ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第82話「なつよ、十勝さ戻って来い」【第14週】

あらすじ

柴田家にきている妹の千遥に会うため、急いで十勝に向かったなつ(広瀬すず)と咲太郎(岡田将生)。早朝、帯広に着いたふたりは雪月に立ち寄り、雪之助(安田顕)の運転する小型トラックで柴田家に到着。なつの到着を待ちわびていた富士子(松嶋菜々子)をはじめ、懐かしい面々との久々の再会を喜ぶなつ。あとは千遥との再会を待つばかりのなつに対し、泰樹は思わぬことを口にする…。

82話ネタバレ

雪月

(ノック)

雪之助「なっちゃん。」

なつ「おじさん 朝早くに すいません。 今 着きました。」

雪之助「まあ… 入って 入って。 柴田さんとこから電話もらってさ そろそろじゃないかなと思って 待ってたんだわ。」

なつ「すいません。」

咲太郎「雪之助さん よろしくお願いします。」

雪之助「咲太郎君 なっちゃん… 本当よかったな!」

咲太郎「はい。」

なつ「おじさんは もう会ったの?」

雪之助「いや 先に会っちゃったら 何か悪い気してな。 もう すぐ行くか? それとも 少し休むか?」

なつ「すぐ行きたい。」

雪之助「よし分かった。 すぐ車出すべ。」

柴田家

柴田牧場

台所

なつ「ただいま。 母さん!」

富士子「なつ!」

なつ「ただいま。」

富士子「お帰り…。 いらっしゃい 咲太郎さん。」

咲太郎「ご無沙汰してます。」

なつ「ねえ そんで千遥は?」

照男「なつ お帰り。」

悠吉「いや いや いや いや…。」

なつ「ただいま!」

菊介「なっちゃん お帰り!」

なつ「ただいま! 悠吉さん 菊介さん…。」

咲太郎「どうも 咲太郎です。」

泰樹「よう来たな。」

なつ「じいちゃん ただいま。」

泰樹「うん お帰り。」

なつ「じいちゃん 千遥は?」

泰樹「おらん。」

なつ「えっ…?」

泰樹「おらんようになった。」

なつ「どういうこと?」

咲太郎「千遥は いないんですか? ここに。」

富士子「急に いなくなってしまったの。」

なつ「えっ… どうして!?」

富士子「分かんないの… なつや咲太郎さんを ここで待っててくれるもんだと 思ってたんだけど…。」

照男「放牧された牛を 見に行ってるばかりと思ってたら いつの間にか いなくなってて… 何かあったんじゃないかと みんなで この辺 捜し回ったんだわ。」

砂良「私の父さんも 一緒に捜したんだけど どこにもなくて。」

照男「ごめん なつ。」

なつ「そんな…。」

咲太郎「千遥は 皆さんに黙って 帰ったということですか?」

富士子「そうとしか考えられんの…。」

なつ「なしてよ!」

咲太郎「なつ!」

牧場

咲太郎「なつ… なつ!」

なつ「千遥!」

居間

剛男「咲太郎君… 大きくなったな。」

咲太郎「あ… どうも。」

富士子「本当は もっと楽しい朝ごはんに なってるはずだったのに… ごめんね なつ。 何がいけなかったのか…。」

なつ「母さん… 千遥が ここに来て みんなに会って 嫌な思いをしたとは思ってないわ。 やっぱり 千遥は 私に会いたくなかったのさ きっと。」

咲太郎「それを言うなら 俺だよ… 電話も切られたし。」

富士子「あっ あれはね… 千遥ちゃん 2人のことを すっかり忘れてると思ってたらしいの。」

回想

千遥「でも 電話で 声を聞いたら… 私の姉だと分かりました…。 兄の声だと分かりました…。 そのことに 何だか驚いてしまって… 何て言えばいいのか 分からなくなって…。」

回想終了

なつ「そんなこと言ってたの? 千遥が。」

富士子「そう…。 そんなことがあってからは 千遥ちゃん すっかり明るくなってね 少しずつ 自分の話も してくれるようになったんだわ。」

なつ「話って?」

富士子「あっ… うん… 千遥ちゃん 置屋で育ったんだって。」

なつ「おきや?」

咲太郎「芸者のいる置屋ですか!?」

富士子「そう。」

剛男「だけどね そこの置屋の女将さんが とてもいい人で 千遥ちゃん 周りの人からも すごくかわいがられたって。」

富士子「自分は 運がよかったって言ってたわ。」

なつ「運がよかった? そう言ったの? 千遥が。」

富士子「うん…。 うそじゃないと思う。」

なつ「千遥は… ずっと幸せだったの?」

富士子「千遥ちゃんが 自分から そう言ってた。 だけど 東京のどこにある置屋かは 聞かなかったの。 なつや咲太郎さんに 自分から話すのが一番いいと思って…。」

信哉「ごめんくださ~い。」

剛男「信哉君だ。」

なつ「信さん?」

なつ「千遥?」

咲太郎「これが千遥か…。」

信哉「ごめん… もしかしたら この写真のせいかもしれないんだ。」

なつ「えっ?」

咲太郎「どういうことだよ? 信。」

回想

千遥「ありがとうございます。」

(シャッター音)

信哉「ごめん 驚かした?」

千遥「何ですか?」

回想終了

咲太郎「千遥が 写真を嫌がった?」

剛男「確かに 何かに おびえてるような気が…。」

なつ「おびえてるって何に?」

剛男「いや そんなこと ないだろうけど そう見えたというか…。」

咲太郎「何か 後ろめたいことがあって 急に逃げたということですか?」

なつ「何さ それ!」

咲太郎「いや… 人に 顔を見られたくないような 事情があるとか 何かに追われてるとか…。」

なつ「お兄ちゃん! 千遥を 何か疑ってんの!?」

咲太郎「分かんないから考えてるんだろ!」

剛男「ごめん 余計なこと言った。」

富士子「そだわ 全く。」

信哉「でも 誰だって気になりますよ あの様子を見たら。」

なつ「信さんは 千遥と話したの?」

信哉「いや あんまり…。 なっちゃんと 咲太郎が来たら また来ようと思って…。」

なつ「どうして もっと 話を聞いててくれなかったの!」

富士子「なつ…。」

信哉「ごめん…。」

なつ「ごめんなさい…。」

悠吉「そのあと 朝食食った時は 変わった様子なかったべ?」

菊介「なんもだ 明るく笑ってたしな。」

砂良「私も てっきり このうちに 打ち解けてくれたとばかり思ってたわ。」

なつ「本当…。」

泰樹「なつ。」

旧牛舎

泰樹「この牛を搾乳してくれたんだ。」

なつ「千遥が?」

泰樹「ああ。」

回想

泰樹「数を数えるように上から指を折るようにして搾る…。」

千遥「あっ…!」

泰樹「ハハハハ… できた!」

(笑い声)

回想終了

泰樹「何度も何度も諦めないでやって やっと うまくいった ハハ…。 あの時は うれしそうな顔してた。 昔のお前と同じだ。 あの笑顔に うそはなかった。 わしが保証する。」

なつ「じいちゃん…。」

泰樹「だから なつも信じろ。 心配するな。 必ず あの子の方から知らせが来る。」

なつ「うん…。」

子供部屋

富士子「千遥ちゃんは ここに寝たの。 なつの寝巻きを着て。 それ… 千遥ちゃんが着てきた服さ。」

なつ「千遥の?」

富士子「千遥ちゃんは なつの服に着替えて 牛飼いの仕事をしたんだわ。 したっけ その服を着たまま いなくなってしまったの。」

なつ「私の服を着たまま?」

照男「咲太郎兄さん。」

咲太郎「おっ 照男兄さん…。」

砂良「今日は 兄さん同士で寝て下さい。 私は なっちゃんとこで寝ますから。」

咲太郎「砂良さん おめでとう。」

砂良「あっ…。」

咲太郎「照男兄さん よかったな。 2人が幸せで 何よりだよ。」

照男「千遥ちゃんのこと 何も力になれなくて… 本当 すいませんでした。」

咲太郎「何言ってんだよ… すっかり世話になって 心から感謝してるよ。 俺も なつも… 千遥も…。 あっ… さて 牛の家でも見せてもらおうかな。」

照男「案内します。」

子供部屋

砂良「なっちゃん… 起きてる?」

なつ「うん。」

砂良「千遥ちゃん 最初来た時 私を見てね お姉ちゃんって呼んだんだよ。」

なつ「砂良さんを?」

砂良「うん…。 それが 最初に聞いた 千遥ちゃんの声だった。 会いたくない人なら呼ばないしょ。 どうしても会いたくて ここまで来たってことよ。」

なつ「ありがとう 砂良さん…。」

砂良「千遥ちゃんは… いつか なっちゃんのそばに帰ってくると思う。 あの『お姉ちゃん』っていう声は それを望んでる声だったから。」

詰め所

咲太郎「これで バターを作るのか?」

なつ「そう。」

泰樹「2人が来たら 作ろうと思ってたんだ。 千遥に食わせようと思ってな。」

なつ「戻ってきたら 食べてもらおう じいちゃん。」

泰樹「んだな。」

明美「なつ姉ちゃん いる!?」

富士子「明美。」

なつ「どしたの?」

明美「千遥ちゃんから 手紙が来た!」

咲太郎「えっ!?」

<なつよ 千遥の思いは今… そこにある。>

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