ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第95話「なつよ、恋の季節が来た」【第16週】

あらすじ

憤慨した夕見子(福地桃子)が、高山(須藤蓮)を連れて風車にやってきた。夕見子が東京に来ていることを十勝の家族に伝えてしまったなつ(広瀬すず)を責め、東京から離れると言い放つ。夕見子の言い分に対して、なつも思いをぶつける。やがて、それを聞いていた高山が、夕見子やなつ、咲太郎(岡田将生)たちを前にして、衝撃の告白をする。夕見子と高山が言い合いをしていると、その様子をひそかに見ている人物がいて…。

95話ネタバレ

おでん屋・風車

1階店舗

なつ「夕見…。」

夕見子「なつ… あんた うちの家族にしゃべったしょ。」

なつ「えっ…。」

夕見子「裏切ったしょ! この人の家にも ばれたんです。」

なつ「えっ?」

夕見子「うちの親が 大学や寮に連絡して いろいろ聞いたみたいで…。 この人の家にも電話して 居場所は知らないかって聞いたみたいで。」

咲太郎「まあ… 当然そうなるよな。」

夕見子「したから もう東京を離れることにした。」

なつ「どこ行くの?」

夕見子「分かんないよ。 分かっても なつには 二度と言わない。 それで 昨日まで働いた給金を もらいに来たんです。」

亜矢美「まあ… はいはい ようござんすけど…。」

なつ「待ってや 夕見! なして逃げるの?」

夕見子「逃げる?」

なつ「したって そうでしょや? 好きなら なして逃げるの? 高山さんも 夕見が好きなら なして逃げるんですか? なして親に言えないんですか? 親の決めた相手とは結婚しないで 夕見と一緒になりたいって なして言えないんですか?」

夕見子「うん だから… そういうことが嫌だって 言ってるんでしょや!」

なつ「そういうことから逃げて 幸せになれると思えないよ 夕見。」

夕見子「結婚を認めてもらうことが幸せなの? したら 幸せは 人から与えてもらわなきゃ いけないものなの?」

高山「やめるべ もう。 もういいべ そんなことは…。 もう 無理すんなや…。」

夕見子「無理って何さ?」

高山「俺といたって…。」

夕見子「無理なんて 何もしてないよ。」

高山「俺といたって いいことなんか 一つもなかったべ。」

夕見子「そんなことないよ。 いいことは これから 一緒に作ってくんでしょや。」

亜矢美「分かった! とりあえず みんなで ごはん食べよう… ね。 朝ごはん まだでしょ?」

1階居間

高山「俺は… 本気でなかったよ。」

咲太郎「おい よく考えてから物言えよ。 勢いで言うと 取り返しのつかないことになるぞ。」

高山「勢いでないです。 本気で 駆け落ちがうまくいくなんて 思ってなかったです。」

咲太郎「何だ そういうことか。」

夕見子「どういうこと?」

高山「このまま うまくいくなんて 思えるわけがないだろ!」

亜矢美「高山さん あなたが うまくいかなかったからじゃないの?」

高山「えっ?」

なつ「亜矢美さん どういうことですか?」

亜矢美「ジャズの雑誌に 原稿持ち込んでも うまくいかなかったんでしょ? 自分の実力を知って こんなはずじゃなかったって 思ったんじゃないの? 厳しいようだけど。」

高山「ジャズなんて ただの遊びですよ。」

夕見子「昭ちゃん…。」

高山「無理なんだわ。 俺が 家を継がないなんて できっこないんだ。」

夕見子「なして!」

高山「夕見だって そう思ってるから ここに来たんだべ!」

夕見子「どうゆうこと?」

高山「うちの親に ばれればいいと思ったんでないのか?」

夕見子「はあ?」

高山「お前だって… 本当は俺がマル高デパートの跡取りだから 好きになったんだべ。」

夕見子「それ 本気で言ってんの?」

高山「大体 夕見は 俺のことが好きでないべさ? いつも計算高くて 偉そうで 俺に対する優しさなんて 一つも感じたことなかったからな!」

夕見子「優しくできないのは あんたが甘えるからだべ。」

高山「したら そっちが甘えればいいべ! そうゆう かわいげもないんだわ 君には!」

夕見子「かわいげって何?」

高山「分からない女だな 君は。」

夕見子「それって 女が分からないことも 男のためには分かれってことでしょ!」

高山「そうゆうとこが もう うんざりなんだわ!」

咲太郎「おい なつ 何で お前が泣いてんだ?」

なつ「夕見は… 子どもの頃から 人に甘えたりしなかった。 私がいたから…。」

夕見子「は?」

なつ「9歳の時に 突然 見ず知らずの私がやって来て… 夕見が 一番 親に甘えたかった時に 私がいたから 夕見は 誰にも甘えらずに…。 それでも 私のことを受け入れてくれて…。 だから 家族とか結婚とか そうゆうことに 冷めてるとこがあるとすれば それは 私のせいで…。」

夕見子「なつ…。」

なつ「でもね… 夕見は ただ一度も… 一度も うそをつかなかった。 私に対しても 誰に対しても 一度だって うそをつかず うそのない夕見のままでいてくれた。 それに私が どんだけ救われたか…。」

なつ「今まで生きてきて 夕見のような素直な子に 私は会ったことがない。 こんなすてきな人 見たことない。 夕見が 計算高くて偉そうだなんて… あんたは 夕見のこと知らなさすぎる! あんたに 夕見はやらない! 絶対に渡さない! あんたと夕見の結婚を 私は 絶対に認めない!」

夕見子「なつ 落ち着いて…。」

夕見子「そもそも 結婚する気なんてないんだから。」

高山「俺だって 結婚する気はないよ。」

夕見子「あんたは… 自由になんて なれないんだね。」

高山「自由になって 飯も作れん女と 結婚したって しょうがねえべ!」

なつ「ねえ ちょっと」

咲太郎「もういい! もう終わった。 話はついたから…。」

1階店舗

泰樹「お前か…。 抹殺! そのひげも それ。」

亜矢美「お疲れさまでした。」

なつ「じいちゃん!」

夕見子「じいちゃん…。」

咲太郎「泰樹さん…。」

亜矢美「初めまして。」

泰樹「夕見子が 大変お世話になりました。 夕見子 迎えに来た。 一緒に帰るべ… うん。」

道中

なつ「じいちゃん 本当に すぐに帰っちゃうの?」

泰樹「用事は済んだ。 牛より人が多い所は 何か落ち着かん。」

なつ「ハハハ。」

夕見子「私が 札幌案内しようか? じいちゃん。」

泰樹「それより 早く うちさ帰ってやれ。 お前のおやじは このまま ほっとくと 何しでかすか分からんぞ。」

なつ「したけど じいちゃん よく東京来る気になったね。」

夕見子「そんなの決まってるしょ。 私に手を焼いてる母さんに 言われたからだべ。 母さんの考えそうなことだわ。」

泰樹「いや それは なつが…。」

なつ「えっ?」

泰樹「いや… 東京の… パフェというのを 食べたくなったんだ…。」

2人「パフェ?」

泰樹「雪月の大将に聞いてな。」

夕見子「行こう! パフェ食べて帰ろう じいちゃん。」

泰樹「なつは?」

なつ「あ… 私は仕事だから 2人で食べてきて。」

泰樹「なつ。」

なつ「うん?」

泰樹「体に 気ぃ付けて 仕事頑張れ。」

なつ「うん… じいちゃんも 体に気を付けて。 みんなに よろしく。」

泰樹「分かった。」

夕見子「したら じいちゃん 行くべ。」

なつ「行ってらっしゃい。」

なつ「あっ…。」

東洋動画スタジオ

作画課

坂場「なるほど 後ろ姿ですか…。 怪物の後ろ姿というのは 想像がつきませんでした。 確かに そうすることで この木の歴史が 浮かぶように見えてきます。 樹齢を 後ろ姿で表したんですね。 すばらしいです。 これでいきましょう!」

なつ「やった~!」

下山「おお…。」

(拍手)

麻子「いくら何でも 時間かけ過ぎでしょう。」

なつ「すいません… でも ほかのカットも描いてましたから。」

麻子「私も 鳥のデモには 丸3日かかったけどね。」

なつ「イッキュウさんは ただの偉そうな人じゃないですよね。」

麻子「私は 偉そうなんて 一度も思ったことないわよ。」

なつ「えっ?」

麻子「あなた そう思ってたんだ。」

なつ「違いますよ! だから… 違うって言ってるじゃないですか。」

麻子「要するに あの人は漫画映画が好きなのよ。」

なつ「はい。 そうなんです。 それに 可能性を見てるんですよね。」

坂場「すばらしいです。 顔の表情もいいですが 体全体の動きが…。」

茜「あの2人って 何だか 末恐ろしいわよね。」

なつ「はい…。 私らも 負けずに頑張りましょう。」

麻子「仕事しましょ。」

茜「はい。」

なつ「はい。」

<なつよ… その先へ 先へと進んでいけ。 そして…。 ♬『Everybody Loves Somebody Sometime』(いつか、誰かを愛せよ…)>

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