この前は どうも ありがとうございました!

弥市郎「おう 元気かい? しっかりした子ども。」

なつ「やめて下さい。 父さん 母さん じいちゃん この人らが 私を助けてくれたの。」

弥市郎「牛乳のお礼に寄りました。」

なつ「牛乳?」

富士子「お礼なんて なんも… あれは こっちのお礼ですから。」

なつ「お礼に行ってくれたの?」

富士子「当たり前でしょ。」

弥市郎「お返しといっちゃなんだが… これを 受け取って下さい。」

剛男「わあ なんて立派な!」

明美「熊が ラブレターくわえてる!」

照男「バカ! 何言ってんだ お前 失礼だべ。」

夕見子「ん? 何でお兄ちゃんが てれてんのさ。」

照男「てれてねえべよ。」

弥市郎「それじゃ これで。」

剛男「あ… それじゃ こっちのお礼になりませんよ。」

富士子「ちょっと待って下さい。」

泰樹「飯でも食ってけや。」

弥市郎「いや… 夜中に失礼しました。」

砂良「お邪魔しました。」

なつ「弥市郎さん… また 森へ行ってもいいですか?」

弥市郎「ああ いつでも来い。 森は 誰のもんでもねえからな。」

砂良「いつでも待ってるからね。」

照男「はい。」

夕見子「ん? 何で お兄ちゃんが返事してんの?」

照男「兄としてだべ。」

夕見子「えっ?」

囲炉裏

夕見子「ん? あれ うまいわ!」

照男「だべ。」

明美「おいしい!」

剛男「うまい。」

泰樹「なつ。」

なつ「はい。」

泰樹「お前のことは 雪月に頼んどいた。」

なつ「えっ?」

泰樹「雪次郎と一緒に 東京へ行けばいい。」

剛男「お義父さん 何ですか? 急に。」

なつ「じいちゃん…。 私は もう じいちゃんと 家族ではいられんの?」

泰樹「いつでも戻ってくりゃいい。 ここが お前のうちじゃ。 それは変わらん。 先に 東京の用事を済ませてこい。」

なつ「じいちゃん…。」

泰樹「したけど… お前が もし… 東京で幸せになるなら… それも 立派な親孝行じゃ。 それを忘れんな。 絶対に それを忘れるな。」

列車

<なつよ… どうした? 浮かない顔して。 お前の魂は 今 どこにある? 抜けちゃったのか?>

雪月

とよ「あっ なっちゃん。」

なつ「とよばあちゃん…。」

とよ「あっ 東京のことかい? 柴田のじいさんから…。」

なつ「ばあちゃん!」

とよ「おっとっと! どしたの?」

なつ「私は ずるい…。」

とよ「ずるい?」

なつ「じいちゃんを… 裏切ってしまった。」

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