あらすじ
咲太郎(岡田将生)がどんな思いを持って今の生活を選んだのか、亜矢美(山口智子)から知らされたなつ(広瀬すず)。兄の本心を知ったなつは、風車の2階に住む咲太郎を訪ねる。すると咲太郎は、自分がよけいなことをしたせいで、なつが東洋動画の試験に落ちたのだと打ち明ける。落ち込む咲太郎に対し、なつは、再び秋にある東洋動画の試験を受けること、そして、もしそれがだめでも、必ずいつか漫画映画を作ると宣言する…。
53話ネタバレ
キャバレー・スウィートホーム
(タップする靴音)
咲太郎「こよい花開く 夢のひととき。 踊る阿呆に 見る阿呆。 同じ阿呆なら…。」
なつ「お兄ちゃんが 自分のために 真面目に働いてるなら 何してもいいの…。 もっと 自分のために頑張ってよ! もう人のことは ほっといてよ!」
川村屋
社員寮
回想
亜矢美「あいつは 自分で絵を描いて 自分の支えにしてきたんだわ。」
なつ「そっくりです…。 お父さんの絵に この絵 そっくりです…。」
回想終了
おでん屋・風車
2階住居
なつ「お兄ちゃん…。」
咲太郎「なつ…。」
なつ「ゆうべは ごめんなさい…。 ひどいこと言って。」
咲太郎「いいんだよ。 ちっとも ひどくないよ。 まあ 入れ。 それより この部屋 臭くないか?」
なつ「大丈夫。 いろいろ勉強してるんだね。」
咲太郎「ああ… 下の母ちゃんが いろいろ買ってくるんだよ。 なつ…。」
なつ「ん?」
咲太郎「お前が 東洋動画に落ちたのは… 俺のせいだ。 俺が 大杉社長に会って 余計なことを言ったばっかりに…。」
なつ「そんなことない! そんなことないから。 あれは 自分の実力。 そうじゃなきゃ 見返せないしょ。」
咲太郎「見返す?」
なつ「そう。 まだ ダメと決まったわけじゃないの。 9月に もう一度 試験があるの。 それに受かって 必ず そこから 漫画映画を作ってみせる。 それだけは 絶対諦めたくない。 そう決めたんだわ。」
咲太郎「そうか。 俺には そうはっきり言えるものが ないってことだな。」
なつ「お兄ちゃん…。」
咲太郎「なつの言うとおりだ…。 自分のために生きてないやつは 人のことも助けられない。 今の俺じゃ… 誰の力にもなれないよ。」
なつ「お兄ちゃんは そこにいるだけで 私の力だよ。」
咲太郎「えっ…。」
なつ「お父さんの手紙と おんなじ。」
咲太郎「手紙?」
なつ「あっ…。 これ。 これを 今度は お兄ちゃんが持ってて。」
咲太郎「えっ?」
なつ「今度は お兄ちゃんの番。 私は 子どもの頃 その絵を動かしてたの。」
咲太郎「ん?」
なつ「まるで 生きてるみたいに… 頭の中で楽しんでたんだわ。 お兄ちゃんのタップダンスと 歌を思い出しながら。 家族みんなに 命を吹き込もうとしてた。 ありがとう お兄ちゃん。 その手紙と一緒に お兄ちゃんが 私を励まし続けてくれたんだよ。」
咲太郎「バカ…。 俺も踊りと歌じゃ 飯は食えねえぞ。」
なつ「それは分かってるよ。」
咲太郎「これは ずっと なつが持ってろよ。」
なつ「いいって。」
咲太郎「俺は なつに 見せてもらう方がいい。 ずっと 命を吹き込んでくれよ。」
なつ「分かった。」
咲太郎「ハッ…。」
キャバレー・スウィートホーム
咲太郎「さあ 夢のスウィートホームへ帰りましょう!」
川村屋
社員寮
なつ「頑張れ… お兄ちゃん。」
柴田家
詰め所
富士子「なつから やっと手紙が来たわ。」
剛男「おっ…。」
富士子「やっぱり ダメだったって。」
剛男「そうか…。」
明美「そしたら 北海道に帰ってくる?」
富士子「それが 諦めてないんだわ。 すんごく元気なの。」
照男「手紙なのに分かるんかい?」
富士子「手紙だって分かるっしょ。」
剛男「無理してるだけじゃないんかい。」
富士子「9月に また募集があるんだって。 それ目指すって。」
泰樹「何だ 帰ってこんのか…。 帰ってきてほしいわけじゃねえ…。」
<それから 秋の訪れを感じるようになった9月。>
東洋動画スタジオ
試験会場
<なつは 再び 東洋動画の採用試験を受けました。>
「絵の具を使う仕事には…。」
<仕上の面接に 大杉社長が来ることはありませんでした。>
山川「奥原さんは どうしても うちに入りたいですか?」
なつ「はい。 どうしても 漫画映画を作ってみたいです。」
川村屋
社員寮
<そして 今度こそ…。>
なつ「やった… やった! やった やった やった やった やった やった! やった~…。 ねえ やりましたよ! ねえ やったよ! 見て…。」
佐知子「なっちゃん?」
なつ「佐知子さん…。 合格しました!」
佐知子「え~! おめでとう!」
<おめでとう なつ!>
柴田家
居間
一同「かんぱ~い!」
剛男「かんぱ~い。」
悠吉「なっちゃん 乾杯!」
菊介「なっちゃん おめでとう!」
剛男「なつ おめでとう!」
菊介「けど 何で熊なんだ?」
照男「まあ 何もないよりかは…。 なつは この熊が好きだし。」
明美「それは お兄ちゃんしょ。 ラブレター熊。」
照男「うるさい。」
富士子「本当にね ちょっとでも帰ってこられたら いいのにね。」
剛男「これで なつは ますます忙しくなるだろうしな。」
泰樹「帰ってこんのが いい知らせじゃ。」
富士子「すごい強がり。」
泰樹「うるさい。」
(笑い声)
悠吉「まあ おやっさん どうぞ…。」
川村屋
応接室
なつ「あっ… すいません。」
光子「どうぞ。」
なつ「もしもし 夕見!?」
夕見子『電話代かかるから 手短に。 おめでとう なつ。』
なつ「ありがとう 夕見! 元気かい?」
夕見子『うん 元気。 いい? なつ 負けんな。 中に入ったら とにかく負けんな。 負けたら つまらんぞ。』
なつ「じいちゃんみたいなこと言わんでよ。 負けんよ。 特に 夕見には負けんから。」
夕見子『はい はい。 お金 もったいないから切るね。』
(電話が切れる音)
なつ「えっ 夕見? もう すぐ てれんだから。 本当 じいちゃん そっくり。」
川村屋
社員寮
おでん屋・風車
1階店舗
なつ「こんばんは。」
亜矢美「あっ… おばん おばん おばん おばん おばん おばん ハハハ…。 聞いたわよ 咲太郎から。 おめでとうございます。」
なつ「これを ありがとうございました。」
亜矢美「ああ… いいのに 返さなくたって。」
なつ「それから 今日は 亜矢美さんに お願いがあって来ました。」
亜矢美「私に?」
なつ「私を… ここに置いてもらえませんか? 東洋動画で働くようになったら 今の部屋を出なくちゃなんないんです。」
亜矢美「あ… そうか 今 川村屋の寮に お住まいですもんね。」
なつ「はい。」
亜矢美「でも… えっ いいの? 本当に?」
なつ「そちらが ご迷惑じゃなければ…。」
亜矢美「全然 全然… だって こっちから言いだしたんだもん。 いつでも いらっしゃいよ。 狭いんだけどさ 大歓迎。」
なつ「よろしくお願いします。」
亜矢美「よろしくお願いします フフフ…。」
なつ「いかった。」
亜矢美「いかった~…。」
<なつよ 次の一歩を踏み出したな。>