ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第77話「なつよ、“雪月”が大ピンチ」【第13週】

あらすじ

雪之助(安田顕)から、雪次郎(山田裕貴)に雪月を継がせたい理由を聞いたなつ(広瀬すず)。なつも家族に対する思いを雪之助に伝える。その後、なつたちが風車を訪れると、とよ(高畑淳子)と咲太郎(岡田将生)が酒を酌み交わし陽気に歌っていた。すると雪之助が風車のおかみ・亜矢美(山口智子)に、あしたの朝、店を貸してほしいと願い出る。そして、風車に呼び出された雪次郎は、雪之助にあるものをつくるように言われ…。

77話ネタバレ

川村屋

ホール

雪之助「雪月を いずれ 雪次郎に渡してやらなくちゃならん。 そう思って 今は生きてるんだ。 それは間違ってるかい? 俺は それでも 雪次郎を苦しめてるだけかい?」

なつ「間違ってないから 雪次郎君は つらいんです。 雪次郎君は ちゃんと家族を 大事にして生きてると思います。」

雪之助「雪次郎が 家族を大事にかい?」

なつ「はい。」

光子「お待たせしました。 バターカリーです。」

なつ「え… 頼んでないですけど。」

光子「今日は 私が ごちそうします。」

なつ「えっ いいんですか?」

光子「雪之助さんは 今日一日 タダで働いてくれたから せめてものお礼です。」

雪之助「いや~ ハハハ… そんな マダム…。 すいません 私までご迷惑を…。」

光子「いいえ。」

なつ「おじさん マダム 私が 今 漫画映画に挑戦してるのは 北海道にいる家族を見てて 自分らしい生き方を学んだからなんです。」

回想

泰樹「東京を耕してこい! 開拓してこい!」

回想終了

なつ「それは 雪次郎君も おんなじだと思うんです。」

雪之助「えっ?」

なつ「雪次郎君は どこで どんな生き方をしようと おじさんのように生きると思います。 とよばあちゃんや妙子さんのように 生きると思います。」

なつ「大事なお店を継ぐことも もちろん大事だけど そうやって 自分の夢を 切り開いていくことも ちゃんと家族を大事にして生きているから ってことになりませんか? 雪次郎君は おじさんを裏切るような生き方は 絶対にしないと思います。」

光子「よく分かるわ。 私が この店を守ってゆくことも 結局は そういうことだから。 ただ お店を継いだんじゃなくて。」

雪之助「なっちゃんの言いたいことは分かった。 もういいから… 頂くべ。 せっかくのカレーが冷めちまうべ。」

なつ「はい。」

雪次郎宅

妙子「父さんが いくら反対しても 母さんは あんたの味方になってやるからね。」

雪次郎「えっ?」

妙子「あんたに 役者に なってもらいたいからじゃないからね。 雪次郎が やりたいことを 応援したいだけだわ。」

雪次郎「母ちゃん…。」

妙子「分ったら しっかり食べなさい。」

雪次郎「うめえ…。 やっぱり 母ちゃんのカレーが 世界で 一番うめえ…。」

妙子「もう…。」

おでん屋・風車

1階店舗

♬『ラム・ラム ムーラン・ルージュ』

雪之助「おふくろ!」

なつ「お兄ちゃん!」

咲太郎「おっ…。」

とよ「よ~し 覚えた! 覚えたべさ! これで 私も役者になれるか? ムーランルージュに入るべ 咲太郎。」

咲太郎「入れます! 役者みたいないい声。」

とよ「おう 雪之助! 菓子作ってる時だけ いい男! 私は 役者になるぞ!」

雪之助「あ~ どんだけ飲んだんだ… 酒弱いのによ。」

亜矢美「えっ 弱いんですか!? お強いって おっしゃってましたよ?」

雪之助「あ~ もう 強がりです。」

とよ「雪之助! 私も東京に残るぞ。 もう 好きなことやるぞ。 母さんを頼るな!」

雪之助「分かった 分かった 分かったから もう帰るぞ。 な。」

とよ「雪之助… たたいて悪かったな…。 あんたには 私の夢まで しょわせて… 苦労ばっかりかけて 悪かったな…。」

雪之助「分かったから 何もしゃべんな…。」

玄関

雪之助「すいませんね。」

なつ「おやすみなさい。」

とよ「はい おやすみなさい…。」

1階店舗

<そして 2日後の朝 雪次郎君は 風車に呼び出されました。」

一同「おはよう。」

雪次郎「おはようございます。 父さん この前は…。」

雪之助「話はいい。 これ 見れ。 俺が お願いして 川村屋から調達したんだ。」

雪次郎「えっ… 何する気だ?」

雪之助「お前は 東京で この2年近く 時間を無駄にしたことになる。 それが 本当に無駄だったかどうか ずっと俺ら家族をだましてたのかどうか それを確かめる。」

雪次郎「何をすればいいんだ?」

雪之助「ここにある道具を使って バタークリームのケーキを作れ。」

雪次郎「バタークリームのケーキ?」

雪之助「フランス菓子の基本だ。 まあ ジェノワーズは ここには オーブンがないから フライパンで焼いて作れ。 それを デコレーションして みんなに振る舞え。」

雪之助「みんなが満足したら合格だ。 この2年近く お前が どう生きてきたか それを しっかり味わってもらえ。 いいか?」

雪次郎「したけど オーブンがなくて ケーキが作れんのかい?」

雪之助「それを聞くな! 自分で考えれ!」

雪次郎「分かった。 やるべ!」

雪次郎「よし…。」

咲太郎「お~ すげえな!」

雪次郎「出来た。」

とよ「どうだい?」

雪之助「フライパンじゃ ジェノワーズは膨らまないから ロールケーキにしたのかい?」

雪次郎「はい。 そうしないと ケーキにならんと思って。」

雪之助「そうかい。」

雪次郎「食ってくれ。 バタークリームのロールケーキです。」

一同「頂きます。」

亜矢美「うん…。」

妙子「おいしいわ 雪次郎。」

雪次郎「本当かい?」

妙子「うん。」

雪次郎「なっちゃん どうだい?」

なつ「おいしい。 とってもおいしいわ。」

雪次郎「咲太郎さんは? 亜矢美さんは?」

咲太郎「うん 普通にうまい!」

亜矢美「通訳します。 普通にお店で食べるみたいに おいしいってこと!」

雪次郎「いかった…。」

とよ「どうなんだい?」

妙子「あんた…。」

なつ「おじさん…。」

雪之助「雪次郎… 何をするにも これぐらいやれ。 これぐらい努力しろ。 これぐらい… 一生懸命頑張れ!」

雪次郎「父さん…。」

とよ「ハハ…。」

なつ「やったね 雪次郎君! 認めてもらえたね!」

雪次郎「うん!」

咲太郎「これで やっと言えるな。 合格 おめでとう!」

雪次郎「ありがとうございます!」

(拍手)

雪之助「だけどな これだけは言っとくぞ。 お前が これからやろうとしてることは いくらでも諦めていいことだ。 諦める時は 潔く諦めれ。 諦めて 帯広戻ってこい。 お前にはよ お前の生まれた場所があるんだ。」

雪次郎「父さん…。」

雪之助「何があっても 恥ずかしがらずに帰ってこい。」

妙子「んだよ… うん。」

とよ「負けるのも 人生の味だ。」

妙子「いつでも待ってるからね。」

雪次郎「そったらこと待つなや…。 ごめん 父ちゃん…。 ありがとう…。 あ いてっ…。」

<こうして 小畑家は 北海道に帰っていきました。 一つの夢を残して。>

赤い星座

劇場

雪次郎「えいっ!」

東洋動画スタジオ

作画課

<なつよ お前も 一生懸命頑張れ!>

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