ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第6話「なつよ、ここが十勝だ」【第1週】

あらすじ

なつ(粟野咲莉)は柴田家や学校、酪農の仕事に溶け込んでいく一方で、東京に残った兄の咲太郎に手紙を書き続けていた。そんな中、同じ年の夕見子(荒川梨杏)は、思い切ってなつの本心を尋ねる。ところが、なつからは無理にやさしくしないでいいと気のない返事をされてしまう。ある日、なつが夕見子の妹・明美の子守をしていると、泣かせてしまう。そこに夕見子が現れ、明美になにかしたとなつは疑われてしまい…。

6話ネタバレ

柴田家

なつ『お兄ちゃん 元気ですか? なつは元気です。 なつは元気だけど 早くお兄ちゃんに会いたいです。 孤児院の暮らしは 大変だと思うけど 頑張って 早くなつを迎えに来て下さい。』

なつ『それから お兄ちゃんに お願いがあります。 千遥のいるおじさんの家の住所 教えて下さい。 千遥は まだ 手紙を読めないけど 手紙を書きたいです。 お兄ちゃん 早く また 千遥と 3人で暮らせることを 私は…』。

照男「う~ん…。」

牛舎

なつ「おはようございます!」

剛男「なっちゃん ちょっと来てごらん。」

なつ「あっ…。」

悠吉「今 生まれるとこだ。」

なつ「あっ…。」

剛男「生まれたよ!」

泰樹「ご苦労さん。 よし 初乳を搾るぞ。」

剛男「はい。」

なつ「乳も出して 子どもも産むんだね。 牛さんって 大変だね。」

菊介「何言ってんだよ なっちゃん。 子どもを産まなきゃ 乳は出ないのさ。」

なつ「そうなの?」

悠吉「そりゃ 人間の母親と一緒だ。」

なつ「そうか…。 みんな お母さんなんだ。」

小学校

花村「1から7は引けないので お隣の10の位から 10借りてきます。 10引く7は3. 3足す1は4ですね。」

夕見子「(小声で)ねえ 何見てんの?」

なつ「えっ? 何も見てないよ。」

夕見子「何も見てないわけないしょ。」

なつ「後ろを見てただけよ。」

花村「奥原なつさん。」

なつ「はい!」

花村「この問題 分かりますか? 今の授業を聞いていたら 分かるはずですよ。」

なつ「あの 答えは…。 10銭です!」

花村「せん?」

なつ「あっ 10です!」

大作「金の計算してんじゃねえよ。」

(笑い声)

花村「正解ですけど。」

なつ「すみません…。」

柴田家

居間

剛男「10銭? 10銭を貸してくれってか?」

富士子「そう 郵便代よ。 東京にいるお兄さんに出したいからって。」

剛男「そんなこと 遠慮してたのか。」

富士子「そなのよ。」

悠吉「泣けるねえ。 鬼のような他人の家で暮らす 戦災孤児の話は た~くさん聞くもな。 あっ いや…。 この家が そうだと 言ってるんではなく…。」

菊介「余計なこと しゃべんな。」

悠吉「ごめん…。」

富士子「だから 私 手紙なんか どんどん書けって 怒っちゃったのよ。 そしたら あの子 泣きだしちゃって…。」

剛男「やっぱり寂しいのか なっちゃんは。」

小学校

なつ「また 馬? 今日ね 子牛が生まれたの。 馬しか描かないの?」

天陽「悪いか?」

なつ「悪くないけど ほかの絵も見てみたいから。」

天陽「どうして 絵が見たいの?」

なつ「私のお父さんも 絵がうまかったの。 お父さんの新しい絵は もう見られないから。」

天陽「ふ~ん。」

(風の音)

天陽「おっ。」

なつ「あっ! ちょっと貸して。」

天陽「えっ? 何?」

なつ「うわ~ 面白い! ねえ これ見て! まるで 馬が暴れてるみたい。 ねっ ほら!」

(いななき)

柴田家

玄関

なつ「あっ こんにちは。」

正治「やあ。 手紙書いた?」

なつ「はい。 これで お願いします。」

正治「はい。 確かに お預かりしました。」

なつ「あの…。」

正治「うん?」

なつ「返事があったら すぐに届けてもらえますか?」

正治「もちろん すぐに届けるよ。 待っててね。」

なつ「はい。」

台所

夕見子「手紙 出したの?」

なつ「うん。」

夕見子「どこに出したの?」

なつ「東京のお兄ちゃんのところ。」

夕見子「ふ~ん。 ねえ はっきり聞くけど あんたは この家にいたいと 本当に思ってる? それとも しかたなく?」

なつ「えっ?」

夕見子「私は 別に どっちだっていいのよ。 ただ 聞いておきたいだけ。 はっきり知っときたいのよ あんたの気持ちを。 だって そうじゃなきゃ あんたを どう受け入れていいか 分かんないんだもん。 どっち? そこが分かんないと どう優しくしていいか 分かんないよ。」

なつ「それなら 無理に優しくしなくたっていいよ。」

夕見子「えっ?」

なつ「私は 大丈夫だから。 無理しないでね。」

富士子「よいしょ…。 ああ お帰んなさい。」

なつ「あっ ただいま! あの おばさん 何か手伝います。」

富士子「そう? じゃあね… 明美と遊んでてくれる?」

なつ「はい。」

富士子「そんだけで助かるわ。」

なつ「はい。 明美ちゃん おねえちゃんと行こう。 よし。」

夕見子「あの子… 腹立つ!」

富士子「えっ?」

玄関前

なつ「やった~! 分かった? じゃあ 今度 明美ちゃんの番。」

(薪割りの音)

なつ「上手ね それ 私にも教えて。」

照男「えっ?」

なつ「私にもやらせて。 手伝います。」

照男「ダメだよ! 危ないよ。」

なつ「大丈夫よ。 明美ちゃん ちょっとだけ離れててね。」

照男「ダメだったら! お前は 牛の乳搾りがあるだろ。 これは 俺の仕事だよ。」

なつ「そっか そうだよね。」

なつ「私のお兄ちゃんは ダンスを踊れるの。」

回想

咲太郎♬『得意顔 東京は銀座へと来た』

回想終了

なつ「タップダンスって知ってる? 昔 浅草の芸人に習ってたんだって。 私も習いたかったけど 戦争になったから ダメだったの。」

照男「何 言いたいの?」

なつ「それだけ。 行こ 明美ちゃん。」

なつ<それから 何日たっても 兄からの返事は来ませんでした>

牛舎

なつ「ただいま!」

<私は おかしいと思うようになりました>

<兄は 別れる時 私に 手紙を書くと言いました。 うそをつくような兄ではありません。 兄から手紙が来なければ 妹の行方も分かりません>

なつ「あっ! 大丈夫!?」

明美「(泣き声)」

回想

なつ「あっ 血が出てる…。」

千遥「お母さん お母さん!」

なつ「大丈夫 お姉ちゃんがいるから。」

千遥「お母さんに会いたい! お母さ~ん…。」

なつ「大丈夫だってば!」

千遥「(泣き声)」

回想終了

明美「(泣き声)」

夕見子「ちょっと 何してんのさ!?」

明美「(泣き声)」

夕見子「明美 大丈夫? 何してたのさ!」

なつ「えっ…。」

台所

夕見子「お母さん!」

富士子「なしたの?」

夕見子「あの子が 明美を泣かしてた。」

富士子「え~? どしたの?」

なつ「ごめんなさい! でも…。」

富士子「もういいから… 明美の世話はいいから あんたは おじいちゃんの仕事 手伝ってきて。」

なつ「はい…。」

なつ<私は 考えていました。 兄は 私が会いたいと 手紙に書いたものだから これ以上 寂しがらせないように わざと 返事を書かないのではないかと…>

なつ『お兄ちゃん 私は大丈夫です。 私は 幸せです。 みんな 優しくしてくれています。 どうか 私のことは心配しないで』。

玄関

なつ「さようなら…。」

<なつは その朝 突然 東京に帰る決心をしたのです。 なつよ 東京は遠いぞ。 来週に続けよ。>

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