2020年5月04日放送の【行列の女神~らーめん才遊記~】3話のネタバレです。
らーめん才遊記はテレビ東京で放送しているドラマです。
現在は(2020年5月現在)Paraviでも視聴可能です。
テレビまたはParaviが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。
あらすじ
依頼を勝手に引き受けた汐見ゆとり(黒島結菜)は、味に自信はあるものの客が入らず困っている『つけ麺あんざい』店主・安西のもとへ。だが時を同じく安西の妻も、別のコンサル会社に依頼し、担当の難波倫子(松井玲奈)を連れてくる。同時に依頼された2社によるコンペを行うことになり……。一方『清流房』には橋爪ようこ(高畑淳子)が来店。\nラーメン嫌いなようこのダメ出しに、芹沢達美(鈴木京香)はイラ立ちを隠せない。
3話ネタバレ
今や世界に誇る大人気国民食ラーメン。そのラーメン業界をけん引する一人の女性が居た!伝説のラーメン職人であり一流のフードコンサルタント芹沢達美!彼女の下を訪れる次の依頼人とは
清流企画
汐見ゆとり「今日、今からですね。つけ麺あんざい!わかりました、すぐに伺います。はい!失礼します。」
河上堅吾「汐見さん?どちらに行かれるんですか?」
汐見ゆとり「コンサルの依頼が入ったんですよ。困っているのですぐに来てほしいって」
河上堅吾「すぐにって困りますよ、私が席を外している間に勝手に依頼を受けたりされたら!」
汐見ゆとり「でも?他の皆さん、別の仕事をしていて手が空いているのは私だけです!私が行くしかありませんよね?」
須田正史「まあねー俺らは自分の案件の追い込み中だし社長と夏川は今日月替わり新作ラーメンの初日だし」
白坂隼人「いいんじゃないですかーゆとりちゃんに行ってもらえば?」
河上堅吾「ダメです!とにかく汐見さんに仕事を任せるかどうか社長に判断してもらいますから!」
汐見ゆとり「部長!ちょっと私に厳しすぎますよー」
河上堅吾「じゃあハッキリいいます。汐見さんは少々常識に欠けるところがあるので私は信用してないんです!」
白坂隼人「部長・・・」
須田正史「あーあ言っちゃった・・・」
河上堅吾「いやですからね、もう少し言動を?」
汐見ゆとり「わかりました!じゃあ行ってきます!」
河上堅吾「いやいやいや、私の話しを聞いてましたか?」
汐見ゆとり「聞いていましたけど、別に私、部長から信頼されていなくても痛くもかゆくもありませんから!」
河上堅吾「そういう問題じゃないでしょうが!」
芹沢達美「騒々しいわねーどうしたの?」
汐見ゆとり「社長!新しい依頼が入ったので私がたn・・」
河上堅吾「先ほど依頼の電話が入ったんですが誰も手が空いてな・・・夏川さん!」
夏川彩「えー!?今日は社長と厨房に立てる月にに一度の日なんですから!」
汐見ゆとり「ほーら!やっぱり私が行くしかありませんよね社長!」
芹沢達美「いいんじゃない?そんなに行きたいんなら?」
河上堅吾「社長そんなにあっさり?」
芹沢達美「その代わり、内の看板背負っていくなら失敗は許されないわよ!」
汐見ゆとり「もちろんです!じゃあ行ってきます!」
河上堅吾「知りませんよ私は」
芹沢達美「何かトラブルあったらよろしく河上さん。夏川、仕込み!」
夏川彩「はい!」
つけ麺あんざいにて
汐見ゆとり「いただきます!」
汐見ゆとり「美味しいです!プルプルでコッテリして、ガツンってくる。よく出来た濃厚とんこつ魚介系つけ麺ですよ」
安西徳之「自分でも味はねー悪くないと思っているんですけどねーなんせオープン以来この有様で」
汐見ゆとり「でも不思議ですね?繁華街のすぐそばで立地も悪くないハズなのに」
安西徳之「理由はハッキリしてるっちゃハッキリしてるんでけどね」
ただいま
安西徳之「内のカミさんです。ちょうど良かった。こちら清流企画から来てくれたフードコンサルタントの汐見さん内の店助けに来てくれたぞ」
安西絵里「うそ?なんで勝手にそんなことを?」
安西徳之「勝手にってお前?さっき電話して来てもらったんだよ?お前が店のこと考えろってうるさいからだろう。」
安西絵里「勘弁してよ。私も依頼して来てもらったのに。どうぞ!」
難波倫子「初めましてー。私、味惑コーポレーションから参りました。フードコンサルタントの難波倫子と申します。」
安西徳之「味惑コーポレーション?」
汐見ゆとり「奥様は別の会社に依頼を?」
安西絵里「そうです!この人がグズグズしてなかなか動いてくれないから!今日お願いに伺って。」
安西徳之「お前ふざけんなよ!なんで相談もなくそんなことやってんの?」
安西絵里「それはあなただって同じでしょ?大体あなたはいつもそうじゃない?」
難波倫子「清流企画さんご相談があるんでちょっといいですか?」
汐見ゆとり「あっはい。相談っていうのは?」
難波倫子「消えろ!さっさと消え失せろ言うとんねん!このボケッ!」
場面変わって【らあめん清流房】
夏川彩「お待たせしました」
客「開店ですか?」
夏川彩「はい、順番にどうぞ!」
芹沢達美「お待たせしました月替わりラーメンの【鳥だし白湯らあめん】です。」
夏川彩「お熱いうちにどうぞ」
芹沢達美「やっぱりあなたの仕業でしたか橋爪先生」
夏川彩「橋爪?橋爪クッキングスクールの総帥で汐見の母親」
橋爪ようこ「今日は勉強の為にスクールの講師陣を連れてきたの。皆さん実食!」
橋爪ようこ「順番に、まずは麺」
講師1「北海道産小麦、品種ははるゆたか」
講師2「かん水は内モンゴル産」
講師3「加水率37%麺の切刃は26番」
橋爪ようこ「よろしい。次、スープ」
講師4「ベースは丸鶏と豚の背ガラ」
講師5「加えたのは玉ねぎ、人参、白菜、ネギ、しょうが、にんにく、りんご、大根、トマト、マイタケ計10種類」
講師6「隠し味に白みそ」
橋爪ようこ「もう一つ、ほんの数滴マスタードオイルも加えてあるわ。どう?」
芹沢達美「正解です」
橋爪ようこ「達美ちゃんの作るラーメンだけあって流石のお味ねー。でも嘗ての勢いは無いんじゃないかしら?昔はもっとこう、荒々しくて、尖ってたのに、小綺麗にまとめちゃってwやっぱり年なのかしらねー」
芹沢達美「言いたいことはそれだけですか?」
橋爪ようこ「あらwもっとダメ出ししてほしいのー?」
芹沢達美「もう食べないんでしたら営業妨害はやめて、さっさと出て行ってくださいます?」
清流企画のに戻ってきたゆとり
汐見ゆとり「失敗は許されない・・・って私失敗してないし!ただいま戻りました」
橋爪ようこ「おかえりなさいゆとり」
汐見ゆとり「なんでなんでなんでなんで」
汐見亮二「ゆとり!大丈夫?」
汐見ゆとり「なんでお父さんまで?」
汐見亮二「僕もついさっき呼ばれたんだけどね」
橋爪ようこ「いいからさっさと入りなさい」
汐見ゆとり「幻じゃなかった・・・」
河上堅吾「つまり、こういうことですか?先日私が汐見さんの下を訪れたことで橋爪先生にお嬢さんの就職先が伝わって、今日橋爪先生がこちらにいらしゃったと?」
汐見亮二「全くもうしわけない」
橋爪ようこ「謝ることないでしょう?娘が就職先でご迷惑かけてないか心配で様子を見にきただけなんだから」
汐見ゆとり「別に迷惑なんか」
芹沢達美「ご心配通り迷惑かけられっぱなしです。本当どういう育て方をしたらああいう子に育つのか親の顔が見てみたいと思っていましたから」
橋爪ようこ「あーらwじっくり見てくださって構いませんわよー気の済むまで」
芹沢達美「気は済みませんけど直視するのは耐えられません。お嬢さん以上に迷惑な方ですから?この辺りがムカムカしてきちゃって」
橋爪ようこ「あらー胸やけかしらねー?ラーメンの食べ過ぎ?ほらあれって味が濃くって脂っ濃くって不健康ではしたなくてB級グルメでその上不健康だから?」
芹沢達美「不健康2回言いましたよ?」
橋爪ようこ「知ってる、わざと」
須田正史「凄い会話だ。流石のラーメン否定主義者」
白坂隼人「あれはもう殴り合いっスね」
夏川彩「ていうか結局何しに来たのあの人は?」
汐見亮二「でーようこさんは今日は本当は何をしに?やっぱりゆとりを連れ戻しに?」
汐見ゆとり「言っとくけど私、お母さんの跡継ぎなんかにならないからね!」
橋爪ようこ「本気で言ってるの?ゆとり?」
汐見ゆとり「本気だよ。私はもうラーメンへのワクワクがもう抑えきれないの!それにお母さんみたいな毒親とは縁を切るつもりだから」
橋爪ようこ「毒親?私が?」
河上堅吾「汐見さんそれは言い過ぎでは?」
汐見ゆとり「だって、あんなに美味しい食べ物を今まで食べさせてくれなかったなんて虐待です。洗脳です。そんな人のことを親だなんて思いたくありません!私の本当の母親はきっと、きっとラーメンなんです!私のこの体にはお母さんの血じゃなくてラーメンのスープが流れているんです!」
須田正史「なんだそれ?」
白坂隼人「錯乱してる」
夏川彩「バカだ。すげーバカだ」
汐見ゆとり「指紋だってもうすぐナルトの渦巻みたいになるんだから覚悟しておいてよね!」
河上堅吾「汐見さん少し落ち着きましょう。本当に何を言っているのか、さっぱりわかりませんから」
橋爪ようこ「わかったわ」
河上堅吾「わかったんですか?」
橋爪ようこ「今の素っ頓狂な発言じゃなくて、ゆとりの気持ちがね。確かに私はあなたを縛り付けすぎたのかもしれない、これからは自由に為さい。別に私の後継者はあなたじゃなくてもいいのよ。スクールには優秀なスタッフも十分に育ってるしね」
橋爪ようこ「そんなにラーメンが好きなら、芹沢達美に下で働くのは確かに良い勉強になるかもしれないわ。こういうこぢんまりとした会社ならねー遣り甲斐もあるでしょうし」
芹沢達美「素人相手の料理教室の後継者も務まらないような無能な社員。内でも願い下げなんですけど?」
橋爪ようこ「遠慮しなくていいのよー達美ちゃんー。ゆとりには私がしっかりと調理技術を仕込んであるから、ラーメン作りなんてもう目つぶって左手だけでも十分こなせるもの」
芹沢達美「それが思いのほかポンコツなので、そちらでもう一度修業し直した方がよろしいんじゃありません?今度は調理技術の他に礼儀の常識もしっかり叩き直してください」
汐見ゆとり「社長もお母さんも私の為に争わないでください!」
汐見亮二「いやゆとりの為には争ってないよ。これっポッチも」
河上堅吾「奪い合いじゃなく押し付け合いですからね、全力で」
芹沢達美「そういえば汐見あなた?しれっと帰ってきてるけど依頼は?」
河上堅吾「そういえば帰りは早かったですね?」
汐見ゆとり「それは」
芹沢達美「失敗した?手に負えなかった?それで逃げ帰ってきたのね。橋爪先生!これそちらに返品します」
汐見ゆとり「いやちょっと違います!聞いてください!」
回想
汐見ゆとり「消え失せろって。そんなこと言われても」
難波倫子「あ?ワレ痛い目見んとわからんのか?」
安西徳之「あのー?ちょっといいですか?汐見さん、難波さん。」
難波倫子「はい、なんでしょう?」
安西徳之「今こいつとも相談したんですけど内としては清流企画さんにコンサルタントをお願いしたいと思いまして」
汐見ゆとり「本当ですかー!」
同業者からの評判もいいですし、あの芹沢達美さんが立ち上げた会社ですから!
汐見ゆとり「ありがとうございます。じゃあそちらには速攻で直ちに今すぐお帰りいただいt」
難波倫子「安西さん!こちらのお店が繁盛しない理由はこの地域が繁盛しないのは都内でも1、2を争うつけ麺専門店の激戦区だからですよね?」
難波倫子「200メートル以内に専門店が10件!その中にはつけ麺業界でトップに君臨する2大有名店「金獅子亭」と「グルテンハウス」も含まれています。ここにつけ麺で新規参入するのはかなりの挑戦ですよー?」
安西徳之「仰る通りです。自分のつけ麺がどこまで通用するか挑戦したい気持ちがあったもんですから。まあ結果ご覧の通りですがね」
難波倫子「私にはその問題を解決するための明確なビジョンがあります!こちらの清流企画さんはまだノープランのようですけど?」
汐見ゆとり「まだ来たばかりですs」
難波倫子「いいんですかー?あの芹沢達美の清流企画だからって、こんな頼りない子にお店の未来を託しても?」
回想終了
芹沢達美「それで?」
汐見ゆとり「それで、どちらの会社に依頼するかはもう一度ご夫婦でよく話し合って決めることに」
河上堅吾「つまり相手任せということですか?」
芹沢達美「なるほどねー。じゃあ首!」
汐見ゆとり「なんでですか?私、失敗してないですよ?」
芹沢達美「私の名前出してもあなたが仕事取って来れなかったってことはよっぽどあなたが頼りなく見えたってことでしょ?」
汐見ゆとり「いや、違いますよ!相手の押しが強かったのと思ったほど社長の名前に威力がなかったがいけなかったんです」
芹沢達美「なんですって?」
橋爪ようこ「醜い争いだことーwじゃあ私はこれで失礼しますね」
汐見亮二「えー唐突だな?元夫の僕まで呼びつけておいて」
橋爪ようこ「久しぶりに親子3人で会えたんだからいいじゃない?じゃあ達美ちゃん、内の娘をよろしくねー」
芹沢達美「持って帰ってください!今箱に詰めますから!」
汐見ゆとり「えーもうそれは勘弁してくださいよー」
橋爪ようこ「そうそう、もし依頼を受けることになったら伝えてあげなさい。つけ麺なんてジャンクな食べ物で争うより商売変えをしたほうが世の為人の為だってねww名前出しても威力がなかったんですって?」
汐見亮二「あの、なんかすいませんね。お騒がせしちゃって、ごめんなさい、ごめんなさい。ゆとり、じゃあね」
白坂隼人「なんだったんっスか一体?」
夏川彩「ムカつく、塩撒いた方がいいんじゃないの?塩!」
芹沢達美「本当に相変わらずだーあの人はー」
須田正史「うわーすげーイライラしてる」
汐見ゆとり「あのーじゃあ私はどうすれば?」
河上堅吾「とりあえず先方の連絡を待つしかないでしょうね」
芹沢達美「相手は味惑コーポレーションだったわね?」
汐見ゆとり「はい、そうです」
白坂隼人「それって元々新世紀ダイニング味惑っていう和風創作居酒屋の母体になっている店ですよねー」
夏川彩「居酒屋が繁盛して多店舗展開していったグループでしょー?それで飲食店のプロデュースやコンサルも始めたみたいね」
須田正史「ラーメン屋のコンサルも始めたとなると内の商売敵だなーそこに仕事を取られたりしたら」
芹沢達美「黙って取らせるわけないでしょう?この私が?汐見!ついてきなさい」
河上堅吾「社長どちらへ?」
芹沢達美「売られた喧嘩を買いに行くのよ」
汐見ゆとり「でももしかしたら、あっちじゃなくてこっちに依頼が来る可能性もありますし」
芹沢達美「それじゃあつまらないでしょう?喧嘩の火種が燻ってんなら薪くべてガソリンかけてついでに火薬も投入しないと!さあいくわよ!」
味惑コーポレーションにて
芹沢が清流企画と味惑コーポレーションでコンサルプランを提出しどちらが良いか決めるコンペ形式を味惑コーポレーションの社長・福花康男に提案する。
芹沢が散々相手を挑発して清流企画からは汐見が、味惑コーポレーションからは難波が担当するということで話が決まる。
難波の押しに引き気味のゆとり
場面変わって金獅子亭に偵察に来るゆとり
汐見ゆとり「凄いドロドロでガツンガツン!」
有栖涼「この金獅子亭はとんこつの使用量が半端じゃないからねー」
汐見ゆとり「有栖さん!」
有栖涼「煮込んだとんこつを砕いてまた新たなとんこつを加えて煮込んだらまた砕いてを繰り返して、このポタージュのような濃度のスープを作りあげてるんだよ。」
場面変わってグルテンハウスにも偵察に来ているゆとり
汐見ゆとり「モッチモチでプルプル麺が口の中で暴れてるみたい」
有栖涼「凄い噛み応えでしょ!グルテンハウスの売りはこの麺なんだよ。讃岐うどんにも使われている小麦粉オーストラリアンスタンダードホワイトを混ぜることで、この弾力を生み出しているんだよ。」
汐見ゆとり「有栖さんさっき別のお店に行ったハズじゃ?」
有栖涼「僕は美味しいラーメンとつけ麺の店には時空を超えて食べに来ることが出来るんだよ!」
汐見ゆとり「怖いw」
場面変わって清流企画の調理室にて
芹沢達美「早いわね」
汐見ゆとり「社長おはようございます」
芹沢達美「つけ麺あんざいの新メニュー作り?」
汐見ゆとり「昨日思いついて順調そのものです!実はですね」
芹沢達美「メニューの説明はいいわ。それよりコンサルの方針を簡潔に説明してみて」
汐見ゆとり「そんなの決まってますよ!あのつけ麺激戦区でつけ麺あんざいを一番美味しいつけ麺屋さんにすることです!」
芹沢達美「一番美味しいつけ麺屋さんねー、ということはつまり、つけ麺界のツートップ「金獅子亭」と「グルテンハウス」の味を超えるってこと?」
汐見ゆとり「昨日その2軒で凄いつけ麺を食べたおかげで逆にメラメラ燃えてきました!清流企画に入ってからお店の立地とかメニュー戦略とかアピールの仕方とか、それはそれで勉強になったんですけど、でもやっぱりラーメンにとって一番大事なのはあのワクワクなんですよ!どうしました?社長?」
芹沢達美「いーえ。やっぱりあなたはそういうタイプなんだって思っただけ。邪魔したわね」
事務所に移動する芹沢
「つけ麺あんざい」からコンペの承諾書と正式な依頼書が届いているとのこと
芹沢達美「昨日は橋爪ようこが来てカッとしちゃったけど一晩寝たら冷静になった。この案件手を打っておかないとマズイわね。でもあの子には良い勉強になるでしょうけど」
現地調査中の難波に提案があると相談を持ち掛ける芹沢
河上から「あなたの仕事は料理人ではなくフードコンサルタントなんです」と説明されるがイマイチ理解できていないゆとり
コンペ当日のつけ麺あんざい
芹沢達美「では始めましょうか。今日のコンペ、最終的なジャッジは依頼人である安西ご夫妻に下していただきますが。中立的な立場のオブザーバーとして有栖さんにも同席していただきます」
有栖涼「よろしくお願いします」
難波倫子「安西さん、厨房お借りしますね」
安西徳之「どうぞどうぞ」
汐見ゆとり「社長?結局私の新メニュー一度も説明していませんし試食もしてもらってないんですけど?」
芹沢達美「今更?自信あるんでしょ?」
汐見ゆとり「それはもちろんそうですけど」
難波倫子「お待たせしました」
安西徳之「とんこつラーメンじゃないですか。
難波倫子「まずは皆さん召し上がってみてください」
有栖涼「典型的な博多とんこつですね。スープも麺も高い水準で実に手堅い美味しさに仕上がっている」
安西絵里「でも内はつけ麺屋ですよ?どうしてとんこつラーメンを?」
難波倫子「簡単な話です!つけ麺屋を辞めてとんこつラーメン店に商売替えしませんか?依頼書にあった、安西さんの経歴を拝見しました。過去につけ麺専門店ばかりで修業されていますよね?」
安西徳之「ですからここに出店して勝負しようと思い立ったわけで」
難波倫子「そのチャレンジ精神は素晴らしいものですが、お店を繁盛させるには、この立地を逆に利用するべきです!この界隈のつけ麺以外の外食店を調べれば簡単に答えは出てきます。つけ麺激戦区でもラーメンへのニーズはまだまだありますし、それにこの近辺にとんこつラーメンの専門店は一軒もありません!安西さんの腕ならとんこつラーメンへの転向も十分可能だと思います!」
安西徳之「確かにそうですがねー」
難波倫子「以上が私のご提案するコンサルティングプランです!」
福花康男「難波、つけ麺屋さんへのコンサルティングにこの提案はちょっと、大胆過ぎやせんか?」
有栖涼「いや、そんなことはありませんよ!福花社長、僕は実に的確な分析と提案だと思います」
芹沢達美「そうですね。フードコンサルタントとしては新人らしからぬ発想です」
福花康男「芹沢社長と有栖さんにお褒め頂けるなら私も文句の良いようがありませんが」
汐見ゆとり「全然ワクワクしない。こんなの面白くもなんともないコンサルティングですよ。これだったら私の新メニューで楽勝です楽勝!」
難波倫子「次はワレの番じゃー!大口叩いとらんでさっさと見せてみー?」
一方そのころ橋爪ようこと汐見亮二が電話で予想している
橋爪ようこが汐見亮二に電話でゆとりの勝敗の賭けを持ち掛ける。汐見亮二はゆとりの勝ちを予想するが橋爪ようこはゆとりが負けるほうに賭ける。
つけ麺あんざい
汐見ゆとり「お待たせしました」
難波倫子「なんやこのけったいなつけ麺は?」
汐見ゆとり「説明は後回しにして、まずはお召し上がりください」
有栖涼「これは美味い!」
安西徳之「辛口でうま味たっぷりだ!」
福花康男「凄く複雑な味だ!これは一体どうやって?」
有栖涼「濃厚とんこつに激辛スープをベースにし、そこに砂肝やセンマイなどモツ類が色々と入ってますねー」
安西徳之「モツかー、じゃあこのレバーみたいなのは?」
安西絵里「つるつるプルプルした独特な食感よね」
芹沢達美「血豆腐。血液を豆腐で固めたものね。でもこんな物をつけ麺の具にするなんてね」
安西徳之「僕ら初めて聞きましたよ」
有栖涼「中国料理では割とメジャーな食材です。新鮮な動物の血に火を入れて固めた物で鍋物や麺類の具に使うんです」
汐見ゆとり「今回はカモの血で作ってみました」
芹沢達美「世界的に見れば珍しくありませんヨーロッパでは血を凝固させた「ブラッドソーセージ」」
芹沢達美「韓国では腸詰め「スンデ」」
芹沢達美「フィリピンの煮込み料理「ディヌグアン」」
芹沢達美「タイの麺料理「カノムチン・ナムギョウ」なども豚の血を使った料理です」
福花康男「そういえば日本でもスッポンの生き血を飲みますしね」
汐見ゆとり「なのでこのつけつゆも四川料理の毛血旺ベースに考案してみました」
有栖涼「毛血旺!血豆腐とモツを煮込んだ四川の激辛スープか!」
芹沢達美「さらにつけつゆの強烈な味とのバランスを取るために麺に春雨を混ぜたわけね」
有栖涼「確かにこれは金獅子亭やグルテンハウスにも引けを取らない味ですよ」
汐見ゆとり「私のコンサルティングプランはこのつけ麺をお店の看板メニューにしてつけ麺あんざいをこの地域で一番のつけ麺屋さんにすることです!以上!」
芹沢達美「両者のプランが出そろいましたが、如何ですか?安西さん?」
安西徳之「決めました。内の店では難波さんの提案を採用させてもらいます」
有栖涼「つまり店をとんこつラーメン屋に変えると?」
汐見ゆとり「待ってください。私が提案したつけ麺のどこがいけなかったんですか?」
安西徳之「確かに汐見さんのつけ麺は凄かった。味といいインパクトといい金獅子亭やグルテンハウスとも戦える素晴らしい料理です。でも・・・私も素人じゃありませんから、悔しいけどわかります。こんなつけ麺私の腕では作れませんよ」
汐見ゆとり「そんな」
安西徳之「それにちょっと考えてみたんです。今日のこういる場じゃなくて、街を歩いていて看板を見つけた時私は普通のつけ麺屋じゃなくて果たしてこの毛血旺つけ麺を食べたいと思うかどうかって?」
福花康男「確かに新しい味や珍しい味を求めている人ならともかく、大半の人は無難な店を選ぶかもしれませんね」
安西徳之「先ほど皆さんも仰ってらっしゃってましたが血を使っていると聞いて抵抗を感じる人は多いと思うんですよね。その点難波さんのご提案なら現実的で内の店でも十分やっていけると思うんです。難波さん早速さっきのとんこつラーメンのレシピを」
汐見ゆとり「ちょっと待ってください!安西さん言ってたじゃないですか、このつけ麺激戦区にお店をだしたのは自分のつけ麺がどれぐらい通用するか試してみたかったからだって?」
安西徳之「ですから試して通用しなかったんです。汐見さんのような才能があれば別かも知れませんけど、私達にも生活がありますから」
そこで芹沢の携帯が鳴る。
芹沢達美「失礼。良いタイミングね!結果出たからもう入っていいわよ」
河上堅吾「社長お連れしました」
安西徳之「そちらの方は?」
河上堅吾「北区でとんこつラーメン店を経営している久保さんです」
久保「ども突然押しかけまして」
難波倫子「久保さん昨日はお世話になりました」
汐見ゆとり「もしかして、さっきのとんこつラーメンは」
芹沢達美「そう、こちらの久保さんのお店で出してるラーメンよ。味は有栖さんも認めるレベルなんだけど残念ながらそのお店はとんこつラーメンの激戦区にあって経営が厳しい状態なのよね」
有栖涼「なるほど、つまりレシピ交換しようって話しですか?」
安西徳之「レシピ交換?じゃあそちらのお店で私のつけ麺を?」
久保「清流企画さんからご提案いただいた時は私も驚いたんですけどね」
福花康男「ちょっと待ってください?とんこつラーメン屋への変更は内の難波の提案のハズですが?」
汐見ゆとり「そうですよ、どうして河上部長がその方を連れてくるんですか?」
難波倫子「そんなん決まっとるやろー?このレシピ交換は芹沢社長の提案なんや」
汐見ゆとり「本当ですか社長?」
芹沢達美「そちらの難波さんは安西さんに商売替えを勧めるためにこの周辺の店の調査をしてた。でも1からレシピを作るよりこの方が早いでしょ?ついでに久保さんのお店の問題も一度に解決できるしね」
難波倫子「1からレシピを作っても負ける気なかったですけど?」
芹沢達美「それはどうかしら?内の汐見は料理人としては一流よ?フードコンサルタントとしては三流以下だけど。コンサルとしてはあなたの方が一枚も二枚も上手だったから。今回のことは引き分けということで手を打ちましょう!」
芹沢達美「河上さんあとの細かい契約よろしく」
河上堅吾「わかりました」
芹沢達美「では失礼します」
帰路
汐見ゆとり「納得できません」
芹沢達美「何が?」
汐見ゆとり「社長は最初から私が負けると決めつけていたってことですよね?だから新メニューのことも何も聞かなかったし、レシピ交換のお店だって事前に用意して」
芹沢達美「正解、よくできました」
汐見ゆとり「どうしてですか?なんで私のメニューを食べもしないうちからそんなこと」
芹沢達美「そろそろ理解しなさい。料理が美味しいだけじゃ店は成功しないのよ?あなたのつけ麺は確かに美味しかった。でもね、殆どの客は複数の店を食べ比べて美味しい方を選んでるわけじゃないの。料理対決なんてマンガやテレビ番組の世界の話し、客の殆どは保守的で知名度とか誰かの推薦を頼りに店を選んで、そこで食べた味に満足して帰っていく、つまり彼らは情報を食べているのよ」
汐見ゆとり「情報?」
芹沢達美「そう情報よ、納得した?」
汐見ゆとり「どんなお店だって最初の条件は同じじゃないですか?つけ麺あんざいが毛血旺つけ麺で大人気になった可能性だってあったのに!」
芹沢達美「なったかも知れない。でも、ならなかったかも知れない。斬新で美味しい毛血旺つけ麺でつけ麺業界にチャレンジしたいなら他人の店で試すのではなく自分で店をだしてからにしなさい」
芹沢達美「泣くの?」
汐見ゆとり「泣きません」
芹沢達美「汐見?あなたがそんなへこんだ顔をするのは初めてみるけどなんだか」
芹沢達美「心の底からスカっとするわねー」