ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第65話「なつよ、アニメーターは君だ」【第11週】

あらすじ

東洋動画のアニメーター・仲(井浦新)から、再びテストの機会を与えられたなつ(広瀬すず)。風車に帰ると、咲太郎(岡田将生)が亜矢美(山口智子)と雪次郎(山田裕貴)に、漫画映画のアフレコを見て、そこでしかない芝居が生まれたと熱く語っていた。日が変わり、いよいよなつは試験の日を迎える。仲や井戸原(小手伸也)らアニメーターたちを前に、なつは動画用紙に鉛筆を走らせて…。

65話ネタバレ

東洋動画スタジオ

録音スタジオ

蘭子『私の心を思い知るがよい!』。

蘭子『ああ 許仙様…』。

中庭

仲「なっちゃん 次の作品の制作が決まったよ。」

なつ「えっ 本当ですか? 楽しみです。」

仲「そこで… また 動画のテストを受けてみないか?」

なつ「えっ!」

おでん屋・風車

1階店舗

亜矢美「お待たせ 熱いよ。」

雪次郎「ありがとうございます。」

亜矢美「で また テストを受けるの?」

なつ「はい。 今年の4月に入った人が 最初に受ける能力審査に また参加させてもらえることに なっただけですけど。」

亜矢美「それは ちゃんと 期待されてるってことだね。 ああ ムーランルージュで いい役をもらうんだって 誰かに期待して頂かないと なかなか チャンスってのは 巡ってこないもんだったわよ。」

なつ「だから 今度こそ その期待に ちゃんと応えないと。」

雪次郎「なっちゃん 頑張れ。」

なつ「うん。」

雪次郎「うん。」

咲太郎「しかし 漫画映画も 案外いいもんだよな。」

雪次郎「えっ?」

咲太郎「役者の声には ああいいう可能性だってあるんだよな。」

なつ「えっ?」

咲太郎「亀山蘭子が 声を吹き込んで 漫画の白蛇姫が泣いた時…。」

回想

蘭子『ああ 許仙様…』。

回想終了

咲太郎「いい芝居するなと思って。 ま とにかく これは面白い発見だった。 うん。」

(戸が開く音)

カスミ「はい こんばんは。」

亜矢美「カスミねえさん レミちゃんも。」

咲太郎「いらっしゃい。」

なつ 雪次郎「こんばんは。」

カスミ「みんな いるのね。」

雪次郎「暇なんで。」

なつ「暇なのは雪次郎君だけ。」

(笑い声)

カスミ「ほら レミちゃん 咲ちゃんに頼んでみなさいよ。」

レミ子「え いきなりですか? こんな所で…。」

カスミ「そのために来たんでしょ 今日は。」

咲太郎「何だよ レミ子 俺に頼みって何だ?」

なつ「えっ もしかして 結婚…?」

咲太郎「おい まさかだろ それは!」

レミ子「え~!」

亜矢美「そうなの…!?」

咲太郎「違うよ 絶対違えよ…。」

レミ子「はい。」

カスミ「熱かん お願い。」

亜矢美「は~い。 今日はステージ?」

カスミ「うん。 フフ…。 実はね… レミちゃん 新劇やりたいんだって。」

咲太郎「えっ レミ子が?」

カスミ「あれ見て感動したんだって。 それでね 咲ちゃんの劇団に入りたいんだって。」

咲太郎「おお そうか!」

レミ子「今更 遅いかもしれないけど…。」

亜矢美「レミちゃんって 今 おいくつだっけ?」

カスミ「咲ちゃんと同じ。」

亜矢美「25か…。」

咲太郎「大丈夫だよ レミ子。 俺は応援するよ。 何もできないけど。」

レミ子「咲ちゃん… ありがとう!」

咲太郎「そうだ! レミ子だよ! レミ子でもいけるんだよ 漫画映画は!」

レミ子「えっ?」

咲太郎「レミ子も 絶世の美女になれるんだ!」

レミ子「私が絶世の美女に?」

咲太郎「いや… パンダかもしれない。」

レミ子「パ… パンダ?」

なつ「さ~て 私も頑張ろう。 ごちそうさまでした。」

亜矢美「は~い はいはい…。」

2階なつの部屋

<なつは それからも必死に きれいな線で動画を描く練習を 続けました。>

東洋動画スタジオ

試験会場

<そして 再び 試験に挑みました。>

下山「お~ 今日も決まってるね。」

なつ「おはようございます。」

下山「おはようございます。」

なつ「おはようございます。 おはようございます。」

なつ「奥原なつです。 よろしくお願いします。」

井戸原「座って。 はい それでは 制限時間は 今日一日の就業時間内 8時間。 それまでに 5枚以上の動画を 完成させるように頑張って下さい。」

仲「では 始めます。 よ~い スタート!」

<じいちゃん…。 じいちゃんは くわを手に まだ何もない大地を耕しました>

回想

泰樹「漫画か映画か知らんが 東京を耕してこい! 開拓してこい!」

回想終了

なつ<私は 鉛筆を手に まだ何もない世界を耕しています。 じいちゃんの歩いた道は まだまだ遠いけれど いつか そこに たどりつけるように…>

会議室

仲「今回も 枚数は 君が一番多い。 50枚とは恐れ入ったよ。」

なつ「すいません…。」

井戸原「動画で肝心なのは 線のきれいさ 正確さだが… 短い間に よく ここまで上達したね。 君に アニメーターとしての可能性が あることだけは 誰もが認めざるをえない。」

仲「合格だ。 マコちゃんもね 君のことを推していたよ。」

なつ「えっ…。」

仲「君の動画を見てくれたんだ。 お礼を言っておきなさい。」

作画課

麻子「何?」

なつ「ありがとうございました。 奥原なつです。 これから こちらでお世話になります。 どうか よろしくお願いします!」

麻子「よかったわね。 じゃ 頑張んなさいよ。」

なつ「はい。」

(拍手)

下山「おめでとう なっちゃん! ようこそ 動画の世界へ!」

なつ「よろしくお願いします!」

(拍手)

なつ「よろしくお願いします!」

(拍手)

なつ「皆さん よろしくお願いします!」

仕上課

富子「そう… 動画に行っちゃうのね。」

なつ「はい すいません…。 何だか 仕上を裏切るみたいに…。」

富子「裏切る? あなた 裏切るような力を持ってたの?」

なつ「あ… いや…。」

富子「まあ しっかり おやりなさい。 あなたが きちんと いい動画を描いたら こっちで きちんと仕上げてみせるから。」

なつ「はい… ありがとうございます。」

富子「その時は あなたのことを なっちゃんと呼ばせてもらうわよ。」

なつ「えっ… それじゃ その時は 私も トミコーさんと呼ばせて下さい!」

富子「トミコー?」

なつ「あ いや… トミさんでした。」

富子「トミコーって何? トミコーって何?」

なつ「山根さん! 本当にお世話になりました。」

柴田家

なつ『私 頑張るからね じいちゃん。 じいちゃんに 今度 会う時までに 私は この道を しっかり歩ける人になっていたいです。 それが どんなに小さい道でも 自分の大切な道を誇れるように じいちゃんに示したいです。 どうか そのことを じいちゃんから 父さんや母さんにも伝えて下さい。 そっちに帰れなくても 大好きなじいちゃん じいちゃんは いつでも 私の 一番の誇りです』。

おでん屋・風車

2階住居

(ノック)

亜矢美「なっちゃん 失礼。 置いときます。」

川村屋

ホール

野上「いらっしゃいませ。 今日は また おそろいで。」

咲太郎「マダムはいますか?」

なつ「あっ マダム…。」

光子「どうかしたの?」

咲太郎「マダム 大変お待たせしました。 これで全額。 お納め下さい。」

光子「ちょっと! 店の中で おやめなさいよ。」

なつ「マダム 野上さん 私 アニメーターになったんです!」

光子「あら そう!」

野上「大声出さない! ほかのお客様に ご迷惑です。 マダムまで…。」

咲太郎「また今日は にぎわってますね。」

テレビ『いいね? よし それでは チンチンリー 友情の握手をしよう。 これで 君は 僕の大切な相棒だ』。

なつ「子どもが多いですね。」

光子「今日は『名犬チンチンリー』を やってるからよ。」

咲太郎「何? それ。」

光子「アメリカのテレビ映画よ。」

咲太郎「えっ… 日本語が聞こえますけど。」

光子「それは 日本人が セリフを入れてるからでしょ。」

テレビ『あの場所は とても危険なんだ。 もしかすると 命を落とすかもしれない』。

光子「子どもが 楽しんで見るものだから 字幕を出すよりも見やすいのよ。」

テレビ『行くべきか 行かざるべきか… う~ん よし やっぱり行こう!』。

咲太郎「へえ…。」

テレビ『前進あるのみだ。 進め 進め 未来へ進め!』

咲太郎「なるほど 日本の役者がしゃべってるのか。 面白いな。」

なつ「うん。」

<なつよ 咲太郎よ… 新しい道を どんどん切り開け。>

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