ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第4話「なつよ、ここが十勝だ」【第1週】

あらすじ

柴田泰樹(草刈正雄)に連れられ、なつ(粟野咲莉)は帯広の闇市にやってきた。そこで泰樹は、両親を亡くし戦後の東京で必死に生き抜き、きょうだいと離れ北海道にやってきたなつの境遇を知る。そして二人が向かったのは菓子屋・雪月。出迎えた雪月のとよ(高畑淳子)は泰樹が孫の夕見子(荒川梨杏)を連れてきたと勘違い。息子で菓子職人の雪之助(安田顕)と妻の妙子(仙道敦子)も出てきてどんどん話が膨らんでしまい…。

4話ネタバレ

柴田家

剛男「父さんが あの子を ここに連れてきた理由を ちゃんと話そうと思ってな。」

富士子「あの子がいない!」

剛男「えっ?」

富士子「父さんが どっかに連れてったみたい。」

剛男「えっ どこへ?」

帯広

<なつが おじいさんに 連れてこられたのは 十勝一の繁華街 帯広の街でした。 帯広にも 闇市がありました。 なつは 少し 東京を懐かしく思ったようです。>

泰樹「これ 履いてみろ。」

なつ「えっ?」

泰樹「その靴では 仕事の役に立たん。 ほれ。」

なつ「はい。」

泰樹「どうだ?」

なつ「ブカブカです。」

泰樹「お前の食いっぷりなら すぐに追いつく。 これ くれ。」

「はい 10円。」

泰樹「お前は 東京で働いてたのか?」

なつ「はい。」

泰樹「何してた?」

なつ「靴磨きです。」

泰樹「靴磨き?」

なつ「それなら 妹と一緒にできるので。」

回想

千遥「靴磨きは いかが~。」

「オオ…。 ヘイ ガール。」

千遥「サンキュー。」

なつ「サンチュー ベリマッチ!」

「ユー アー ウェルカム。」

回想終了

泰樹「東京に 兄貴がいると言ってたな。」

なつ「はい。」

泰樹「何してた? 闇市で盗みでもしてたか。」

なつ「盗みはしません! 盗む子は いっぱいいたけど それだけは やめようって…。 新聞を売っていました。」

泰樹「新聞?」

なつ「新聞の会社に行って 10銭で買った新聞を 20銭で売るんです。 それに お兄ちゃんは楽しい人なので…。」

回想

咲太郎♬『うぬぼれのぼせて得意顔』

「オ~! ジャパニーズ チャップリン!」

咲太郎♬『東京は銀座へと来た』

「エノケン!」

(拍手と歓声)

回想終了

なつ「進駐軍の人にも 人気があって それで…。」

泰樹「妹は いくつだ?」

なつ「別れた時は5歳でした。」

泰樹「どこにいる?」

なつ「親戚の家です。」

泰樹「兄貴は?」

なつ「お兄ちゃんは… 今は孤児院にいます。」

泰樹「バラバラか… あいつも 中途半端なことをしたもんだ。」

なつ「お兄ちゃんが… おじさんに 私を頼んだんです。 おじさんは 何も悪くありません。 許してあげて下さい。」

柴田家

子供部屋

剛男「あの子を ここに連れてきたのは 夕見子がいたからだよ。」

夕見子「えっ?」

剛男「父さんは 戦地にいて 夕見子のことを想わない日は 一日もなかった。 いや 片ときもなかった。 それは あの子のお父さんも 同じだと思うんだ。 その人は亡くなって 父さんは生き残った。」

剛男「でも その人と父さんが 反対になっても 全然おかしくないんだわ。 だから 夕見子となっちゃんが 反対になっても おかしくはないんだよ。」

夕見子「そんなことは分かってるさ。 だから かわいそうだとは思ってる。」

剛男「かわいそうに思えって 言ってるわけじゃないんだ。 父さんは なっちゃんを見て どうしようもなく 夕見子のことを思ってしまったんだ。 夕見子が孤児になって 大人の人から 冷たくされていたらと思うと 父さんは たまらなかった。」

剛男「そんなことは 絶対に許したくないと思ったのさ。 夕見子を 幸せにしたいと思った。 だから 父さんは 自分のために なっちゃんを 連れてきてしまったのかもしれない。」

剛男「自分の気持ちが済むように 北海道の こんな所まで なっちゃんを連れてきてしまった。 父さんは なっちゃんの人生を 変えてしまったことになるんだ。」

夕見子「それって 私のせいってこと?」

剛男「そんなことは言ってないさ。」

夕見子「私が あの子の人生を 変えることもできるってことかい?」

剛男「無理に変えようなんて 思わなくていいんだ。 ただ 夕見子は 夕見子のまま あの子を受け入れてほしいと 父さんは そう願ってるだけだ。」

夕見子「分かったよ。」

剛男「ありがとう。」

菓子屋・雪月

泰樹「おう やっとるか ハハ。」

とよ「お~や 柴田さん お久しぶり。 店は やってるよ。 売るもんは な~んもないけど。」

泰樹「闇屋に仕事とられたか。」

とよ「うちは 闇で商売したくないからね。 ハハハ…。」

泰樹「新鮮な牛乳と 卵を持ってきてやったぞ。」

とよ「相変わらず 恩着せがましい言い方するね。 『持ってきてやった』って そっちも商売だべさ。」

泰樹「商売にならんでいいから 何か食わせろ。」

とよ「お~や 珍しい お孫さんと一緒かい! したら しかたないね。 雪之助!」

雪之助「は~い。 柴田さん! ハッハ~ いらっしゃい!」

とよ「孫の夕見子ちゃん やっと連れてきてくれたんだわ。 お前 何か作ってやんなよ。」

雪之助「お~ 夕見子ちゃん! いらっしゃい。 お~い 妙子 雪次郎! 柴田さんがな お孫さんの夕見子ちゃん 連れてきてくれたぞ。」

妙子「まあ いらっしゃい。」

雪次郎「いらっしゃい。」

妙子「夕見子ちゃん こんにちは。 やっと会えたね。 年は 確か 雪次郎と同じだたったね。 9つでしょ?」

なつ「いいえ…。」

妙子「あれ 違った?」

なつ「あっ… そうです。 年は9つです。」

とよ「なかなかの美人でないの。 これで 性格が じいさんに 似てなきゃいいんだけどね ハハハ…。 雪次郎 とりあえず仲よくしてやんな。」

雪次郎「うん。」

なつ「友達になろうね 夕見子ちゃん。」

なつ「いや…。」

雪次郎「嫌かい…?」

とよ「はっきり言う子だね~。 やっぱ じいさんに似ちゃったんだね。」

泰樹「無駄口はいいから 何か菓子出してくれ。」

雪之助「お菓子はねえ これが もうないんだわ。 肝心の砂糖が 手に入りにくいから。 それに 鍋や釜 餡を練るへっついや 煎餅焼く型まで供出してしまって そこから集め直さないとね。」

とよ「この子まで 兵隊にとられて 帰ってきたばっかりなんだよ。」

泰樹「うちの婿も帰ってきた。」

とよ「ああ そう 戻ってきた? そりゃ いかったね~ シベリアに連れていかれなくてさ。」

泰樹「ああ。」

雪之助「よかったね 父さん帰ってきて。」

なつ「あっ… いや お父さんじゃありません。」

一同「えっ?」

とよ「衝撃的な発言。 こりゃまた たまげたこと言う子だねえ。」

泰樹「この子は 孫の夕見子ではない。」

とよ「えっ 違うの!? だったら 早く言ってや。 じゃ 誰?」

泰樹「わしの弟子じゃ。」

とよ「弟子?」

なつ「はい…。」

泰樹「自分から挨拶せえ。」

なつ「あっ 奥原なつです。 東京から来ました。 よろしくお願いします。」

雪次郎「東京から?」

妙子「東京から疎開してきたの?」

なつ「違います。」

とよ「あんた まさか さらってきたんじゃないよね?」

泰樹「何てこと言うんだ… 本当に 口の減らんババアじゃ。」

とよ「あんたに ババアと言われるほど 耄碌はしてないよ!」

なつ「ごめんなさい!」

泰樹「何で お前が謝るんだ?」

とよ「何で謝んの?」

なつ「あの お願いです 喧嘩はしないで下さい。」

泰樹「喧嘩? 何のためにもならん喧嘩はせんよ。」

とよ「アハハハ… 喧嘩なら もうちょっと言葉を選ぶよ。」

雪之助「ハハハハハ… こりゃ 母さんが悪いわ。」

妙子「驚いたでしょ? 開拓者の1世は もう 思ったこと 何でも口に出すから。 これはね じゃれてるだけなのよ。」

とよ「からかってるだけだよ。」

雪之助「柴田さん ちょうどよかった! この牛乳と卵で 何か いいもん作るわ。」

泰樹「おお 作れるか。」

雪之助「ああ 砂糖はないけど 蜂蜜が 手に入ったんで 試したいもんあったんだわ。 ハハハ… 楽しみにしててや。」

泰樹「おお。」

とよ「は~い。」

泰樹「おお アイスクリームか! ハハハ…。 うん こりゃうまい!」

とよ「ハハハ… 全く 大酒飲みかと見せかけて 甘いものんだけは 目がないときてんだから この人は。」

泰樹「何も見せかけとらんよ。」

とよ「なら 見かけ倒しか。」

泰樹「いいから もう引っ込んでろ。 アイスクリームが苦くなる。」

とよ「はい はい はい フフフフ…。」

泰樹「びっくりこいたか? 俺たちは 何でも 我慢せず言い合う。 そうしなければ 開拓のつらさも 冬には 零下30度を超す寒さにも 耐えきれんかった。言い合える相手がいるだけで 人は恵まれとる。 はよ食べれ。」

なつ「はい。」

泰樹「うん… うまいか?」

なつ「はい おいしいです! 甘い… すごいおいしいです!」

泰樹「うちのもんには ないしょだぞ。」

なつ「はい。」

泰樹「フフフフ…。 それは お前が搾った牛乳から 生まれたものだ。 よく味わえ。」

なつ「はい。」

泰樹「ちゃんと働けば 必ず いつか報われる日が来る。 報われなければ 働き方が悪いか 働かせる者が悪いんだ。 そんなところは とっとと逃げ出しゃいいんだ。 だが 一番悪いのは 人が なんとかしてくれると思って 生きることじゃ。」

泰樹「人は 人を当てにする者を助けたりはせん。 逆に 自分の力を信じて働いていれば きっと誰かが助けてくれるもんじゃ。 お前は この数日 本当によく働いた。 そのアイスクリームは お前の力で得たものだ。 お前なら 大丈夫だ。」

泰樹「だから もう 無理に笑うことはない。 謝ることもない。 お前は 堂々としてろ。 堂々と ここで生きろ。 いいな。 はよ食べれ。」

道中

<その日の夕空は とてもきれいでした。 なつは 上野の闇市で 兄や妹と 一緒に見た夕空を 思い出していたようです。 なつよ 明日は きっと もっと いい日になるぞ。>

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