あらすじ
2作目は「雪月」の若夫婦・夕見子(福地桃子)と雪次郎(山田裕貴)のささいな夫婦げんか。それをきっかけに十勝の男女が大分裂! 仲直りのため男たちが、妻へ愛を語るコンテストを実施することに…!
スピンオフ 秋の大収穫祭② 十勝男児、愛を叫ぶ!②
雪月
菊介<そして とうとう… 十勝女房自慢コンテストの日が やって来たんだわ! けっぱれ 十勝男児よ!>
門倉「ちょっと待ってけれ… 雪次郎は?」
菊介「えっ?」
とよ「さ~て ついに この日がやってまいりました! 『十勝女房自慢コンテスト!』 司会は この度 声優デビューをいたしました 小畑とよでございます。」
(拍手と歓声)
とよ「ありがとうございます。 果たして 男でもは 嫁たちの心を つなぎ止めることができるべか!」
悠吉「あっ… ごめんね ちょこっと遅れてしまって。 お~い カナ子さん 公英 こっちゃ こっちゃ」
公英「お母さん 早く!」
カナ子「分かった 分かった…。 いや~ 皆さん この度は うちの主人が ご迷惑をおかけして…。」
タミ「いいえ。」
妙子「うちの方こそ。 さ~て お手並み拝見といこうかね。」
良子「夕見子ちゃん 何 おっかない顔してんの?」
夕見子「えっ?」
良子「別に 本気で別れるってわけでないしょ。」
夕見子「いや 私は本気だよ。」
良子「えっ。」
夕見子「雪次郎の気持ちが 半端なもんだったら そん時は…。」
とよ「したら 男たちの入場だわ。 はい はい はい…。」
一同「はい はい はい…。」
(手拍子)
(拍手)
夕見子「雪次郎…。」
とよ「ルールは単純明快! 男たちの愛の叫びを それぞれの嫁たちに判定してもらいます。 このタンポポ札が上がったら 婚姻継続!」
とよ「こっちの魔界の番長札が上がったら 離縁! 女房自慢コンテストの始まりだべ!」
(拍手)
悠吉「菊介 頑張れや~!」
(拍手)
とよ「トップバッターを飾るのは 十勝きっての伊達男… 山田正治!」
(柝の音)
正治「タミ。 天陽がいなくなって 何も手につかなかった俺を 笑顔で支えてくれて ありがとう。 改めて 君の存在が どれほど大きなものだったかを実感した。 これからも 共に生きていこう。 そして 奥様方 十勝開拓の歴史には 間違いなく 女性の力が不可欠だった。 全ての十勝男児に代わって 感謝します。 ありがとう ありがとう~!」
(拍手と歓声)」
公英「そうよ これよ これ!」
妙子「この言葉が欲しかったのさ!」
とよ「会場の反応は上々! さ~て 嫁の判定は!」
タミ「これからも よろしくね。」
(歓声)
正治「ありがとう!」
(拍手と歓声)
とよ「タンポポ札! 婚姻継続!」
(拍手と歓声)
照男「天陽のおやじさん すごい声援だな…。」
菊介「いや たまげたな。」
門倉「随分 ハードルが上がっちまったな…。」
雪之助「なんてことしてくれたんだか…。」
正治「いや ありがとう。 会場は温めてきた。 みんなも頑張れよ。」
菊介「しかたねえ。 俺たちも この勢いに乗るしかねえ。」
照男「そうっすね…!」
菊介「今こそ 俺たちの魂を見せてやれ! 十勝男児 愛を叫べ~!」
一同「F! F! J!」
とよ「続いては 柴田牧場を 陰で支え続ける 戸村菊介!」
(柝の音)
菊介「カナ子 公英。 多くは語らねえ。 この歌に 全部込めてきた。 聴いてくれ。」
菊介♬『拝啓 この世界で一番近くにいるひと 今までもこれからも 一番近くにいるひと いつもなら言わないこと 今日は伝えに来ました 言わなくちゃいけなかったこと 歌にしました。 脱いだら脱ぎっぱなし 食べたら食べっぱなし』
とよ「十勝の番長 門倉 努!」
門倉「うわ~ 良子! もう トラクター買うなんて言わねえ! ああ~… おりゃ~! この腕っぷし一つで お前と子どもたちを支えていくべ!」
(拍手と歓声)
良子「あんた…!」
門倉「アハハハ タンポポです!」
とよ「タンポポ札!」
門倉「やった~! わっしょい わっしょい わっしょい わっしょい…。」
菊介♬『俺にとってキミはどんな空気よりも おいしい おいしい 空気なんだ』
とよ「我がせがれ 小畑雪之助!」
(柝の音)
雪之助「妙子!」
(歓声)
妙子「う~ん… 甘~い!」
(拍手と歓声)
とよ「タンポポ!」
(拍手)
雪之助「これ 愛の妙子ケーキっていいます。」
とよ「おっ…。 (せきばらい) 柴田照男!」
(柝の音)
照男「いつまでも 君だけが好きだ 砂良!」
砂良「何言ってんのさ! 浮気したくせに!」
観客「えっ…。」
照男「いや…違うんだ! あの… 組合長のつきあいで入った店が たまたま…。」
砂良「たまたま?」
照男「申し訳ない! 本当に 俺が愛したのは 生涯 砂良 ただ一人だ! 命懸けても構わねえ! 許してくれ このとおりだ!」
砂良「信じてあげる。 今回だけね。」
とよ「ギリギリ タンポポ!」
(拍手と歓声)
菊介♬『あんなに惚れてたのに こんなに惚れてるのに いつの間にか空気みたいに思ってた でも信じてくれ 俺にとってキミはどんな空気よりも おいしい おいしい 空気なんだ いつまでも吸っていたい おいしい空気なんだ 菊介 愛を誓います 十勝の空へ 菊介 愛を誓います あなたのそばで』
菊介「カナ子 帰ってきてくれ。」
(拍手)
とよ「さあ 判定は!」
公英「お母さん。」
カナ子「分かった 分かった。 ほれ。」
とよ「タンポポ~!」
(拍手)
悠吉「いいぞ! せがれ!」
(拍手)
カナ子「何さ その顔 ハハハ…。」
菊介「いや~ お疲れ お疲れ! みんな 大したもんだわ!」
正治「なあ 雪次郎君は?」
雪之助「いや まだなんだわ。 何やってんだべ あいつ…。」
とよ「あれ 雪次郎は どうしたのさ?」
菊介「いや それが… 便所に。」
とよ「もう 出番だっつうの! 雪次郎 さっさと尻拭いて出てこい!」
夕見子「もう いいわ。」
菊介「夕見子ちゃん…。」
夕見子「どうせ 逃げ出したんだべ。 もしかしたら 男 見せてくれるかもって 期待したけど… 裏切られたわ。」
とよ「ええ では 以上で 全員の演技が終了っていうことで いいのかい。 そうかい。 したら 以上をもちまして…。」
雪次郎「ちょっと待ってや!」
夕見子「雪次郎…。」
とよ「どしたんだい 雪次郎 やれんのかい?」
雪次郎「ああ。」
とよ「うん うん。」
雪次郎「遅くなって すいません。」
とよ「よっ! 本日の大トリは 雪月の菓子職人にして 私の孫 小畑雪次郎!」
(柝の音と拍手)
雪次郎「夕見子ちゃん…。 お義父さん! お願いします!」
剛男「すいません… すいません…。」
夕見子「父さん!? 何してんの!?」
剛男「柴田牧場の朝採れ牛乳だ。」
夕見子「いや… いやいや…。」
雪次郎「ありがとうございます。 ギリギリまで悩んでて 遅くなっちゃったけど…。」
夕見子「はあ? どういうこと?」
雪次郎「俺は 夕見子ちゃんの強さしか見えてなかった。 その強さに甘えてしまってた。 したけど これからは 夕見子ちゃんに できねえことは 俺が代わりにやっから。 夕見子ちゃんは 弱えまんまでいいから。」
とよ「雪次郎! あ~あ…。」
夕見子「ねえ ちょっと… ねえ ねえ! 何してんの…。」
(どよめく声)
夕見子「ちょっと! ちょっと…。 何してんの!?」
雪次郎「君が飲めねえ牛乳は 俺が 一生飲むから…!」
夕見子「何さ…。 あんんたが やりたかったのって こんなこと?」
(どよめく声)
(牛乳を飲む音)
夕見子「牛乳くらい もう飲めるわ。 私が こんなことで喜ぶと思った? 浅はかにも程があるべさ。」
門倉「番長札…。」
雪次郎「はあ…。」
夕見子「あんたに 何かしてほしいだなんて 思ったことないわ。 男らしくないとか 情けないとか そりゃ いろいろ言ってきたけど そんなのね 別に どうだっていいんだわ。 したって それが雪次郎だもん。 私が あんたに期待してんのは たった一つだけさ。 覚えてないだろうけどさ 子どもの頃の約束。」
雪次郎「約束…。」
回想
雪次郎「僕が 夕見子ちゃんのために おいしい牛乳のお菓子を たくさん作るよ!」
夕見子「いらないわよ 別に。」
回想終了
雪次郎「おいしい牛乳のお菓子を たくさん作る。 約束 守る。 絶対 一生守る。 夕見子ちゃんのために おいしいお菓子 なまら おいしいお菓子 作らしてくれ。 俺と ずっと 一生 一緒にいてくれ 夕見子ちゃん!」
夕見子「バカだもね… 本当 バカ! バカすぎて 放っておけないわ。」
雪次郎「えっ?」
とよ「夕見子ちゃん。」
夕見子「はい。」
(拍手と歓声)
とよ「タンポポ~!」
雪次郎「夕見子!」
菊介<こうして 無事 十勝女房自慢コンテストは 終わりました。 本当 無事でよかった~>
坂場家
リビング
なつ「したら 大丈夫だったの? 夕見と雪次郎君 別れてない?」
剛男『別れるどころか 前より仲よくなったみたいだわ。 雨降って 地 なまら固まるってとこかな。』
なつ「父さんは届けないの? あの手紙 母さんに。」
柴田家
居間
剛男「えっ? いや いいよ 恥ずかしい。」
なつ『え~ 絶対 喜ぶのに。』
剛男「え~? いやいやいやいや いいって エヘヘヘ…。」
剛男『富士子ちゃん 富士子ちゃん 富士子ちゃん』。
雪月
夕見子「お待たせしました。 リンゴジュースと オレンジジュースです。」
雪之助「はいはい どうも これが新作のね 愛のユミコケーキ。」
夕見子「何なんですか この名前は。 なまら恥ずかしいしょや!」
雪之助「コンテストが いい宣伝になったもね。 雪次郎の牛乳のお菓子 こりゃ売れるぞ~。」
とよ「約束のお菓子ね。 ヒッヒッヒッヒッヒ…。」
夕見子「勘弁してや。」
「すいません 愛のユミコケーキ 2つ。」
「あっ こっちも…。」
「こっちも 愛のユミコケーキ。」
「僕らも 愛のユミコケーキ下さい。」
夕見子「もう… 愛のユミコケーキ 入りました!」
雪次郎「は~い はい はい はい はい はい 愛の男が参ります。 はい 愛のユミコケーキ。」
夕見子「はい。」
雪次郎「うん… 愛だわ。」
菊介<夕見子ちゃんよ そして 雪次郎よ 互いに思いやっていけば キミたちの未来には きっと明るい道が続くよ…。 菊介さんでした>