ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第76話「なつよ、“雪月”が大ピンチ」【第13週】

あらすじ

ふとしたことがきっかけで、どうしてもうまく描けなかった動画を完成させたなつ(広瀬すず)。早速会社で下山(川島明)や麻子(貫地谷しほり)に完成した動画を見せると、ふたりとも悪くない反応。ところが午後になり、その動画用紙を見た露木(木下ほうか)が、なつたちのいる作画課に乗り込んできた。なつが描いた新しい手法を許せない露木に対し、仲(井浦新)や井戸原(小手伸也)はそこに東洋動画の将来があると言い…。

76話ネタバレ

東洋動画スタジオ

階段

なつ「一人で なんとか頑張ります。 うわ~!」

坂場「大丈夫?」

なつ「大丈夫…。」

坂場「か… 勘違いしないで下さい。 ん? 何ですか…。」

なつ「これ! これ! これ! これ! これ! これ! これ! これ! これ!これ! あっ あっ… ああっ~! あ~…!」

坂場「ああっ… えっ…。」

作画課

なつ「お~…!」

なつ「よし…。 出来た…。」

<なつよ 何が出来た? 早く見せろ。>

なつ「また これで見て下さい。」

下山「うん。」

なつ「マコさんも お願いします。」

下山「どれどれっと…。 ん?」

なつ「ん? あっ…。」

下山「(笑い声) 面白い。」

なつ「えっ… そですか!」

下山「うん 面白いよ… ちょっと マコちゃんも見て。」

麻子「はい。」

下山「うん。」

(ひづめの音)

(いななき)

なつ「どうですか?」

麻子「前足 4本描いたの?」

なつ「はい。 それなら 指定された動画枚数の中でも たくさん動いてるように見えますし それに タメを作っても 一連の動きの勢いを 殺さないと思ったんです!」

下山「うん… 何か 物を こう振り下ろす時とかに 勢いをつけるために 残像を バッて描くことあるんだけど ここまで はっきり 残像を描いた動画 初めて見た。」

麻子「あなたが考えたの?」

なつ「はい。」

回想

なつ「うわ~!」

回想終了

なつ「ちょっとしたはずみで思いついたんです。」

麻子「はずみ…。」

なつ「マコさん どう思いますか?」

麻子「私は… まあ 面白いと思うわよ。」

なつ「えっ 本当ですか!?」

麻子「ただ 仕上げでの色のつけ方次第かな という気もします。 やってみないと うまくいくかどうか 分からないっていうのが 正直な感想ね。」

なつ「はい。」

下山「よし じゃ これ 仲さんと井戸さんに相談してくる。 うん。」

なつ「はい。」

井戸原「見て 仲ちゃん。」

下山「仲さん すいません これ ちょっと見て下さい。 井戸さん どうぞ…。」

麻子「あなたのせいで 全体のスケジュールが遅れてんだから 早く 次の動画 取りかかってちょうだいね。」

なつ「はい。」

喫茶店・リボン

桃代「ふ~ん… それじゃ その北海道から一緒に来た友達が 急に 川村屋を辞めるって話だったの? あの時は。」

なつ「あ… そう。 あの時は そのまま帰っちゃってごめんね。」

桃代「急に あの人 あの… 坂場さんと2人にされて どうしようかと思ったわ。」

なつ「モモッチ 坂場さんのこと嫌いになった?」

桃代「いや そんなことないわよ。 なっちゃんは どうなの?」

なつ「いや… 私は ちょっと苦手かな。 話してると 知らないうちに 自分が 崖っぷちに追い詰められてる気がする。」

桃代「ああ… 分かる。 ねえ だけど もしかして… その崖から落ちた時 恋に落ちたりするかもよ?」

なつ「何言ってんの? そんなこと あるわけないっしょ!」

桃代「そう?」

なつ「うん。」

東洋動画スタジオ

作画課

露木「これは何だ! こんな動画を 誰が描いた?」

下山「ああ 露木さん どうかされました?」

露木「どうして 馬の前足が 4本もあるんだ?」

下山「ああ。 残像ですよ。」

露木「は? 残像というのは 動画を見る人の目に残るもんだろ。 そんなもん 絵に描いたら 不自然って呼ばれるんだよ。」

なつ「すいません… それは 私が描きました。」

露木「誰が描いたかは 問題じゃない。 問題は 誰が許したかだ!」

下山「私が許しました。」

露木「お前な…。」

麻子「私も許しました。」

仲「僕も許します。」

露木「は?」

井戸原「僕も いいと思います。」

露木「仲ちゃん 井戸さんさ 本当に これでいいのか? うまくいくのかね?」

仲「分かりませんが やってみましょうよ。」

井戸原「やってみなければ ダメだということも 分からないじゃないですか。」

仲「東洋動画には ディズニーのような 予算も時間も人手もありません。 あるのは 若い情熱だけです。 それを 我々が どう生かすかです。 世界の壁を越えようとするなら そこに賭けるしかないじゃないですか 露木さん。」

露木「分かったよ…。 そこまで言うなら いいだろう。 今回は これで やってみっか。」

一同「ありがとうございます。」

井戸原「じゃ せっかく来て頂いたわけですから このまま 打ち合わせ やっちゃいませんか? ねえ 監督。」

下山「いいですね。」

仲「どうぞ どうぞ…。」

下山「行きましょう。」

雪次郎宅

(ノック)

妙子「は~い。 あっ…。」

なつ「おばさん!」

妙子「なっちゃん。 心配して来てくれたんかい?」

なつ「雪次郎君は?」

妙子「雪次郎 なっちゃん。」

雪次郎「よっ。」

妙子「上がって。」

なつ「すいません。」

妙子「はい はい どうぞ どうぞ。」

なつ「お邪魔します。」

妙子「ここ 座って。 はい。」

なつ「ありがとうございます。」

なつ「おばさん…。」

妙子「うん?」

なつ「雪次郎君 許してもらえたんですか?」

妙子「それは まだ。 だけど 今は この部屋で生きてんだからね ちょっとは ましにしてやんないと。」

雪次郎「なっちゃんは こうなることが分かってたのかい…。」

なつ「ん?」

雪次郎「父さんと 川村屋で働いてた時は 本当に 自分が何してんだって思ったわ。 自分が間違ってるって思ったわ。 たまんなかったな。」

なつ「そんなら 役者の夢は諦めんの?」

雪次郎「諦めたくはねえけどな… やっぱり やめるべきだ。」

なつ「そこ迷ったら みんなが ますます心配するだけっしょ。」

雪次郎「そだね。 なっちゃんの言うとおりだわ。 俺だって 我慢して 川村屋にいたわけじゃねえよ。 父さんの夢はな 俺の夢でもあるんだわ。 ただ ほかのことを 後悔したくなかたっただけだ。 あ~あ…。 この体が 2つあればいいのにな!」

妙子「悪かったわね。 兄弟生んでやれなくて。」

雪次郎「そったらこと言ってねえべ。」

なつ「おじさんは?」

妙子「川村屋さんにいるの。 この子が いつでも戻れるように 自分が働いて 居場所を作っておくからって。」

なつ「えっ…。」

川村屋

厨房

なつ「おじさん。」

雪之助「あ なっちゃん。」

光子「雪之助さん 今日は もういいですから なっちゃんと お話でもしたらどうですか?」

雪之助「はい…。」

ホール

雪之助「すいません。」

なつ「すいません。」

野上「テーブルに こばさないように ご注意下さい。 『腹水盆に返らず』。 ごゆっくり どうぞ。」

雪之助「さすがは野上さんだ。 嫌みにも気品がある。」

なつ「今の嫌みですか?」

雪之助「私はね なっちゃん 決して雪次郎に 嫌みで こんなことしてるわけじゃないんだよ。」

なつ「分かってます。」

雪之助「雪次郎には 雪次郎の夢があるのは分かる。 だけど 私にも 私の夢がある。 いや… 生き方がある。」

なつ「はい。 それを 雪次郎君も よく分かってました。 自分のために おじさんに こんな思いをさせるのは たまんないって。」

雪之助「あの店は… 雪月は 私だけで つくったんじゃないんだよ。 強いて言えば おふくろの生き方そのものなんだ。」

なつ「とよばあちゃんの?」

おでん屋・風車

1階店舗

亜矢美「お酒 お強いんですか?」

とよ「私かい? 強いよ。」

川村屋

ホール

雪之助「おふくろが開拓した…。 俺は その生き方を尊重してきた。」

雪次郎宅

妙子「はいよ。」

雪次郎「うわ~!」

2人「頂きます。」

川村屋

ホール

雪之助「雪月も 俺は何としても守らなくちゃならん…。 いずれ 雪次郎に 渡してやらなくちゃならん。 そう思って 今は生きてるんだ。 それは間違ってるかい? 俺は それでも 雪次郎を苦しめてるだけかい? なっちゃん。」

なつ「それは… 間違ってないから 雪次郎君は つらいんです。 雪次郎君は ちゃんと家族を 大事にして生きてると思います。」

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