あらすじ
高校卒業後、東京行きが決まったなつ(広瀬すず)。卒業式を終えた日、夕見子(福地桃子)のもとに、北海道大学から封書が届く。緊張する柴田家の家族をよそに、さっと受け取る夕見子だったが、封書を持って2階に上がったきり戻ってこない。心配する泰樹(草刈正雄)や富士子(松嶋菜々子)たち。部屋をのぞくと、合格通知書を握り締めて眠りこける夕見子の姿があった。数日後、いよいよなつが東京へ旅立つ日がやってきた…。
43話ネタバレ
柴田家
玄関
「柴田さん 郵便で~す。 どうぞ。」
なつ「ご苦労さまです。」
<卒業式も終わった 3月下旬のことでした。>
居間
なつ「夕見! 来た! ねえ 来たよ!」
夕見子「もう…。 何なのさ そんなに大きい声出さんで。」
なつ「来た!」
夕見子「はい。」
なつ「はい。 えっ ちょっと どこ行くのさ?」
夕見子「一人で見るの。」
一同「え~!」
剛男「はあ~ 遅いな…。」
富士子「それが返事でしょ きっと…。」
泰樹「そんなこと言わずに見てこい。」
剛男「そうだよ 富士子ちゃん。」
富士子「ここは あなたでしょ。」
明美「私が見てくる!」
照男「明美は ダメだ。」
明美「何でさ?」
照男「何となく…。」
なつ「そだね。 もしもの時 明美ちゃんじゃ 夕見も甘えられんと思うわ。」
明美「いつも甘えてるしょ 夕見姉ちゃんは!」
なつ「ここは いつも 甘え慣れてない人の方が いいと思う。」
富士子「慣れてない人?」
なつ「うん。 じいちゃん… じいちゃんに優しくされたら 夕見も つい 素直になれると思うんだわ。」
泰樹「何でじゃ!」
剛男「夕見子のために お願いしますよ お義父さん!」
なつ「あっ 優しく… ね。」
泰樹「みんなで行くべ。」
子供部屋
泰樹「夕見子 明けるぞ。 何だ 寝てんのか?」
一同「おお!」
富士子「この子 これ見て気ぃ抜けちゃったんだわ。」
<それが どれくらい すごいことかと言えば…。>
居間
「では 最後に ずばり 北大を目指したのは なぜですか?」
夕見子「それは…。」
<地元の新聞が 取材に来ました。>
夕見子「私の開拓者精神です!」
「はい そしたけ… 写真をいいですか?」
夕見子「写真だって!」
富士子「は~い。」
悠吉「あの~… 俺らは この恰好でいいですかね?」
菊介「従業員なんで この方が感じ出るべよ? ん?」
「ほんで 撮りま~す。」
<写真は 一切 使われませんでした。>
詰め所
照男「ん。 どうだ?」
なつ「うん おいしい!」
照男「だべ? 俺も勉強したんだ。 これで もう お前がいなくたって うまいバターは作れる。」
なつ「ねえ このバターも 砂良さんに持っていくの?」
照男「当たりめえだべ。」
なつ「ハハッ…。」
子供部屋
明美「あっ やっぱり うまいなあ。」
なつ「下手だよ。 だから勉強してんのさ。」
明美「でも 楽しいんだべさ?」
なつ「もちろん… 絵を動かすのは楽しいよ きっと。 ん? どしたの?」
明美「なつ姉ちゃん…。」
なつ「ん?」
明美「私のこと 忘れないでね!」
なつ「何さ それ…。 忘れるわけないしょ…。」
明美「私は なつ姉ちゃんがいなかった時のこと 覚えてないから…。 ずっと なつ姉ちゃんは 私のお姉ちゃんだよ。」
なつ「当たり前しょ。 明美は ずっと 私の大事な妹。」
<そして 旅立ちの日は やって来ました。>
新牛舎
なつ「したら じいちゃん もう そろそろ行くわ。」
泰樹「おう…。」
なつ「じいちゃんも 送別会 来てくれたらいいのに…。」
泰樹「牛を ほっとけねえべや…。」
なつ「今まで ありがとうございました。」
泰樹「ハハ… そんな他人行儀な挨拶やめとけや。」
なつ「うん… また帰ってくるから。」
泰樹「気ぃ付けてな。」
なつ「うん…。」
富士子「なつ もう行くよ。」
なつ「はい。」
富士子「父さん… したら 悪いけど 留守番 お願いね。」
雪月
<その日 帯広の雪月で なつと雪次郎君の送別会と 夕見子ちゃんの合格祝が開かれました。>
雪之助「旅立つ3人の若人に これからの抱負 語ってもらいましょう! 夕見子ちゃんから。」
夕見子「どうも ありがとうございます! 一生懸命 勉強します。 雨にも負けず 風にも負けず 雪次郎にも なつの厚かましさにも負けぬ 丈夫な頭を持ちます。」
なつ「何さ それ!」
夕見子「そういう大きな人間に 私はなりたい!」
とよ「偉い! お見事! 十勝の女!」
妙子「これからは日本の女でしょ。 ねえ。」
夕見子「いや 世界の女を目指します。」
富士子「大げさな…。」
妙子「北大だもん 大げさじゃないわよ 富士子さん。 ねえ タミさん。」
タミ「ええ。 世界を平和にして下さい。」
正治「それは大げさだろ。」
とよ「よっ ガールズ・ビー・アンビシャス!」
雪之助「頑張れ~! 夕見子ちゃん!」
(拍手)
雪之助「え~ そして… お前も頑張れ 雪次郎!」
雪次郎「はい。」
夕見子「え~!」
剛男「おお~。」
雪次郎「俺の目標は… 北大出の夕見子ちゃんに おいしいって言ってもらえる 十勝のお菓子を作ることです! えっ… 何で? ダメかい?」
菊介「目標が 大きいようで小さいかもな。」
正治「あなたが言うことないでしょ。」
雪之助「菓子作りの基本は たった一人の客を思うことだ。 それでいい!」
悠吉「そのお菓子には うちの牛乳使ってくれや。」
雪次郎「もちろんです!」
とよ「よっ ボーイズ・ビー・アンビシャス!」
妙子「ちょっと お義母さん それ 意味分かってます?」
とよ「少年よ 世界は広い 女は一人じゃない!」
妙子「ん~… まあ 合ってます。」
(拍手と笑い声)
雪之助「え~ じゃあ 最後に なっちゃん!」
なつ「はい。 ありがとうございます。 私の目標は 東京で 漫画映画を作ることです。 あの… 戦争で死んだ父が書いた手紙に あの… 家族の絵があって 私は 空想の中で それを動かしてました。 昔が 生き返ればいいなって…。 そん時から 漫画映画は 私の中にあった 夢だったような気がします。」
なつ「天陽君の絵が その夢を 膨らましてくれました。 けど 現実の私を幸せにしてくれたのは 柴田家の家族です。 できれば… 家族のそばで 酪農を手伝いたいと思ってたことも 本当です。 だから それを裏切るのは とても つらいけど… 厚かましいけど…。」
夕見子「バカ。」
なつ「今は…。」
剛男「ありがとう なつ! それは 裏切りじゃない。 それは 成長だ。 9年前 まだ9歳で この北海道まで来て 十勝に来て うちに来て ここまで成長してくれて 本当にありがとう。 なつ… 父さんは 本当にうれしい。」
なつ「父さん…。」
富士子「なつ。 みんな応援してるから 元気に行っといで。」
天陽「なっちゃん 今まで 本当にありがとう。 俺は なっちゃんが好きだ。 それは これからも変わらない。」
(拍手)
なつ「ありがとう…。」
柴田家
新牛舎
泰樹「(泣き声)」
<なつよ… その手に ふるさとを持っていけ。>