ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「なつぞら」第9話「なつよ、夢の扉を開け」【第2週】

あらすじ

家を飛び出し帯広までやってきたなつ(粟野咲莉)は、川のほとりで魚釣りをする天陽(荒井雄斗)を見つける。ひとりで来ていたなつを天陽は心配し声をかける。なつは家族を待っていると強がるが、やがて天陽も家路に着き、ひとり河原に残されてしまう。なつは父の形見の手紙を取り出し、読む。涙があふれだすなつ。すると…。

9話ネタバレ

河原

泰樹「なつ~!」

照男「なっちゃん!」

剛男「なっちゃん!」

夕見子「なっちゃん!」

泰樹「なつ~!」

夕見子「なっちゃん!」

剛男「どうしたの?」

富士子「私… 自信がない。」

剛男「えっ?」

富士子「あの子の親になる自信が。 あの子 他人の家族の中にいたら いつまでたっても 自分の家族を失った悲しみが癒えない。 やっぱり お兄さんたちといるのが 一番なんだわ。」

剛男「とにかく 今は あの子を見つけることだけ考えなくちゃ。」

富士子「そだね。」

泰樹「なつ~!」

剛男「なっちゃん!」

富士子「なっちゃ~ん!」

なつ『咲太郎 なつ 千遥 お父さんは 今 遠い戦地にいる。 大好きなお母さんと離れて 何よりも大事なお前たちとも離れて…』。

父『お前たちを守るために戦っているんだ。 だけど 本当は 毎日たちに会いたくて 戦争を恨んでいる。チクショー… バカヤロー』。

父『早く お前たちのところに帰らせろって そう思いながら 父さんは いつだって お前たちのことを思って お前たちと一緒にいるんだ。 そして この手紙を受け取った時には もう この世にはいない』。

父『だけど 今も 一緒にいる。 だから 悲しむな。 やっと 父さんは お前たちのそばに戻れたんだ。 今 一緒にいるんだ…』。

父『一緒に また 浅草に行こう。 一緒に 神田祭にも行こう。 うちは 商売をしていたから お祭りに みんなで行くなんて なかったものな。 これからは いつも一緒だ』。

咲太郎♬『夕暮れに仰ぎ見る 輝く青空』

♬『日が暮れて辿るは わが家の細道 せまいながらも 楽しいわが家 愛の灯影のさすところ 恋しい家こそ 私の青空 恋しい家こそ 私の青空』

なつ<私は 起きたまま 夢を見ました。 それは 自分の想像力で描いた 最初の夢だったのかもしれません>

泰樹「なつ!」

剛男「なっちゃん。」

富士子「なっちゃん。」

なつ「(泣き声)」

剛男「なっちゃん…。」

なつ「どうして… どうして 私には 家族がいないの…。 どうして いないの…! どうして… どうして 私には 家族がいないの…!」

泰樹「もっと怒れ。 怒ればいい。」

なつ「バカヤロー! チクショー! バカヤロー…。」

泰樹「お前には もう そばに 家族はおらん。 だが わしらがおる。 一緒に おる。」

なつ「おじいさん おじいさん…!」

なつ「おじさん おばさん 皆さん ごめんなさい。」

富士子「もう 本当に バカなんだから! 今度 黙っていなくなったら 絶対に許さないからね! 分かった?」

なつ「はい。」

富士子「よし。 はい。 はい。 帰ろう。」

雪月

剛男「うまい!」

雪之助「そうかい。」

剛男「はい。 今 この瞬間 私は 戦争が終わったと実感しました。」

雪之助「そんなこと思ってくれんのかい お菓子一つで?」

剛男「はい。 平和の味がします。」

とよ「な~るほど。 あんたが このじいさんと 気が合わねえことは実感したわ。」

剛男「えっ?」

泰樹「四の五の言わずに 食え。」

剛男「ああ…。」

とよ「ほらね。」

(笑い声)

富士子「何よ 『四の五の言わずに』って。 なっちゃん これからは おじいさんのことは 何でも 私に教えてちょうだい。 おじいさんはね 甘いものを食べる時と 人に甘いことをする時は隠したがるのよ。」

泰樹「うるさい もう…。」

とよ「いかったね。 あんたのこと よ~く分かってくれる娘さんがいて。」

泰樹「あんたが 一番うるさい!」

とよ「アハハハハハ…。」

なつ「あっ 夕見子ちゃんが 牛乳食べてる!」

夕見子「ん?」

なつ「それ 牛乳だよ。 牛乳から出来てるんだよ。」

夕見子「だ… だけど これは牛乳じゃないでしょ? アイスクリームでしょ? 全然違うものじゃない。」

剛男「いいや 牛乳は牛乳だよ。 夕見子も こうすれば 牛乳を頂けるということだ。」

富士子「そだね。 こういうものを作って売れば 牛乳は もっと たくさんの人に 喜ばれるってことよね。」

妙子「あら 奥さん それは うちの商売ですから。」

富士子「あら そうね。」

妙子「はい。 甘いものは うちに任せて下さいね。」

雪之助「しかし これからのお菓子には ますます 牛乳は 欠かせないもんになんだろうね。 牛乳の方は よろしくお願いします。」

雪次郎「よし 僕が 夕見子ちゃんのために おいしい牛乳のお菓子を たくさん作るよ!」

夕見子「いらないわよ 別に。」

照男「じいちゃん 俺にも 搾乳 教えて下さい!」

剛男「何だよ 急に。」

泰樹「いいだろう。 ついでに 夕見子もやるか?」

夕見子「絶対に やだ! 私を巻き込んだら 家出するから。」

富士子「なんてこと言うの!」

(笑い声)

語り<こうして なつにとって その日は 夢のような一日になりました。 なつよ 私は 約束どおり 今も お前と一緒にいるよ。」

柴田家

牛舎

菊介「いかった いかった とにかく無事で。」

悠吉「おやっさんが 搾乳の時間に この牛舎を空けるなんて めったにないことだ。 それが どういうことか分かるべ なっちゃん?」

なつ「悠吉さん 菊介さん 心配かけて ごめんなさい。」

悠吉「なんもだ。」

菊介「俺たちは仲間だべ。」

(鳴き声)

なつ「はい。」

泰樹「何もないけど 飯食ってってくれや。」

悠吉「ああ…。」

なつ「ただいま! ごめんね。 私が大丈夫なら きっと お兄ちゃんや千遥も大丈夫。 そうよね? そう思うでしょ? だから 大丈夫。 私は ここにいる。 いても いいよね?」

泰樹「なつ。」

なつ「はい。」

泰樹「ちょっと来てみろ。」

泰樹「ハハハハ…。」

なつ「これは 何?」

泰樹「わしの夢じゃ。 バターチャーンだ。」

なつ「バターチャーン?」

泰樹「牛乳から バターを作る道具じゃ。 日本一の… いや いや いや… 世界一のバターを作るんじゃ。」

なつ「世界一のバター!?」

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