ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第47話「なつよ、東京には気をつけろ」【第8週】

あらすじ

咲太郎(岡田将生)の勘違いによって、亜矢美(山口智子)が営むおでん屋・風車に連れてこられたなつ(広瀬すず)。そこで咲太郎の誤解を解くことができ、川村屋へと戻ることができた。なつは、東京に来ることになった本当の理由を咲太郎に告げる。その後咲太郎は、なつたちの付き添いで東京に来ていた雪之助(安田顕)から、なつが漫画映画を作るために東洋動画に入りたいと思っていることを知らされる…。

47話ネタバレ

おでん屋・風車

1階店舗

なつ「私は もう 一人で生きられます。 ここは 私とは 何の関係もないとこですから。 帰ります。」

玄関

咲太郎「えっ…? ちょっ… おい なつ! おい なつ! なつ! なつ…。」

なつ「お兄ちゃんは 私と千遥を捨てたんでしょ。 それで楽しかったんでしょ? ずっと…。 死ぬほど心配してたのに… 私と千遥のことは とっくに忘れて もう関係なかったんでしょ!」

咲太郎「なつ…。」

1階店舗

亜矢美「(鼻歌)」

川村屋

玄関前

咲太郎「なつ これから どうする気だ?」

なつ「マダムに謝って 明日からも ここで 働かせてもらうしかないしょ。 さっきは ごめんなさい。 お兄ちゃんを責める資格なんて 私にはないわ。」

咲太郎「いいんだよ そんなこと。」

なつ「もう 大丈夫だから。 お兄ちゃんが無事で いかった。 また会えて いかった。 心配しないで。 川村屋で 私 幸せに働いてるから。 お兄ちゃんの借金なんて 関係ないんだから。」

咲太郎「本当か?」

なつ「本当よ。」

咲太郎「うん。」

社員寮

なつ「本当だって言ってるしょ。 何で ついてくんのさ。」

咲太郎「それならそれで さっちゃんに ちゃんと挨拶しないと。」

なつ「やめてよ。」

咲太郎「何で?」

なつ「こんな時間に。 いろいろ また こじれそうだから…。」

咲太郎「なつの話を もっと聞きたいんだよ。」

なつ「じゃ こっちで。」

(ノック)

雪次郎「はい。 あっ! なっちゃん。」

なつ「ごめんね。」

雪之助「なっちゃんかい?」

なつ「おじさん! まだいたの?」

雪之助「うん 明日帰る。 今日はね 銀座に行って勉強した。 日本人は パフェより まだクリームソーダだな。」

雪次郎「お兄さん!」

雪之助「え? これがかい?」

咲太郎「うん! うまいな これ。」

雪之助「あ~ そうかい うまいかい? これはね 帯広にある うちの店の菓子なんだわ。 北海道土産には 是非 バター煎餅を。」

咲太郎「北海道には行きたくねえな。」

雪之助「え?」

咲太郎「なつは 北海道で さんざん つらい目に遭って 東京に来たんだろ。」

なつ「え?」

咲太郎「さんざん こき使われて 北海道の家を追い出されたんだろ。」

なつ「ええ!」

雪之助「それは違うぞ。 誰から聞いたんだ そんなこと。」

なつ「あ! それは多分…。」

雪之助「おめえ そんなこと言ったら罰当たるぞ。 なっちゃんはね 柴田家で 本当に大事に育てられたんだよ。 だから 東京にも来られたんだ。」

なつ「本当に そなの。」

咲太郎「どういうことだよ?」

雪次郎「なっちゃんは 夢があって 東京に出てきたんです。」

咲太郎「夢?」

なつ「うん。」

雪次郎「お兄さんは 新劇をしてるんですか?」

咲太郎「え?」

雪次郎「新劇の劇団関係の仕事をされてるとか。」

咲太郎「ああ たまに出てくれって 言われることもあるけどな 性格が奥ゆかしいから 今は制作部にいる。 昨日まで 『桜の園』をやってたんだよ。 知らないと思うけど。」

雪次郎「チェーホフですか!」

咲太郎「何 新劇に興味あるの?」

雪次郎「はい! 高校で演劇部だったんです。 なっちゃんも 同じ演劇部で 舞台に立ってたんです。」

咲太郎「何だよ なつ お前の夢って 女優になることか。 よし 兄ちゃんに任せろ。」

なつ「違うから。 私がやりたいのは 漫画映画だから。」

咲太郎「漫画映画?」

なつ「漫画映画を作りたいの。」

咲太郎「漫画映画って ディズニーとか?」

なつ「うん。」

咲太郎「子どもが見るもんだろ あんなのは。」

なつ「あんなのって…。 そういう子どもの夢を作りたいの。 子どもが見るものだから 私は作りたいの。」

咲太郎「そうか。 なつには そんな夢があったのか。 それで 東京に出てきたのか。」

なつ「うん。」

咲太郎「よかった。 それならいい。 それなら 兄ちゃんだった応援するよ。」

なつ「お兄ちゃん…。」

咲太郎「よし 俺に任せろ!」

なつ「何を?」

咲太郎「なんとかしてやる。」

なつ「いや 何もしなくていいから。」

雪之助「まあまあ まあまあ。 なっちゃんは あれだね 東洋動画に入りたいんだよね。 試験は6月だっけ?」

なつ「はい。」

雪之助「受かるといいね。」

なつ「頑張ります。」

咲太郎「東洋の撮影所なら 俺も よく行くぞ。」

雪次郎「映画に出てるんですか?」

咲太郎「ああ 劇団員の付き人としてだ。」

雪次郎「ああ…。」

なつ「お兄ちゃんの夢は何なの?」

咲太郎「俺の夢か? 俺の夢は ムーランルージュを復活させることだ。」

なつ「まだ そんなこと言ってるの? マダムに借金したのに。」

咲太郎「なつ 兄ちゃんは あの人を舞台に戻してやりたいんだ。 俺を救ってくれた人だからな あれでも。 よし 分かった。 また来るわ。」

雪次郎「本当に また来て下さいね。 新劇の話 聞かせて下さい。」

雪之助「バ~カ。 お前に そんな暇はない。」

なつ「ねえ 佐知子さんは どうすんの?」

咲太郎「さっちゃん?」

なつ「何か お兄ちゃんのこと 待ってるみたいだったから。」

咲太郎「さっちゃんはな かわいそうなやつなんだよ。 疎開中に 空襲で親を亡くして 苦労してきたんだ。 なつも 優しくしてやってくれ。」

なつ「お兄ちゃんは あんまり優しくしいない方がいいと思う。」

咲太郎「何で?」

<咲太郎には 同情と愛情の垣根がないようです。 困ったことに 女の子に限って。 その優しさが 時々 出過ぎてしまうようです。 女の子に限って。>

なつ<じいちゃん 父さん 母さん 今日 お兄ちゃんに会いました。 だけど お兄ちゃんには お兄ちゃんの家族がいるみたいで 今のお兄ちゃんと私は どうやったら また家族になれるのか… 今の私には 分かりませんでした。 だから そんなこと 今は手紙にも書けません>

雪月

妙子「ああ いらっしゃい。 富士子さん 泰樹さんも…。」

富士子「雪之助さんに お礼が言いたくて。」

とよ「あ~ら! やっと 顔を見せに来てくれたのかい?」

泰樹「あんたの顔を 見に来たわけでねえよ。」

とよ「ま~た すぐ てれんだから。」

泰樹「誰が てれてんだ。 はんかくせえ。」

とよ「そんなに なっちゃん いなくなって 寂しいのかい?」

泰樹「誰が そんなこと言ったんだ!」

妙子「なっちゃんも 夕見子ちゃんも いっぺんに いなくなって そりゃ寂しいもね。」

雪之助「ああ いらっしゃい。」

富士子「雪之助さん。 なつが お世話になって 本当に ありがとうございました。」

雪之助「あ~ なんも なんも なんも。」

泰樹「これは 礼だ。」

雪之助「ありがとうございます。 あっ そうだ。 泰樹さんに 是非 召し上がってもらいたいものが あるんです。」

雪之助「お待たせしました。」

富士子「きれい!」

雪之助「クリームソーダです。」

泰樹「これか?」

雪之助「はい。 東京の銀座じゃ パフェより まだ これが はやってました。」

富士子「アイスクリームも いろいろと新しくなっていくのね。 なつや 夕見子と おんなじように。」

妙子「雪次郎も 東京で 雪次郎ソーダになってくのかね。」

富士子「そだね。」

とよ「どうにか なっちゃったのかい この母ちゃんらは。」

富士子「とにかく なつは お兄さんに会えて 本当に いかったわ。」

雪之助「はい。 なかなか いいお兄さんぶりでしたよ。」

妙子「だけど 初めは なっちゃんが 北海道を追い出されたんじゃないかって 勘違いしたらしいわ。」

富士子「そなの?」

妙子「ひどい話しょ。」

雪之助「だから 私 言ってやったんですよ。 たとえ 誤解でも それは 柴田家に失礼だべって。」

とよ「いいこと言った!」

富士子「そう思われても しかたないっしょ。 なんもしてやれんで 娘を一人で東京に出したんだから。」

雪之助「いや~ 広い。 柴田家の心は 牧場より広い。」

泰樹「これ うまいな。 もう一杯 お代わりくれるか?」

雪之助「はいはい はいはい。」

とよ「どこが広いの。 クリームソーダのことしか 考えてないべさ。」

(笑い声)

川村屋

厨房

光子「なつさん。」

なつ「はい。」

ホール

なつ「信さん!」

野上「(せきばらい)」

なつ「すいません…。 信さん…。」

信哉「やあ なっちゃん。 やっと会えたね。」

なつ「久しぶり。」

信哉「手紙もらったのに なかなか来られなくて ごめんね。」

なつ「いいの。 信さんも就職したばっかしょ。」

信哉「うん。」

野上「座ればいいでしょ。 座って話をしなさい。」

なつ「すいません。」

信哉「すみません 野上さん。」

なつ「そんで どんな仕事なの?」

信哉「うん 本当は 新聞記者になりたかったんだけど 全部 落ちちゃって。 それでも 運よく 放送局には受かったんだ。」

なつ「放送局?」

信哉「放送記者になるんだよ。 ラジオとか これから テレビジョンの時代になるからそこで流すニュースを取る仕事なんだ。 これは もしかしたら 新聞記者よりも 大きな可能性があるかもしれない。」

なつ「すごいな… 開拓者なんだね 信さんも。」

信哉「え? まあ これからだよ。」

なつ「あ… 信さん 今日 時間ある?」

信哉「ああ… あるよ。 どうして?」

なつ「うん… あの ここが終わったら 一緒に行ってほしいんだけど。」

信哉「どこに?」

東洋撮影所

蘭子「おはようございます。」

「おう。」

大杉「お疲れさん。」

咲太郎「誰ですかね? 東洋のスターですかね。」

蘭子「バカね 咲ちゃん あれは 東洋の社長よ。」

咲太郎「えっ!?」

咲太郎「失礼ですが 東洋映画社長の大杉 満さんでは?」

大杉「そうだけど アータは?」

咲太郎「あっ 失礼しました! 私は 劇団赤い星座の奥原咲太郎です!」

大杉「劇団赤い星座?」

おでん屋・風車

1階店舗

なつ「ここ。」

信哉「赤ちょうちん?」

なつ「あ 赤い風車… ムーランルージュか。」

信哉「え?」

亜矢美「いらっしゃ・・・。 あ…。」

なつ「藤正親分…。」

藤田「おお…。」

亜矢美「まあまあ 今日は 彼氏と ご一緒? 何か御用?」

<なつよ 一体 何をする気だ?>

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